JPS6310204Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は連続鋳造機に関し、特に取鍋からタ
ンデイツシユに対する注湯作業を操作する操作台
に関するものである。

周知のように連続鋳造機は、タンデイツシユか
ら鋳型に注入した溶融金属例えば溶鋼を鋳型にお
いて１次冷却し、その結果生じた凝固シエルを鋳
型から引抜きつつ更に冷却し、最終的に完全に凝
固した鋳片を一定長さ毎に切断するものであり、
従来から知られている連続鋳造機の一例を示せば
第１図および第２図の通りである。

すなわち、タンデイツシユ１は鋳型２の上部と
所定の修理場との間を移動し得るように、作業床
３上のレール４に沿つて移動する台車５に取付け
られており、その鋳型２および作業床３の下方に
は、凝固シエル（鋳片）を支持かつ案内しつつ引
抜くためのローラ群６が配列され、またタンデイ
ツシユ１に対し溶鋼を注入する取鍋７は、スウイ
ングタワと称される旋回台８によつてタンデイツ
シユ１の上部と搬入搬出位置との間を旋回するよ
うになつており、さらに前記作業床３上には取鍋
７からタンデイツシユ１に対する注湯作業を操作
するための操作台９が固定されている。

ところで、ローラ群６は高温かつ大重量の凝固
シエル（鋳片）と常に接触し、また蒸気、スケー
ルなどの存在する悪環境に置かれているので、曲
り摩耗や折れ、軸受不良などの原因で比較的頻繁
に交換する必要があるが、上述した従来の連続鋳
造機では、作業床３の下方にあるロール６ａを交
換する場合、操作台９が作業床３上に固定されて
いるために、繁雑かつ長時間を要する作業を余儀
無くされていた。

すなわちローラ群６を交換する場合、天井走行
クレーン１０によつて吊り上げて行なうのが一般
的であるが、第１図に符号６ａで示すロールを交
換する場合、そのロール６ａの上方には、スペー
ス上の制約および周辺器械との干渉を避けるうえ
から操作台９が配置されているので、旧ロールの
取外しに先立つて操作台９を徹去し、また新ロー
ルの装着後操作台９を元の位置に設置しなければ
ならない。しかしながら、従来の連続鋳造機で
は、操作台９が作業床３に対し固定されているか
ら、操作台９を徹去し、また再配置するには、ボ
ルト等多数の固定具を取外し、また取付けなけれ
ばならず、その作業は極めて面倒であるばかり
か、長時間を要するものである。これに加え、操
作台９による作業は、取鍋７側に対しては、スラ
イデイングノズルおよびロングノズルの着脱およ
びその運転操作、旋回台８の旋回昇降操作、また
タンデイツシユ１側に対しては、重量検出、測
温、サンプリングおよび保温材やフラツクスの投
入作業等であつて、その内容は取鍋７およびタン
デイツシユ１に関する操作全般ならびに鋳型２に
関する作業等多岐に渡り、したがつて操作台９に
は、計測および給電用の多数本の電気ケーブルの
他に、スライデイングノズル用冷却水配管やノズ
ル予熱およびサンプリング用ボンベの予熱用
LPG配管、さらにはノズル詰り時用の酸素配管
等多数本の流体用ホースが接続されているため、
操作台９を撤去する際に、これらの電気ケーブル
や流体用ホースを切り離し、逆に操作台９に再設
置する際に、その電気ケーブルや流体用ホースを
再度接続し直さなければならず、結局操作台９が
作業床３に固定されていることと相まつて、操作
台９の撤去・再設置の作業が繁雑であり、また長
時間を要するものであつた。さらに操作台９の撤
去やローラ群６の交換等を行なうための天井走行
クレーン１０は、通常、その巻上げクラブ１０ａ
が、ローラ群６の配列方向と同方向に横行するも
のであるから、操作台９の吊上げ、撤去や床面１
１の取外し等の所謂下方作業には１台の天井走行
クレーン１０のみしか使用できず、複数の作業を
並行して行なうことができなかつた。

