JPH0411987Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、牛肉、ふぐ肉等の肉類を保冷しつ
つ輸送し得る保冷輸送ケースに関するものであ
る。

（従来技術及びその問題点） 従来、牛肉、ふぐ肉等の肉及び魚類等を輸送す
るには、急速冷凍し輸送品を凍結状態にて輸送す
る場合が多いが、各家庭に個別に輸送する時には
そのような大規模な冷凍設備を必要とする輸送方
法は適当でなく、又、凍結輸送においては解凍時
に肉等にドリツプが生じ、肉等の品質低下は避け
られないものであつた。

（問題点を解決するための手段） 本考案は上記従来の問題点に鑑み案出したもの
であつて、各家庭等に個別に、少量の肉等を鮮度
保持したまま輸送し得る簡易な保冷輸送ケースを
提供せんことを目的とし、その要旨は、内部を密
閉し得る断熱材にて形成され底部が皿を載置可能
な湾曲状に形成されたケース本体と、該ケース本
体内のほぼ中央部に横設され、ケース本体内部を
上方の野菜類収納空間と下方の肉類収納空間とに
仕切る多数の透孔が穿設されかつトレイ内に収納
した状態の野菜、タレを置くことのできる複数の
袋部を有する仕切板と、該仕切板内に内装される
蓄冷剤及びドライアイスと、前記肉類収納空間の
底部に配置される肉類を盛り付けた皿とにより構
成したことである。

（作用） 密閉状のケース本体内には、仕切板が横設され
ており、仕切板の上方に野菜類等を収納すること
ができ、仕切板の下方には肉類等を収納すること
ができる。しかも、仕切板には保冷剤等が内装さ
れ、かつ仕切板には保冷剤から発せられる冷気が
下方に流下し得る多数の透孔が穿設されているた
め、仕切板に内装された保冷剤が輸送中において
冷気を発し、その冷気は下方の肉類を保冷するた
め、肉類等の鮮度保持がなされた状態にて輸送が
行なわれる。又、上方に収納される野菜類等も保
冷剤より冷却されるため鮮度保持がなされる。し
かも、本例においては仕切板により野菜類と肉類
等が分離された状態にて輸送されるため、両者が
混在することなく、それぞれの形態を保持したま
まの状態で輸送することができる。例えば、下方
に収納される肉類等は、皿に盛り付けた状態にて
その皿ごと輸送することができ、又、野菜類等は
パツクに収納させた状態にて輸送することができ
るものである。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
る。

第１図は本考案の一実施例を示す輸送ケースの
断面図であり、ケース本体Ｋは、外箱１と、この
外箱１の上方開口部に上方より覆蓋し得る蓋部２
とにより構成されており、この外箱１と蓋部２は
共に発砲スチロール等の断熱材にて形成されたも
のであり、外箱１と蓋部２との嵌合状態を強固に
し、かつ外箱１の内側を密閉状に保持するため、
外箱１の上端周縁には段差状の嵌合凸部１ａが形
成されており、一方、蓋部２にはこの嵌合凸部１
ａが嵌入し得る嵌合溝２ａが形成され、この嵌合
溝２ａと嵌合凸部１ａの嵌合により両者の密閉度
が保障されている。又、外箱１の内側中央部には
内方に突出したリブ１ｂが形成されており、外箱
１の内側底面中央部付近には下方に凹み状に形成
された凹部１ｃが形成されている。又、この凹部
１ｃの両縁は湾曲状に形成された曲面となつてい
る。

