JP2922071B2 - 連続鋳造設備における取鍋交換装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、連続鋳造設備におい
て、製鋼所から床面上を搬入される取鍋を保持して、溶
湯をタンディッシュを介して鋳型に供給する取鍋交換装
置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の連続鋳造設備は、製鋼所のヤード
に配置されており、連続鋳造設備において鋳造された鋳
片は、冷却された後、製鋼所から離れた圧延工場に搬送
され、加熱炉に入れて再加熱した後、圧延機に送られて
圧延成形されていた。

【０００３】また、従来の連続鋳造設備では、２台の取
鍋（レードル）を対称位置に支持して、鋳型およびタン
ディッシュ上方の注湯位置と、その反対側の退避位置の
間を旋回移動させる取鍋交換装置が配置されており、こ
の取鍋交換装置に取鍋を搬入、搬出する場合には、製鋼
所に設置された大型の天井クレーンにより取鍋を吊り下
げ、転炉または電器炉と取鍋交換装置との間の搬送が行
われていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところで、近年、省エ
ネルギー対策やコスト低減、連続鋳造された鋳片性状お
よび精度向上などの理由により、鋳造された鋳片を高温
状態のまま、加熱炉でコーナー部のみを加熱後、直接圧
延機に送る製造ラインのレイアウトが採用されつつあ
る。

【０００５】しかし、このレイアウトを採用して連続鋳
造設備を圧延工場に設置する場合、製鋼所に設置された
大型の天井クレーンが使用できず、適当な取鍋の搬送手
段がないという問題があった。

【０００６】そこで、たとえば台車等を使用して所定の
距離を取鍋を輸送することが考えられるが、従来の取鍋
交換装置には作業床上を搬送されてきた取鍋を受渡しで
きる手段は設けられておらず、また受渡しのために、圧
延工場に取鍋を吊り上げ可能な天井クレーンを設置する
には、設備コストが極めて高くなってしまうという問題
がある。

【０００７】本発明は、上記問題点を解決して、製鋼所
から台車により搬送されてきた取鍋を容易に受渡しする
ことができて、連続鋳造後の高温鋳片を直接圧延機に供
給する製造ラインを容易かつ低コストで実現できる連続
鋳造設備における取鍋交換装置を提供することを目的と
する。

【０００８】

【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めに本発明の連続鋳造設備における取鍋交換装置は、床
面に立設された支持架台上に、垂直軸心回りに回転自在
な旋回台を設け、この旋回台の外周部複数ヶ所に上下方
向の支持レールをそれぞれ配設し、前記支持レールにそ
れぞれ昇降自在に配置されて取鍋を支持可能な支持ヨー
クを有する昇降支持体を設け、前記支持架台の側部に、
１つの昇降支持体が鋳造位置に停止された位置で旋回台
の他の支持レールに連続する位置と床面上との間に配置
されて昇降支持体が昇降可能な上下方向の昇降レールを
設け、前記旋回台に昇降支持体を支持レール上で保持す
るとともに支持レールおよび昇降レールに沿って昇降可
能な取鍋昇降駆動装置を設け、前記昇降レールに沿って
床面上に下降した昇降支持体と取鍋搬送手段との間で、
昇降支持体の昇降によりヨークを介して取鍋を受渡し可
能に構成したものである。

【０００９】

【作用】上記構成において、一つの昇降支持体に支持ヨ
ークを介して支持された取鍋を鋳造位置に停止してタン
ディッシュに注湯している時に、取鍋昇降駆動装置を駆
動して他の昇降支持体を支持レールから昇降レールに沿
って支持架台下部に下降させ、（空の取鍋を床面上の取
鍋搬送手段に渡した後、）取鍋搬送手段を介して床面上
を搬送されてきた溶湯入りの取鍋を支持ヨークに受け取
り、同昇降支持体を昇降レールから支持レールに上昇さ
せて取鍋を旋回台に支持させる。そして、鋳造位置の取
鍋の注湯が終了後、旋回台を回転させて新たな取鍋を鋳
造位置に旋回移動させ、注湯を開始する。

【００１０】これにより、連続鋳造設備の設置ヤードに
大型の天井クレーンがなくても、床面上を取鍋搬送手段
により搬送された取鍋を、取鍋交換装置に容易に受け渡
すことができ、しかも床面上を搬送するので、取鍋を容
易に長距離輸送することができ、従来製鋼所のヤードに
あった連続鋳造設備を、製鋼所から離れた圧延工場のヤ
ードに移すことができ、連続鋳造された鋳片を高温状態
で直接圧延するラインを容易かつ低コストで設置でき
る。また、支持レールと昇降レールを介して床面上と旋
回台との間で移動自在なヨーク付の昇降支持体を設け、
さらに取鍋昇降駆動装置を旋回台に設けたので、旋回台
の取鍋昇降駆動装置を操作するだけで、取鍋搬送手段と
昇降支持体との間で容易に移載できて、床面上から旋回
台（鋳造位置を含む）の間で連続移送することができ、
簡単な構成で床面上の取鍋を鋳造位置に連続動作で往復
移送可能となる。

