JPS6236774Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は低塩分の漬物等の冷蔵、保冷を要する
食料品その他の物品の運搬容器に関する。

例えば、高塩分の漬物であれば常温でも比較的
長期間保存でき、かなり遠方への長時間の運搬が
可能であるが、低塩分の漬物は常温での保存性が
よくないので遠方への長時間の運搬が困難なもの
である。しかし低塩分の漬物でも、これを容器に
収納して冷却したのち密閉し保冷状態に保持すれ
ば、長期間の保存が可能であつて、かなり遠方へ
の長時間の運搬が可能になる。その方法として
は、漬物を収納した容器を、蓋を取つた状態で冷
蔵室内に入れて並べかつ積み重ねて置き、多数を
同時に冷却するとともに、冷却後は前記容器に蓋
をしてそのまま運搬できるようにするのが能率的
である。そのためには、冷蔵室内に積み重ねた状
態での冷却作用に優れしかも運搬時の保冷効果に
も優れる運搬容器が必要である。

本考案は、上記に鑑みてなした断熱性つまり保
冷効果のある運搬容器であつて、特に冷蔵室内に
多数を並べて積み重ねた状態でも、冷気が容器内
部に入り易くかつ収納物下部にまで回り込んで冷
却を効率よく行なえるよう考案したものである。

次に本考案の実施例を図面に基いて説明する。
１０は合成樹脂発泡体よりなる容器本体、２０は
前記と同素材よりなり容器本体１０に対し被嵌自
在な蓋体である。前記の合成樹脂発泡体として
は、ポリスチレン樹脂、スチレンを主体とする共
重合体等のスチレン系樹脂発泡体、ポリオレフイ
ン系樹脂発泡体、ポリ塩化ビニル樹脂発泡体その
他を例示できる。

上記容器本体１０の四周の側壁１１の上縁１
１′にはそれぞれ適数の切欠１２が四隅部近傍を
除く個所に形成されている。切欠１２の大きさ、
数等は容器本体１０を積み重ねたときの冷気流通
性および強度を考慮して設定すればよく、その形
状はどのようなものであつてもよいが、図示のよ
うに切欠両側面が傾斜した逆梯形状や両側面と下
面とをアール状に連続した形状にするのが上縁１
１′残余部の強度上望ましい。また四周の側壁１
１の内側には上縁から底部１３に達する高さ方向
に連続した凹溝１４が適数設けられ、さらに該凹
溝１４は底部１３の内方にまで連続状に延長形成
されている。前記の凹溝１４は上記切欠１２との
対応位置に設けるだけでもよいが、図示のように
等間隔または不等間隔に多数配設しておくのが冷
気流通による冷却効果上好適である。各凹溝１４
の幅、深さ、断面形状等は冷気流通性と側壁１１
の強度等を考慮して任意に設定すればよい。また
前記の凹溝１４を斜めに形成したり曲線状に形成
して実施することも可能である。さらに凹溝１４
を、第１図、第５図のように底部１３にまで連続
状に延長形成しておくと、冷気流通による冷却効
果が一層良好になる。

なお、上記容器本体１０の四周の側壁１１は、
図のように四隅部１５を除く中間部外面を若干凹
設しておくのが、冷蔵室内に多数を並べて積み重
ねた状態での冷気流通上特に好適なものである。
つまり多数の容器本体１０が並接されかつ積み重
ねられていても、前記側壁１１の凹設部分１６に
よる空隙を通じて冷気が上下方向にも流通できる
ことになる。

他方、蓋２０には周縁部２１の下部に上記容器
本体１０の各切欠１２に対応して嵌合できる突部
２２が設けられている。さらに上記容器本体１０
に対する蓋２０の被嵌構造として、容器本体１０
の前記切欠１２個所を含む上縁１１′全周、例え
ば図のごとく切欠１２個所および残余部の内周に
切欠による段部１７が形成され、他方蓋２０の周
縁部１には前記段部１７と対応する側となる内側
に前記突部２２の個所も含めて前記段部１７に嵌
合する周方向連続状の突縁２３が設けられてお
り、蓋２０は容器本体１０に対し密嵌自在に構成
されている。

上記容器本体１０の下面と蓋２０の上面にはそ
れぞれ四隅に突起１８，２４が設けられ、本考案
容器を蓋着状態で積み重ねた場合上層の容器本体
１０の突起１８の下層の蓋２０の突起２４内側に
嵌合するようになつている。特に容器本体１０の
下面の突起１８は容器本体１０のみを積み重ねた
場合下層の容器本体１０の四隅部１５内側に嵌合
するよう設けられている。

本考案は上記のように構成されており、低塩分
の漬物等の保冷を必要とする物の生産地あるいは
製造工場からの出荷、輸送用として使用するもの
である。例えば前記漬物等を収納して運搬する場
合には、漬物等を容器本体１０内に積層状態に収
納し、これを多数蓋をせずに冷蔵室内に並べて積
み重ねて置き、収納物ａを所定温度に冷却する。

