JPS6238817Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は農用トラクタの主変速操作機構に関
する。

従来、主変速レバーから摺動軸を介してミツシ
ヨン部を連動操作すべく構成した農用トラクタの
主変速操作機構においては、摺動軸をニユートラ
ル方向へ付勢すべきスプリングのスプリング受け
体が各種部品とは別体に設けられている為、構造
が複雑となり、主変速操作機構の組立てが困難で
あつた。

また、農用トラクタでは、運転者の乗降が、フ
エンダーの上面に突設した主変速レバーの上方を
通過して行われ、この乗降に際し、運転者が誤つ
て主変速レバーに接触してギヤの噛込を起し、同
トラクタが不意に動き出したり、ギヤを損傷させ
たりするという危険性があつた。

この考案では、並設した左右支持板にそれぞれ
設けたボスに摺動軸両端を貫挿して、同軸を左右
摺動自在に軸架し、同軸に主変速レバーを連設す
ると共に、同軸略中央部にピン取付管を介してシ
フトブロツク係合ピンを連設した農用トラクタの
主変速操作機構において、摺動軸に主変速レバー
の基端を同軸と一体的に固着し、同先端をフエン
ダーの上面に固設した変速銘板のガイド溝を下方
から挿通させ、前記ボス内側端部とピン取付管と
の間に押圧スプリングを介装し、同スプリングで
前記摺動軸をニユートラル方向へ付勢してピン取
付管及びボスをスプリング受けとして共用し、部
品点数を減少させ、製造を容易にしうる農用トラ
クタの主変速操作機構を提供せんとするものであ
る。

この考案の実施例を図面にもとづき詳説すれ
ば、Ａは農用トラクタを示しており、同農用トラ
クタＡは機体１前部に原動機部２を搭載し、その
後方には運転部３を配し、機体１下方の前後には
それぞれ前輪４、後輪５を両側に設けている。運
転部３は前後にハンドル６、座席７をそれぞれ配
し、両側にはステツプ８を張設し、同ステツプ８
前部にはクラツチペダル９を配し、また座席３下
方にはミツシヨンケース１０を配し、座席７両側
に設けたフエンダーのうち左側フエンダー１１上
に主変速レバー１２を突出して設け、同レバー１
２の手動操作によりミツシヨンケース１０内のギ
ヤ噛合の組合せを変えて変速を行うものである。

ここで主変速操作機構を説明すれば、ミツシヨ
ンケース１０上に左右支持板１３，１４を並設
し、両板１３，１４にそれぞれ左右ボス１３′，
１４′を連設し、同左右ボス１３′，１４′に摺動
軸１５の両端をそれぞれ貫挿して、同摺動軸１５
が左右摺動自在かつ前後回動自在となるべく取付
けている。また摺動軸１５の左端部にはＬ型ブラ
ケツト１２′を介して主変速レバー１２を連設し
て、同レバー１２の左右移動及び前後移動操作に
より摺動軸１５を連動すべく構成している。

また左右ボス１３′，１４′間の摺動軸１５略中
央部にピン取付管１６を介してピン１６′を連設
し、同ピン１６′は摺動軸１５の左右摺動により
同ピン下方において左右に並設したシフトブロツ
ク１７，１８のいずれかと択一的に係合する様に
している。

尚、シフトブロツク１７，１８はそれぞれシフ
トフオーク取付軸１７′，１８′端部に連設してい
る。

また、ピン１６′のピン取付管１６と右ボス１
４′間には押圧スプリング１９を介装して摺動軸
１５を左方へ付勢する一方、摺動軸１５の右端部
にはストツパーリング２０を環装して、同摺動軸
を所定位置で保持しており、同位置ではミツシヨ
ンケース１０内のギヤがニユートラルになる様設
定している。

この際、押圧スプリング１９の左端部はピン取
付管１６の右端面に当接させ、右端部は右ボスの
左端面に設けた嵌合凹部１４″に嵌合させた状態
として、ピン取付管１６と右ボス１４′をスプリ
ング受け体として兼用している。

また主変速レバー１２先端は左側フエンダー１
１上に設けた変速銘板２１の上面に開口されたＨ
型のガイド溝２２より突出せしめ、同レバー１２
は前記ニユートラル状態ではガイド溝２２の左側
中央位置となるべく設定している。

尚、同ニユートラル状態において、摺動軸１５
左端部と左ボス１３′外側端部との間の摺動杆１
５周面は伸長状態のジヤバラ状ブーツ２３で囲繞
し、また左ボス１３′内側端部と同部近傍の摺動
軸１５略中央部との間の摺動杆１５周面は収縮状
態のジヤバラ状ブーツ２４で囲繞し、またピン１
６′の基端管１６右端部と右ボス１４′内側端部と
の間の摺動杆１５周面は伸長状態のジヤバラ状ブ
ーツ２５で囲繞し、また右ボス１４′外側端部と
摺動軸１５右端部との間の摺動杆１５周面はジヤ
バラ状ブーツ２６で囲繞している。