【００１１】

【実施例】以下、本発明に係る取鍋交換装置を備えた連
続鋳造設備の一実施例を図面に基づいて説明する。

【００１２】この連続鋳造設備は、図１に示すように、
製鋼所の転炉または電気炉から溶湯が供給された取鍋１
を搭載して製鋼所から床面２上を走行し圧延工場のヤー
ドに搬送する受鋼台車３（搬送手段）と、対称位置に２
台の取鍋１を保持して旋回させる取鍋交換装置４と、タ
ンディッシュカー５上に配置されて取鍋１から溶湯を受
け取るタンディッシュ６と、このタンディッシュ６から
ノズルを介して溶湯が注湯されるモールド７と、モール
ド７で連続鋳造された鋳片を案内するロール装置８など
を具備している。

【００１３】前記取鍋交換装置４は、床面２上に立設さ
れた支持架台１１上に、旋回駆動装置１０により垂直軸
心回りに回転自在な旋回台１２が配置され、この旋回台
１２の１８０°対称位置には、下端が外側となるように
傾斜した左右一対の支持レール１３Ａ，１３Ｂがそれぞ
れ上下方向に配設されている。この支持レール１３Ａ，
１３Ｂには、それぞれガイドローラー１４Ａ，１４Ｂを
介して昇降自在な昇降支持体１５Ａ，１５Ｂが配置され
ており、この昇降支持体１５Ａ，１５Ｂには溶湯量検知
用のロードセル１６Ａ，１６Ｂを介して取鍋１を支持す
る左右一対の支持ヨーク１７Ａ，１７Ｂが設けられてい
る。

【００１４】また、前記支持架台１１の注湯位置Ａと反
対側の退避位置Ｂには、旋回台１２が一方の昇降支持体
１５Ａを鋳造位置Ａに対応して停止した時に、退避位置
Ｂの他方の支持レール１３Ｂに連続するように、左右一
対の昇降レール１８が床面２上まで上下方向に設置され
ている。

【００１５】さらに、旋回台１２の上部には、昇降支持
体１５Ａ，１５Ｂをそれぞれ昇降索１９Ａ，１９Ｂを介
して支持レール１３Ａ，１３Ｂおよび昇降レール１８に
沿って昇降移動可能な昇降用ウインチ（昇降駆動装置）
２０Ａ，２０Ｂが配置されており、昇降用ウインチ２０
Ａ，２０Ｂの各ドラム２０ａに巻回された昇降索１９
Ａ，１９Ｂはガイドシーブ２１Ａ，２１Ｂを介して下方
に繰り出され、昇降支持体１５Ａ，１５Ｂに設けられた
可動シーブ２２Ａ，２２Ｂに巻回された後、ガイドシー
ブ２１Ａ，２１Ｂ側に連結固定されている。

【００１６】また、前記旋回台１２の支持レール１３
Ａ，１３Ｂ間には、図４に示すように、昇降支持体１５
Ａ，１５Ｂを下方から受け止めて位置決めするストッパ
ー装置２３Ａ，２３Ｂがそれぞれ設けられている。この
ストッパー装置２３Ａ，２３Ｂは、旋回台１２から斜め
上方外側に取り付けられたストッパーシリンダー２３ａ
のロッドに、昇降支持体１５Ａ，１５Ｂの下面に当接可
能な受け材２３ｂが取り付けられており、ストッパーシ
リンダー２２ａを収縮することにより、受け材２２ｂを
斜め下方に後退させて昇降支持体１５Ａ，１５Ｂを下降
することができる。

【００１７】次に上記取鍋交換装置４の動作を説明す
る。図１に示すように、昇降支持台１５Ａの支持ヨーク
１７Ａに取鍋１が保持されて鋳造位置Ａに停止されると
ともに、他方の昇降支持体１５Ｂの支持ヨーク１７Ｂに
注湯後の空の取鍋１が保持されている。この状態から、
鋳造位置Ａの取鍋１からロングノズル１ａを介してタン
ディッシュ６に溶湯が供給され、さらにタンディッシュ
６から浸漬ノズル６ａを介してモールド７内に溶湯が供
給されている。そして、モールド７内に供給された溶湯
は冷却されて鋳片を形成しつつロール装置９に案内され
て鋳片が連続的に鋳造される。