上述のように従来の連続鋳造機では、操作台９
が作業床３に固定されていることに伴い、その撤
去や再設置を含むロール替え作業が繁雑かつ長時
間を要するものとなり、そのため連続鋳造機の休
止期間が長くなるとともに稼働率が低下し、また
ロール替え作業に要する労務費等が嵩むなどの問
題があつた。

この考案は上記の問題を解消すべくなされたも
ので、ローラ群の交換作業全体を迅速化すること
のできる連続鋳造機を提供することを目的とし、
その特徴とするところは、作業床上にタンデイツ
シユに対し接近離隔する方向に移動する台車を設
け、その台車上に操作台を取付けることにより、
ロール交換時に操作台を台車と共にローラ群の上
方から退避させ、直ちにロール交換作業を行なえ
るよう構成した点にある。

以下この考案の実施例を第３図ないし第６図を
参照して説明する。なお、以下の実施例におい
て、従来の連続鋳造機と同一の部分については、
その名称ならびに第１図および第２図に付した符
号を挙げるにとどめ、その説明は省略する。

第３図はこの考案の一実施例を示す略解斜視図
であり、また第４図はその正面図であつて、作業
床３上に、タンデイツシユ１の移動方向と平行に
レール２０が敷設され、そのレール２０上に台車
２１が配置されている。台車２１は駆動輪２２を
モータ２３によつて回転させることにより、レー
ル２０上を自走し、したがつて台車２１はタンデ
イツシユ１に接近離隔するようローラ群６の配列
方向に対し直交する方向に往復移動可能に構成さ
れている。そして上記の台車２１上に操作台２４
が設置されている。

操作台２４は、従来のものと同様に取鍋７から
タンデイツシユに対する注湯作業やフラツクスの
投入等の作業を操作するものであつて、その作業
デツキ２５はタンデイツシユ１の上縁とほぼ同一
高さに設定され、その作業デツキ２５の周囲には
手摺り２６が設けられるとともに、操作側（第５
図では上側）には、作業時に開放し非作業時に閉
鎖するチエーン２７が張られている。さらに作業
デツキ２５上に操作室２８が設置され、その操作
室２８内には、従来の操作台におけると同様に、
スライデイングノズルや旋回台８を操作するため
の操作機器およびタンデイツシユ１の重量検出の
ための各種計器類が配置されている。

前記台車２１および操作台２４に対する計測な
らびに給電用の電気ケーブルおよび流体用供給用
ホース群２９は、ロール群６の交換時に干渉する
位置から充分離隔した作業床３上の取出し部３０
と前記台車２１の端部における接続部３１との間
に接続されており、これらの電気ケーブルとホー
ス群２９とは、ケーブルベア３２によつて保持さ
れている。そのケーブルベア３２は、多数のリン
ク部材を順次接続し、全体として可撓性を有する
よう構成したものであつて、その中間部は支持ロ
ーラ３３によつて支えられ、過度に折れ曲つて折
損しないようになつている。

さらに前記操作台２４には、冷風供給用ダクト
３４が設けられ、その冷風供給用ダクト３４は一
方で、作業床３側に配置したダクト３５に接続さ
れ、他方で前記操作室２８の屋根側および作業デ
ツキ２５の下面側に分岐しており、屋根側の分岐
ダクト３４ａの先端部には、作業デツキ２５上の
作業者に対して冷風を供給するよう冷風吹出口３
６ａが設けられ、また作業デツキ２５の下面側の
分岐ダクト３４ｂの先端部には、操作台２４の前
面側すなわちタンデイツシユ１側に設けたペンダ
ントスイツチボツクス３７側に冷風を供給する冷
風吹出口３６ｂが設けられている。ここで、ペン
ダントスイツチボツクス３７は、鋳型操作用の押
釦群を設けた操作盤であつて、第５図に平面図と
して示すように操作台２４の前面側の４箇所に所
定角度回動し得るよう懸吊されている。

