JPS6243912Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は二輪車用フロントフオーク、特にスト
ローク依存型フロントフオークの改良に関する。

二輪車用フロントフオークにおいては、車輪の
受ける小さな衝撃に対しては発生減衰力を小さく
抑えて柔かく作用せしめ、一方大きな衝撃に対し
ては内筒と外筒との干渉を防ぐ目的で徐々に減衰
力を増大せしめることが望ましい。

そこで外周軸方向に複数の油孔を段状に設けて
成る調整パイプを内装し、ストロークの進行とと
もに該パイプの油孔の開口総面積を減少せしめ、
以つて徐々に発生減衰力の増大を図るようにした
フロントフオークが従来から提案され、既に実用
に供されている。

ところがこの種フロントフオークにあつては、
前記調整パイプを内装する関係上内部に封入する
油量がこの調整パイプの体積分だけ減少し、この
ため特に激しい振動を受けた場合は油が内筒上部
のガス室にまで跳ね上がり、コイルスプリング等
に不着するため、減衰力を発生させるに必要な油
量を確保できなくなり、所謂油面切れを起こして
所要の減衰力を安定して得られなくなる虞れが生
ずる。

本考案者はこの種フロントフオークの上記問題
に鑑み、これを有効に解決すべく本考案を成した
もので、その目的とする処は、調整パイプを内装
して成るフロントフオークにおいて、内部に張設
されたコイルスプリングを２分割して２本とする
とともに、これ２本のスプリング間に多数の小孔
を穿設して成るメツシユ板を介設することによ
り、油の跳ね上がりを防止して減衰力発生に必要
な油量を確保し、所謂油面切れを防止して所要の
減衰力を安定して得ることができるようにした二
輪車用フロントフオークを提供するにある。

以下に本考案の好適一実施例を添付図面に基づ
いて詳述する。

第１図は本考案に係るフロントフオークの縦断
側面図、第２は第１図２−２線断面図である。

図に示すフロントフオーク１において、２は外
筒であり、この外筒２内には上方から内筒３が上
下摺動自在に嵌合しており、又外筒２の内底部に
はシートパイプ４が外筒２に対して同芯的に植設
され、該シートパイプ４の拡径先部４ａは図示の
如く前記内筒３の内周部に摺接している。

外筒２の上端内周部にはリング状のオイルシー
ル５が設けられ、これのシール作用で内筒３と外
筒２との摺動は油密、且つ気密に成される。

又内筒３の下部内周部には上方から下方への油
が流れのみを許容するチエツクバルブ６が設けら
れており、これ３の上端はこの部に螺着されたフ
オークボルト７にて閉塞されている。

更に前記シートパイプ４の上部及び下部外周に
は油孔８，９……が夫々穿設されており、又これ
４の上端内周部には上方から下方への油の流れの
みを許容するチエツクバルブ１０が設けられてい
る。

一方、前記フオークボルト７の下面にはその外
周軸方向に複数の油孔１１を段状に穿設して成る
調整パイプ１２の上端が固着され、該調整パイプ
１２は図示の如く、内・外筒３，２及びシートパ
イプ４に対して同芯的に垂下し、これの下部は図
示の如くシートパイプ４内に臨んでいる。又この
調整パイプ１２の内部中間位置にはチエツクバル
ブ１３が設けられており、該パイプ１２の下端面
は開口している。

斯くしてフロントフオーク１内には図示の如く
室S₁，S₂，S₃，S₄，S₅が区画形成され、これら室
には作動油が封入され、特に室S₅の上部はガスが
封入されている。

ところで、上記室S₅のフオークボルト７とシー
トパイプ４間には上下に２分割された２本のコイ
ルスプリング１４，１５が夫々張架され、これら
スプリング１４，１５間で、且つ調整パイプ１２
の外周側には第２図に示す如く多数の小孔１６ａ
……を穿設して成るリング状メツシユ板１６が上
下摺動自在に介設されている。

以上の如く構成されるフロントフオーク１にお
いて、内筒３の上端は不図示の二輪車の車体側
に、外筒２の下端は車輪側に夫々連結され、両者
２，３は相対伸縮動する如く構成されている。

次に本フロントフオーク１の作用について説明
する。

まず圧縮過程においては、内筒３が外筒２に対
して下動すると、この内筒３の侵入体積に相当す
る油が室S₁から油孔９……を介して室S₂，S₄に流
入し、最終的に調整パイプ１２に設けた油孔１１
……のうちチエツクバルブ１０より上方に位置す
る油孔１１−１……のみを介して室S₅に流入し、
これら油孔１１−１……を通過する時の油の流動
抵抗で以つて所期の減衰力が発生する。即ち、こ
の時油孔１１……のうちチエツクバルブ１０より
下方へ位置する油孔１１−２……を介しては油は
流動せず、従つてこれら油孔１１−２……は減衰
力発生に何ら寄与しない。

そして内筒３の圧縮ストロークの進行とともに
上記減衰力発生に寄与しない油孔１１−２……の
数は増大し、反面減衰力を発生する油孔１１−１
……の数は減少し、この結果油孔１１……の総開
口面積は減少し、それだけ発生減衰力は増大し、
高ストローク時の内筒３と外筒２との干渉は有効
に避けられる。

ところで、フロントフオーク１が急激な外部振
動を受ける場合、上述の如くして最終的に室S₅に
導入される油は高い運動エネルギを付与され、室
S₅の上方へ跳ね上がろうとするが、この油の持つ
エネルギはメツシユ板１６の小孔１６ａ……を通
過する時の流動損失によつて有効に変換され、油
はその跳ね上がりを有効に阻止される。即ち、油
の跳ね上がりはメツシユ板１６の整流作用によつ
て有効に阻止される。

この結果、減衰力発生に必要な油量が不足する
ことがなく、従つて油面切れが起こることがなく
フロントフオーク１は常に所要の減衰力を安定し
て発生する。

尚フロントフオーク１の伸長行程においては、
室S₃の油が油孔８を介して室S₂内に流入し、この
油孔８を油が通過する際の流動抵抗で以つて所要
の伸長側減衰力が得られる。

以上の説明で明らかな如く本考案によれば、調
整パイプを内装して成るフロントフオークにおい
て、内部に張設したコイルスプリングを２分割し
て２本とするとともに、これら２本のスプリング
間に多数の小孔を穿設して成るメツシユ板を介設
したため、油の跳ね上がりを防止して減衰力発生
に必要な油量を確保し、所謂油面切れを防止して
所要の減衰力を常に安定して得ることができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すもので、第１図
は本考案に係るフロントフオークの縦断側面図、
第２図は第１図２−２線断面図である。 尚図面中１はフロントフオーク、２は外筒、３
は内筒、４はシートパイプ、８，９，１１は油
孔、１２は調整パイプ、１４，１５はコイルスプ
リング、１６はメツシユ板、S₁乃至S₅は油室であ
る。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 内筒と外筒を摺動自在に嵌合し、外筒内底部に
   植設したシートパイプの拡径先部を前記内筒内に
   摺接させるとともに、その外周軸方向に複数の油
   孔を段状に設けて成る調整パイプを前記内筒内頂
   部に固着垂下し、内筒内頂部と前記シートパイプ
   間にコイルスプリングを張架して成る二輪車用フ
   ロントフオークにおいて、前記コイルスプリング
   を上下に分割して２本とするとともに、これら２
   本のスプリング間に多数の小孔を穿設して成るメ
   ツシユ板を介設したことを特徴とする二輪車用フ
   ロントフオーク。