しかして本考案は、容器本体１０の四周の側壁
１１の上縁１１′に適数の切欠１２を形成してあ
るので上記したように収納物ａの入つた容器本体
１０を積み重ねてあつても、上層の容器本体１０
と下層の容器本体１０との間には前記切欠１２に
よる空隙が存し、従つて冷気は切欠１２の部分か
ら容器本体１０内部に流入して収納物ａを直接冷
却できる。前記切欠１２が相対向する側壁１１の
対応位置に形成されていると、前後左右に並んだ
各容器本体１０が切欠１２によつて連通し、冷気
が中央部の容器本体１０まで横方向に流通する。
もちろん、各容器本体１０を前後左右に若干の間
隙を有するように並べて積み重ねておけば、冷気
が各容器本体１０，１０間の間隙を通じて流下す
るので、中央部の容器本体１０内にも充分冷気が
流入し得る。特に側壁１１が四隅部１５近傍を除
く中間部外面を凹設したものである場合には、容
器本体１０が前後左右に接して並べられていて
も、冷気は各容器本体１０，１０間の凹設部分１
６，１６による空隙を通じて不都合なく流下で
き、各容器本体１０内に万遍に流入し得ることに
なる。しかもこの場合、容器本体を並べて積み重
ねる作業が行ない易く、冷蔵室内を有効利用でき
ることになる。

しかも本考案の場合、容器本体１０の側壁１１
の内側に凹溝１４を形成しかつこの凹溝１４を底
部１３内方にまで延長形成してあるので、収納物
ａと側壁１１および底部１３との間には凹溝１４
による空隙を保有することになり、従つて上記の
ように容器本体１０内に入つた冷気は、単に収納
物ａの上に留まるのでなく、前記凹溝１４の空隙
を通じて流下し収納物ａの下部にもゆきわたる。
そのため冷気による収納物ａ冷却がきわめて迅速
にかつ効果的に行なわれ、殊に多数を並べて積み
重ねた状態での冷却が何等不都合なくかつ能率よ
く実施可能になる。

そして上記のごとく冷却した後、蓋２０を被嵌
して出荷するもので、蓋２０はその周縁部２１に
容器本体１０の切欠１２に対応する突部２２を有
し、さらに容器本体１０の上縁１１′内周の段部
１７に嵌合する突縁２３が前記突部２２の個所も
含めて周方向連続状に形成されているから、前記
切欠１２と突部２２の嵌合のみでなく段部１７と
突縁２３との嵌合構造により蓋２０を容器本体１
０に対し確実に密嵌でき、容器本体１０の上縁に
冷却時の冷気流通のための切欠を設けた構造であ
るにも拘らず、容器内部を密閉状態に保持でき、
従つて冷気を逃がさず、また合成樹脂発泡体製で
断熱性に優れていることと相まつて、非常に優れ
た保冷効果を発揮でき、収納物である漬物等の長
期間の保存を可能にする。

殊に本考案の場合、上記したように容器本体１
０を積重ねて冷蔵する際の冷気流通部となる切欠
１２を容器本体１０の側壁１１上縁に設けてある
ので、容器本体１０としてはその底部１３を上げ
底にする必要がなく、図示のように底部１３が最
下部に存する形態にしておくことができ、当然そ
の容積も上げ底の場合より大きく、また切欠１２
の部分にまでいつぱいに収納物ａを収納すること
も可能であり、従つてその収納効率、延いては輸
送効率を良くする。のみならず、この容器本体１
０に蓋２０を被嵌した状態においては、上記冷気
流入のための切欠１２による凹凸が容器外にあら
われず、積み降し時や商店等での容器個々の取扱
い作業が通常の容器と同様に容易に行なえるとと
もに、外観上も余分な凹凸が存さず体裁きわめて
良好となる。

以上のように本考案は低塩分の漬物その他の保
冷を要する物の運搬容器として、冷蔵室内での冷
気による冷却効果および運搬時の保冷効果の優れ
たものであり、前記漬物等の遠方への長時間の運
搬を容易になし得る好適なものである。さらに容
器本体の側壁の中間部外面を凹設してあると、材
料節約の効果があり、しかも積み重ね荷重を厚肉
の四隅部によつて支承でき、充分な強度を保有で
きる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す蓋を開いた斜視
図、第２図は容器本体の平面図、第３図は前図
−線における断面図、第４図は収納物冷却時の
平面図、第５図は前図−線の拡大断面図、第
６図は別の実施例を示す容器本体の断面図であ
る。 １０……容器本体、１１……側壁、１１′……
上縁、１２……切欠、１４……凹溝、２０……
蓋、２１……周縁部、２２……突部、ａ……収納
物。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 合成樹脂発泡体よりなる容器本体と蓋とから
   なり、容器本体には四周の側壁上縁にそれぞれ
   適数の切欠が形成されるとともに、側壁内側の
   所要個所に上縁から底部に達しかつ底部内方ま
   で延長せる凹溝が形成され、また蓋には周縁部
   下部に前記切欠に対応する突部が設けられ、さ
   らに前記容器本体の切欠個所を含む上縁全周に
   段部が形成されるとともに、蓋の周縁部には前
   記段部に嵌合する周方向連続状の突縁が設けら
   れ、蓋が容器本体に対し密嵌自在に設けられて
   なることを特徴とする漬物等の運搬容器。 ２ 四周の側壁は四隅部近傍を除く中間部外面が
   凹設されてなる実用新案登録請求の範囲第１項
   に記載の漬物等の運搬容器。 ３ 凹溝が側壁の切欠との対応位置に形成されて
   いる実用新案登録請求の範囲第１項または第２
   項に記載の漬物等の運搬容器。 ４ 合成樹脂発泡体がポリスチレン樹脂発泡体、
   スチレンを主体とする共重合体等のスチレン系
   樹脂発泡体、ポリオレフイン系樹脂発泡体、ポ
   リ塩化ビニル樹脂発泡体その他よりなる実用新
   案登録請求の範囲第１項、第２項または第３項
   に記載の漬物等の運搬容器。