JPS6240682B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［技術分野］ 本発明は、単一モード光フアイバを融着して接
続する方法に関するものである。

［従来技術］ 単一モード光フアイバは、フアイバ中を伝搬す
るモードの界分布の大きさ（以後伝搬モードのス
ポツトサイズまたは単にスポツトサイズという）
が数μｍと小さい。従つて、その接続において
は、フアイバ外形の偏差やコアの偏心による軸ず
れによつて大きな損失が生じやすく、問題となつ
ていた。

この問題を解決する方法として、一般に実用化
されてきたのは、コアの軸を何らかのモニタ装置
によつて検出し、軸調心し、その後軸ずれが生じ
ないように接続することが考えられてきた。しか
し、この種の接続装置は、高精度な微動機構と複
雑なモニタ装置を必要とするため、きわめて装置
コストが高く、しかも接続時間が多モード光フア
イバの場合に比較して数倍かかるという欠点を有
していた。

一方、コアの軸調心を行うことなく低損失に単
一モード光フアイバを接続する方法がこれまで提
案されてきた。

その中で最も低損失な接続を達成できる可能性
がある方法として、軸固定方式テーパ形融着接続
法がある。この方法を第１図Ａ〜Ｄにより説明す
る。第１図Ａのように、接続すべき２本の単一モ
ード光フアイバ１と２とを、対向する放電電極３
Ａと３Ｂとの中央で突合せ、放電電極３Ａと３Ｂ
との間に発生する放電アーク４によつて加熱溶融
させる。

次に、第１図Ｂに示すように、光フアイバ１お
よび２の一方もしくは双方を矢印方向に押し込ん
で、溶融した端面を融着する。

その後、第１図Ｃに示すように、再び加熱しな
がら、双方の光フアイバ１および２を接続部５を
中心に引張り、接続点でくびれたテーパ形状６を
作る。

最終的に、第１図Ｄに示す形状を形成するわけ
であるが、このようなテーパ形状６とした合、接
続部５ではコア形が外径に比例して縮小してお
り、伝搬モードのスポツトサイズが接続部５だけ
拡大することになる。また、接続点の軸ずれ量も
外径に比例して小さくなるため、軸ずれによる接
続損失はきわめて小さくなるという利点がある。

しかしながら、この方法が実際に実用的な方法
として開発されなかつたのは、次のような問題が
あつたからである。

第１の問題として、第１図Ｄのテーパ形状６に
おいて、低損失となるためには、まずテーパ形状
６を有する部分（図中の距離Ｌ）におけるモード
の伝搬損失がきわめて小さくなければならない。
そのためには、フアイバの長手方向の径の変化分
γを γ＝2L／（Ｄ−ｄ）≧40 程度としなければならない。ここで、ｄは接続部
５での直径、Ｄは光フアイバ１，２の外径であ
る。

しかし、通常用いられる放電加熱形融着接続装
置を用いて第１図Ａ〜Ｃの工程を行うと、フアイ
バの溶融領域が狭いために、Ｌが0.5mm以下にし
かならず、Ｄ＝125μｍ，ｄ＝40μｍとした場
合、γ＝12程度となり、テーパ部分での伝搬損失
がきわめて大きくなつてしまい、低損失な接続が
実現できなかつた。

そこで、光フアイバの加熱溶融領域を広げて、
テーパ部分のＬを長くするためには、第２図Ａお
よびＢに示す方法が考えられる。すなわち、第２
図Ａに示すように、光フアイバの軸方向に幅広の
放電電極１３Ａおよび１３Ｂを対向配置して、幅
広の放電アーク１４を形成し、それにより溶融領
域を拡大する。

この方法では、テーパ形状を形成する以前のフ
アイバ端面の融着接続時に、第２図Ｂに示すよう
に、溶融領域が広すぎるために、融着時の端面形
状の変化が激しく、コアの大きな変形を招きやす
く、したがつて低損失な接続を行うことができな
い問題があつた。

そこで、これらの問題を解決するためには、テ
ーパ形状用加工装置を別に設けなければならない
ので不経済であるのに加えて、その装置まで接続
部を移動させる際に、接続部が破断してしまう等
の危険性があり、これまでに実現されていなかつ
た。

第２の問題として、接続部の形状がテーパ形に
細くなつているために、接続部の強度がきわめて
弱いという欠点がある。特に、接続心線の余長処
理時に発生する心線のねじれが接続部に加つた場
合や、温度変化によつて心線被覆部からフアイバ
の突き出しが発生して接続部に長手方向の圧縮応
力が加わつた場合には、光フアイバの接続部が破
断する確率が非常に高く、このことが従来の接続
法の最大の欠点があつた。

［発明の目的］ そこで、本発明の目的は、これらの欠点を解決
し、低損失で高強度の接続を短時間のうちに行う
ことのできる単一モード光フアイバの接続方法を
提供することにある。

