JPH0142539Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、食品等の保冷を必要とする物品の
輸送用梱包容器に係り、これらの物品等を保冷し
つつ輸送するための簡易な梱包容器に関するもの
である。

（従来技術及びその問題点） 従来、保冷を必要とする物品、例えば食品、医
薬品（血液、精子等を含む）、化学品等を輸送す
る場合、それらの物品を梱包箱に収納し、この梱
包箱を保冷室を備えた輸送車により輸送してい
た。しかし、この方法による輸送では特別な輸送
車が必要であり、大量に輸送する場合はよいが、
個別に贈答品等の形で地方へ輸送する場合には輸
送コスト的に問題があつた。

又、従来では輸送用梱包容器として実公昭57−
9259号公報に記載されたものがあり、同公報記載
の梱包容器は、ケース２内部に複数の隔板を横設
し、ケース内上段部に氷収納用の多孔箱体を配置
し、かつケース内下段部に吸水性スポンジ等を内
装した多孔箱体を配設して構成した生鮮物輸送用
容器であるが、この輸送用容器は上部に冷却用の
氷を収納し、この氷が輸送中に解けて水滴となつ
た時に、その水を吸収するための吸収スポンジ体
を下部に配設したものであつて、あくまで氷によ
る冷却を想定したものであり、このような構成に
よれば、氷収納用のスペースと氷から流出した水
を吸収するためのスポンジ等のスペースを相当量
確保しておく必要があり、結局、容器内の有効ス
ペースが減少して容器全体が大型化し、かつ輸送
中に水が外部に漏水するという不具合もあり、し
かも輸送用容器全体の重量が増大するという重大
な欠点を有している。

（問題点を解決するための手段及び作用） 上記従来の欠点に鑑み、本考案においては、内
周壁に複数の条溝を形成し断熱材にて密閉可能に
形成された食品等を保冷しつつ輸送するための梱
包容器であつて、該梱包容器内の上部部位には、
高分子ポリマーを成分とし−５℃〜−10℃の温度
域において固形化し固形化に伴つて蓄冷能を発揮
する蓄冷剤を封入した複数の透孔を有する樹脂製
の仕切板が着脱可能に横設されているとともに、
該仕切板の上面側にはドライアイスを収納可能な
収納部が形成され、該収納部内にドライアイスを
収納させた状態で前記仕切板の下方に食品等を収
納させた時に、前記ドライアイスから発せられる
冷気が前記仕切板の透孔を通り下方の前記食品等
に流下されるとともに、仕切板の蓄冷剤を冷却
し、前記ドライアイスが消滅後には仕切板の蓄冷
剤より発せられる冷気が前記条溝を通り食品等の
ほぼ全周を保冷し得るように構成したことを特徴
とする食品等の輸送用梱包容器としたものであ
る。即ち、軽量でかつ強力な冷却能を有する蓄冷
剤を封入した仕切板を用い、かつこの仕切板の上
面側にドライアイスを収納させることとし、ドラ
イアイスが輸送中に冷気を発して容器内の食品等
を良好に保冷するとともに、ドライアイスからの
冷気が仕切板の蓄冷剤に作用して、仕切板内の蓄
冷剤がドライアイスの冷気を蓄冷し、ドライアイ
スが消滅した後においても仕切板の蓄冷剤が徐々
に冷気を食品等に発し、長時間の保冷を行なうこ
とができるものであり、従来例のように水が発生
しないため重量が増大することがなく、しかも容
器内をコンパクトに形成させて大量の食品等を保
冷しつつ輸送することができる。

又、輸送中にドライアイスから発せれる炭酸ガ
スが食品等の酸化を防ぎ、炭酸ガスが食品等に吸
収されて、より食品等の保存性が向上されるもの
である。

（実施例） 以下、本考案を具体化した一実施例を図面に基
づいて説明する。

まず第１図において、梱包容器内に横設される
仕切り板１を説明する。仕切り板１は方形平板状
に形成され、複数の円形透孔２が貫設されてい
る。この仕切り板１は硬質ポリエチレンの外皮に
てブロー成形されたものであつて、内部には蓄冷
剤が封入されている。この蓄冷剤は高分子ポリマ
ーを成分とし常温において液状又はゲル状をなす
もので−５℃〜−10℃の温度域において固形化
し、固形化に伴つて蓄冷能を発揮するものであ
る。本例においては例えば食品衛生上無害な無機
電解質水溶液と炭水化物と保存料を主成分とする
ものを使用している。

次に、第２図イ及びロにおいて梱包容器を説明
する。第２図イは梱包容器の側断面図、第２図ロ
は同平面図を示す。

図において梱包容器３は硬質発泡スチロールに
て上部が開口した有底箱状に形成されたものであ
り、その内周壁には縦方向に複数本のリブ４が内
側に向かつて突設状に設けられている。このリブ
４は断面台形をなし、梱包容器３の内周壁に等間
隔に設けられているため、リブ４とリブ４間にて
縦方向の条溝Ａが複数本形成される。

