JPS6330823Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、自動車その他の車両に用いられるデ
イスクブレーキ装置に関するものである。

従来、この種のデイスクブレーキ装置として、
車輪と一体回転するデイスクと、その両制動面に
配置されそれぞれに摺擦する第１および第２摩擦
パツドと、この両摩擦パツドを跨ぐ作動部と反力
爪とを有し、ブラケツトにデイスク軸方向に移動
自在に設けられたキヤリパとからなり、前記作動
部に備えたピストンが前記第１摩擦パツドを押圧
したとき、キヤリパが移動しその反力爪により前
記第２摩擦パツドを押圧するようになしたものが
知られている。そしてこのものにおいては、第１
摩擦パツドとピストンとの間に断熱板を介在し、
制動作動によつて生じる制動熱がピストンに伝達
することを防止し、その背後に画成された液圧室
の作動液の温度が上昇することがないようにして
いる。しかしながら、作動液の熱影響として、ピ
ストンと反対側の摩擦パツドから反力爪に伝達さ
れ、これがキヤリパの温度上昇を招き、その結果
作動部側の作動液に影響を及ぼすことを無視する
ことができない。

本考案は、かかる点に鑑み提案されたもので、
車輪と一体回転するデイスクと、その両制動面に
配置されそれぞれに摺擦する第１および第２摩擦
パツドと、この両摩擦パツドを跨ぐ作動部と反力
爪とを有し、ブラケツトにデイスク軸方向に移動
自在に設けられたキヤリパと、このキヤリパのブ
リツジ部に係合され、前記摩擦パツドの上部をデ
イスクの中心方向に押圧保持するパツドスプリン
グとからなり、前記作動部に備えたピストンが前
記第１摩擦パツドを押圧したとき、キヤリパが移
動しその反力爪により前記第２摩擦パツドを押圧
するようになしたデイスクブレーキ装置におい
て、前記反力爪と第２摩擦パツドとの間に績層状
に断熱板を複数枚介在させると共に、これら断熱
板の上部に作動部側方向に延出する折曲片を形成
し、前記パツドスプリングに反力片側方向に延出
する係止爪を形成して、この係止爪で前記折曲片
を係合して断熱板を吊持したことを特徴とする。

そして本考案の目的は、断熱板を複数枚重ねる
ことによつて、両者間に空気空間を形成して熱伝
導率を下げ、制動熱が第２摩擦パツドから反力爪
に伝達することを防止し、これによりキヤリパの
温度上昇による作動液への熱影響を軽減すること
ができる前記デイスクブレーキ装置を提供するに
ある。

以下、図面により本考案の一実施を詳細に説明
する。

車輪と一体に回転するデイスク１の両制動面に
は、第１のよび第２摩擦パツド２，３が配置され
ている。キヤリパ４は本体に固定されたブラケツ
ト５に、一対の支持ピン６を介してデイスク軸方
向に移動可能に支持され、作動部４ａと反力爪４
ｂがブリツジ部４ｃにより連結して一体に成形さ
れている。この作動部４ａと反力爪４ｂは前記第
１および第２摩擦パツド２，３を跨ぎ、そして作
動部４ａにはデイスク周方向に一対のシリンダ７
が配置され、このそれぞれのシリンダ７にピスト
ン８が摺動可能に設けられている。このピストン
８の開口部には断熱板９が設けられ、制動熱がピ
ストン８に伝達することを防止している。前記反
力爪４ｂは作動部４ａに備えた一対のピストン８
の押圧力に対応して両側の２本と、その中央に一
本と合計３本設けられている。マスクシリンダ
（図示せず）を操作してシリンダ７とピストン８
との後部とで画成された作動液室１０に圧液を供
給すれば、ピストン８はその圧液によつて前進
し、第１摩擦パツド２を押動してデイスク１の制
動面に摺擦させる。一方この作動によりキヤリパ
４がピストン８と反対方向に移動し、他側に配置
された第２摩擦パツド３を反力爪４ｂが断熱板１
１，１２を介してデイスク１の反対側の制動面に
摺擦せしめる。

反力爪４ｂの内側壁と第２摩擦パツド裏板３ａ
の背面との間に介在された前記断熱板１１，１２
は、第２摩擦パツド裏板３ａよりも熱伝導率の低
いステンレス等の板材で成形されている。

この断熱板１１は、反力爪４ｂとの非接合部に
上辺を残して方形に打ち抜き外側に屈曲したフイ
ン１１ａにて形成された開口部１１ｂと、反力爪
４ｂとの接合部に非接合部まで伸びる開口部１１
ｃとを有している。断熱板１２はこの断熱板１１
と同様な形状に成形されており、フイン１２ａ、
開口部１２ｂ，１２ｃは断熱板１１のフイン１１
ａ、開口部１１ｂ，１１ｃとそれぞれ対応した位
置にあり、両者は重ね合せることができる。そし
て断熱板１１はその上部に形成された折曲片１１
ｄに立上り爪１１ｅを有し、前記キヤリパ４のブ
リツジ部４ｃに形成されたデイスク軸方向のリブ
４ｄに係合するようになつている。断熱板１２の
上部に形成された折曲片１２ｄは立上り爪を有し
ておらず、パツドスプリング１３の係止爪１３ａ
に係合している。これにより断熱板１１，１２は
第２摩擦パツド３と反力爪４ｂとの間に介在した
状態でパツドスプリング１３によつて吊持され
る。