本発明の他の目的は、接続部を簡単に補強して
強度の高い接続を短時間のうちに行うことのでき
る単一モード光フアイバの接続方法を提供するこ
とにある。

［発明の構成］ かかる日的を達成するために、本発明の第１の
形態では、接続すべき２本の単一モード光フアイ
バを対向させ、これら光フアイバの両端面を加熱
溶融して融着接続し、ついで、この接続部を加熱
溶融しながら、接続部を中心に、これら光フアイ
バを互いに遠去かる方法に引張つて、接続部を細
くテーパ状にして接続する方法において、接続す
べき２本の単一モード光フアイバを融着接続した
後に、当該２本の単一モード光フアイバを互いに
遠去かる方向に引張つて接続部を所要の太さに
し、次に単一モード光フアイバの一方を固定し、
他方の単一モード光フアイバを引張りながら加熱
溶融領域をかかる他方の単一モード光フアイバの
引張る方向に同時に移動させて、その他方の単一
モード光フアイバ側にテーパを形成する。次に、
加熱溶融領域を接続部の中心にまで戻してから、
他方の単一モード光フアイバを固定し、一方の単
一モード光フアイバを引張りながら、加熱溶融領
域をかかる一方の光フアイバの引張る方向に同時
に移動させて、その一方の光フアイバ側にテーパ
を形成して接続する。

ここで、２本の単一モード光フアイバを融着接
続するときと、接続部をテーパ状に加工するとき
とで加熱温度を変化させるのが好適である。

本発明の第２の形態では、接続すべき２本の単
一モード光フアイバを対向させ、光フアイバの両
端面を加熱溶融して融着接続する工程と、その接
続部を加熱溶融してテーパ状に加工する工程と、
テーパ状部分を含めて２本の単一モード光フアイ
バに補強材を添わせる工程と、テーパ状部分の端
部または外部において２本の単一モード光フアイ
バと補強材とを融着して一体化する工程とを有す
る。

［実施例］ 以下に図面を参照して本発明を説明する。

本発明の一実施例を第３図Ａ〜Ｇにより説明す
るに、まず、第３図Ａのように、接続すべき２本
の単一モード光フアイバ１と２とを対向させる。
これらフアイバ１および２の対向端部をはさんで
対向して配置した放電電極２３Ａ，２３Ｂとの間
に放電アーク２４を発生させて、その放電加熱に
よつてフアイバ端面を溶融し、その状態で、第３
図Ｂに示すように、両フアイバ１と２とを矢印方
向に押し込んで融着接続する。

次に、接続部２５を細くテーパ状にするため
に、第３図Ｃのように、フアイバ１および２を矢
印のように互いに遠去かる方向に引張り、接続部
２５を所要の外径にまで細くしてテーパ部２６を
形成する。この状態では、テーパ部２６の形状が
光フアイバ１および２の長手方向に対して急激に
変化しているため、かかるテーパ部２６での伝搬
モードの損失が大きく、実用的でない。

そこで、まず第３図Ｄに示すように、一方の光
フアイバ２を固定しておき、他方の光フアイバ１
を一方の光フアイバ２から遠去かる方向に引張
り、それと同時に、放電電極２３Ａおよび２３Ｂ
を光フアイバ１の方向に移動させる。それによ
り、放電電極２３Ａおよび２３Ｂの移動速度と引
張力および加熱温度に応じて、なだらかなテーパ
形状２７を他方の光フアイバ１の側に形成するこ
とができる。

なお、このようなテーパ加工時には、フアイバ
端面の融着接続時ほどの温度を必要としないた
め、放電電流を変えて加熱温度を下げるのが制御
の上では有効である。

ついで、一方の光フアイバ２側になだらかなテ
ーパを形成するために、第３図Ｅのように、放電
電極２３Ａおよび２３Ｂを一方の光フアイバ２の
側に移動させ、他方の光フアイバ１は固定してお
き、一方の光フアイバ２をを引張りながら、第３
図Ｄと同様に、放電電極２３Ａおよび２３Ｂをも
一方の光フアイバ２の引張り方向に移動させる。
これにより、第３図Ｆに示すように、一方の光フ
アイバ２の側にもなだらかなテーパ形状２８を形
成する。第３図Ｇは接続部２５におけるテーパ加
工の終了状態を示す。

以上の処理によつて、接続部２５から軸方向に
のびるテーパ２７および２８のテーパ長Ｌを長く
とることができ、長手方向のコアの形状変化をγ
を γ＝2L／（Ｄ−ｄ）≧40 とすることができ、以て低損失な光フアイバ接続
を実現することができる。

ここで、使用する放電電極２３Ａおよび２３Ｂ
は、光フアイバ１および２の端面付近のみを溶融
し、接続部２５におけるコア形状の変化ができる
だけ小さくなるようにしたものであり、本発明に
は、この放電電極によつてテーパ加工をも実現で
きる利点もある。

上式を満たすテーパ形状の接続部は、低損失で
あるが、その一方で、外径が細くなつているため
に、強度的に弱いという欠点がある。

第４図Ａ〜Ｄはこの強度的に弱い欠点を解決す
るようにした本発明の他の実施例を示し、第３図
Ａ〜Ｃのようにしてテーパ加工を行つた後に、第
４図ＡおよびＢに示すように、例えばＶ字形の補
強用ガラスＶ溝３０をテーパ部２７および２８に
添わせ、これらテーパ部２７および２８外の部分
で補強用ガラスＶ溝３０と光フアイバ１および２
とを放電電極２３Ａおよび２３Ｂによる放電加熱
によつて融着する。

