JPH0740376Y2 - オーバーロックミシン - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、縁かがり縫目を形成するオーバーロックミ
シン、詳しくは縁かがり縫目より毛足が突出することの
ない品質価値の高い縁かがり縫目を形成し得るオーバー
ロックミシンに関するものである。

〔従来技術〕

第４図および第５図は、じゅうたん、マット等に縁かが
り縫いをなすための従来技術を示す図である。

第４図において５は、じゅうたん、マット等の被縫製物
であり、5aは、この被縫製物の上面の毛足である。

１は、この被縫製物５の側面と当接して、被縫製物５の
縫製ガイドをなすとともに、形成される縁かがり縫目Ａ
を掛止するガイド体である。

２は、被縫製物５の上面を押える板であり、押え棒2aに
より、不図示の押え機構と接続されている。

また、Ｎは縫針、３は上ルーパ、４は、下ルーパであ
る。

そして、この縫針Ｎ、上ルーパ３、下ルーパ４は、それ
ぞれ針糸６、上ルーパ糸７、下ルーパ糸８を具えてい
て、これらの各縫製糸が係合して、縁かがり縫目Ａが形
成されるようになっている。

そして、縁かがり縫目Ａの形成に伴い被縫製物５は、不
図示の送り機構により、矢符Ｂ方向に送られる。

〔考案が解決しようとする課題〕

しかしながら、上記の従来技術にあっては、次のような
問題がある。

第５図に示すように、毛足を有したじゅうたん等への縁
かがり縫製では、その縁かがり縫目Ａの縫目間隙より被
縫製物５の毛足5aを突出してしまい、美感的に見苦し
く、商品価値の低い縫い上がりとなってしまう。

こうした毛足5aの突出を極力防ぐため、従来において
は、例えば、縁かがり縫目Ａの縫目ピッチを小さくす
る。あるいは、上ルーパ糸７に、二本糸を使用し、縁か
がり縫目Ａの縫目間隙を小さくする等の対策がとられて
いる。

しかしながら上記いずれの対策にあっても毛足5aの突出
を完全に防ぐことは不可能であった。

そして、上記の対策において縫目ピッチを小さくする対
策にあっては、縫製進行に時間を要し、縫製能率を低下
させ、また、二本糸の使用にあっては、縫糸の消費量が
多く、縫製コストは高いものとならざるを得なかった。

また、こうした縫糸での縫目間隙の消去による対策の他
に、押え板２の縁かがり縫製部と、当接する板部2aを、
被縫製物進行方向Ｂに向い長く形成して、毛足5aを押し
寝かせ、毛足5aをルーパ糸７の下方に倒し込むように
し、縁かがり縫目Ａを形成して、毛足5aの突出を防止す
ることも考えられる。

しかしながら、上記の対策にあっては、厚手の縫製物５
への縫製の際、第４図に示す上ルーパ３が、この長く設
けた板部2aと接触してしまうため、実施することが出来
なかった。

〔課題を解決するための手段〕

この考案に係るオーバーロックミシンにあっては、被縫
製物の側面と当接し、被縫製物の縫製ガイドをなすとと
もに、縁かがり縫目を掛止するガイド体の先端に、被縫
製物の上面と係合する当接部を設け、この当接部によ
り、被縫製物の毛足を押し寝かせるとともに、縁かがり
幅糸としての上ルーパ糸を、当接部を介して被縫製物に
縫着し、上ルーパ糸と、被縫製物の毛足等とを直接接触
させないようにすることにより、上記従来の課題を解決
しようとするものである。

〔作用〕

この考案に係るオーバーロックミシンは、ガイド体の先
端に設けられ、被縫製物の上面と係合する当接部によ
り、被縫製物の毛足を押し寝かせるとともに、縁かがり
幅糸としての上ルーパ糸を当接部を介して被縫製物に縫
着し、上ルーパ糸と被縫製物の毛足とを直接接触させな
いようにしつつ、縁かがり縫目を形成し、毛足突出のな
い縁かがり縫目を得る。

〔考案の実施例〕

図面にもとづいて、この考案の実施例を説明する。

従来例と同一箇所には、同一符号を付して重複説明は省
略する。

第１図ないし第３図は、この考案の一実施例を示す図で
ある。

第１図において１は、被縫製物の側面と当接し、被縫製
物５の縫製ガイドをなすとともに、かがり縫目Ａを掛止
するガイド体であり、このガイド体１の先端には、被縫
製物の上面と係合する当接部1aが設けられている。

