JPS6228294Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はミシンにおける生地押え装置の改良に
関する。

例えば、多針二重環縫いミシンにおいては、第
１図に示すように、縫綴部１上に針棒（図示せ
ず）により昇降動作する４本のミシン針２…が配
列されており、これらのミシン針２の直下には押
え棒３に取付けられた押え金４が設けられてい
る。そして、前記縫綴部１の押え金４の下面位置
には針板および送り歯（いずれも図示せず）が設
けられている。

ところで、このような押え金４では次の不具合
があつた。すなわち、厚物の段縫い部分および横
方向に厚さが不揃いな部分、あるいはパイピンと
称呼される管状布のかがり縫い部分では押え金４
全体が浮き上がつてしまい、押え金４全幅にわた
つて生地を前記針板および送り歯に押圧すること
ができず、生地の押えが部分的に不確実になつて
いた。このように生地の押えが部分的に不確実で
あると、縫製時には生地は作業者により引張され
ているので、生地押えが不確実な部分で目飛びや
糸切れが発生していた。

また一方、例えば一本針の本縫いミシン等にお
いても、生地の押えが部分的に不確実になると、
縫いむらが生じるという問題があつた。

本考案は、このような事情に鑑みてなされたも
ので、その目的とするところは、縫製生地に厚さ
が変化するところがあつても、生地を確実に針板
に押圧して生地押えを確実にし、もつて適正に縫
製を行うことができる生地押え装置を提供するこ
とにある。

この目的を達成するために本考案は次のように
構成されている。すなわち、ミシンの押え棒に取
付けられミシン針が昇降する軌跡範囲を含み生地
送り方向手前から生地送り方向に向かつて切欠さ
れた溝部が形成された主押え金と、この主押え金
の溝部に収容される形状をなし溝部の前記手前側
に基部が回動自在に軸支され先端部で生地を押圧
すべくスプリングにより付勢されその先端部にお
けるミシン針の昇降軌跡範囲に貫通孔が穿設され
その貫通孔の周辺における生地押圧面が下方に曲
面状に突出形成された補助押え金とを具備したこ
とである。

以下、第２図ないし第８図を参照して本考案の
一実施例を説明する。なお、この実施例では、多
針二重環縫いミシンに適用した場合について説明
する。第２図ないし第４図は主押え金１０を示す
図であつて、この主押え金１０は矢印Ａで示す生
地送り方向の手前側が上方に屈曲した板状をなし
ている。そして、主押え金１０の後部上面にはブ
ラケツト１１が突設されており、このブラケツト
１１に押え棒３のボス３ａが連結されるようにな
つている。また、主押え金１０には傾斜して配置
された４本のミシン針の昇降軌跡範囲２ａ…を含
み、主押え金１０の手前側から生地送り方向に沿
つて４本の溝部１２…が切欠されている。これら
の溝部１２に直交して主押え金１０の上面にスプ
リング・ケース１３の架設されており、このスプ
リング・ケース１３の各溝部１２に対応した位置
には第４図に示すように透孔１４…が穿設されて
いる。さらに、このスプリング・ケース１３の手
前側には水平方向に透孔１５が穿設されている。
このような主押え金１０には第５図および第６
図に示す補助押え金１６が組合せられる。この補
助押え金１６は各溝部１２に対応した形状・寸法
に形成されているが、下から第２番目の溝部１２
に取付けられる補助押え金１６を例示して説明す
る。この補助押え金１６は第５図に示すように溝
部１２に収容される平面形状が棒状のもので、そ
の側面形状は第６図に示すように、前記主押え金
１０の屈曲部に沿つて屈曲している。そして、補
助押え金１６の左端部における前記ミシン針２の
昇降軌跡範囲２ａに対応した位置、つまり先端部
には貫通孔１７が穿設されており、この貫通孔１
７を通つてミシン針２が昇降するようになつてい
る。また、補助押え金１６の上面の前記透孔１４
直下位置には座ぐり穴１８が形成されており、こ
の座ぐり穴１８に前記透孔１４内に収容されるス
プリングの下端部が挿入されるようになつてい
る。さらに、補助押え金１６の右端部、つまり基
部には前記透孔１５に連続して水平方向に透孔１
９が穿設されている。

