JPS5916579Y2 - 車両用ディスクブレ−キのダストカバ− - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は車両用ディスクブレーキのダストカバーに関す
る。

例えば前輪駆動車両用ディスクブレーキは公知のように
軸受けを介して前輪アクスルを回転可能に支持するアク
スル支持部材と、該前輪アクスル先端部に固定されたホ
イールハブと、該ホイールハブに固着されたテ゛イスク
ロータと、該ディスクロータを一対の摩擦パッド間で締
付けることにより制動作用を行なうキャリパとを有する
。

この種のディスクブレーキでは通常ディスクロータの道
路に露呈する内側面すなわちテ゛イスクホイールと反対
の面をアクスル支持部材に固定したダストカバーにより
覆い、摩擦パッドとディスクロータ接触部への泥水侵入
を防止するとともにハブ内部への泥水侵入を防止してい
る。

しかしながら侵入泥水量がきわめて少ない場合には上述
の構造により充分泥水の侵入を防止するという目的が達
せられるが、侵入泥水量が多い場合には上述の構造のみ
では泥水侵入を防止することができない。

即ち、固定ダストカバーとキャリパ間にはキャリパ取付
は空間を確保するための隙間が必要であり、また固定ダ
ストカバーとテ゛イスクロータ間にはテ゛イスフロータ
冷却用空気を十分に導入できるようにある程度の隙間が
必要であるためこれら隙間を介して泥水がホイールハブ
内に侵入してしまうのである。

このような泥水の侵入によりアクスルを支持するころが
り軸受とホイールハブ間に取付けた泥水侵入防止用シー
ルが損傷され、その結果泥水はころがり軸受に達してこ
ろがり軸受を損傷すると共にころがり軸受の内側に貯留
されているグリースに泥水が混入するためグリースが劣
化し、それによってころがり軸受の損傷が一層助長され
ることになる。

このようにころがり軸受が損傷することは車輌走行上き
わめて危険であり、従ってころがり軸受に損傷を与える
泥水侵入を防止する必要が生じてくるのである。

本考案は泥水侵入を防止するための構造の極めて簡単な
車輌用ディスクブレーキのダストカバーを提供すること
にある。

以下、添付図面を参照して本考案を詳細に説明する。

第１図に前輪駆動車両の前輪上半分の断面図を示す。

第１図を参照すると、１は図示しない前輪操舵用回動ナ
ックルに固定されたアクスル支持部材、２は一対のころ
がり軸受３を介してアクスル支持部材１の中空スリーブ
部に回転可能に支承された回転アクスル、４は泥水侵入
防止並びにグリース漏出防止の双方の機能を果す一対の
シール、５はアクスル２の先端部にボルト６により固定
されたホイールハブ、７はボルト８によりホイールハフ
゛５に固定されたディスクロータ、９はホイールハブ５
に固定されたホイールを夫々示す。

第１図から明らかなようにテ゛イスクロータフは環状部
７ａとリング状段部７ｂとにより構成され、このリング
状段部７ｂとアクスル２間には内向きに開口する環状凹
所１０が形成される。

一方、アクスル支持部材１の中空スリーブ部上には環状
フランジ１１が一体形成され、この環状フランジ１１に
はディスクロータ７の内側面１２に対面するダストカバ
ー１３がボルト１４により固定される。

このダストカバー１３は第２図に示すような形状を有し
、その周縁部に図示しないキャリパ−の取付用切欠き部
１５を有する。

またダストカバー１３は４個のボルト孔１６を有し、こ
れらボルト孔１６内に挿入されたボルト１４によって第
１図に示すようにアクスル支持部材１の環状フランジ１
１に固定される。

ダストカバー１３は垂直平面内に延びる環状部１３ａと
、テ゛イスクロータフの外周縁１７周りを覆うように延
びる円錐状外周壁部１３ｂと、環状凹所１０内に延びる
円錐状内周壁部１３ Ｃとにより構成され、この円錐状
内周壁部１３ Ｃの内端部に環状板１８がその内縁部１
９でがしめ結合される。