この当接部1aは、第２図に示すように、下面で、被縫製
物５の毛足5aと当接するとともに、上面で、上ルーパ糸
７を載置している。

第３図（ａ）は、第２図における当接部1aの中央部、C-
C線の断面を示す図である。

当接部1aは、図に示すように僅かに湾曲に形成されてい
て、下面で、被縫製物５の毛足5aと当接することで、毛
足5aを押し寝かせている。

またこの当接部1aは、上面で、縁かがり幅糸としての上
ルーパ糸７を載置することで、上ルーパ糸７と押し寝か
された毛足5aとを接触することのないようにしている。

そして、この状態で、針糸６、上ルーパ糸７、下ルーパ
糸８の、それぞれの各縫製糸は、縁かがりをなすように
係合される。

その後、被縫製物５の送り移動により、前記の各縫製糸
および被縫製物５から当接部1aが離脱すると、各縫製糸
は、糸締りして縁かがり縫目Ａが形成される。

そして、この縁かがり縫目Ａの形成の際上ルーパ糸７
は、押し寝かされている毛足5aを上方から押え込むよう
に、縫製されるので、第３図（ｂ）に示すように、毛足
5aは、上ルーパ糸７の下方に進行方向Ｂに向き倒れ込ん
だ状態で押止され、毛足5aが縫製部より突出することの
ない縁かがり縫目Ａを形成することができる。

〔考案の効果〕

この考案に係るオーバーロックミシンは、以上のよう
に、被縫製物の側面と当接し、被縫製物の縫製ガイドを
なすとともに、縁かがり縫目を掛止するガイド体の先端
に、被縫製物の上面と係合する当接部を設け、この毛足
当接部により、じゅうたん等の毛足を押し寝かせるとと
もに、縁かがり幅としての上ルーパ糸を当接部を介して
被縫製物に縫着し、上ルーパ糸と被縫製物の毛足とを直
接接触させないようにしつつ、縁かがり縫目を形成する
ようにしたので、上ルーパ糸の下方に毛足を倒し込むよ
うに縫製することが出来、縫製時間、縫製糸等を浪費す
ることなく、毛足突出のない、品質価値の高い縁かがり
縫目を形成することが可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この考案に係るオーバーロックミシンの要部
を示す一部切欠斜視図、第２図は、この考案のガイド体
の当接部による各縫製糸および毛足との係合状態を示す
一部切欠正面図、第３図は、この考案の当接部の作用を
示す図で、同図（ａ）は、当接部による上ルーパ糸およ
び毛足との係合時を示す第２図におけるC-C線断面図、
同図（ｂ）は、当接部の離脱後の縁かがり縫製部を示
す、一部切欠断面図、第４図は、従来におけるオーバー
ロックミシンの要部を示す一部切欠斜視図、第５図は、
同上のオーバーロックミシンによる各縫製糸と毛足との
係合状態を示す一部切欠正面図である。 図において １……ガイド体 1a……当接部 ２……押え板 ３……上ルーパ ４……下ルーパ ５……被縫製物 5a……毛足 ６……針糸 ７……上ルーパ糸 Ａ……縁かがり縫目 Ｎ……縫針 ８……下ルーパ糸

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】被縫製物の側面と当接し、被縫製物の縫製
   ガイドをなすとともに、縁かがり縫目を掛止するガイド
   体と、 縫製時に、被縫製物の押えをなす押え板と、 上ルーパおよび下ルーパを具え、針糸、上ルーパ糸、下
   ルーパ糸をそれぞれ係合させて、縁かがり縫いをなすよ
   うにしたオーバーロックミシンにおいて、 前記、ガイド体の先端に、被縫製物の上面と係合する当
   接部を設け、この当接部により、被縫製物の手足を押し
   寝かせるとともに、縁かがり幅糸としての上ルーパ糸
   を、当接部を介して被縫製物に縫着し、上ルーパ糸と、
   被縫製物の毛足等とを直接接触させないようにしつつ、
   縁かがり縫目を形成するようにしたことを特徴とするオ
   ーバーロックミシン。