JPS6219960Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 (イ) 産業上の利用分野 この考案は、丸棒試験片の強度試験において、
丸棒試験片に軸方向負荷と捩り方向負荷を同時に
負荷するための２軸負荷下丸棒掴具に関するもの
である。

(ロ) 従来技術 たとえば、両端に肩部を有する丸棒試験片の強
度試験において、試験片の各肩部にそれぞれフラ
ンジを係合させるようにした掴具が一般に使用さ
れている。この掴具は、ボルトによつて各フラン
ジを掴具本体に軸方向に締め付けると、試験片の
各肩部を掴具本体に対し軸方向に固定することが
できる。したがつて、試験片に軸方向負荷を的確
に負荷することができる。しかしながら、従来
は、この種の丸棒試験片の各肩部を掴具本体に対
し捩り方向に固定することはできなかつた。軸方
向負荷と捩り方向負荷を同時に負荷するとき、捩
り方向負荷はフランジおよび掴具本体の摩擦によ
つて試験片の各肩部に伝達されるだけである。こ
のため、大きい捩り負荷を的確に負荷することは
できなかつた。

(ハ) 目的 したがつて、この考案は、丸棒試験片に軸方向
負荷と捩り方向負荷を同時に負荷するとき、軸方
向負荷だけでなく、大きい捩り方向負荷を的確に
負荷することを目的としてなされたものである。

(ニ) 構成 この考案は、丸棒試験片の両端においてその外
周面を面取り加工し、試験片の両端にそれぞれ径
方向に対向する平行な一対の平坦面を形成する。
そして、試験片の両端にそれぞれフランジを係合
させ、、ボルトによつて各フランジを掴具本体に
軸方向に締め付け、試験片の両端を掴具本体に対
し軸方向に固定するとともに、試験片の両端の各
平坦面にそれぞれ押え板を係合させ、ボルトによ
つて各押え板を掴具本体に実質上各平坦面と直角
の方向に締め付ける。これによつて、試験片の両
端を掴具本体に捩り方向に固定したものである。
軸方向負荷と捩り方向負荷を同時に負荷すると
き、捩り方向負荷は掴具本体から各押え板および
平坦面を介して試験片の両端に伝達される。

(ホ) 実施例 以下、この考案の実施例を図面について説明す
る。

図において、試験片１は両端に肩部２を有する
丸棒状のものである。この実施例では、試験片１
の両端において各肩部２の外周面３が面取り加工
され、第３図に示されているように、試験片１の
両端にそれぞれ径方向に対向する平行な一対の平
坦面４ａ，４ｂが形成されている。

試験片１の両端は、それぞれ掴具本体５の芯出
し円形溝６に挿入され、それぞれフランジ７とボ
ルト８によつて掴具本体５に対し軸方向に固定さ
れている。各フランジ７は、２つ割りされたスプ
リツトフランジからなり、試験片１の各肩部２に
係合され、ボルト８によつて掴具本体５に軸方向
に締め付けられている。さらに、試験片１の両端
はそれぞれ押え板９とボルト１０によつて掴具本
体５に対し捩り方向に固定されている。各押え板
９は、試験片１の各平坦面４ａ，４ｂに係合され
るための突出部１１を有し、試験片１の肩部２の
両側にそれぞれ配置されている。各突出部１１
は、肩部２の両側から掴具本体５の透孔１２に挿
入されている。各押え板９はボルト１０によつて
掴具本体５に試験片１の各平坦面４ａ，４ｂと直
角の方向に締め付けられ、各突出部１１は各平坦
面４ａ，４ｂに係合し、押し付けられている。

各押え板９の高さは、ボルト８によつて各フラ
ンジ７を掴具本体５に軸方向に締め付けたとき、
各フランジ７が各押え板９に接触せず、両者間に
間隙ｃが形成されるように選定されている。

