JP2721881B2 - ドラムインデイスクブレーキ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明は、ドラムインデイスクブレーキに関するも
のである。 （従来の技術） ドラムインデイスクブレーキは、駐車ブレーキ用のド
ラムブレーキの外側に常用ブレーキ用のデイスクブレー
キを備えるもので、ブレーキドラムの筒状部の外周に、
ブレーキデイスクが同体に形成されている（実公昭53−
17428号）。このようなハツト形ブレーキデイスクは、
車輪と共に車両の回転部（例えばアクスルシヤフト）に
取付けられる。 そして、車両の非回転部（例えばアクスルケース）に
パツキングプレートが固定され、ドラムブレーキのブレ
ーキシユー、パーキングレバー等を支持すると共に、ド
ラムブレーキを覆つて防塵及び防水機能を発揮する。こ
のパツキングプレートには、デイスクブレーキを支持す
るサポートが取付けられる。 （発明が解決しようとする問題点） しかし、このような従来のドラムインデイスクブレー
キにあつては、パツキングプレートの外周に補助カバー
を固着し、この補助カバーの内縁をハツト形ブレーキデ
イスクの環状溝に臨ませるなどしてラビリンス構造と
し、ドラムブレーキの防塵及び防水を図るようになつい
ているため、パツキングプレートとは別部材の補助プレ
ートを要し、構造が複数でコストの嵩むものとなつてい
た。 （問題点を解決するための手段及び作用） この発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたも
ので、その構成は、筒状部の一端に内向きフランジ状部
を備えるブレーキドラムと、該筒状部の外周に同体に形
成されたブレーキデイスクとを備え、該内向きフランジ
状部において車両の回転部に取付けられて車輪と共に回
転するハツト形ブレーキデイスクの、該筒状部の他端開
口を環状部によつて覆うように車両の非回転部に取付け
られ、該環状部の周縁に車幅方向内側に突出するわん曲
部が形成されたバツキングプレートを備えたドラムイン
デイスクブレーキにおいて、デイスクブレーキのキヤリ
パを支持する一対の取付け部が環状部から半径方向に突
出させて形成され、該取付け部は、わん曲部よりも半径
方向内側から折曲げて、ブレーキドラムの筒状部の内周
角部との干渉を避けてあると共に、取付け部に対応する
箇所を除いて形成される前記わん曲部に、切削によつて
弧状に切除部を形成し、該切除部にブレーキドラムの筒
状部の内周角部を微少間隙をもつて臨ませて、ブレーキ
ドラム内を密封したドラムインデイスクブレーキであ
る。 しかして、ブレーキドラム内に侵入しようとする雨
水、塵埃等の異物は、パツキングプレートの切除部がブ
レーキドラムの内周角部との間に形成する微少間隙によ
つて良好に阻止される。これは、パツキングプレートを
プレス成形した後、切除部を切削加工によつて高精度に
形成でき、その結果、ブレーキドラムとパツキングプレ
ートとの相対回転を許容した状態にて、間隙を可及的に
小さく設定し、シール性能を高め得ることに基づく。 （実施例） 以下、この発明の実施例について図面を参照して説明
する。 第１〜４図は、この発明の１実施例を示す。符号１
は、ブレーキドラム２のブレーキデイスク３とが同体に
形成されたハツト形ブレーキデイスクを示す。ブレーキ
ドラム２は、筒状部４の一端に内向きフランジ状部５を
備え、この内向きフランジ状部５には取付け用孔5a及び
ボルト用孔5bが形成されている。ブレーキデイスク３
は、筒状部４の他端部外周にブレーキドラム２と同体に
形成され、かつ、空冷用の通気孔3aが放射状に形成され
たベンチレーテツドデイスクとなつている。このような
ハツト形ブレーキデイスク１は、車両の回転部であるア
クスルシヤフト６に車輪７と共にハブボルト８にて取付
けられる。 一方、９はパツキングプレートであり、取付け用孔9a
及びボルト用孔9bが形成された環状部9cから半径方向外
側に突出する一対の取付け部9d,9eを有し（第２図参
照）、環状部9cにはブレーキシユー11、パーキングレバ
ー等が支持される。このパツキングプレート９の環状部
9cの周縁には、車幅方向内側に突出するようにわん曲部
9fが両取付け部9d,9eに接続する個所を含めて形成さ
れ、剛性が高められると共に、このわん曲部9fに鉤形の
切除部9gを現状に切削によつて形成する。この実施例に
あつては、切除部9gは、第４図に示すようにわん曲部9f
の基部側に、パツキングプレート９の全周に亘つて形成
されている。 このようなパツキングプレート９は、ボルト14にてベ
アリングケージ15と共に車両の非回転部であるアクスル
ケース16に取付けられ、ブレーキドラム２の他端開口を
環状部9cによつて覆う。この状態にて、パツキングプレ
ート９の切除部9gには、ブレーキドラム２の筒状部４の
内周角部が臨んで、1mm程度の微小間隙δを形成し、ブ
レーキドラム２内を密封している。 またパツキングプレート９の両取付け部9d,9e間に
は、ボルト・ナツト19によつてサポート21が結合され
る。このサポート21に架設した一対のガイドピン23,24
によつて、デイスクブレーキ22のキヤリパ10が、ブレー
キデイスク３の中心軸線方向の浮動自在に支持され、フ
ローテイングキヤリパ形のデイスクブレーキ22を構成す
る。デイスクブレーキ22の一対のパツド25は、その両側
の切欠き25a,25bがそれぞれサポート21の突起21h,21iに
係合して、ブレーキデイスク３の軸方向に浮動自在に支
持され、側動時のブレーキトルクはアンカー面30aまた
は30bにより受けられるようになつている。なお、17は
ベアリングケージ15に保持されたベアリングであり、ア
クスルシヤフト16を回転自在に支持している。 このようなドラムインデイスクブレーキによれば、デ
イスクブレーキ22によつて常用ブレーキとしての制動力
が得られ、ドラムブレーキ18によつて駐車ブレーキとし
ての制動力が得られる。 また、ドラムブレーキ18内に外部から侵入しようとす
る雨水、塵埃等の異物は、パツキングプレート９の切除
部9gが形成するブレーキドラム２内周角部とのブレーキ
デイスク３の軸方向の微少間隙δによつて良好に阻止さ
れる。この切除部9gは、パツキングプレート９をプレス
成形した後、切削加工によつて高精度に形成できるた
め、間隙δを可及的に小さく設定してブレーキドラム２
内を効果的に密封できると共に、ブレーキドラム２とパ
ツキングプレート９との干渉のない相対回転を許容する
ことが可能である。またわん曲部9fの先端は車幅方向内
側に突出して、ベンチレーテツドブレーキデイスク３の
通気孔3aへの通風を促し、ブレーキデイスク３の冷却性
能を向上させる。 第５図には、この発明の他の構成例を示す。この構成
例にあつては、切除部9g′は、パツキングプレート９の
わん曲部9fの先端に鉤形に形成し、この切除部9g′にブ
レーキドラム２の筒状部４の内周角部を臨ませて、ブレ
ーキデイスク３の軸方向のみならず半径方向の双方に微
少間隙δ，δ′を形成している。 この構造例によつても、ブレーキドラム２内への異物
の侵入は、微少間隙δ，δ′によつて良好に阻止される
ため、前記実施例と同様の作用を得ることができる。 ところで、上記実施例にあつては、切除部9g,9g′は
パツキングプレート９の環状部9c外縁に全周に亘つて形
成したが、両取付け部9d,9eに接続する個所は両取付け
部9d,9eにつて覆われるため、切除部9g,9g′を省略し、
切除部9g,9g′の形成による薄肉化に基づく両取付け部9
d,9eの強度低下を避けることができる。その場合、両取
付け部9d,9eに接続するパツキングプレート９の環状部9
cは、第６図に示すようにわん曲部9fより半径方向内側
においてＳ字状に折曲げて、ブレーキドラム２内周角部
との干渉を避ける。かくして、切除部9g,9g′は、パツ
キングプレート９をプレス成形した後、環状部9cの外縁
に、両取付け部9d,9eに接続する個所を除いて、切削に
よつて弧状に形成される。 （発明の効果） 以上の説明によつて理解されるように、この発明によ
れば、デイスクブレーキのキヤリパを支持する一対の取
付け部を有するパツキングプレートを備えるドラムイン
デイスクブレーキにおいて、補助プレート等の別部材を
用いることなく、パツキングプレートの両取付け部を除
くブレーキドラム筒状部の内周角部との対向部分を切削
することにより、高度のシール性がドラムブレーキに付
与され、異物の侵入に伴うウオータフエードあるいは部
品の錆付き等の不具合を、安価かつ簡素な構造によつて
効果的に防止することができた。加えて、デイスクブレ
ーキのキヤリパを支持する一対の取付け部に対応する箇
所のドラムブレーキに対するシール性は、両取付け部の
存在によつて良好に確保される。また、両取付け部に対
応する箇所には切除部が形成されていないので、切除部
の形成に伴う両取付け部の強度低下が防止される。