図中３は発砲スチロール等により形成された仕
切板であつて、この仕切板３の外周縁は前記外箱
１内のリブ１ｂの上方に係止させることができ、
係止状態においてはこの仕切板３は外箱１内のほ
ぼ中央部に横設されることとなる。この仕切板３
には図示左方より、下方に向けて凹み状に形成さ
れた第１袋部３ａと、その右側には小さい凹み状
に形成された第２袋部３ｂと、更にその右側には
同様に凹み状に形成された第３袋部３ｃとがそれ
ぞれ形成され、仕切板３の断面形状はこれら各袋
部を有する段差凹凸状となつている。又、仕切板
３の下面及び側面には多数の透孔Ｔ，Ｔが穿設さ
れている。前記第１袋部３ａの内側には蓄冷剤８
及びドライアイス９等の保冷剤を収納させること
ができ、さらに第１袋部３ａの蓄冷剤８及びドラ
イアイス９の上方にはエンビ製のトレイ６内に収
納された野菜７等を載置させることができるもの
である。即ち、トレイ６は市販の薄膜状の包装素
材であり、第１袋部３ａの上方部位にその周縁を
当接状に上載し得るものである。又、第２袋部３
ｂ内には同様なトレイ等に収納されたタレ１０が
置かれ、又、第３袋部３ｃ内にはトレイ等に包ま
れた薬味１１が収納される。即ち、仕切板３の上
方部位は野菜７、タレ１０、薬味１１等の強度な
保冷を必要としない食品類が収納されるものであ
り、収納空間S₁となつている。一方、仕切板３の
下方部位は収納空間S₂となつており、この収納空
間S₂内には輸送中に強度な保冷を必要とする肉、
魚類等が収納される。本例においては牛肉５を輸
送する例を示し、牛肉５は既に調理され裁断され
て有田焼き等の皿４の上面に整列状に上載されて
いる。この皿４上に盛り付けられた状態の肉５は
皿４とともに収納空間S₂内に収納されるが、皿４
の底面は前記外箱１の底面が湾曲状に形成されて
いるため外箱１の底面に良好に当接し、かつ皿４
の底部は外箱１の凹部１ｃ内に嵌入されるため、
輸送中において皿４が移動することなく強固に保
持された状態にて輸送される。

輸送中においては、仕切板３の第１袋部３ａ内
に収納された蓄冷剤８及びドライアイス９が保冷
効果を発揮する。即ち、蓄冷剤８は既に予冷され
ているものであるが、先ずドライアイス９が輸送
中に昇華され冷気を発し収納空間S₁及び収納空間
S₂内の食品等を冷却する。このドライアイスの冷
気を受けて蓄冷剤８は更に予冷される。そして、
ドライアイス９が消滅した後においては蓄冷剤８
が冷気を発し、その冷気は仕切板３に穿設された
多数の透孔Ｔを通り下方に流下され下方の皿４上
の肉５を保冷する。又、相当の冷気は上方の野菜
７、タレ１０、薬味１１をも保冷状態とするもの
である。

本例においては当初より肉５を調理し、それを
皿４上に整列状に盛り付けた状態にて輸送するこ
とができ、この輸送ケースが届けられた家庭等に
おいては即座に皿４を取り出し、肉５をそのまま
食卓に出すことができ、しかも野菜７、タレ１
０、薬味１１等も同時に輸送されてくるため、新
鮮な肉と野菜等を共に即座に食卓に供することが
できるものである。このように仕切板３を介し野
菜類と肉類等が分離された状態にて輸送されるた
め、互いに悪影響を及ぼすことなく体裁の良好な
状態にて輸送することができる。

次に第２図には第１図における輸送ケースの変
形例を示す。

第１図における部材と同一部材については同一
符号にて説明する。即ち、輸送ケースＫを形成す
る外箱１及び蓋部２等は何ら第１図のものと変わ
るものではないが、本例においては仕切板の形状
を変更させたものである。即ち、仕切板２１はリ
ブ１ｂにその外周縁を係止された上方が開口した
箱状に形成されており、その周縁部には多数の透
孔Ｔが穿設されており、この仕切板２１の内部に
は２個の蓄冷剤８及びドライアイス９を内装させ
ることができ、これら保冷剤の収納空間が増大さ
れている。又、仕切板２１の上面部には内方に向
かつて仕切板リブ２１ａが形成されており、この
仕切板リブ２１ａ上に平板状に形成されたダンボ
ール板２２が上載設置される。このダンボール板
２２は発砲スチロール製にて形成される場合もあ
るが、本例ではダンボール製の板状に形成された
ものである。このダンボール板２２には開口部が
２個所設けられており、図示左側の開口部には上
方より第１図と同様なトレイ６に包まれた野菜７
が上載され、中央の開口部にはトレイに包まれた
タレ１０が上載され、右側の開口部にはトレイに
包まれた薬味１１がそれぞれ上載される。下方の
皿４に盛り付けられた牛肉５については第１図の
ものと同様である。

