JPS6234235Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は後工程で異常が発生したときに熱可塑
性の板状体を加熱炉のコンベア上から外部へ排出
するために用いられる板状体排出装置に関するも
のである。

（従来の技術） 近年自動車部品等の軽量化を目的として鋼板に
代えてプレス成形可能な熱可塑性の板状体が普及
し始めており、これらの板状体をプレス前に予熱
する目的で加熱炉の内部にコンベアを張設した板
状体の加熱搬送装置が使用されている。

このような板状体は軟化されたのちに保持爪を
備えた移送装置によつてプレスマシンの作動と同
期しつつプレス金型へと移送されるものである
が、プレスマシン側に何等かの異常が発生してプ
レスマシン側からの異常信号により移送装置が停
止した場合には、一定タイミングで加熱炉内部か
ら搬送されてくる板状体が加熱炉の出口部分に集
積するため、作業員が人手により板状体を排出し
なければならなかつた。この作業は高温かつ悪臭
を発する板状体を扱うものであるため危険であ
り、その自動化が望まれていた。

（考案が解決しようとする問題点） 本考案はこのような従来の問題点を解決し、後
工程のプレスマシンに異常が発生したときに加熱
軟化された板状体を加熱炉のコンベア上から外部
へ自動的に排出することができる板状体排出装置
を目的として完成されたものである。

（問題点を解決するための手段） 本考案は加熱炉の側壁に上腕部が水平面内で略
90度揺動する逆Ｌ字状の揺動軸を垂設し、該揺動
軸の上腕部には揺動軸が加熱炉の内側方向へ揺動
したときに加熱炉のコンベア上に位置する排出板
を上腕部の軸線を中心として揺動自在に取付ける
とともに、排出板の基部には揺動軸が加熱炉の内
側方向へ揺動したとき前記側壁上に設けられたロ
ーラと係合して排出板を水平に支持し、揺動軸が
外側方向へ揺動したとき排出板を傾斜させるカム
プレートを突設したことを特徴とするものであ
る。

（実施例） 次に本考案を図示の実施例について詳細に説明
すると、１は加熱炉、２，３はその内部に張設さ
れ交互に昇降及び進退動をくり返しつつ熱可塑性
の板状体５０を間歇的に移送するワイヤ状のコン
ベア、４は加熱炉１の出口部分の上方に設けられ
加熱軟化された板状体５０を昇降ヘツド６の保持
爪７に突刺してコンベア２，３上から持上げたう
えで軸８を中心として水平面内で180度回転して
図示を略したプレスマシンへ板状体５０を移送す
る移送装置である。加熱炉１の側壁９には逆Ｌ字
状の揺動軸１０が軸受１１により垂設されてお
り、第３図に明示されているように揺動軸１０か
ら水平に斜め内向きに突出するアーム１２の先端
が側壁９の上端面に設けられたエアシリンダ１３
のピストンロツト１４にピン１５をもつて取付け
られているので、ピストンロツト１４が伸縮する
と揺動軸１０は左右に回転し、その上腕部１６は
水平面内で略90度ずつ揺動することとなる。この
揺動軸１０の上腕部１６には、軸受１７及びブラ
ケツト１８をもつて平板状の排出板１９が上腕部
１６の軸線を中心として上下方向に揺動自在に取
付けられている。この排出板１９は上腕部１６の
軸線の延長線が排出板１９の一端面を通過するよ
うに取付けるものとする。排出板１９は第３図及
び第４図に示されるように揺動軸１０が加熱炉１
の内側方向へ揺動したときコンベア２，３上であ
つて前述の昇降ヘツド６の直下に位置するもので
ある。排出板１９の基部にはブラケツト１８と一
体となつた円弧状のカムプレート２０が後向きに
突設されている。一方、加熱炉１の側壁９の上端
面には揺動軸１０よりもやや後方位置にローラ２
１が設けられているので、排出板１９がコンベア
２，３上にあるときにはカムプレート２０の先端
部分がローラ２１に支持されて第４図のように排
出板１９は水平に位置されることとなる。また、
揺動軸１０が外側へ揺動して排出板１９が外側へ
移動したときには、ローラ２１の上面とカムプレ
ート２０との接点は次第にブラケツト１８側へ移
動し、最終的にはローラ２１とカムプレート２０
とは非接触に近い状態となつて排出板１９は第５
図のように自重によつて垂れ下がることとなる。

（作用） このように構成されたものは、プレスマシンが
正常に作動しているときには加熱炉１の側壁９に
垂設された逆Ｌ字状の揺動軸１０をエアシリンダ
１３によつて外方へ揺動させておけば、揺動軸１
０の上腕部１６に揺動自在に取付けられた排出板
１９は上述のようにローラ２１との係合を解いて
第５図のように加熱炉１の側壁９の外部に垂れ下
がり、コンベア２，３上の板状体５０は排出板１
９に邪魔さることなく移送装置４の昇降ヘツド６
に保持されてプレスマシンへ移送される。また、
プレスマシンに何等かのトラブルが生じて異常信
号が発せられたときには、昇降ヘツド６は板状体
５０をコンベア２，３上から持ち上げたまま待機
することとなり、待機時間が所定秒数を越えたと
きには保持爪７が後退して板状体５０を落下させ
るが、この間にエアシリンダ１３を作動させて揺
動軸１０を加熱炉１の内側方向へ略90度揺動させ
れば、排出板１９はその基部に突設されたカムプ
レート２０がローラ２１と係合して水平状態に支
持され、第４図のようにコンベア２，３上に位置
して昇降ヘツド６から落下してくる板状体５０を
その上面で受止めることができる。その後揺動軸
１０は再び外側方向へ揺動され排出板１９は再び
第５図のように垂れ下がることとなるので、排出
板１９の上面の板状体５０は加熱炉１の外側へ自
動的に排出されることになる。なお、図面中には
加熱炉１の片側の板状体排出装置のみを示した
が、加熱炉１の幅が広い場合にはその両側に同様
の板状体排出装置が取付けられることは言うまで
もない。

（考案の効果） 本考案は以上の説明からも明らかなように、後
工程に異常が発生したときには加熱軟化された板
状体を排出板により受止め、自動的に加熱炉のコ
ンベア上から炉外へ排出することができるもので
あり、しかも排出板の上下動はカムプレートとロ
ーラとの組合わせによつて揺動軸の揺動と連動し
て機械的に行われるものであるから構造簡単にし
て故障発生の虞れもないものである。よつて本考
案は従来のこの種作業に伴う問題点を解消したも
のとしてその実用的価値は極めて大なものであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例の使用状態を示す正面
図、第２図は要部の正面図、第３図はその平面
図、第４図及び第５図は作動状態を示す左側面図
である。 １……加熱炉、２，３……コンベア、９……側
壁、１０……揺動軸、１６……上腕部、１９……
排出板、２０……カムプレート、２１……ロー
ラ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 加熱炉１の側壁９に上腕部１６が水平面内で略
   90度揺動する逆Ｌ字状の揺動軸１０を垂設し、該
   揺動軸１０の上腕部１６には揺動軸１０が加熱炉
   １の内側方向へ揺動したときに加熱炉１のコンベ
   ア２，３上に位置する排出板１９を上腕部１６の
   軸線を中心として揺動自在に取付けるとともに、
   排出板１９の基部には揺動軸１０が加熱炉１の内
   側方向へ揺動したとき前記側壁９上に設けられた
   ローラ２１と係合して排出板１９を水平に支持
   し、揺動軸１０が外側方向へ揺動したとき排出板
   １９を傾斜させるカムプレート２０を突設したこ
   とを特徴とする板状体排出装置。