JPS6310008Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は建築物の壁、天井、又は床等における
断熱構造に関する。

従来、建築物躯体例えば壁内面においてその表
面にモルタルダンゴ等を介して内装材取付用板体
を壁との間に断熱材充填空間を形成して接着固定
した後、その空間に発泡尿素樹脂等の断熱材の充
填を行なつて断熱壁構造をつくる方法が実施され
ている。

しかし、この方法にあつてはモルタルダンゴを
使用する結果、内装材取付用板体を壁内面に対し
一定間隔で立設するための押圧動作が適当でない
ときには内装材取付用板体表面が傾斜したり、押
圧力が強すぎると壁方向へ移動しすぎて所望の空
間が形成されなかつたり、又は石膏等を主成分と
するモルタルダンゴ中の水分が内装材取付用板体
へ、もしくはコンクリートの壁等からこのモルタ
ルダンゴを通じて内装材取付用板体へ水分が移行
して、カビの発生や結露の原因となつていた。

本考案は従来のこのような状況に鑑み、壁等の
建築物躯体内面側に空間を介して内装材取付用板
体を張設するための取付装置を用い、もつて従来
のようにモルタルダンゴを用いず結露やカビの発
生を防止した適切な断熱材充填空間又は断熱空間
を形成しながら石膏ボード等の内装材取付用板体
表面の垂直又は水平出しを可能とした建築物の断
熱壁、天井又は床構造等を提供せんとするもので
ある。

本考案の要旨とするところは、表面に係合用起
伏を設けた柱状の支持体を平板状の基板表面に立
設し、合成樹脂により一体形成した取付具と、該
取付具の支持体に該支持体外面と内部の孔内面と
の間に間隔を有する遊動状態で外嵌可能な筒部材
を平板状の基板表面に立設するとともに、筒部材
先端の孔内面には内装された支持体表面に外嵌す
ることができ、しかも支持体の係合用起伏に係脱
しうる係合突部を孔内面から突出した状態で延設
し、且つ筒部材の軸方向の先端面から基端適所に
わたつて割溝を設けて取付基筒を構成し、合成樹
脂により一体形成した被取付具とよりなり、前記
取付具と被取付具の一方の適数を接着剤を介して
壁、天井、床等の建築物躯体内面に接着し、他方
の適数を一方の位置と対応させ、接着剤を介して
内装材取付用板体の外面に接着し、次いで支持体
に筒部材を外嵌し、接着剤を介して係合突部を係
合用突起に係合して支持体と取付基筒の取付位置
を調整することで内装材取付用板体の垂直又は水
平出しを行ない、躯体内面に対し内装材取付用板
体を離間配置して断熱材充填空間を形成してなる
ものである。

本考案の建築物の断熱構造の詳細を図示した実
施例にもとづき説明する。

図示した実施例は本考案における建築物の断熱
構造を適用する対象として壁に採用したものであ
るが、この考え方は同様に図示しない天井並びに
床に対しても適用しうることはいうまでもないこ
とである。

以下、説明は壁を建築物躯体として採用し本考
案の詳細を説明する。

第１図並びに第２図に示すように建築物躯体
１、即ち壁の内面側には表面に係合用起伏５例え
ばネジ目や外周に環状突起を設けた支持体４を平
板状の基板３、例えば半硬質合成樹脂板でポルエ
チレン板、ポリエステル板、ポリスチレン板等に
よつて形成した基板３表面に一体に立設した取付
具の該基板３を接着して取付けるものである。

ここで、基板３は接着剤２を介してコンクリー
ト壁などの躯体１内面に接着するところから、躯
体１の不陸に対応しうるように半硬質合成樹脂板
が望まれる。

一方、内装材取付用板体１３に接着して取付け
る被取付具は、該取付具の支持体４に該支持体４
外面と内部の孔９内面との間に間隔を有する遊動
状態で外嵌可能な筒部材８を平板状の基板６表面
に立設するとともに、筒部材８先端の孔９内面に
は内装された支持体４表面に外嵌することがで
き、しかも支持体４の係合用起伏５に係脱しうる
係合突部１０を孔９内面から突出した状態で延設
し、且つ筒部材８の軸方向の先端面から基端適所
にわたつて開口幅を有する割溝１１を設けて取付
基筒７を構成し、合成樹脂により一体形成したも
のである。

図示した実施例では係合突部１０の内面にも支
持体４表面と同様係合用起伏を設けたものを示し
ている。

しかして、このような取付具と被取付具を用い
て壁内面等の躯体１内面と石膏ボード等の内装材
取付用板体１３との間に断熱材充填空間Ｓを形成
するには、取付具の適数を接着剤２を介して壁、
天井、床等の建築物躯体１内面に接着し、被取付
具の適数を該取付具の位置と対応させて接着剤２
を介して内装材取付用板体１３の外面に接着し、
次いで接着剤２を介して支持体４に取付基筒７を
外嵌し、支持体４と取付基筒７の取付位置を内装
材取付用板体１３の押し引き動作で調整すること
で、内装材取付用板体１３の垂直又は水平出しを
行ない、躯体１内面に対し内装材取付用板体１３
を離間配置して断熱材充填空間Ｓを形成してなる
ものである。

