JPS6315181Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は生鮮物の低温輸送用容器に関する。

従来より果実、蔬菜その他の生鮮物（生鮮食
品）の輸送については、鮮度保持ないしは品質変
化阻止等の目的で種々の低温輸送を行なつていた
ものであるが、氷、蓄冷材等の冷却材を使用する
場合、冷却材が生鮮物と直接的に接し易い状態で
用いると過冷却による低温障害を生鮮物に生じ、
却つて品質劣化を招来するおそれがあつた。

また生鮮物を密閉状態にて収納しているため、
生鮮物が発する炭酸ガ等が収納部に充満し、その
充満した炭酸ガス等にて生鮮物の品質劣化が促進
されるという不都合があつた。

そこで、この考案においては、上記従来の欠点
を解消できる低温輸送用容器を提供するもので、
その構成としては、合成樹脂の発泡体にて形成さ
れた容器本体および外蓋との間に合成樹脂製の中
蓋を嵌合自在に組合せ、外蓋と中蓋の空間を冷却
材の収納部となし、上記容器本体の周壁部には楕
円形その他の細長溝を下端部付近まで形成し、下
端部付近からは細長溝と連通するこれよりも小さ
い貫通溝にて下端まで貫通形成して容器本体相互
を積み重ねるとき上段の貫通溝が下段の細長溝と
連通できるようなすと共に、容器本体の生鮮物の
収納部と上記細長溝と連通すべく、容器本体の中
蓋支承用の段部と中蓋裏面周縁のいずれか一方又
は双方に凹溝を形成し、生鮮物が発する炭酸ガス
等を排気できるようなしたことを特徴とするもの
である。

次いでこの考案の実施態様について図を参図し
ながら以下に例示する。

１０は容器本体、２０は中蓋、３０は外蓋を示
しており、順次嵌合自在に組合されている。容器
本体１０と外蓋３０とは発泡ポリスチレンその他
による合成樹脂の発泡体にて形成されており、中
蓋２０については前記発泡体にて形成される場合
のほか、氷、蓄冷材等の冷却材４０に対する支承
上好都合なように非発泡の合成樹脂例えばポリプ
ロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン等による
プラスチツク段ボール等の樹脂成形品にて構成す
るのが適し、中蓋２０の上方と外蓋３０の下方に
なる両蓋２０，３０間の空間を冷却材４０用の収
納部ａとしている。

１１は容器本体１０の周壁部１２に形成した冷
気用の複数による細長溝であり、楕円形その他の
細長い形状にて容器本体１０の下端部付近まで形
成されている。１１′は上記細長溝１１に連通さ
せて容器本体１０の下端まで貫通形成した貫通溝
であつて、細長溝１１よりも小さい溝をなしてい
る。

そして容器本体１０，１０相互を積み重ねると
きには上段の貫通溝１１′が下段の細長溝１１と
連通できるような構成になつている（第７図参
図）。１３は容器本体１０の下面凹部、１４は下
面凸部であり、外蓋３０の上面はこれと対応する
よう凸部３３と凹部３４とを形成して外蓋３０を
したままの積み重ね時にも横ズレ防止を果たせる
ようにしてあり、勿論容器本体１０，１０相互の
積み重ね時の横ズレ防止を果たせるよう、容器本
体１０の上面を、容器本体１０の下面に嵌合でき
る形状に形成している。

また、１５は容器本体１０の、生鮮物の収納部
ｂと上記細長溝１１とを連通すべく、容器本体１
０の中蓋支承用の段部１６に形成した断面半円状
の凹溝であつて、生鮮物が発する炭酸ガス等を細
長溝１１側へ排気できるようになつている。

さらに１７は容器本体１０の底面側にて前記貫
通溝１１′に連通するよう形成した断面半円状の
切欠であつて、外蓋３０をした状態で容器相互を
積み重ねた場合でも細長溝１１へ流出した前記炭
酸ガスを容器外部へ排出できるように形成したも
のである（第１図および第８図参照）。

なお、炭酸ガス等の排気用の凹溝１５として
は、前述した容器本体１０側に形成する場合のほ
か、中蓋２０側の裏面周縁に形成する場合、容器
本体１０側と中蓋２０側の双方に形成する場合の
いずれであつてもよく、また上記いずれについて
も凹溝１５を、形成した細長溝１１の全てに対応
させて形成する場合のほか、細長溝１１の一部に
ついてのみ対応させてその形成個数を少なくして
実施する場合もある。