なお、第３図ないし第６図中符号３８、３９、
４０は作業デツキ２５に対する昇降用階段を示
す。

以上のように構成した連続鋳造機においてロー
ラ群６の交換を行なうには、鋳造完了後前記台車
２１をモータ２３によつて走行させることによ
り、操作台２４を台車２１と共にタンデイツシユ
１から離隔させる方向に移動させる。その場合、
電気ケーブルおよび流体供給用ホース群２９はケ
ーブルベア３２に支持されているから、折れ曲つ
たり絡み合つたりすることなく滑らかに湾曲しつ
つ台車２１と共に移動する。台車２１および操作
台２４をローラ群６の上方から上述のようにして
退避させた後、作業床８における床面１１を取外
し、以降ロール群６を従来と同手順で交換する。
ロール群６を交換するとともに、床面１１を取付
けた後、操作台２４を台車２１と共に元の位置に
復帰移動させれば、直ちに鋳造を開始することが
できる。

したがつて上記の連続鋳造機では、ロール群６
を交換するにあたつて、操作台２４を台車２１と
共に移動させればよく、従来の如く操作台の撤去
および再設置ならびに電気ケーブルや流体供給用
ホース群の取外しおよびその再接続を行なう必要
がないので、ロール群６の交換作業に要する時間
をそれだけ短縮することができる。

以上説明したようにこの考案の連続鋳造機で
は、取鍋からタンデイツシユへの注湯に関する作
業を操作する操作台を作業床上においてタンデイ
ツシユに対し接近離隔する方向へ移動させ得るよ
う構成したから、鋳片を支持かつ案内するための
ロール群を交換する場合、操作台を作業床から撤
去し、また再設置する必要がなくなり、したがつ
て従来の連続鋳造機と比較すると、ロール群の交
換に要する全作業時間のうち、少なくとも操作台
の撤去、再設置に要する時間を省くことができ
る。また操作台を移動させる構成としたことによ
り、給電および計測用の電気ケーブルやLPGや
酸素ガス等の流体供給用ホース群をロール交換の
都度逐一着脱する必要がなくなるので、その点で
もロール交換に要する時間を短縮することができ
る。したがつてこの考案の連続鋳造機によれば、
ロール交換に要する全作業時間を短縮できること
から、連続鋳造機の移動率を向上させ、またロー
ル交換に要する労務費を低減することができ、特
にロール交換は比較的頻繁に行なう必要があるの
で、実用上多大な効果を奏するものである。さら
にこの考案の連続鋳造機では、非操業時に操作台
をタンデイツシユの近辺から退避させておくこと
ができるので、非操業時におけるタンデイツシユ
近辺の作業スペースを広く取ることができる等の
副次的効果をも得ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の連続鋳造機の一例を示す略解側
面図、第２図はその平面図、第３図はこの考案に
係る連続鋳造機における操作台を示す斜視図、第
４図はその正面図、第５図はその平面図、第６図
はその側面図である。 １……タンデイツシユ、２……鋳型、３……作
業床、６……ロール群、７……取鍋、２１……台
車、２４……操作台、２９……電気ケーブルおよ
び流体供給用ホース群。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 取鍋内の溶融金属をタンデイツシユを介して鋳
   型に注入するとともに、鋳型の下方に引抜いた鋳
   片をローラ群によつて支持かつ案内しつつ水平方
   向へ湾曲させるよう構成した連続鋳造機におい
   て、前記タンデイツシユとほぼ同一高さに設けら
   れた作業床上に、タンデイツシユに対し接近離隔
   する方向へ往復移動する台車が配置され、その台
   車上に、給電および計測用電気ケーブルと流体供
   給用ホース群とが接続されかつ取鍋からタンデイ
   ツシユへ注湯するための各種作業を操作する注入
   作業操作台が設置されていることを特徴とする連
   続鋳造機。