またさらに、前記貫通孔１７の周辺部における
生地押圧面すなわち下面には下方に凸状の曲面１
６ａが形成されている。

以上の主押え金１０と補助押え金１６とは第７
図に示すように、補助押え金１６が前記溝部１２
に収容され前記透孔１５，１９に挿入されるピン
２０に軸支されて基部が回動自在に主押え金１０
に取付けられる。そして、前記スプリング・ケー
ス１３の透孔１４に遊挿されるスプリング２１は
スプリング・ケース１３の上面にねじ２２で取付
けられるスプリング・カバー２３によつて保持さ
れて前記補助押え金１６を下方へ付勢するように
なつている。

以上の構成の一実施例装置の作用を説明する。
第８図に示すように、生地２４上に縫着される所
謂パイピン２５が生地２４の上面から突出してい
る場合でも、ミシン針２が生地２４を貫通する部
分はスプリング２１によつてピン２０を中心とし
て下方に回動される補助押え金１６の先端部で押
圧されるので、この部分の生地２４は補助押え金
１６の曲面１６ａによつて針板２６に押圧され確
実に生地押えが行なわれる。このため、目飛びや
糸切れの発生は防止されることになる。

以上の一実施例装置では次の効果を奏する。ま
ず、生地２４に例えば、パイピン２５等が突設さ
れている部分を縫綴する場合にも生地２４は針板
２６に押圧されるので生地２４の送りを確実にな
すことができる。

また、補助押え金１６は４本のミシン針２にそ
れぞれ対応して設けられているので生地２４の幅
方向の一部にのみ厚さの厚い部位があつても、そ
の部分の補助押え金１６が上方に回動されて生地
２４の厚さの厚い部分を下方に押圧するので、さ
らに生地送りを確実にして、目飛び、糸切れを防
止することができる。

さらに、補助押え金１６は生地送り方向の手前
側でピン２０により軸支されているので、生地２
４の送りに沿つて滑らかに上下動をなし、生地２
４の送りを妨たげることがない。しかも、補助押
え金１６の下面には曲面１６ａが形成されている
ので複雑な形状の段部にも曲面１６ａの一部が必
ず当接することになり生地２４を確実に針板２６
に押圧することができる。

なお、本考案は以上の一実施例に限定されるも
のではない。たとえば、多針形のミシンに限ら
ず、一本針のミシンにも適用できる。また、二重
環縫ミシンに限らず、本縫ミシン、オーバロツク
ミシンなどにも適用できるものである。

以上説明したように本考案によれば、縫製する
生地に厚さが変化するところがあつても、ミシン
針真下の生地部分を確実に針板に押圧して生地押
えを確実になすことができ、従つて、一本針の本
縫いミシン等に適用した場合には縫いむらが生じ
るといつた問題を確実に防止でき、また多針二重
環縫いミシン等に適用した場合には目飛びや糸切
れを生じるといつた問題を確実に防止でき、その
実用上の効果は大である。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例を示すミシンの斜視図、第２図
ないし第８図は本考案の一実施例を示す図で、第
２図は主押え金１０の平面図、第３図は同じく側
面図、第４図は第２図の−断面図、第５図は
補助押え金１６の平面図、第６図は同じく側面
図、第７図は一実施例装置全体の分解斜視図、第
８図は同じく縦断面図である。 １０……主押え金、１２……溝部、１６……補
助押え金、１６ａ……曲面、１７……貫通孔、２
１……スプリング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ミシンの押え棒に取付けられミシン針が昇降す
   る軌跡範囲を含み生地送り方向手前から生地送り
   方向に向かつて切欠された溝部が形成された主押
   え金と、この主押え金の溝部に収容される形状を
   なし溝部の前記手前側に基部が回動自在に軸支さ
   れ先端部で生地を押圧すべくスプリングにより付
   勢されその先端部における前記ミシン針の昇降軌
   跡範囲に貫通孔が穿設されその貫通孔の周辺にお
   ける生地押圧面が下方に曲面状に突出形成された
   補助押え金とを具備したことを特徴とする生地押
   え装置。