このとき、取付具並びに被取付具の接着剤２の
硬化速度と支持体４並びに取付基筒７の接着剤２
の硬化速度を変化させ、取付基筒７側の接着剤２
の硬化速度を前者よりも遅くすることで、取付具
と被取付具の取付けと支持体４並びに取付基筒７
の取付固定を容易にすることができる。

尚、取付具並びに被取付具には、接着剤をそれ
ぞれ塗布して各対象部材に接着するものである
が、接着剤の表面には離型紙１２を装着しておく
のがその使用上便利である。

又、図示した実施例では躯体１側に取付具を、
内装材取付用板体１３に被取付具を取付けたもの
を例示したが、躯体１側に被取付具を、内装材取
付用板体１３に取付具を取付けてもよい。

以上のようになる本考案の建築物の断熱構造に
よれば、表面に係合用起伏５を設けた柱状の支持
体４を平板状の基板３表面に立設し、合成樹脂に
より一体形成した取付具と、該取付具の支持体４
に該支持体４外面と内部の孔９内面との間に間隔
を有する遊動状態で外嵌可能な筒部材８を平板状
の基板６表面に立設するとともに、筒部材８先端
の孔９内面には内装された支持体４表面に外嵌す
ることができ、しかも支持体４の係合用起伏５に
係脱しうる係合突部１０を孔９内面から突出した
状態で延設し、且つ筒部材８の軸方向の先端面か
ら基端適所にわたつて割溝１１を設けて取付基筒
７を構成し、合成樹脂により一体形成した被取付
具とを用い、取付具と被取付具の一方を壁等の建
築物躯体１内面に適数取付け、他方を内装材取付
用板体１３における適切位置に取付けて内装材取
付用板体１３を躯体１側へ押すことにより支持体
４と取付基筒７とは互いに嵌合して、又その押し
動作が大きすぎるときには内装材取付用板体１３
を手前即ち室内側に引くことにより取付位置を調
整し、もつて内装材取付用板体１３に対する垂直
又は水平出しを容易に可能とするだけでなく、取
付具、被取付具並びに支持体４、取付基筒７のそ
れぞれにおける固定は接着剤を介することによつ
て各保持強度を得ることができるので、躯体１に
対して従来のようにモルタルダンゴ等を用いて石
膏ボード等による内装材取付用板体１３を取付け
る必要はなく、内装材取付用板体１３を躯体１内
面側に立設する作業を容易にできる。

しかも、取付具、被取付具の全体を合成樹脂で
一体成形したから、壁等の躯体１側から内装材取
付用板体１３側へ水分を伝達せず、結露やカビの
発生を防止する効果がある上に製造が容易で、ヒ
ートブリツジを防止した適切な建築物の断熱構造
を提供することができるのである。

又、取付基筒７において、係合突部１０を孔９
内面から突出した状態で形成することで、支持体
４を取付基筒７の内部に挿入したとき、取付具を
被取付具に対し適当な設定角度を補充させること
ができるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の建築物の断熱構造の実施例説
明図、第２図は第１図の要部断面説明図である。 １：躯体、２：接着剤、３：基板、４：支持
体、５：係合用起伏、６：基板、７：取付基筒、
８：筒部材、９：孔、１０：係合突部、１１：割
溝、１２：離型紙、１３：内装材取付用板体。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 表面に係合用起伏５を設けた柱状の支持体４を
   平板状の基板３表面に立設し、合成樹脂により一
   体形成した取付具と、 該取付具の支持体４に該支持体４外面と内部の
   孔９内面との間に間隔を有する遊動状態で外嵌可
   能な筒部材８を平板状の基板６表面に立設すると
   ともに、筒部材８先端の孔９内面には内装された
   支持体４表面に外嵌することができ、しかも支持
   体４の係合用起伏５に係脱しうる係合突部１０を
   孔９内面から突出した状態で延設し、且つ筒部材
   ８の軸方向の先端面から基端適所にわたつて割溝
   １１を設けて取付基筒７を構成し、合成樹脂によ
   り一体形成した被取付具とよりなり、 前記取付具と被取付具の一方の適数を接着剤２
   を介して壁、天井、床等の建築物躯体１内面に接
   着し、他方の適数を一方の位置と対応させ、接着
   剤２を介して内装材取付用板体１３の外面に接着
   し、次いで支持体４に筒部材８を外嵌し、接着剤
   ２を介して係合突部１０を係合用突起５に係合し
   て支持体４と取付基筒７の取付位置を調整するこ
   とで内装材取付用板体１３の垂直又は水平出しを
   行ない、躯体１内面に対し内装材取付用板体１３
   を離間配置して断熱材充填空間Ｓを形成してなる
   建築物の断熱構造。