このように第２図のものにおいては、仕切板２
１の下方収納部を増大させたことにより、この内
部に蓄冷剤８、ドライアイス９等を多量に収納さ
せることができ、その分、保冷効果を増大させか
つ保冷時間を長時間持続できるものである。

このように第１図、第２図に示した本例輸送ケ
ースにおいては、牛肉、ふぐ肉等の調理肉等を更
に盛り付けた状態で保冷しつつ輸送できるもので
あり、産地から直接家庭に輸送ができ、各家庭に
おいては即座に食卓に供することができるもので
ある。即ち、食品セツトとして輸送できるという
効果がある。

尚、第１図、第２図に示す輸送ケースにおい
て、外箱１の内部底面は湾曲状に形成したが、こ
の湾曲面に沿つて凹部１ｃに臨む多数の条溝を刻
設し、その条溝に沿つて、上方から流下してくる
冷気が皿４の下面側にも循環するようにすると、
皿４が良好に冷却されるため、皿４の蓄冷効果を
もさらに期待できるものである。

（考案の効果） 本考案の保冷輸送ケースは、内部を密閉し得る
断熱材にて形成され底部が皿を載置可能な湾曲状
に形成されたケース本体と、該ケース本体内のほ
ぼ中央部に横設され、ケース本体内部を上方の野
菜類収納空間と下方の肉類収納空間とに仕切る多
数の透孔が穿設されかつトレイ内に収納した状態
の野菜、タレを置くことのできる複数の袋部を有
する仕切板と、該仕切板内に内装される蓄冷剤及
びドライアイスと、前記肉類収納空間の底部に配
置される肉類を盛り付けた皿とにより構成したこ
とにより、仕切板に内装された保冷剤が輸送中に
おいて冷気を発し、その冷気は下方の肉類を保冷
するため、肉類の鮮度保持がなされた状態にて輸
送が行なわれる。又、上方に収納される野菜類等
も冷却されるため鮮度保持がなされる。しかも、
仕切板により野菜類と肉類が分離された状態にて
輸送されるため、両者の混在することなく、それ
ぞれの形態を保持したままの状態で輸送すること
ができ、下方に収納される肉類は、皿に盛り付け
た状態にてその皿ごと輸送することができ、又、
野菜類はトレイに収納させた状態にて輸送するこ
とができ、肉類を食べる際に必要な野菜類を一体
で収納させて輸送することができ、新鮮な肉と野
菜類を共に即座に食卓に供することができるとい
う効果を有する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す輸送ケースの
断面図、第２図は変形例を示す第１図に対応させ
た断面図である。 Ｋ……ケース本体、１……外箱、２……蓋部、
３，２１……仕切板、４……皿、５……肉、７…
…野菜、８……蓄冷剤、９……ドライアイス、１
０……タレ、１１……薬味、２２……ダンボール
板、S₂……肉類収納空間、S₁……野菜類収納空
間、Ｔ……透孔。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 内部を密閉し得る断熱材にて形成され底部が皿
   を載置可能な湾曲状に形成されたケース本体と、 該ケース本体内のほぼ中央部に横設され、ケー
   ス本体内部を上方の野菜類収納空間と下方の肉類
   収納空間とに仕切る多数の透孔が穿設されかつト
   レイ内に収納した状態の野菜、タレを置くことの
   できる複数の袋部を有する仕切板と、 該仕切板内に内装される蓄冷剤及びドライアイ
   スと、 前記肉類収納空間内に配置される肉類を盛り付
   けた皿とにより構成したことを特徴とする保冷輸
   送ケース。