JPS6313876B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、自動車の後部車体構造に関する。

リヤフロアパネルの後部を段下げしてトランク
ルームを形成する形式の自動車においては、リヤ
フロアパネルの両側部下方に前後方向に延びるリ
ヤフレームが配置されるため、トランクルームは
このリヤフレーム間にしか形成できず、リヤフレ
ームの外側とリヤサイドパネルとの間の空間が充
分に活用できないという問題がある。この問題に
対処するため、リヤフレームにも後向きに段下げ
を形成すると該リヤフレームのところで充分な地
上高がとれなくなる。このような事情から、本出
願と同一人の出願に係る実開昭56−4979号には、
第１図および第２図に示すように、リヤフロアパ
ネル３段下げ部から、その上面（室内）を後方に
延びてトランクルーム４に到るフレーム１と、リ
ヤフロアパネル３の下面（室外）を前方に延びる
フレーム２とからリヤフレームが構成され、それ
らの２つのフレームがリヤフロアパネルのキツク
アツプ部を介して上下に重ね合わせられた関係で
連結されている後部車体構造が開示されている。
このような構造は、前後に長く延びたフレーム構
造により、追突に際して燃料タンクや客室を保護
するのに効果的なものである。しかしながら、該
構造においては、リヤフレームが室内と室外で２
分割されてリヤフロアパネルの曲部（キツクアツ
プ部）を介して連結されているので、リヤフレー
ムが全体として直線状にならず、連結部の構造が
複雑となり、内部補強を行なつて車体の強度や剛
性を高めることが容易でなく、また、製作も幾分
困難である。

そこで、本発明の目的は、車体の剛性や強度を
一層高め、しかも組立・製作が容易な自動車の後
部車体構造を提供することにある。

すなわち、本発明は、リヤフレームを直線状に
形成して、リヤフロアパネルの段下げ部で室外か
ら室内に貫通させ、そのようなリヤフレームにリ
ヤフロアパネルを接合させるようにしたものであ
る。さらに詳細に説明すると、本発明の後部車体
構造においては、前後方向に延びる直線状の左右
一対のリヤフレームを配設し、該両リヤフレーム
の前部上側にリヤフロアパネルの前部を接合す
る。他方、リヤフロアパネルの後部を前記両リヤ
フレームの間において該リヤフレームの下面より
も低い位置まで段下げする。そして、そのリヤフ
ロアパネルの後部の両側に前記一対のリヤフレー
ムのそれぞれの下方に位置するフロアサイドパネ
ルを接合する。

上記のごとき本発明の車体構造においては、用
いられる各部材（リヤフロアパネル、リヤフレー
ム、フロアサイドパネル）はいずれも単純な形状
で製作が容易にあり、また、それらの部材を簡単
に組立てて目的とする後部車体を得ることがで
き、しかも、得られる構造は強度や剛性がきわめ
て高い。

本発明の自動車の後部車体構造においては、上
記したように、リヤフロアパネル後部がリヤフレ
ーム下面より低い位置まで段下げされていること
によつて、リヤフロアパネル後部上面に形成する
トランクルームスペースを上下方向に大きく取る
ことが可能となる。加えて、フロアサイドパネル
をリヤフレーム下方に位置させ、リヤフロアパネ
ルの両側に接合したことにより、前記上下方向に
大きく取つたトランクルームスペースをリヤフレ
ーム下方にまで拡大することが可能となる。

更に、リヤフレームの下方に位置するフロアサ
イドパネルを、リヤフロアパネルと別体に設けた
ことにより、組立時に、フロアサイドパネルとリ
ヤフレームを先に接合し、その上方からリヤフロ
アパネルを接合することができる。これに対し、
一体に設けた場合は、リヤフレームを横方向か前
後方向からリヤフロアパネルに設けられた切欠部
に挿通した後、接合する必要があり、この挿通動
作のために、作業の必要スペースが増大し、かつ
組付作業性が悪化する。

よつて、本発明はフロアサイドパネルをリヤフ
ロアパネルと別体に設けることにより組付作業が
単純な動作で行なえ、作業性が向上する。

このような本発明の特徴や効果を一層明らかに
するため、以下、図面に示す実施例に沿つて本発
明を説明する。

第４図は、第３図の一点鎖線で囲んだ部分の拡
大図であり、本発明が対象とする後部車体の構造
の１実施例を示すものである。第４図において
は、後部車体の片側の構造のみが示されている
が、図示されていない反対側にも同様の構造が存
する。

図において、全体的に１３で示されるリヤフロ
アパネルは、前部１５と、傾斜部１６を介して設
下げされてトランクルームを形成する後部１４と
から成る。リヤフロアパネル１３の側縁部には、
該パネルの前部１５からトランクルーム１４まで
前後方向に直線状に延びるリヤフレーム１０が配
設されている。前述のように、反対側にも同様の
リヤフレームが配設されて、左右一対のリヤフレ
ームが形成される。第４図に示す態様において
は、リヤフレーム１０は、フランジ部１８，１９
を有し断面が略Ｕ字形を成して、前後方向に直線
状に延びている。また、リヤフレーム１０の後部
にはプレート部材１１が固定されて閉断面形状と
なつている。

リヤフロアパネルの前部１５は、リヤフレーム
１０の前部１２の上側に配置されてフランジ部１
８によつて該リヤフレームに接合されている。リ
ヤフロアパネルの前部１５の端部にはフランジ部
２２が設けられ、該フランジ部２２は、リヤフレ
ームの立上り部２１を介してホイールハウスイン
ナー２０に接合されている（第５図Ａ参照）。