【００１８】この鋳造中に、ストッパー装置２３Ｂを解
除し、昇降用ウインチ２０Ｂを駆動して昇降支持体１５
Ｂを支持レール１３Ｂから昇降レール１８側に下降さ
せ、昇降レール１８下方の床面２に配置された空の受鋼
台車３上に取鍋１を搭載する。そして、この受鋼台車３
を移動させた後、溶湯入り取鍋１を搭載した受鋼台車３
を昇降レール１８下方の床面２に移動させて取鍋１を支
持ヨーク１７Ｂ間に挿入し、昇降用ウインチ２０Ｂによ
り昇降支持体１５Ｂを上昇させて支持ヨーク１７Ｂ上に
取鍋１を載せ、さらに昇降支持体１５Ｂを昇降レール１
８から支持レール１３Ｂにまで上昇させる。そして、ス
トッパー装置２３Ｂを作動して昇降支持台１５Ｂを所定
位置に位置決めし、退避位置Ｂに待機させる。

【００１９】鋳造位置Ａの取鍋１の溶湯量が少なくなっ
たのをロードセル１６Ａにより検知すると、溶湯の供給
を停止してロングノズル１ａを取り外した後、旋回駆動
装置10を駆動して旋回台１２を１８０°旋回させ、昇降
支持体１５Ｂを鋳造位置Ａに停止して取鍋１にロングノ
ズル１ａを取付け、タンディッシュ６に溶湯の供給を開
始する。 上記実施例によれば、製鋼所から溶湯を供給
された取鍋１を受鋼台車３により、製鋼所から離れた圧
延工場ヤードの連続鋳造設備にまで搬送し、支持レール
１３Ａ，１３Ｂおよび昇降レール１８を介して下降され
た昇降支持体１５Ａ，１５Ｂの支持ヨーク１７Ａ，１７
Ｂに直接容易に受渡しすることができ、連続鋳造設備の
設置ヤードに大型の天井クレーンがなくても、取鍋交換
装置４への取鍋１の受渡しが容易に行える。

【００２０】

【発明の効果】以上に述べたごとく本発明の連続鋳造設
備の取鍋交換装置によれば、連続鋳造設備の設置ヤード
に大型の天井クレーンがなくても、床面を搬送された取
鍋を取鍋交換装置に容易に受け渡すことができる。した
がって、床面上を取鍋搬送手段により取鍋を長距離輸送
することがができるので、従来製鋼所のヤードにあった
連続鋳造設備を、製鋼所から離れた圧延工場のヤードに
移して連続鋳造された鋳片を高温状態で直接圧延するラ
インを低コストで設置できる。また、支持レールと昇降
レールを介して床面上と旋回台との間で移動自在なヨー
ク付の昇降支持体を設け、さらに取鍋昇降駆動装置を旋
回台に設けたので、旋回台を旋回させ取鍋昇降駆動装置
を操作するだけで、取鍋搬送手段と昇降支持体との間で
容易に移載できて、床面上から旋回台（鋳造位置を含
む）の間で連続移送することができ、簡単な構成で床面
上の取鍋を鋳造位置に連続動作で往復移送可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る連続鋳造設備の一実施例を示す側
面図である。

【図２】同連続鋳造設備の取鍋交換装置を示す平面図で
ある。

【図３】同取鍋交換装置を示す要部拡大側面図である。

【図４】同取鍋交換装置のストッパー装置を示す側面図
である。

【符号の説明】

１ 取鍋 ２ 床面 ３ 受鋼台車（取鍋搬送手段） ４ 取鍋交換装置 ６ タンディッシュ 10 旋回駆動装置 11 支持架台 12 旋回台 13A,13B 支持レール 14A,14B ガイドローラー 15A,15B 昇降支持体 16A,16B ロードセル 17A,17B 支持ヨーク 18 昇降レール 19A,19B 昇降索 20A,20B 昇降用ウインチ（昇降駆動装置） 20ａ ドラム 22A,22B 可動シーブ 23A,23B ストッパー装置 23ａ ストッパーシリンダー 23ｂ 受け材

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】床面に立設された支持架台上に、垂直軸心
   回りに回転自在な旋回台を設け、 この旋回台の外周部複数ヶ所に上下方向の支持レールを
   それぞれ配設し、 前記支持レールにそれぞれ昇降自在に配置されて取鍋を
   支持可能な支持ヨークを有する昇降支持体を設け、 前記支持架台の側部に、１つの昇降支持体が鋳造位置に
   停止された位置で旋回台の他の支持レールに連続する位
   置と床面上との間に配置されて昇降支持体が昇降可能な
   上下方向の昇降レールを設け、 前記旋回台に昇降支持体を支持レール上で保持するとと
   もに支持レールおよび昇降レールに沿って昇降可能な取
   鍋昇降駆動装置を設け、 前記昇降レールに沿って床面上に下降した昇降支持体と
   取鍋搬送手段との間で、昇降支持体の昇降によりヨーク
   を介して取鍋を受渡し可能に構成したことを特徴とする
   連続鋳造設備における取鍋交換装置。