JP2620006B2 - 複数ストランドを有するビレット連続鋳造設備 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ストランドの鋳型の交
換を迅速に行える機能を有する複数ストランドを有する
ビレット連続鋳造設備に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、複数ストランドを有するビレット
連続鋳造設備において、連続鋳造中にブレークアウトや
オーバーフローなどの事故により、複数あるストランド
の鋳型の１つを交換する場合、鋳型毎に仕切られた鋳型
直下の冷却室に作業員が入り、下方より鋳型の銅チュー
ブを交換する方法があるが、これは交換作業に危険が伴
ううえに、作業スペースを確保する為に必要以上にスト
ランド間隔を広げる必要がある。また、オープン鋳造の
ビレット連続鋳造設備では、流量制御ができないため、
鋳造速度の増減がむずかしく、従って事故が発生すると
他の正常ストランドで鋳造を続けるが、減産分をカバー
することができず、また溶湯供給のタイミングが正常時
と異なるため極めて運転が難しいという問題があった。

【０００３】これらの問題を解決するため、現在では予
備のストランドの鋳型を設けることが行われている。す
なわち、必要ストランド数Ｎは、レードルの容量、出鋼
タップ時間、ビレットサイズおよび適性鋳造速度により
算出することができるが、これに事故による停止率を加
味してＮ＋１のストランド数に設定している。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記連続鋳造
設備では、予備ストランドの増設にコストを必要とする
とともに、予備のストランド数以上（複数）の鋳型の交
換には対処しえないという問題があった。

【０００５】本発明は、上記問題点を解決して、予備ス
トランドの増設を不要としてコストを低減できるととも
に、鋳型の交換を安全かつ迅速に行え、長時間の連続鋳
造運転が可能となる複数ストランドを有するビレット連
続鋳造設備を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記問題点を解決するた
めに本発明は、作業床に配列された複数の鋳型に溶湯を
供給して下方の鋳造ラインに沿って複数のビレットを連
続的に引き抜くビレット連続鋳造設備において、各鋳型
毎に鋳型を振動させる振動装置を鋳型配列方向に直交す
る作業床下方の収容空間にそれぞれ配置し、前記収容空
間に、鋳造位置空間とこの鋳造位置空間の鋳型配列方向
に直交する方向に形成された退避空間部とを設けるとと
もに、これら振動装置および鋳型をそれぞれ前記鋳造位
置空間部と退避空間部との間で水平方向に移動自在に構
成し、前記振動装置および鋳型を鋳造位置空間部と退避
空間部の間で移動可能な移動手段を設け、前記収容空間
上の作業床を開閉可能に構成したものである。また上記
構成において、タンディッシュカーを作業床上に鋳型配
列方向に沿って移動自在に配置し、このタンディッシュ
カーに搭載したタンディッシュから各鋳型に溶湯を供給
するように構成し、振動装置をそれぞれ収容する各ユニ
ットケースの上面に、タンディッシュカーの走行車輪を
案内するガイドレールをそれぞれ配置し、鋳造位置で各
ガイドレールが連続するように構成したものである。

【０００７】

【作用】上記構成によれば、１つのストランドに事故が
発生した場合、その鋳型に対応する作業床を開け、移動
装置を駆動してその鋳型を振動装置と共に鋳造位置から
退避空間位置に移動させ、作業床から鋳型の交換作業を
行ったあと、鋳型および振動装置を再び鋳造位置に戻す
ことにより、迅速に鋳造を再開することができる。した
がって、予備ストランドの鋳型を増設する必要もなくな
り、低コストになるとともに、他のストランドに事故が
起こっても同様の交換作業で鋳型の交換が行え、長時間
の連続鋳造運転が可能となる。