この掴具に試験片１を装着するには、あらかじ
めボルト１０によつて各押え板９を掴具本体５に
軽く取り付け、その後試験片１の両端を掴具本体
５の円形溝６に挿入すればよい。試験片１の肩部
２の外周面３は掴具本体５の円形溝６によつて案
内され、各平坦面４ａ，４ｂは各押え板９の突出
部１１によつて案内される。したがつて、試験片
１の両端を円滑に円形溝６に挿入することがで
き、各平坦面４ａ，４ｂを正確に各押え板９の突
出部１１に対面させることができる。次いで、試
験片１の各肩部２にそれぞれフランジ７を係合さ
せ、ボルト８によつて各フランジ７を掴具本体５
に強固に締め付ける。これによつて、試験片１の
各肩部２を掴具本体５に対し軸方向に固定するこ
とができる。その後、ボルト１０によつて各押え
板９を掴具本体５に強固に締め付ければよい。ボ
ルト８によつて各フランジ７を掴具本体５に締め
付けたとき、各フランジ７は各押え板９に接触せ
ず、各押え板９は拘束されない。したがつて、ボ
ルト１０によつて各押え板９を掴具本体５に締め
付けると、各押え板９の突出部１１を試験片１の
平坦面４ａ，４ｂに係合させ、押し付けることが
できる。したがつて、試験片１の各肩部２を掴具
本体５に対し捩り方向に固定することができるも
のである。

試験片１に軸方向負荷と捩り方向負荷を同時に
負荷するとき、軸方向負荷は掴具本体５から各ボ
ルト８および各フランジ７によつて試験片１の各
肩部２に伝達される。したがつて、大きい軸方向
負荷を的確に負荷することができる。捩り方向負
荷は、掴具本体５から各ボルト１０によつて押え
板９に伝達され、各押え板９および各平坦面４
ａ，４ｂを介して各肩部２に伝達される。したが
つて、大きい捩り方向負荷を的確に負荷すること
ができる。

なお、この実施例では、両端に肩部２を有する
丸棒試験片１について説明したが、この考案は、
両端にねじ部を有する丸棒試験片に適用すること
も可能である。この場合は、その各ねじ部の外周
面を面取り加工し、径方向に対向する平行な一対
の平坦面４ａ，４ｂを形成する。そして、スプリ
ツトフランジ７ではなく、中央に貫通タツプ穴を
形成した一体フランジを使用し、試験片の各ねじ
部にそれぞれフランジをねじ合わせればよい。要
するに、丸棒試験片１の両端においてその外周面
を面取り加工し、試験片の両端にそれぞれ径方向
に対向する平行な一対の平坦面４ａ，４ｂを形成
し、試験片１の両端にそれぞれフランジを係合さ
せればよいものである。そして、ボルト８によつ
て各フランジを掴具本体５に軸方向に締め付け、
試験片１の両端を掴具本体５に対し軸方向に固定
するとともに、各平坦面４ａ，４ｂにそれぞれ押
え板９を係合させ、ボルト１０によつて各押え板
９を掴具本体５に実質上各平坦面４ａ，４ｂと直
角の方向に締め付けると、試験片１の両端を掴具
本体５に対し捩り方向に固定することができ、同
様の作用効果を得ることができる。

(ヘ) 効果 以上説明したように、この考案は、丸棒試験片
の両端を掴具本体に対し軸方向および捩り方向に
固定することができる。したがつて、軸方向負荷
だけでなく、大きい捩り方向負荷を的確に負荷す
ることができ、所期の目的を達成することができ
るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例を示す縦断面図、
第２図は第１図の−線断面図、第３図は第１
図の試験片の肩部を示す斜視図である。 １……試験片、２……肩部、３……外周面、４
ａ，４ｂ……平坦面、５……掴具本体、７……フ
ランジ、８，１０……ボルト、９……押え板。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 丸棒試験片に軸方向負荷と捩り方向負荷を同時
   に負荷するための掴具であつて、丸棒試験片の両
   端においてその外周面を面取り加工し、この面取
   り加工によつて前記試験片の両端にそれぞれ径方
   向に対向する平行な一対の平坦面を形成し、前記
   試験片の両端にそれぞれフランジを係合させ、ボ
   ルトによつて前記各フランジを掴具本体に軸方向
   に締め付け、前記試験片の両端を掴具本体に対し
   軸方向に固定するとともに、前記各平坦面にそれ
   ぞれ押え板を係合させ、ボルトによつて前記各押
   え板を掴具本体に実質上前記各平坦面と直角の方
   向に締め付け、これによつて前記試験片の両端を
   掴具本体に対し捩り方向に固定したことを特徴と
   する２軸負荷下丸棒掴具。