【図面の簡単な説明】 第１〜４図はこの発明の１実施例を示し、第１図はドラ
ムインデイスクブレーキを示す断面図、第２図はデイス
クブレーキの取付け状態を示す正面図、第３図はパツキ
ングプレートを示す背面図、第４図は要部を拡大して示
す断面図、第５図はこの発明の他の構造例を示す第４図
と同様の断面図、第６図はこの発明の更に他の構造例を
示す要部断面図である。 1:ハツト形ブレーキデイスク、2:ブレーキドラム、3:ブ
レーキデイスク、4:筒状部、5:内向きフランジ状部、6:
アクスルシヤフト（回転部）、7:車輪、9:パツキングプ
レート、9c:環状部、9f:わん曲部、9g,9g′：切除部、1
6:アクスルケース（非回転部）、21:サポート、22:デイ
スクブレーキ、δ，δ′：間隙

Claims (1)

1. (57)【特許請求の範囲】 １．筒状部の一端に内向きフランジ状部を備えるブレー
   キドラムと、該筒状部の外周に同体に形成されたブレー
   キデイスクとを備え、該内向きフランジ状部において車
   両の回転部に取付けられて車輪と共に回転するハツト形
   ブレーキデイスクの、該筒状部の他端開口を環状部によ
   つて覆うように車両の非回転部に取付けられ、該筒状部
   の周縁に車幅方向内側に突出するわん曲部が形成された
   バツキングプレートを備えたドラムインデイスクブレー
   キにおいて、 デイスクブレーキのキヤリパを支持する一対の取付け部
   が環状部から半径方向に突出させて形成され、該取付け
   部は、わん曲部よりも半径方向内側から折曲げて、ブレ
   ーキドラムの筒状部の内周角部との干渉を避けてあると
   共に、 取付け部に対応する箇所を除いて形成される前記わん曲
   部に、切削によつて弧状に切除部を形成し、該切除部に
   ブレーキドラムの筒状部の内周角部を微小間隙をもつて
   臨ませて、ブレーキドラム内を密封したことを特徴とす
   るドラムインデイスクブレーキ。