【０００８】

【実施例】以下、本発明に係るビレット連続鋳造設備の
一実施例を図面に基づいて説明する。作業床１上方に立
設されたレードルスタンド２にはレードル３が支持さ
れ、このレードル３の下方には、作業床１に鋳造位置を
挟んで敷設された一対のガイドレール４を介して移動自
在なタンディッシュカー５配置されて、このタンディッ
シュカー５に搭載されたタンディッシュ６が位置してい
る。このタンディッシュ６の下方にはタンディッシュカ
ー移動方向に沿って１列に６個の鋳型７が配置され、こ
れら各鋳型７から下方前方に湾曲するストランドの鋳造
経路８が形成され、鋳造経路８に沿って冷却装置や矯正
引抜き装置（図示せず）が配置されている。１０は鋳型
７の後部の後部作業床１ｂに配置されたオーバーフロー
ポットである。

【０００９】前記各鋳型７は、鋳型配列方向に直交する
前部（オペレーター側）作業床１ａの下部に配置された
振動装置９の振動テーブル１１にそれぞれ支持され、鋳
型７と振動装置９とで対を成し、鋳型７を搭載した振動
装置９を鋳造位置から前部作業床１ａ側に移動して鋳型
７を交換可能に構成されている。

【００１０】すなわち、モーター１２により駆動される
振動機１３と、この振動機１３に導杆１４および伝動軸
１５を介して連結された振動テーブル１１により構成さ
れた振動装置９は、それぞれ振動テーブル１１を除く部
分が矩形箱体状のユニットケース１６内に収容され、こ
れらユニットケース１６はそれぞれ前部作業床１ａ下部
に形成された収容空間２１内に配置されている。このユ
ニットケース１６の鋳型７側上面は、床材を除いた前部
作業床１ａと面一状に設定されて、タンディッシュカー
５の走行車輪５ａを案内するガイドレール４ａが敷設さ
れ、このガイドレール４ａは各ユニットケース１６毎に
分断されている。前記収容空間２１は、鋳造位置の振動
装置９を収容する鋳造位置空間部２１ａと、この鋳造位
置空間部２１ａよりさらに前方にユニットケース１６が
移動可能な退避空間部２１ｂからなり、振動テーブル１
１に鋳型７を保持した前記ユニットケース１６は、鋳型
移動装置２２により鋳造位置空間部２１ａと退避空間部
２１ｂとの間を往復移動することができる。

【００１１】前記鋳型移動装置２２は、たとえば前部作
業床１ａ上に配置された駆動ウインチ２３と、一端が駆
動ウインチ２３のドラム２３ａからシーブ２４を介して
ユニットケース１６の前部に連結された往路牽引用索体
２５と、ドラム２３ａからシーブ２６を介してユニット
ケース１６の後部に連結された復路牽引用索体２７とで
構成され、各ユニットケース１６毎に設けられている。
なお、鋳型移動装置の駆動機構はシリンダー装置やラッ
ク・ピニオン機構を使用したものであってもよい。

【００１２】前記前部作業床１ａは、複数の耐火レンガ
を所定の大きさの枠体に嵌め込んだ床材からなり、複数
の床材が床支持梁上に取外し自在に配置されているの
で、所定位置の床材を個々に取り外すことにより、目的
とする収容空間２１の上方を開放することができ、ユニ
ットケース１６の移動を妨げることもない。

【００１３】次に上記構成のビレット連続鋳造設備にお
ける作用を説明する。レードル３からタンディッシュ６
に供給された溶湯は、ノズル６ａを介して各鋳型７に注
入され、鋳型７からそれぞれビレットが鋳造経路８に沿
って引き抜かれて連続鋳造が行われる。

【００１４】この時、鋳型７の一つにブレークアウトが
発生して鋳造が不可能になった場合、その鋳型への注湯
を停止するとともに、その鋳型７に対応する前部作業床
１ａの床材を取り外して開放する。そして、鋳型移動装
置２２の駆動ウインチ２３を起動して、振動装置９を鋳
型７と共に鋳造位置から前方に移動させ、ユニットケー
ス１６を鋳造位置空間部２１ａから退避空間部２１ｂに
移動させ、鋳型７を前部作業床１ａの開放部に露出させ
る。この時、分割ガイドレール４ａも移動するが、タン
ディッシュカー５の走行車輪５ａはユニットケース１６
より外側のガイドレール４上に位置するので、ユニット
ケース１６の移動が妨げられることはない。そして、設
備内クレーン（図示せず）により鋳型７を取り出した
後、新しい鋳型７を振動テーブル１１に装着し、再び駆
動ウインチ２３を起動逆転させて鋳型７および振動装置
９を鋳造位置に戻し、前部作業床１ａを閉止した後、こ
の鋳型７による鋳造を再開する。