また、容器相互を積み重ねた場合の炭酸ガス等
の排出用の切欠１７としても、容器本体１０に形
成する前述の実施例に代えて、外蓋３０の上面周
縁に切欠３７を形成する場合もあり（第９図参
照）、さらには容器本体１０と外蓋３０のいずれ
の側にも切欠１７，３７を形成することなく、容
器相互を積み重ねた場合に上段容器の貫通溝１
１′下側と下段容器の外蓋３０上面との間に所要
隙間Ｓを有するよう、容器本体１０の下面凸部１
４高さを外蓋３０の凹部３４深さよりも大きく形
成し、上記隙間より炭酸ガス等を排出させるよう
にして実施することも可能である（第１０図参
照）。

考案は上記のごとく構成されており、容器本体
１０の周壁部１２に下端部付近まで楕円形その他
の細長溝１１が形成され、下端部付近からは細長
溝１１と連通するこれよりも小さい貫通溝１１′
にて下端に至るまで貫通形成しているので、冷却
材４０による冷気の滞留効果が高く簡単に逸出す
るのを阻止し得て容器本体１０内の果実、蔬菜そ
の他の生鮮物に対して周囲からもできるだけ万遍
に冷却を行なうのに好都合である。特に容器本体
１０相互を積み重ねるときには、上段の貫通溝１
１′と下段の細長溝１１とが連通していて冷気の
集中をより避け得て万遍な冷却促進に一層役立つ
ことになる。

また生鮮物の収納部ｂと細長溝とを連通すべ
く、容器本体１０の中蓋支承用の段部１６と中蓋
裏面周縁のいずれが一方又は双方に凹溝１５を形
成しているので、生鮮物が発する炭酸ガス等を上
段凹溝１５部分より細長溝１１へ排気し得て、充
満した炭酸ガス等により生鮮物の品質劣化が促進
されるという従来の不都合を解消できることにな
る。しかも上記凹溝１５を容器本体１０等の成形
と同時に形成しておけば、炭酸ガス等の排気用の
孔等を事後的に形成する場合のごとき製造上の煩
わしさもなくコスト的にも有利となる。

従つて、この考案によると、一部分に冷却が集
中せず、過冷却を防ぎ、冷却効率を良好にするこ
とができると共に、生鮮物に対して直接に冷気を
当てず発泡体の壁を介して周囲からも冷却するの
で冷気による低温障害等の品質低下を起すことも
なく、特に炭酸ガスによる生鮮物の品質劣化をも
防止でき、生鮮物の輸送ないしは保管に関して非
常に良好な保存状態を維持でき、従来非常に低温
保管の難かしかつた生椎葺などのキノコ類その他
種々の生鮮物を品質低下することなく収納するの
に好適な容器として広く利用することができるも
のとなる。

【図面の簡単な説明】

図はこの考案の実施態様を例示するものであ
り、第１図は閉蓋状態の正面図、第２図は同上の
平面図、第３図は開蓋状態の平面図、第４図は底
面図、第５図は第２図−線における断面図、
第６図は第２図−線における断面図、第７図
は容器本体相互の積み重ね時の断面図、第８図は
外蓋をした状態での容器相互の積み重ね時の断面
図、第９図および第１０は変更例における容器相
互の積み重ね時の断面図であ。 １０……容器本体、１１……細長溝、１１′…
…貫通溝、１５……凹溝、１６……中蓋支承用の
段部、２０……中蓋、３０……外蓋、４０……冷
却材、ａ……冷却材の収納部、ｂ……生鮮物の収
納部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 合成樹脂の発泡体にて形成された容器本体お
   よび外蓋との間に合成樹脂製の中蓋を嵌合自在
   に組合せ、外蓋と中蓋の空間を冷却材の収納部
   となし、上記容器本体の周壁部には楕円形その
   他の細長溝を下端部付近まで形成し、下端部付
   近からは細長溝と連通するこれよりも小さい貫
   通溝にて下端まで貫通形成して容器本体相互を
   積み重ねるとき上段の貫通溝が下段の細長溝と
   連通できるようなすと共に、容器本体の生鮮物
   の収納部と上記細長溝とを連通すべく、容器本
   体の中蓋支承用の段部と中蓋裏面周縁のいずれ
   か一方又は双方に凹溝を形成し、生鮮物が発す
   る炭酸ガス等を排気できるようなしたことを特
   徴とする生鮮物の低温輸送用容器。 ２ 中蓋が非発泡樹脂にて形成されてなる上記実
   用新案登録請求の範囲第１項記載の生鮮物の低
   温輸送用容器。