第２図ロにおいて、梱包容器３の底面内壁には
断面台形をなす複数個の方形リブ５が上方に向か
つて突設されている。従つてこの方形リブ５，５
間にて梱包容器３の底面には縦横方向に延びる条
溝Ｂが形成されている。又、底面の隅角部には底
面より若干隆起した三角柱状の突出片６が形成さ
れている。

なおリブ４の各上端部は梱包容器３の上端開口
部より低い位置にあり、このリブ４の上端部には
前記仕切り板１が当接状に横設される。さらに梱
包容器３の上端開口縁には段差状の嵌合片３ａが
突設され、この嵌合片３ａには蓋部材３ｂの嵌合
凹部３ｃが上方より嵌合されて、梱包容器３は蓋
部剤３ｂにより上方より覆蓋され密封される。

次に第３図において、前記梱包容器３内に被輸
送物を納置した状態を示す。本例においては、被
輸送物は木箱詰めされた生鮮肉であり、生鮮肉を
詰めた木箱Ｔは２段状に梱包容器３内に納置され
る。下方の木箱Ｔは、梱包容器内の底面隅角部の
突出片６上にその４隅を当接して載置され、下方
の木箱Ｔの底面と梱包容器３の底面の間には隙間
Ｋが形成される。又、木箱Ｔの側面は梱包容器３
内のリブ４とほぼ当接状態にある。このように木
箱Ｔと梱包容器３の内寸は予め相応した寸法に形
成されたものである。しかし木箱Ｔの側面と梱包
容器３内のリブ４とが当接状態にあつても、リブ
４とリブ４間には条溝Ａが形成されているため、
木箱Ｔの側面と梱包容器３の内側面との間には条
溝Ａによる隙間が形成されている。

一方、木箱Ｔの上方には、リブ４の上端部に当
接して梱包容器３内に横設された仕切り板１が配
設されている。さらに仕切り板１の上方には紙材
等にて包んだドライアイス７が納置され、このド
ライアイス７の上方から蓋部剤３ｂが冠着されて
梱包容器３は密閉されている。

このような状態にて、生鮮肉が梱包容器３によ
り輸送される場合には、輸送中において、生鮮肉
を詰めた木箱Ｔが梱包容器３にて衝撃等より保護
されるとともに、ドライアイス７が冷気を発し、
その冷気が仕切り板１内の蓄冷剤をより冷温に冷
却しつつ、冷気は仕切り板１の透孔２より下方に
流下する。流下された冷気は木箱Ｔを上方より冷
却し、さらに木箱Ｔの上面に沿つて側面へと流
れ、側面より条溝Ａに沿つて下方へと流下する。
底面に達した冷気は隙間Ｋに沿つて流れ、木箱Ｔ
を下面からも冷却する。そして冷気は梱包容器３
内を対流し、木箱Ｔをその全周域より冷却する。
時間の経過と共にドライアイスが昇化され尽くし
た後は、仕切り板１内の蓄冷剤が梱包容器３内を
保冷する。この場合にも蓄冷剤から発する冷気は
梱包容器３内を対流しつつ梱包容器３内を保冷す
る。

本例による梱包容器３によれば、仕切り板１を
梱包容器３内の上部部位に横設し、その上にドラ
イアイス７を置くようにしたため、冷気は上方よ
り下方へ流下し、梱包容器内を対流することがで
き、梱包容器内に納置された生鮮肉詰木箱Ｔをそ
の全周域において効率よく保冷することができ
る。しかも、ドライアイス７は仕切り板１により
木箱Ｔと離隔されているため、ドライアイス７が
直接食品に触れる場合に生じる過冷却による食品
の変色、変質、特に冷凍焼けが生鮮肉に生じるこ
とがない。仕切り板１はこのようにドライアイス
７による過冷却を防ぐとともに、仕切り板１内に
封入された蓄冷剤が冷気を吸収し蓄冷することが
できる。従つて通常仕切り板１は予め予冷された
後、梱包容器内に横設されるが、急ぐ場合には輸
送中にてドライアイス７の冷気を蓄冷するため、
予冷時間を短かくして使用することができる。

又、夏期等において十分な保冷が必要な場合に
は、底面の隙間Ｋ内にも板状の蓄冷剤を置くこと
ができ、この場合にも梱包容器底面には方形リブ
５が突設されているため、リブ５による条溝Ｂを
通して冷気を梱包容器内に対流させることができ
る。

尚、梱包容器３が輸送の目的を果たした後は、
ピクニツク用のドライアイスとしてこの梱包容器
３を使用することができる。即ち、仕切り板１を
家庭用の冷凍庫内で冷却した後使用すればドライ
アイスは必要なく梱包容器３内を冷やすことがで
きる。