断熱板１１，１２は第２摩擦パツド裏板３ａよ
り熱伝導率が低い材料で成形されており、制動熱
が反力爪４ｂに伝達することを防止している。そ
して、この重ね合された断熱板１１，１２との間
に空気層が形成され、これが両者の表面を冷却し
て放熱作用をする。しかも断熱板１１，１２はフ
イン１１ａ，１２ａにより形成された開口部１１
ｂ，１２ｂで第２摩擦パツド裏板３ａの背面に空
気を当てて冷却し、かつそれぞれはフイン１１
ａ，１２ａで断熱板１１，１２の表面積を保つて
いる。そして、断熱板１１，１２に反力爪４ｂの
接合部と非接合部にわたつて形成された開口部１
１ｃ，１２ｃは、それぞれ空気を第２摩擦パツド
裏板３ａの背面と反力爪４ｂとの間に導き、これ
により放熱作用を一層向上させ、制動熱が反力爪
４ｂに伝達することを有効に防止している。な
お、前記フイン１１ａ，１２ａまたは開口部１１
ｂ，１２ｂおよび１１ｃ，１２ｃの箇数、形状は
この実施例に示されるものに限ることなく、適宜
に選択可能である。

また断熱板１１，１２には前記のようにフイン
１１ａ，１２ａまた開口部１１ｂ，１２ｂおよび
１１ｃ，１２ｃ、更には折曲片１１ｄ，１２ｄを
形成することなく、単に板状に形成したものであ
つてもよく、複数枚重ね合せることができ、適宜
手段により第２摩擦パツド３と反力爪４ｂとの間
に保持する構造であればい。

パツドスプリング１３は爪部１３ｂによりキヤ
リパ４のリブ部４ｃに係止され、デイスク１の回
入および回出方向へ延出した一対のパツド押圧部
１３ｃ，１３ｃにより摩擦パツド裏板２ａ，３ａ
の上部をデイスク１の中心方向へ押圧保持してい
る。両摩擦パツド２，３は、その裏板２ａ，３ａ
をキヤリパ４にデイスク軸と平行に抜差し可能に
設けられた一対のハンガーピン１４，１４に貫通
して、デイスク軸方向に摺動可能に吊持されてい
る。

前記断熱板１１，１２の組付は、まず両者を重
ね合せ、断熱板１１の上部折曲片１１ｄをブリツ
ジ部４ｃのリブ部４ｄに係合し、反力爪４ｂの内
側壁に位置決めをする。そしてパツドスプリング
１３をキヤリパ４のブリツジ部４ｃに下方から押
し込み、爪部１３ｂをリブ部４ｄに係止するとと
もにその係止爪１３ａで断熱板１２の折曲片１２
ｄをリブ部４ｄに圧接する。これにより両断熱板
１１，１２は、パツドスプリング１３を組付ける
ときに、同時に組付けられる。そして、第１およ
び第２摩擦パツド２，３をハンガーピン１４，１
４により吊持すると、断熱板１１，１２は反力爪
４ｂの内側壁と第２摩擦パツド裏板３ａとの間に
介在した状態でパツドスプリング１３により吊持
される。

前記実施例はキヤリパの作動部に一対のピスト
ンを備え、反力爪はこれに対応して３本形成した
ものについて説明したが、作動部に単一のピスト
ンを備え、反力爪は２本のものであつてもよいこ
とは勿論である。

前記のように本考案によれば、第２摩擦パツド
とキヤリパの反力爪との間に断熱板を複数枚介在
したから、このそれぞれの断熱板間に空気空間が
形成され、これにより熱伝導率が下がり、制動熱
が第２摩擦パツドから反力爪に伝達することが防
止される。したがつて、制動作動により発生する
制動熱によつてキヤリパの温度上昇が抑えられ、
ピストンを作動する作動液が熱影響を受けること
が軽減される。

また、前記複数枚の断熱板はキヤリパのブリツ
ジ部に係合したパツドスプリングによつてキヤリ
パに吊持させたので、特に、パツド交換時、この
断熱板の誤組み、組み忘れ、脱落がなく、断熱板
の紛失を防止できる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示すもので、第１図
は正面図、第２図は第１図の−断面図、第３
図は第２図の−断面図、第４図は断熱板の斜
視図である。 ２は第１摩擦パツド、３は第２摩擦パツド、４
はキヤリパ、４ａは作動部、４ｂは反力爪、５は
ブラケツト、８はピストン、１１，１２は断熱
板、１１ａ，１２ａはフイン、１１ｂ，１２ｂお
よび１１ｃ，１２ｃは開口部、１３はパツドスプ
リングである。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車輪と一体回転するデイスクと、その両制動面
   に配置されそれぞれに摺擦する第１および第２摩
   擦パツドと、この両摩擦パツドを跨ぐ作動部と反
   力爪とを有し、ブラケツトにデイスク軸方向に移
   動自在に設けられたキヤリパと、このキヤリパの
   ブリツジ部に係合され、前記摩擦パツドの上部を
   デイスクの中心方向に押圧保持するパツドスプリ
   ングとからなり、前記作動部に備えたピストンが
   前記第１摩擦パツドを押圧したとき、キヤリパが
   移動しその反力爪により前記第２摩擦パツドを押
   圧するようになしたデイスクブレーキ装置におい
   て、前記反力爪と第２摩擦パツドとの間に積層状
   に断熱板を複数枚介在させると共に、これら断熱
   板の上部に作動部側方向に延出する折曲片を形成
   し、前記パツドスプリングに反力片側方向に延出
   する係止爪を形成して、この係止爪で前記折曲片
   を係合して断熱板を吊持したことを特徴とするデ
   イスクブレーキ装置。