JPS6231736Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （技術分野） この考案は、自動変速機に取付けたオイルクー
ラからのオイルをオイルパン内部に戻す技術に関
する。

（技術的背景） 自動変速機の潤滑系統においては、オイルクー
ラからオイルパンに冷却オイルを戻す際に、オイ
ルパン底面の上方に設けた各種バルブボデイの上
部から直接冷却オイルを自由落下させるのが一般
的である。

ところが、このようにバルブボデイ上部からオ
イルパン内にオイルを自由落下させると、オイル
に含まれる異物がバルブボデイのドレイン孔など
から侵入したりしていわゆるバルブステイツク
（油路の目詰り）をきたし、また空中からオイル
を落下させるとオイルパン内部の貯溜オイルで泡
立ちが生じ、これがオイルポンプへ供給されると
きにはキヤビテーシヨンとなつて十分な油圧を確
保できないという問題を生じる。

（考案の目的） 本考案の目的は、オイルパン上方に設けた各種
バルブにバルブステイツクが生じるを回避すると
ともに、オイルパン内のオイルに泡が発生するの
を防止してオイルポンプへのエアの吸込みを防ぐ
ことにある。

（考案の構成および作用） そのために本考案の構成は、オイルクーラから
オイルパンへのオイル戻し通路をトランスミツシ
ヨンケース本体に一体形成されるアキユームレー
タボデイ部と、アキユームレータカバーに形成
し、このオイル戻し通路の下流側をオイルパン内
部の貯溜オイルに浸たる位置に開口する。このト
ランスミツシヨンケース本体の下面には、オイル
パンがそのフランジ部でボルト結合される。

このように構成したので、オイルクーラからの
冷却オイルは、トランスミツシヨンケース本体及
びアキユームレータカバーに形成されたオイル戻
し通路を流れるので、途中で空中を自由落下する
ことなくオイルパン内部の貯溜オイル中に導かれ
る。

（実施例） 本考案の実施例を図面にもとづいて説明する。

第１図は、自動変速機の後部側面をあらわし、
図中、１は内部にプラネタリギヤ等を備えるトラ
ンスミツシヨンケース（トランスミツシヨンケー
ス本体）、２はその後方内部にカバナ、出力軸等
を備えるイクステンシヨンケースである。

トランスミツシヨンケース１のフランジ部１ａ
は、イクステンシヨンケース２のフランジ部２ａ
とボルト３，４，５等により結合される。

トランスミツシヨンケース１の後面には、第２
図、第３図のように、油圧制御装置の油圧制御回
路中に配設されフロントクラツチの係合時などに
作動するアキユームレータ１４を収納するアキユ
ームレータボデイ部１ｂの一部が後方に突き出し
ており、このボデイ突出部１ｃに、図示しないオ
イルクーラからの冷却オイルをオイルパン６に戻
すオイル戻し通路７（７ａ，７ｃ）を形成（開
口）する。この通路７は、更にケース１内部をラ
ジアル方向に通路７ｄを構成してオイルパン６内
部に至つている。

アキユームレータピストン８の背面側には、プ
レート９を挟んでアキユームレータカバー１０が
前記ボデイ突出部１ｃの後端にボルト１１等によ
り結合される。そして、プレート９にはオイル戻
し通路としての開口部（オリフイス）９ａ，９ｂ
が設けられるとともに、アーキユームレータカバ
ー１０の内部は前記オイル戻し通路７ａと７ｃを
結ぶオイル戻し通路７ｂとして働く。

オイル戻し通路７ａの上流側には、オイルクー
ラからのオイルを図示しないクーラチユーブによ
り導くエルボプラグ１２が接続し、下流側のオイ
ル戻し通路７ｄの末端（出口）７d′は、ちようど
トランスミツシヨンケース１の下面にボルト１３
により取付けられるオイルパン６の内部に開口す
る。こうしてオイル戻し通路７ｃの下流側は、第
３図に示すようにオイルパン６内部の貯溜オイル
に浸たる位置に閉口させる。

