JP2695882B2 - 連鋳設備における排滓移送設備 - Google Patents

連鋳設備における排滓移送設備

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、溶鋼等の金属溶湯を連続鋳造する連鋳設備
に係り、特に連鋳鋳型への注湯後のタンディッシュから
排出される排滓を移送する排滓移送設備をコンパクト化
し、排滓処理の能率を向上させることにより生産性の向
上を図るようにした連鋳設備における排滓移送設備に関
する。
〔従来の技術〕
転炉から出鋼する溶鋼を連続鋳造するために用いられ
る連鋳設備は例示するまでもなく周知の技術に属するも
のであって、その設備を構成する主要部材は溶湯取鍋、
溶湯用タンディッシュ、鋳型等である。以下、連鋳設備
の従来構造を、その模式的構成説明図の第4図と第5図
とを参照しながら説明する。
即ち、第4図(第1従来例)に示すものは最も一般的
なもので、2個のレードル(溶湯取鍋)(e)を装脱兼
旋回可能に保持するレードルターレット(d)の一側に
設けられた走行路(h)の上に、それぞれタンディッシ
ュ(a)が設置された2台のタンディッシュカー(走行
台車)(b)が走行可能に配設されている。そして、こ
のタンディッシュ(a)には2個の鋳込ノズル(f)が
設けられ、各タンディッシュカー(b)を交替にレード
ルターレット(d)側に走行させて、レードル(e)か
ら注がれる溶湯をタンディッシュ(a)内に受入れ、次
いで鋳込ノズル(f)を介して連鋳鋳型に注湯して連続
鋳造を行い、1台のタンディッシュカー(b)が鋳込位
置にあるとき、他のタンディッシュカー(b)は待機位
置にあって、次回の鋳込に備えられるようになってい
る。
このように複数のタンディッシュ(a)、タンディッ
シュカー(b)を併用するのは、いうまでもなく連鋳設
備の稼働率を向上させ、連々鋳、異鋼種連鋳を可能とす
るように、このタンディッシュ(a)をクイック交換式
にすると共に、2個の鋳込ノズル(f)による2ストラ
ンド方式を採用するのであり、さらに連鋳設備の稼働率
をより向上させるため、図5(第2従来例)に示すよう
な1タンディッシュ、1ストランド、2機方式のものも
採用されている。
即ち、2個のレードル(e)を装脱兼旋回可能に保持
するレードルターレット(d)を2基配設し、各ターレ
ット(d)に対してそれぞれ鋳込ノズル(f)1個を有
するタンディッシュ(a)を搭載した2台のタンディッ
シュカー(b)を配設するものであり、各ターレット
(d)におけるタンディッシュ(a)の交替使用は第4
図で説明したものと同様である。なお、両図に示す符号
(i)はレードル(e)における排滓口を示し、また符
号(c)は、各タンディッシュカー(b)の待機位置に
配設される加熱装置を示している。
ところで、連鋳鋳型に溶湯を注湯した後のタンディッ
シュ(a)の内部には滓が残される。この滓は、金属分
の他にCaO、燐分、硫黄分等からなるもので、滓量が多
くなり過ぎると、鋳込みのためにタンディッシュ(a)
に注湯された溶湯内に燐分、硫黄分等が溶出して、鋳込
製品の品質に悪影響を与えるので除去される。
滓の除去作業は必要不可欠であるが、これを除去し、
かつ除去した排滓を処理するための所定位置への移送
は、以下に説明するような方法によっていた。
つまり、連鋳鋳型への溶湯の鋳込作業終了後、タンデ
ィッシュをタンディッシュカーでタンディッシュ整備場
に移動させ、このタンディッシュ(a)の内部を空冷或
いはスプレーミスト等によって冷却した後、このタンデ
ィッシュを傾転させると共に、専用の地金押抜き装置
(図示省略)により地金を押出し、またタンディッシュ
(a)の内壁に付着している残滓をスラグブレーカ(図
示省略)等により解体して排出している。
しかも、このような排滓作業は、同鋼種の連々鋳時で
は4〜6チャージ毎に行われ異鋼種連々鋳時ではその都
度実施されている。そして、残滓の排滓が終了したタン
ディッシュ(a)はその内壁が清掃され、必要に応じて
内壁にボードまたは耐火物の張替え、吹付作業等が実施
され、待機タンディッシュカー(b)上でガス加熱等の
加熱処理が施されて、次の鋳造時の交替のために備えら