なお、この融着部分は必ずしもテーパ部２７お
よび２８の外の部分に限られず、テーパ部の端部
において融着したり、あるいは端部からそれより
内側にまでかかつていてもよいこと勿論である。

第４図Ｃはこの放電加熱によつて補強用ガラス
Ｖ溝３０が光フアイバ１および２に融着して符号
３０′で示すように変形した様子を示す。第４図
Ｄはこの変形した補強用ガラス部材３０′による
融着補強の完了状態を示す。

本例では、補強材３０を光フアイバ１および２
に融着する際に、光フアイバの融着接続に用いた
放電電極２３Ａおよび２３Ｂを利用でき、しか
も、補強材３０を接続装置本体に多数内蔵させて
おき、自動的に第３図Ｇに示す接続位置まで供給
することによつて、これら一連の工程を自動化す
ることも可能である。

さらにまた、本実施例によれば、接続部の強度
はかなり強化されているので、心線部分を含めた
接続部分全体の補強にあたつては、従来の補強
法、例えば熱収縮チユーブ補強法等をそのまま用
いることができる。

［効 果］ 以上説明したように、本発明によれば、低損失
な接続が可能な放電加熱機構を用いて、２本の単
一モード光フアイバを融着接続すると同時に、ゆ
るやかなテーパ形状の接続部分を形成することが
できるため、きわめて低損失な接続を実現でき
る。しかもまた、本発明によれば、接続装置の構
成が簡単になり、電極の保守、高電圧回路の設計
等が容易になるという多くの利点がある。

さらにまた、なだらかなテーパ形状に細く加工
された接続部分にその場で補強材を添わせてなだ
らかなテーパ部分の両端を融着補強することによ
つて、従来の融着接続部分よりもさらに強固な接
続部分を作ることができ、以て高信頼な接続を実
現できる利点がある。

本発明は、従来は軸合せ方式でしか実現できな
かつた、低損失で高強度の接続を、きわめて簡単
な軸固定方式の接続によつて実現でき、接続装置
のコストを従来のほぼ1/5に低下させ、しかも接
続時間を従来のほぼ1/4に短縮できる。

【図面の簡単な説明】

第１図Ａ〜Ｄは従来の軸固定方式テーパ形融着
接続法の工程の説明図、第２図ＡおよびＢは放電
加熱領域を広げた従来の軸固定方式テーパ形融着
接続法の説明図、第３図Ａ〜Ｇは、本発明の一実
施例における順次の工程の説明図、第４図Ａ〜Ｄ
は、本発明において融着補強を施した実施例の説
明図である。 １，２…接続すべき単一モード光フアイバ、２
３Ａ，２３Ｂ…加熱用放電電極、２４…放電アー
ク、２５…接続部、２６…テーパ部、２７，２８
…なだらかなテーパ部、３…補強用ガラスＶ溝、
３０′…変形した補強用ガラス部材。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 接続すべき２本の単一モード光フアイバを対
   向させ、該光フアイバの両端面を加熱溶融して融
   着接続し、ついで、その接続部を加熱溶融しなが
   ら、当該接続部を中心に、前記光フアイバを互い
   に遠去かる方向に引張つて接続部を細くテーパ状
   にして接続する方法において、前記接続すべき２
   本の単一モード光フアイバを融着接続した後に、
   当該２本の単一モード光フアイバを互いに遠去か
   る方向に引張つて前記接続部を所定の太さにし、
   次に前記単一モード光フアイバの一方を固定し、
   他方の単一モード光フアイバを引張りながら、加
   熱溶融領域を当該他方の単一モード光フアイバの
   引張る方向に同時に移動させて、該他方の単一モ
   ード光フアイバ側にテーパを形成し、次に、加熱
   溶融領域を前記接続部の中心にまで戻し、前記他
   方の単一モード光フアイバを固定し、前記一方の
   単一モード光フアイバを引張りながら、加熱溶融
   領域を当該一方の単一モード光フアイバの引張る
   方向に同時に移動させて、該一方の単一モード光
   フアイバ側にテーパを形成して接続することを特
   徴とする単一モード光フアイバの接続方法。 ２ 前記２本の単一モード光フアイバを融着接続
   するときと、前記接続部をテーパ状に加工すると
   きとで加熱温度を変化させることを特徴とする特
   許請求の範囲第１項に記載の単一モード光フアイ
   バの接続方法。 ３ 接続すべき２本の単一モード光フアイバを対
   向させ、該光フアイバの両端面を加熱溶融して融
   着接続する工程と、 その接続部を加熱溶融してテーパ状に加工する
   工程と、 当該テーパ状部分を含めて前記２本の単一モー
   ド光フアイバに補強材を添わせる工程と、 前記テーパ状部分の端部または外部において前
   記２本の単一モード光フアイバと前記補強材とを
   融着して一体化することを特徴とする単一モード
   光フアイバの接続方法。