JPS6242845Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はオートバイ等の二輪車のハブ防水装置
に関するもので、ブレーキドラム内への浸水を確
実に防止すると共に、ブレーキドラムの補強もで
きるようにしたものである。

（従来の技術） ドラムブレーキは、ブレーキドラムに、シユー
によりブレーキライニングを押し付けて制動力を
得るので、ブレーキドラムの内部に水が浸入する
と充分な作動が得られないことになる。そこで従
来から、ブレーキドラムの内部に水が浸入しない
ような種々の工夫がなされてきたが、いずれも構
造複雑となつたり、充分な効果が望めないことが
多かつた。

（考案が解決しようとする問題点） 本考案はこの点に鑑みて成されたものであり、
上記従来のものの有する問題点を簡単な構成で解
決することを目的とする。

（問題点を解決するための手段） 本考案は上記問題点を解決すずために、一側端
を拡径した円筒状のラビリンスプレートをブレー
キドラムの外周に圧入し、該ラビリンスプレート
の他側端を前記ブレーキドラムから外周に延びる
ハブスポークに衝合させて取付けると共に、ブレ
ーキパネルを前記ラビリンスプレートの拡径部に
小間隙を設けて対向させたものである。

（作用） このような構成とすれば、ブレーキドラムの端
部とラビリンスプレートの拡径部およびブレーキ
パネルの対向部がラビリンス構造を形成すること
になるので、ブレーキドラムの内部に水が浸入す
ることはない。またブレーキドラムに圧入したラ
ビリンスプレートの一端をハブスポークに衝合し
たことにより、位置ずれや脱落を生ずることがな
い。

（実施例） 以下、本考案の一実施例を第１図について説明
すると、１はオートバイのフロントフオークであ
り、２はフロントアクスルシヤフトである。この
フロントアクスルシヤフト２には、ベアリング
３，３を介してブレーキハブボス４が回転自在に
支持されている。

ブレーキハブボス４には、バブスポーク５とブ
レーキドラム６とが、それぞれ溶接によつて取付
けられている。このハブスポーク５とブレーキド
ラム６とは、図示するようにその一部において重
ね合わされて一体的になつている。ブレーキドラ
ム６は、外周部が開口端（図における左端）に向
かうにしたがい僅かに大径となる。いわゆるカツ
プ状をしており、ブレーキパネル７にアンカーピ
ン８によつて取付けられたシユー９や、対向する
シユー９の間にあつてこれを拡開するカム１０な
どがこのブレーキドラム６の内部に配設されてい
る。１１はブレーキライニング、１２は対向する
シユー９に近接する方向の力を与えるリターンス
プリングである。

１３は円筒状のラビリンスプレートである。こ
のラビリンスプレート１３はブレーキドラム６の
外周に、このブレーキドラム６とハブスポーク５
とを重ね合わせて一体化する前に、図における右
方からブレーキドラム６に圧入され、一体化して
いる。ラビリンスプレート１３の一側端（図にお
ける左側端）は若干拡径しており、その拡径部１
３ａの内壁と、若干外側に開いたブレーキドラム
６の折返し部６ａの端部との間には、小さな隙間
が設けられている。そしてラビリンスプレート１
３のハブスポーク５側の端部は、ハブスポーク５
に衝合させて取付け、この部分の隙間ｄ（ラビリ
ンスプレート１３の端部とハブスポーク５との衝
合部の隙間）は極小に、すなわち隙間が生じない
ように、してある。一方、前述のようにシユー９
やカム１０などを取付けたブレーキパネル７の外
周部７ａは、図示するようにラビリンスプレート
１３の拡径部１３ａに小間隙を設けて対向させて
あり、この部分、すなわち、ブレーキパネル７の
外周部７ａとブレーキドラム６の折返し部６ａ、
およびラビリンスプレート１３の拡径部１３ａと
は、ラビリンス構造を形成している。

このように構成されたこの装置において、二輪
車が走行すると、ブレーキハブボス４、ハブスポ
ーク５、ブレーキドラム６が、ハブスポーク５の
外周に取付けられた図示しないリムおよびタイヤ
と共に一体に回転する。雨水等の水がブレーキパ
ネル７にかかつたときには、この水はブレーキパ
ネル７の外周部７ａとブレーキドラム６の折返し
部６ａ、およびラビリンスプレート１３の拡径部
１３ａとから形成されたラビリンス構造により邪
魔されてブレーキドラム６の内部に浸入すること
がない。このように水の浸入が確実に防止できる
ので、ブレーキの作動が長期に亘つて安定して得
られることになる。

第２図に示すものは本考案の他の実施例の要部
である。この場合には、ラビリンスプレート１３
のハブスポーク５側の端部を外側に折曲げ、これ
によつて形成したフランジ１３ｂを、ハブスポー
ク５とこのハブスポーク５に溶接により一体化さ
れたブレーキドラム６の接合部に突き当てるよう
にしている。この突き当てにより、ラビリンスプ
レート１３のガタツキを防止している。このよう
な構造でガタツキ防止（およびブレーキドラム６
からの外れ止め）を行えば、ラビリンスプレート
１３の材質を適宜選定してバネ性が得られるよう
にすることにより、部品加工上の誤差を吸収し、
より外れ難くすることができ、常に緩み防止効果
が生じて、ブレーキドラム６へのラビリンスプレ
ート１３の圧着を正常に保つことができることに
なる。

（考案の効果） 本考案は上述のように構成したものであるか
ら、次のような利点がある。

ブレーキドラム内に浸入する水を確実に防止
できる。

ブレーキドラムの補強ができるため、ブレー
キドラム自体の板厚を薄くすることができる。

ブレーキドラムの板厚を薄くすることができ
るので、これをプレス加工で打抜いて製作する
とき、その絞り型を小型にすることができる。

圧入によつて取付け、溶接をする必要がない
ので、ラビリンスプレートに溶接ひずみが生じ
ない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例の断面図、第２図は
本考案の他の実施例の要部を示す断面図である。 ２……フロントアクスルシヤフト、４……ブレ
ーキバブボス、５……ハブスポーク、６……ブレ
ーキドラム、６ａ……折返し部、７……ブレーキ
パネル、８ａ……外周部、１３……ラビリンスプ
レート、１３ａ……フランジ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 一側端を拡径した円筒状のラビリンスプレート
   をブレーキドラムの外周に圧入し、該ラビリンス
   プレートの他側端を前記ブレーキドラムから外周
   に延びるハブスポークに衝合させて取付けると共
   に、ブレーキパネルを前記ラビリンスプレートの
   拡径部に小間隙を設けて対向させたことを特徴と
   する二輪車のハブ防水装置。