したがつて、この実施例によれば、オイルクー
ラからの冷却オイルを、エルボプラグ１２を経て
オイル戻し通路７ａ〜７ｄによりオイルパン６に
導いたので、オイルパン６上方の図示しない各種
バルブボデイにオイルが直接的に当たることな
く、したがつてオイル中の異物がバルブボデイの
ドレイン孔に入るのを避けられる。

また、オイルパン６内部のオイルにオイルクー
ラからのオイルがポタポタと自由落下することは
ないので、貯溜オイルの泡立ちを確実に防ぐこと
ができる。

尚、この実施例のプレート９に代えてフイルタ
を装備したプレートを取付ければ、冷却オイルの
異物を簡易な手段で除去できてオイルパン６に蓄
えられるオイルの清浄化が図れるという効果も生
じる。

（考案の効果） この考案によれば、トランスミツシヨンケース
本体に一体形成されるアキユームレータボデイ部
と、アキユームレータカバー内部にオイルクーラ
からの冷却オイルをオイルパンへ戻すオイル戻し
通路を設けたので、従来のようにオイルクーラか
らの冷却オイルが直接的に各種バルブボデイに触
れることなく、バルブドレイン孔の目詰りに伴う
バルブステイツクを確実に防止できるとともに、
オイルパンに蓄えるオイルの泡立ち（キヤビテー
シヨン）を防いで潤滑系統の適正な作動を保証で
きるという効果がある。本考案は、アキユームレ
ータボデイ部の端面に配設されるアキユームレー
タカバー内部に通路が形成されている。そのため
に、カバー取付と同時にボデイ部内に形成された
通路との連通とその連通通路の形成を果たすこと
ができる。

従つて、本考案のカバー通路構成は、部品点数
の増加を最小限に抑えると共に組付性の向上に寄
与するものである。

さらに、本考案のオイル戻し通路は、オイルパ
ン上方の各種バルブボデイスペースを犠性にする
ことなく簡便な手段により構成することが可能と
なり、アキユームレータボデイ部及びアキユーム
レータカバーに通路を形成することにより、オイ
ル戻し通路の構成部品点数を最小限に抑えて上記
効果を奏せられるという効果を生じる。本考案
は、オイルクーラ出口と、連結作業が容易な場所
に設けられた下流部通路入口とを連結するだけで
オイルに浸漬する位置に開口を有する戻し通路が
形成されるから作業性において優れると共に、従
来法の如くオイルパンへの戻り流路をトランスミ
ツシヨンケース本体下部壁部を貫通して取付ける
必要がなく、取付部のゆるみによる油もれのおそ
れも軽減される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例をあらわす構成側面
図、第２図はそのＡ−Ａ線断面図、第３図はその
Ｂ−Ｂ線断面図である。 １……トランスミツシヨンケース本体（トラン
スミツシヨンケース）、１ａ……フランジ部、１
ｂ……アキユームレータボデイ部、１ｃ……ボデ
イ突出部、６……オイルパン、７（７ａ〜７ｄ）
……オイル戻し通路、７d′……オイル戻し通路７
の出口。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. トランスミツシヨンケース本体の下部壁面近傍
   に該ケースと一体的に形成され内部にアキユーム
   レータを収容するアキユームレータボデイ部と、
   該アキユームレータボデイ部の端面に配設される
   アキユームレータカバーとを有し、オイルクーラ
   からのオイルをオイルパン内部に戻すオイル戻し
   通路を有する自動変速機において、該オイル戻し
   通路の下流部をアキユームレータボデイ部及びア
   キユームレータカバー内部を経由して連通して形
   成し、該通路の前記アキユームレータボデイ部に
   設けた通路部分の出口をオイルパン内部のオイル
   中に浸漬する位置に開口したことを特徴とする自
   動変速機のオイル戻し通路装置。