尚、図中２７，２８はグリスである。

この考案の実施例は上記の様に構成されてお
り、変速を行う際は、主変速レバー１２の横移動
により摺動軸１５を左右摺動させてピン１６′を
シフトブロツク１７，１８のいずれかに係合さ
せ、週変速レバー１２の前後移動により摺動軸１
５を軸線を中心として前後回動させてピン１６′
からシフトブロツク１７又は１８を介してシフト
フオーク取付軸１７′又は１８′を回動させ、ミツ
シヨンケース１０内のギヤ噛合の組合せを変化さ
せる。

ここで摺動軸１５をニユートラル位置から右方
向へ摺動させる際は押圧スプリング１９の付勢力
に抗して主変速レバー１２を右方向へ移動操作す
ればよく、摺動軸１５の同右位置からニユートラ
ル位置へのもどりは、押圧スプリング１９の付勢
力により自然に行われる。尚、押圧スプリング１
９の受け体は基端管１６及び右ボス１４′がそれ
ぞれ兼用しているので別体としてスプリング受け
体を新たに取付ける必要はない。

また、左右ボス１３′，１４′で受けられる摺動
軸１５の各周面部は摺動軸１５の左右摺動に従つ
て、同ボス１３′，１４′内外を出入するものであ
るが、摺動軸１５の左右摺動に従つてジヤバラ状
ブーツ２３，２４，２５，２６が適宜伸縮して、
前記周面部を常時囲繞すべく対応するので前記周
面部は露出されることがなく、塵等の付着が妨
げ、左右ボス１３′，１４′内へ塵がかみ込まれる
ことがない。

また、第３図において、ｆは拘束鉤を示し同鉤
ｆは、基端を変速銘板２１に回動自在に挿入し、
先端の鉤部で主変速レバー１２の中途を拘束し
て、同レバー１２の前後方向すなわちギヤの噛込
方向の作動を拘束するものである。

この考案では、並設した左右支持板にそれぞれ
設けたボスに摺動軸両端を貫挿して、同軸を左右
摺動自在に軸架し、同軸に主変速レバーを連設す
る共に、同軸略中央部にピン取付管を介してシフ
トブロツク係合ピンを連設した農用トラクタの主
変速操作機構において、前記ボス内側端部とピン
取付管との間に押圧スプリングを介装し、同スプ
リングで前記摺動軸をニユートラル方向へ付勢し
たので、ピン取付管及びボスをスプリング受けと
して共用でき、部品点数を減少させ、製造が容易
になると共に、主変速レバーと摺動軸間に作動変
換機構がなく構造が簡単で、しかもガタ等が発生
する余地がないため同レバーの作動が忠実に摺動
軸に伝達され、また、主変速レバーの操作作動が
変速銘板のガイド溝により規制されているので確
実な変速操作が可能になり、更に、運転者が主変
速レバーの上方を通過して乗降する際、誤つて主
変速レバーに接触しても押圧スプリングが収縮す
るだけでギヤの噛込が発生せず、ギヤ噛込によつ
て生ずる危険を防止するという効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案実施例の側面図、第２図は、
要部の一部切欠背面図、第３図は、同要部の側面
図である。 Ａ……農用トラクタ、１０……ミツシヨンケー
ス、１１……左側フエンダー、１２……主変速レ
バー、１３，１４……左右支持板、１３′，１
４′……左右ボス、１４″……嵌合凸部、１５……
摺動軸、１６……ピン取付管、１６′……ピン、
１７，１８……シフトブロツク、１７′，１８′…
…シフトフオーク取付軸、１９……押圧スプリン
グ、２０……ストツパーリング、２１……変速銘
板、２２……ガイド溝、２３，２４，２５，２６
……ジヤバラ状ブーツ、２７，２８……グリス。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 並設した左右支持板１３，１４にそれぞれ設け
   たボスに摺動軸１５の両端を貫挿して、同軸１５
   を左右摺動自在に軸架し、同軸１５に主変速レバ
   ー１２を連設すると共に、同軸１５の略中央部に
   ピン取付管１６を介してシフトブロツク係合用の
   ピン１６′を連設した農用トラクタの主変速操作
   機構において、摺動軸１５に主変速レバー１２の
   基端を同軸１５と一体的に固着し、同先端をフエ
   ンダー１１上方に延出させて同先端を同フエンダ
   ーの上面に固設した変速銘板２１のガイド溝２２
   を下方から挿通させ、前記ボス内側端部とピン取
   付管１６との間に押圧スプリング１９を介装し、
   同スプリング１９で前記摺動軸１５をニユートラ
   ル方向へ付勢してなる農用トラクタの主変速操作
   機構。