他方、リヤフロアパネル１３の後部１４は、リ
ヤフレーム１０の下面よりも低い位置まで段下げ
されて例えばトランクルームが形成される。この
リヤフロアパネルの後部は、リヤフレーム１０と
車体の横方向反対側に配設されたリヤフレーム
（図示せず）との間に存在し、リヤフロアパネル
の前部と一体である。リヤフロアパネルの後部の
両側に前記一対のフレームの下方にそれぞれ位置
する一対のフロアサイドパネルが接合される。図
においては、リヤフロアパネルの右側にフロアサ
イドパネル１７のみが示されリヤフレーム１０の
下方に位置しているが、左側にも同様のフロアサ
イドパネルが存する。フロアサイドパネル１７
は、横方向内側の縁に沿つた接合部ａにおいてリ
ヤフロアパネルの傾斜部１６及び後部１４に接合
される。さらに、フロアサイドパネル１７は、前
端部に沿つた接合部ｂにおいてリヤフレームの底
面に、また、前端部より斜上向きに形成された延
長部の外縁の接合部Ｃにおいてリヤフレームの側
面に接合されることにより該リヤフレームに固定
されることになる（第５図Ｂ参照）。反対側に配
設されているフロアサイドパネルも同様にして、
リヤフロアパネルおよびリヤフレームに接合され
ている。しかして、これらのリヤフロアパネル１
３の前部およびリヤフレームは、クロスメンバー
２３に接合されている。

第６図には、本発明の自動車の後部車体構造の
別の実施例が示されている。この第６図に示す実
施例は、リヤフレームの形状および取付法が、第
４図に示すものと異なるものである。その他の部
材の形状およびその取付法は第４図に示すものと
本質的に同じであり、したがつて、それらの部材
は第４図と同じ番号にダツシユを付して示してい
る。

第６図において、リヤフレーム３０は、断面が
ほぼＵ字形の前部フレーム３１と、断面がほぼ逆
Ｕ字形の後部フレーム３２とから成る（第７図Ｂ
参照）。リヤフロアパネルの前部１５′は、リヤフ
レーム３０の前部フレーム３１の上側に配置さ
れ、フランジ部３３によつて該フレームに接合さ
れる。また、リヤフロアパネルの前部１５′の端
部のフランジ３５は、前部フレーム３１の立上り
部３５を介してホイールハウスインナー２０′に
接合されている（第７図Ａ参照）。前記フレーム
３１と後部フレーム３２は互いに接合され、両者
が一体となつてホイールハウスインナー２０′に
接合されている。また、後部フレーム３２は、そ
の下部にプレート部材３６が接合されて閉断面形
状となつている。フロアサイドパネル１７′が、
接合部b′においてリヤフレームの底面に、また、
接合部C′においてリヤフレームの側面に接合され
ることにより、該リヤフレームに固定される。該
フロアサイドパネル１７′は、接合部a′を介して
リヤフロアパネル１３′にも接合されている。第
７図の図示していない左側にも、同様にリヤフレ
ームおよびサイドパネルが取付けられている。か
くして、リヤフロアパネル、フロアサイドパネル
およびリヤフレームが一体化した後部車体構造が
形成される。

以上、本発明の構成を実施例に沿つて説明した
が、本発明が該実施例に限定されるものではない
ことは言うまでもない。例えば、第４図および第
６図においては、リヤフレームがホイールハウス
インナーに直接固定されているが、必要に応じて
ホイールハウスインナーから離して配置すること
もできる。また、前後方向に延びる直線状を呈す
る限り、リヤフレームとして図示した以外の形状
を用いることもできる。

上述の実施例からも理解されるように、本発明
の構造においては、用いられる各部材は形状が比
較的単純であるから、簡単に製作し組立てること
ができる。そして、リヤフレームは、単純な直線
状を成しているため、必要に応じて容易に内部補
強を施されることができる。かくして、本発明に
従えば、一体的に構成されたフレームを含む強度
および剛性のきわめて大きい後部車体構造が得ら
れ、該構造は、追突時にエネルギーを充分に吸収
して客室や燃料タンクを保護する機能が高く、ま
た、サスペンシヨンによる上下方向の荷重に対し
て応力集中をおこさない点においても優れてい
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は、従来の後部車体構造を示す斜視図で
あり、第２図ＡおよびＢは、第１図の、それぞれ
−線および−線に沿う断面図である。第
３図は、本発明が対象とするような自動車の後部
車体を例示する斜視図である。第４図は、本発明
の後部車体構造の１実施例を示す斜視図であり、
また、第５図ＡおよびＢは、それぞれ、第４図の
−線および−線に沿つて見た断面図であ
る。第６図は、本発明に従う後部車体構造の他の
実施例を示す斜視図であり、また、第７図Ａおよ
びＢは、それぞれ、第６図の−線および−
線に沿つて見た断面図である。 １０，３０……リヤフレーム、１３，１３′…
…リヤフロアパネル、１４，１４′……リヤフロ
アパネル後部、１５，１５′……リヤフロアパネ
ル前後、１７，１７′……フロアサイドパネル、
２０，２０′……ホイールハウスインナー。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 前後方向に延びる直線状の左右一対のリヤフ
   レームの前部上側にリヤフロアパネルの前部が接
   合され、リヤフロアパネルの後部が前記両リヤフ
   レームの間において該リヤフレームの下面より低
   い位置まで段下げされており、前記リヤフロアパ
   ネルの後部の両側には前記リヤフレームの下方に
   位置するフロアサイドパネルが接合されているこ
   とを特徴とする自動車の後部車体構造。