れる。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記第1,2従来例に係る連鋳設備はそれなりに有用で
あるが、稼働率や経済性の観点からすると未だに以下に
説明するような解決すべき課題を持っている。
即ち、上記のとおり、鋳造終了後にタンディッシュの
整備作業を行うが、この整備は冷間整備であるために、
整備終了後にこれを再加熱しなければならない。
故に、その再加熱に長時間を要するのに加えて、鋳造
開始時において、タンディッシュ内に注湯される溶湯に
対するタンディッシュの内壁の耐火物による吸収熱量が
大きく、注湯された溶湯が温度低下を来す結果、溶湯内
介在物の浮上分離が阻害され、鋳造製品の品質に悪影響
を与えるという解決すべき課題がある。
このような課題を解決するためには、溶融状態の地
金、滓(s)の注込み状態を示す、その構成説明図の第
6図に示すように、溶湯を連鋳鋳型(k)に注湯した後
に、タンディッシュ(a)を冷却せず、その内部の残滓
を溶融状態で維持しつつ、排滓口(i)から滓ポット
(p)に注入して排滓すれば良いと考えられる。
しかしながら、タンディッシュの排滓口と滓が注入さ
れる滓ポットとの間の高低落差は、連鋳設備の規模の大
小によって相違するが、通常の規模であったとしても、
この落差は6mはあるので、排滓時において溶融状態の
滓、地金等が飛散する結果、これの周辺に設けられた周
囲防熱板への飛散物の付着、作業現場における作業床へ
の飛散物の堆積があることもあって、安全操業の継続が
不可能になってしまうことになる。
従って、本発明は高能率で排滓を処理することを可能
ならしるると共に、鋳造製品の品質に悪影響を及ぼすこ
との少ない連鋳設備における排滓移送設備の提供を目的
とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明は上記課題を解決するためになされたものであ
って、従って本発明の連鋳設備における排滓移送設備の
構成は、排滓位置におけるタンディッシュの排滓口の下
方に設けられ、このタンディッシュの排滓口から滓が注
入される滓ポットの上部外縁の下面に形成された支持面
を受けると共に、この滓ポットの支持面の下部部分より
も広い間隔を隔てて配設されてなる受台を有する昇降自
在な昇降フレームと、この昇降フレームの下方位置に配
備され、この昇降フレームが最下位置まで下降されたと
きに、この滓ポットの下部を受け、前記支持面が前記昇
降フレームの受台から上方に離れた滓ポットを積載し
て、排滓を処理する次工程への滓ポットハンドリング位
置まで移動する往復移動自在な搬出台車とからなること
を特徴とする。
〔作用〕
本発明の上記構成になる連鋳設備における排滓移送設
備によれば、昇降フレームにより滓ポットを上昇させ、
上昇した位置にある滓ポットにタンディッシュの排滓口
から滓を注入することができる。従って、タンディッシ
ュの内部の残滓量を減少させ得るのに加えて、排滓する
ためにタンディッシュを冷却する必要がないので、タン
ディッシュの温度低下の程度を少なくすることができ
る。
そして、タンディッシュから滓が注入された滓ポット
が昇降フレームにより下降されると、この昇降フレーム
の下方位置に配備されている搬出台車に滓ポットの下部
が受けられると共に、滓ポットの支持面が昇降フレーム
の受台から上方に離れ、滓ポットは搬出台車に積載され
るので、滓ポットは搬出台車の移動により受台の間を通
過して次工程の滓ポットハンドリング位置まで運ばれ
る。
次いで、滓が注入されている滓ポットが下ろされた搬
出台車に他の滓ポットが積載されると、この搬出台車が
下降位置において停止している昇降フレームの位置に移
動され、そして昇降フレームが上昇されると、支持面が
受台で受けられて滓ポットが上昇され、次の排滓時まで
上昇位置で待機させられる。
〔実施例〕
本発明の1実施例を、その一部切欠要部側面図の第1
図と、その一部切欠要部正面図の第2図と、その要部平
面図の第3図とを参照しながら以下に説明する。
即ち、第1図と第2図とに示す符号(1)は、タンデ
ィッシュであり、このタンディッシュ(1)は連鋳鋳型
部と排滓部との間にわたって進退可能に設けられた既知
の構成になる走行台車(図示省略)により傾転可能に支