第１図に示されるようにこの環状板１８は環状凹所１０
を覆うようにしてアクスル支持部材１の外周面からリン
グ状段部７ｂの内周面に亘って延びる。

従って車両運転時に外部からダストカバー１３とディス
クロータ７との間隙を介して矢印Ａに示すように侵入す
る泥水、或いは図示しないキャリパとダストカバー切欠
部１５間の間隙を介して侵入する泥水は環状板１８によ
って環状凹部１０内への侵入が防止され、その結果ころ
がり軸受３の早期劣化を阻止することができる。

また、本考案によるダストカバ一本体はプレス成形され
たダストカバー１３に環状板１８をかしめ結合すること
により容易に一体物として形成でき、次いで組立工程時
に環状板１８を一体化したダストカバー１３はボルト１
４によりアクスル支持部材１に固定される。

従ってダストカバー１３と環状板１８とを予め別体の部
材から構成して、これらダストカバー１３と環状板１８
とを同時にボルト１４によってアクスル支持部材１に固
定する場合に比してダストカバ一本体の取付は作業が簡
素化されることになる。

更に、環状板１８の内周縁はアクスル支持部材１の中空
スリーブ部の外周面上に嵌合するのでダストカバー１３
をアクスル支持部材１上に組付ける際にダストカバー１
３が中空スリーブ部によって案内されるために環状フラ
ンジ１１のボルト孔に対するダストカバー１３の位置合
せが容易になり、またダストカバー１３がアクスル支持
部材１に固締されたときはダストカバー１３は環状フラ
ンジ１１と環状板１８の内縁部の２点において支持され
るのでダストカバー１３を強力に支持することができる
。

第３図に別の実施例を示す。

この実施例ではディスクロータリング状段部７ｂの内壁
面上に環状溝２０が形成され、この環状溝２０に対面し
てリング状段部７ｂの内壁面直径にほぼ等しい直径を有
する環状板１８が設けられる。

このように環状溝２０と環状板１８とによりラビリンス
構造を形成することによって泥水の侵入作用を更に効果
的に阻止することができる。

これまで本考案を前輪駆動車両の前輪に適用した場合に
ついて説明してきたが本考案を前輪駆動用車両の後輪或
いは後輪駆動用車両の前後輪に適用できることは言うま
でもない。

以上述べたように本考案によれば簡単な構造のダストカ
バーによって泥水の侵入を防止でき、それによってころ
がり軸受の早期劣化を阻止することが可能となる。

【図面の簡単な説明】 第１図は本考案に係るダストカバーを具えた前輪上半分
の断面図、第２図は第１図のダストカバーの斜視図、第
３図は別の実施例の断面図である。 １・・・・・・アクスル支持部材、２・・・・・・アク
スル、３・・・・・・ころがり軸受、４・・・・・・シ
ール、５・・・・・・ホイールハブ、７・・・・・・デ
ィスクロータ、７ｂ・・・・・・リング状段部、９・・
・・・・ホイール、１０・・・・・・環状凹所、１３・
・・・・・ダストカバー、１８・・・・・・環状板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. アクスル支持部材がアクスルを包囲して該アクスルを回
   転可能に支承する中空スリーブ部と、該中空スリーブ部
   の外周壁面から半径方向外方に延びるダストカバー取付
   用フランジとを具備し、該アクスルの車両幅方向外端部
   に半径方向外方に延びるホイールハブを固着すると共に
   該ホイールハブにディスクロータをボルト締めし、該デ
   ィスクロータが上記ホイールハブの内側面から内方に延
   びるリング状段部と、該リング状段部の内端から半径方
   向外方に延びる環状制動部とを具備し、該リング状段部
   が上記アクスル支持部材の中空スノーブ部を包囲して該
   中空スリーブ部との間に環状空間を形成すると共に上記
   環状制動部が上記ダストカバー取付用フランジに対して
   車両幅方向外方に位置し、更に上記中空スリーブ部を受
   容可能な内周縁を有すると共に上記環状制動部に対面配
   置されたダストカバーを上記ダストカバー用フランジに
   ボルト締めした車両用テ゛イスクブレーキにおいて、上
   記ダストカバーの内周縁を上記環状凹所内に延設すると
   共に該ダストカバーの延設内端部に半径方向外方に向け
   て上記リング状段部内周壁面近傍まで延びる環状部を一
   体的に形成すると共に該環状部の内周縁を上記中空スリ
   ーブ部の外周壁面上に嵌着するようにした車両用ディス
   クブレーキのダストカバー