JPS6229704Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案はデイスクブレーキのピストン端面
と、該ピストンによりロータに向けて押圧される
パツドの裏金の裏面との間に介在させて両当接面
間の摩擦による騒音発生を防止するシム板の改良
に関し、上記ピストンの端部と該ピストンが嵌合
するキヤリパのシリンダ開口部との間に装着した
防塵用のゴム製ブーツが、制動時に発生する摩擦
熱により温度上昇するのを防止せんとするもので
ある。

本考案のシム板が取付けられるデイスクブレー
キは、第１〜３図に示すように、車輪とともに回
転するロータ１を挟むようにして設けたサポート
２に該ロータ１を挟むようにして表裏１対のパツ
ド３ａ，３ｂを第１図に於いて、紙面に直角方向
（第３図で上下方向）の摺動を自在として支承さ
せ、サポート２にキヤリパ４を第１図の紙面に直
角方向の摺動を自在として装着している。制動を
行なう場合には、キヤリパ４に内装したピストン
５によりインナ側のパツド３ａをロータ１の側面
に押圧すると、その反作用としてサポート２に支
承されたキヤリパ４が少しく摺動し、アウタ側の
パツド３ｂをキヤリパ爪４ａを介してロータ１の
他側に押圧し、該ロータ１を両面から強く挟持し
て制動を行なう。キヤリパ４の風上側（第１，３
図左側、第２図手前側）の部分には長円形の通孔
６を穿設して制動時に発生する熱の放散を図つて
いる。

ところが、上述のように構成され作用するデイ
スクブレーキに於いては、次に述べるような不都
合を生じる。即ち、制動時にロータ１とパツド３
ａ，３ｂとの摩擦により発生する熱（通孔６より
の風だけでは十分冷却されず、相当の高温となる
場合がある。）がインナ側のパツド３ａの裏金７
から輻射熱としてキヤリパ４とピストン５との間
に装着した防塵用のゴム製ブーツ８に伝わり、該
ブーツを劣化させたり、或はブーツ内側の空気を
膨張させて該ブーツが膨れたりしてブーツ８が早
期に損傷する原因となつてしまう。

本考案のデイスクブレーキ用シム板は、ピスト
ン端面とインナ側パツド３ａの裏金７の裏面との
間に挟持される該シム板の形状を工夫して、通孔
６からキヤリパ内側に流入する風の一部をブーツ
８と裏金７との間に送り込むことにより該ブーツ
８の温度上昇を防止し、上述の不都合を解消した
ものである。

以下、実施例を示す図面により本考案を説明す
る。

第４〜７図は本考案のシム板の実施例を示して
おり、第４図は裏金７に当接する面側から見た正
面図、第５図は第４図のＢ−Ｂ断面図、第６図は
第４図の斜め下方から見た斜視図、第７図は第４
図斜め下方から裏面（第６図の裏側）を見た斜視
図である。下辺９を直線状に切欠き、上部に略三
角形状の延長部１０を有する略円板状の金属製の
シム板１１の中央には略正三角形状の孔１２が形
成されている。該孔１２の三つの辺１３，１３の
部分にはそれぞれ同一方向に向けて三角形の折立
て壁１４，１４が形成され、三つの角１５，１５
の部分には該折立て壁１４，１４と同方向に向け
て略Ｓ字状の弾性片１６，１６が形成されてい
る。シム板上部の延長部１０は、これら折立て壁
１４，１４、弾性片１６，１６と反対側に向けて
90度未満の範囲で少しく折曲げている。また、シ
ム板１１の左右両側上部には、先端部を上記延長
部１０と反対方向に向けてほぼ直角に折曲げた係
止片１７，１７がそれぞれ形成されている。

上述のように形成される本考案のシム板は、通
孔６を自動車の前進方向前側に向けて車体に取付
けられるキヤリパブレーキに使用される。このシ
ム板は、第８図に示すように、弾性片１６，１６
を円筒状のピストン５の内周面に弾接させ、係止
片１７をインナ側パツド３ａの裏金７の通孔６側
の端縁に当接させてピストン端面と裏金裏面との
間に装着される。この状態で折曲げた延長部１０
は、通孔６の内側開口の一部を覆うようになり、
自動車の走行時に通孔６から流入する空気の一部
を裏金７とブーツ８との間に導入するためのダク
トとして作用する。

本考案のデイスクブレーキ用シム板は、以上に
述べた通り構成されデイスクブレーキに装着され
るため、インナ側パツド３ａの裏金７の裏面とブ
ーツ８との間には、自動車走行時には常にラム圧
により第８図に矢印ａで示すように冷たい空気が
送り込まれるため、制動時に裏金７の温度が上昇
した場合に於いても、ブーツ８の温度上昇はほと
んどなくなり、制動時に発生する摩擦熱に起因し
たブーツの劣化を有効に防止できるようになる。

なお、キヤリパに開口を設け、ピストンとパツ
ドの裏金との間に板と断熱材の層とから成る熱遮
蔽物を挿入したデイスクブレーキの構造が、特開
昭52−139867号公報に記載されているが、このも
のはパツドの発生する熱がピストン側に伝わらな
いように考慮しているものであつて、開口を通つ
てキヤリパ内に流入した空気の一部をブーツ側に
流れさせることを考えたものではなく、本考案と
は別異のものである。

【図面の簡単な説明】

第１〜３図は本考案のシム板が装着されるデイ
スクブレーキの１例を示し、第１図は正面図、第
２図は第１図の左方から見た図、第３図は第１図
のＡ−Ａ断面図、第４〜７図は本考案のシム板の
実施例を示し、第４図は裏金に当接する面から見
た正面図、第５図は第４図のＢ−Ｂ断面図、第６
図は第４図の斜め下方から見た斜視図、第７図は
第６図の斜め下方から裏面を見た斜視図、第８図
はデイスクブレーキに装着した状態を示す第３図
の下半部に相当する断面図である。 ３ａ，３ｂ：パツド、４：キヤリパ、５：ピス
トン、６：通孔、７：裏金、８：ブーツ、１０：
延長部、１１：シム板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. デイスクブレーキのピストン端面と該ピストン
   により押圧されるパツドの裏金の裏面との間に挟
   持されるシム板１１であつて、該シム板１１の自
   動車進行方向前側に形成した延長部１０をピスト
   ンと反対側に向けて90度未満の範囲で折曲げて、
   延長部１０の先端を、自動車の走行方向前側にお
   いてデイスク１を跨いで設けられ、パツド３ａ，
   ３ｂ、ブーツ８を覆うキヤリパ４の自動車の走行
   方向前側に向けて開口する通孔６の背後に進入さ
   せ、この通孔６からキヤリパ４の内方に流入する
   空気の一部を裏金７の裏側に分流させブーツ８に
   向わせるダクトを構成したデイスクブレーキ用シ
   ム板。