持されている。
タンディッシュ(1)の前記排滓部の下方には、排滓
を処理するための次工程の処理位置へ排滓を移送するた
めの所定位置まで底面(21)が延びるピット(2)が設
けられると共に、ピット(2)の排滓部に対応する位置
の内側に、このピット(2)の深さと同高さで、上端が
作業床(4)と面一になるように、支柱と横梁とからな
る架構体(3)が立設されている。この架構体(3)上
部よりやや下方位置の内側には、中央部に抜穴(51)を
有し、かつ上面に軌道(52)を有する昇降フレーム
(5)が、作業床(4)に設けたウインチ(6)で巻上
げ、巻下げられるロープ(61)により昇降自在に吊持さ
れている。
また、前記軌道(52)により後述する横行台車(7)
が往復移動されるようになっている。この横行台車
(7)は、下部に、前記軌道(52)上を転動する車輪
(71)を有する車輪支持体(72)と、この車輪支持体
(72)の上に設けられ、滓ポット(8)の上部外縁の下
面に形成された支持面(81)を受ける、相対する側に突
出する受台(74)を有する門型フレーム(73)とから構
成されている。
さらに、前記ピット(2)の底面(21)には軌道
(9)が付設され、この軌道(9)上を往復移動して、
前記滓ポット(8)を排滓を処理する滓ポットハンドリ
ング位置まで搬出する搬出台車(10)が配設されてい
る。なお、第1図中において示す符号(12)は、タンデ
ィッシュ(1)内の溶融金属が注湯される連鋳鋳型であ
り、また符号(11)は、溶融状態の地金、滓を排出する
排滓口である。
以下、上記構成になる排滓設備の作用態様を説明する
と、連鋳鋳型(12)への注湯作業終了後、タンディッシ
ュ(1)は走行台車により搬送されると共に、ここで傾
転される。すると、排滓口(11)から溶融状態の地金や
滓が排出されるが、排出される溶融状態の地金や滓は、
タンディッシュ(1)の排滓口(11)の下方位置に配設
され、上昇されている昇降フレーム(5)上の横行台車
(7)の受台(74)により支持されている滓ポット
(8)に注入される。
このようにして、滓ポット(8)への溶融状態の地金
や滓が注ぎ込みが終了すると、ウインチ(6)によるロ
ープ(61)の巻下げで昇降フレーム(5)が下降され
る。
そして、この昇降フレーム(5)が最下位置まで下降
すると、第1図において想像線で示すように、滓ポット
(8)の支持面(81)が受台(74)から上方側に離れ
る。
これは、昇降フレーム(5)が最下位置に下降するま
での間に、滓ポット(8)の下部が搬出台車(10)の積
載面に当接するからである。
次いで、搬出台車(10)が作動されると、滓ポット
(8)は受台(74)の間を通過して、軌道(9)を走行
する搬出台車(10)により排滓処理するための滓ポット
ハンドリング位置まで移送される。ここで、滓ポット
(8)は滓ポットハンドリング装置、例えばクレーン等
の既知の手段により処理位置に移動されると共に、搬出
台車(10)に他の滓ポット(8)が積載される。
他の滓ポット(8)が積載された搬出台車(10)が逆
方向へ走行されて昇降フレーム(5)の待機位置に戻る
と、滓ポット(8)の支持面(81)の下面が横行台車
(7)に設けられている受台(74)の受面の上方に位置
する状態になる。そこで、ウインチ(6)によるロープ
(61)の巻上げにより昇降フレーム(5)が上昇される
と、滓ポット(8)の支持面(81)の下面が横行台車
(7)の受台(74)の上面に乗せられ、最高位置まで上
昇され、最高位置まで上昇するとロープ(61)の巻上げ
が停止され、滓ポット(8)は最高位置において、次の
溶融状態の地金や滓がタンディッシュ(1)の排滓口
(11)から注ぎ込まれるまで待機されるという繰り返し
により、この排滓設備の稼働が継続される。
このようにして、溶融状態の地金や滓がタンディッシ
ュ(1)から排出されるので、このタンディッシュ
(1)内に残される残地金や残滓の量が少なくなり、例
えば同鋼種を連々鋳する場合における従来の排滓方法で
行われていた4〜6チャージ毎の大掛かりな排滓作業が
不要になるのに加えて、タンディッシュ(1)の温度低
下も少ないので、タンディッシュ(1)内の加熱所要時