【００１５】上記実施例のようにタンディッシュカー４
のガイドレール４が作業床１上に有るものは、ガイドレ
ール４ａを分割してユニットケース１６上に設けたが、
たとえば実公昭60-23086号公報に開示されたように作業
床１に敷設されないものについてはこの限りではない。

【００１６】

【発明の効果】以上に述べたごとく本発明に係るビレッ
ト連続鋳造設備によれば、１つのストランドに事故が発
生した場合、その鋳型に対応する作業床を開け、移動装
置を駆動してその鋳型を振動装置と共に鋳造位置から退
避空間位置に移動させ、作業床から鋳型の交換作業を行
ったあと、鋳型および振動装置を再び鋳造位置に戻すこ
とにより、迅速に鋳造を再開することができる。したが
って、予備ストランドの鋳型を増設する必要もなくなっ
て低コストに製造でき、また作業床から交換作業を行う
ので、鋳型の配置間隔も小さくてもよい。また、事故の
あった鋳型の鋳造を停止する場合に生じる減産や注湯操
作のタイミングのずれもなく運転がよういである。さら
に他のストランドに事故が起こったり、補修が必要な場
合でも同様の鋳型交換作業を行え、長時間の連続鋳造運
転も可能となる。さらに、鋳型および振動装置は水平方
向に移動されるので、収容空間を小さくすることができ
る。さらにまた、振動装置と鋳型を保持するフレームは
一体に構成できるので、振動を正確に鋳型に伝達するこ
とができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係るビレット連続鋳造設備を示す縦断
面図である。

【図２】同ビレット連続鋳造設備を示す横断面図であ
る。

【図３】同ビレット連続鋳造設備を示す平面図である。

【符号の説明】

１ 作業床 1a 前部作業床 ３ レードル ５ タンディッシュカー ６ タンディッシュ ７ 鋳型 ８ 鋳造経路 ９ 振動装置 11 振動テーブル 16 ユニットケース 21 収容空間 21a 鋳造位置空間部 21b 退避空間部 22 鋳型移動装置 23 駆動ウインチ

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】作業床に配列された複数の鋳型に溶湯を供
   給して下方の鋳造ラインに沿って複数のビレットを連続
   的に引き抜くビレット連続鋳造設備において、 各鋳型毎に鋳型を振動させる振動装置を鋳型配列方向に
   直交する作業床下方の収容空間にそれぞれ配置し、前記
   収容空間に、鋳造位置空間とこの鋳造位置空間の鋳型配
   列方向に直交する方向に形成された退避空間部とを設け
   るとともに、これら振動装置および鋳型をそれぞれ前記
   鋳造位置空間部と退避空間部との間で水平方向に移動自
   在に構成し、前記振動装置および鋳型を鋳造位置空間部
   と退避空間部の間で移動可能な移動手段を設け、前記収
   容空間上の作業床を開閉可能に構成したことを特徴とす
   る複数ストランドを有するビレット連続鋳造設備。
2. 【請求項２】 タンディッシュカーを作業床上に鋳型配列
   方向に沿って移動自在に配置し、このタンディッシュカ
   ーに搭載したタンディッシュから各鋳型に溶湯を供給す
   るように構成し、振動装置をそれぞれ収容する各ユニッ
   トケースの上面に、タンディッシュカーの走行車輪を案
   内するガイドレールをそれぞれ配置し、鋳造位置で各ガ
   イドレールが連続するように構成したことを特徴とする
   請求項１記載の複数ストランドを有するビレット連続鋳
   造設備。