本例においては生鮮肉の輸送の場合を述べた
が、被輸送物は生鮮肉の他、乳製品、ハム、ソー
セージ等の畜肉加工品、生鮮野菜、生鮮果実、洋
果子、生飲料等であつてもよく、所謂チルド帯
（０℃〜10℃）における輸送が望まれる食品等に
適用される。さらに医薬品等の輸送に用いてもよ
い。

尚、本例においては仕切り板１の外皮を硬質ポ
リエチレン製としたが、ポリプロピレン製又はナ
イロン製等に変更したものであつてもよい。

次に第４図において、上記仕切り板１の変形例
を示す。第４図のものにあつては、仕切り板１１
の周縁に枠１２を一体状に立設して形成したもの
である。このような形状にすることにより、ドラ
イアイスの粒形状のものを枠１２内に投入して使
用することができる。又、仕切り板自体が強固な
ものとなる。

次に第５図においては、仕切り板１３の裏面に
補強リブ１４を設けたものを示す。このような形
状にすることにより、仕切り板１３の外皮が軟質
なものであつても梱包容器内に横設することが可
能となる。又、補強リブ１４を梱包容器３の条溝
Ａに嵌入し得る位置に設けることにより、仕切り
板１３が梱包容器内に横設された場合には、補強
リブ１４が条溝Ａと嵌合して仕切り板１３の梱包
容器内での座りがよくなり、仕切り板１３全体が
梱包容器の補強的投目を果たす効果がある。

（考案の効果） 本考案の輸送用梱包容器は、内周壁に複数の条
溝を形成し断熱材にて密閉可能に形成された食品
等を保冷しつつ輸送するための梱包容器であつ
て、該梱包容器内の上部部位には、高分子ポリマ
ーを成分とし−５℃〜−10℃の温度域において固
形化し固形化に伴つて蓄冷能を発揮する蓄冷剤を
封入した複数の透孔を有する樹脂製の仕切板が着
脱可能に横設されているとともに、該仕切板の上
面側にはドライアイスを収納可能な収納部が形成
され、該収納部内にドライアイスを収納させた状
態で前記仕切板の下方に食品等を収納させた時
に、前記ドライアイスから発せられる冷気が前記
仕切板の透孔を通り下方の前記食品等に流下され
るとともに、仕切板の蓄冷剤を冷却し、前記ドラ
イアイスが消滅後には仕切板の蓄冷剤より発せら
れる冷気が前記条溝を通り食品等のほぼ全周を保
冷し得るように構成したことにより、ドライアイ
スが輸送中に冷気を発して容器内の食品等を良好
に保冷するとともに、ドライアイスからの冷気が
仕切板の蓄冷剤に作用して、仕切板内の蓄冷剤が
ドライアイスの冷気を蓄冷し、ドライアイスが消
滅した後においても仕切板の蓄冷剤が徐々に冷気
を食品等に発し、長時間の保冷を行なうことがで
きる効果を有し、従来例のように水が発生しない
ため重量が増大することがなく、容器内をコンパ
クトに形成させて大量の食品等を保冷しつつ輸送
することができる効果を有する。

又、輸送中にドライアイスから発せられる炭酸
ガスが食品等の酸化を防ぎ、炭酸ガスが食品等に
吸収されて、より食品等の保存性が向上される。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の実施例を示し、第１図は仕切り板
の斜視図、第２図イは梱包容器の側断面図、第２
図ロは同平面図、第３図は輸送時における梱包容
器内の収納状態を示す断面図、第４図及び第５図
は仕切り板の変形例を示す斜視図である。 １…仕切り板、２…透孔、３…梱包容器、４…
リブ、５…方形リブ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 内周壁に複数の条溝を形成し断熱材にて密閉可
   能に形成された食品等を保冷しつつ輸送するため
   の梱包容器であつて、該梱包容器内の上部部位に
   は、高分子ポリマーを成分とし−５℃〜−10℃の
   温度域において固形化し固形化に伴つて蓄冷能を
   発揮する蓄冷剤を封入した複数の透孔を有する樹
   脂製の仕切板が着脱可能に横設されているととも
   に、該仕切板の上面側にはドライアイスを収納可
   能な収納部が形成され、該収納部内にドライアイ
   スを収納させた状態で前記仕切板の下方に食品等
   を収納させた時に、前記ドライアイスから発せら
   れる冷気が前記仕切板の透孔を通り下方の前記食
   品等に流下されるとともに、仕切板の蓄冷剤を冷
   却し、前記ドライアイスが消滅後には仕切板の蓄
   冷剤より発せられる冷気が前記条溝を通り食品等
   のほぼ全周を保冷し得るように構成したことを特
   徴とする食品等の輸送用梱包容器。