間の短縮が可能になる。
従って、注湯された溶湯の温度低下に起因する悪影響
が少なくなるので、品質のばらつきの少ない鋳造製品を
高能率で鋳造することができる。
しかも、高低差の少ない状態で地金や滓を滓ポット
(8)に注ぎ込むことができるので、これら地金や滓の
飛散が少なく、安全操業が可能になる。
ところで、昇降フレーム(5)に受台を設けて、この
昇降フレーム(5)により滓ポット(8)を直接支持し
ても初期の目的を達成することができるが、上記実施例
にあっては、滓ポット(8)を横行台車(7)に受台を
設けてこの横行台車(7)により支持するようにしたの
で、滓ポット(8)の位置をタンディッシュ(1)から
注ぎ込まれる地金や滓の流下位置に容易に合わせること
ができ、地金や滓の注ぎ込み開始時における滓ポット
(8)外への注入漏れの発生を防止することができる。
さらに、この実施例では上記のとおり、滓ポット
(8)を横行台車(7)に設けた受台(74)で支持した
が、この横行台車(7)に把持装置を装着し、この把持
装置により滓ポット(8)を把持するようにしても良
い。しかしながら、この場合には、この把持装置の動力
源を付設しなければならず、経済上必ずしも得策ではな
い。
なお、上記実施例は、本発明の一具体例にすぎず、従
ってこの実施例によって本発明の技術思想の範囲が限定
されるものではない。
〔発明の効果〕
本発明に係る排滓移送設備によれば、滓ポット内に流
動状態で高温度の滓を注入することができる。従って、
タンディッシュの内部に残る滓量を減少させ得るのに加
えて、排滓するためにこのタンディッシュを冷却する必
要もないので、熱間反復使用が可能になりタンディッシ
ュの温度低下の程度が少なくなる。
つまり、従来技術になる連鋳設備のように、連鋳鋳型
への溶湯の注湯作業終了後に、タンディッシュを冷却し
た上で残滓の除去作業を行う必要がなくなったので、タ
ンディッシュの再加熱に要するコスト削減による経済性
の向上と、加熱時間短縮による連鋳設備の稼働率の大幅
な向上が可能になり、さらに品質の安定した連鋳製品を
得ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の連鋳設備における排滓移送設備の一部
切欠要部側面図、第2図は本発明の連鋳設備における排
滓移送設備の一部切欠要部正面図、第3図は本発明の連
鋳設備における排滓移送設備の要部平面図、第4図は第
1従来例に係る連鋳設備における排滓移送設備の模式的
構成説明図、第5図は第2従来例に係る連鋳設備におけ
る排滓移送設備の模式的構成説明図、第6図は高落差の
溶融地金、滓の注入状態を示す構成説明図である。 (1)……タンディッシュ,(2)……ピット,(3)
……架構体,(4)……作業床,(5)……昇降フレー
ム,(6)……ウインチ,(7)……横行台車,(8)
……滓ポット,(9)……軌道(搬出台車用),(10)
……搬出台車,(11)……排滓口,(12)……連鋳鋳
型,(21)……底面,(51)……抜穴,(52)……軌道
(横行台車用),(61)……ロープ,(71)……車輪,
(72)……車輪支持体,(73)……門型フレーム,(7
4)……受台,(81)……支持面。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】排滓位置におけるタンディッシュの排滓口
    の下方に設けられ、このタンディッシュの排滓口から滓
    が注入される滓ポットの上部外縁の下面に形成された支
    持面を受けると共に、この滓ポットの支持面の下部部分
    よりも広い間隔を隔てて配設されてなる受台を有する昇
    降自在な昇降フレームと、この昇降フレームの下方位置
    に配備され、この昇降フレームが最下位置まで下降され
    たときに、この滓ポットの下部を受け、前記支持面が前
    記昇降フレームの受台から上方に離れた滓ポットを積載
    して、排滓を処理する次工程への滓ポットハンドリング
    位置まで移動する往復移動自在な搬出台車とからなるこ
    とを特徴とする連鋳設備における排滓移送設備。
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