JPH0536198Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 Ａ 産業上の利用分野 この考案は材料試験機のつかみ具に関するもの
である。

Ｂ 従来の技術 パイプ等の中空試験片を把持する従来のつかみ
具は、第４図に示すように、中空試験片Ｐの端部
における外面に周方向に等間隔をおいて複数配設
されるくさび３と、中空試験片Ｐの端部内に挿入
される中子４と、負荷フランジ１にボルト５で緊
締され、くさび３を中空試験片Ｐの端部外面に押
圧するくさびホルダ２とから構成されている。

Ｃ 考案が解決しようとする問題点 このような構成において、負荷フランジ１から
の引つ張り・圧縮負荷やねじり負荷は、くさびホ
ルダ２、くさび３を介して中空試験片Ｐに伝達さ
れる。中子４は、中空試験片Ｐの端部の変形を防
止するとともに中空試験片端部をくさび３ととも
に挟圧するだけである。したがつて、試験負荷
は、くさび３と中空試験片Ｐの外面との間の摩擦
力のみにより伝達され、負荷伝達効率が悪く、ま
た引つ張り圧縮とねじりの組合せ疲労試験などに
おいてガタを生じるなどの問題点があつた。

この考案は、このような問題点を解消すべく提
案されたもので、その目的は、負荷伝達効率の良
いつかみ具を提供することにある。

Ｄ 問題点を解決するための手段 本考案に係る材料試験機のつかみ具は、中空試
験片の端部外面に複数配設されるくさびと、負荷
フランジに緊締されくさびを中空試験片の端部に
押圧するくさびホルダと、負荷フランジと一体化
され負荷フランジから負荷力が伝達されるフラン
ジ部、およびこのフランジ部に突設されて中空試
験片の端部内に挿入される中子部から成る中子フ
ランジとを具備する。

Ｅ 作用 くさびと中空試験片の端部外面との摩擦力、中
子部と中空試験片の端部内面との摩擦力によつて
負荷が伝達される。

Ｆ 実施例 以下、この考案を実施例に基づいて第１図およ
び第２図により説明する。なお、従来と同一ある
いは相当する部分には同一符号を付す。

第１図に示すように、図示せぬ負荷アクチユエ
ータと接続された負荷フランジ１とくさびホルダ
２との間に介在されるフランジ部６ａから中子部
６ａを突設して中子フランジ６を構成する。試験
に際しては、この中子フランジ６を中空試験片Ｐ
の端部に嵌め込み、３個以上のくさび３を有する
くさびホルダ２を中空試験片Ｐに外挿し、ボルト
５を負荷フランジ１とフランジ部６ａとに挿通し
てくさびホルダ２に締め込む。くさび３が中空試
験片Ｐの端部に押し付けられ、くさび３と中子部
６ｂとにより中空試験片Ｐの端部が挟圧されると
ともに、フランジ部６ａがくさび３により負荷フ
ランジ１側に押圧されて接続される。

ねじり等の負荷は、くさび３と中空試験片Ｐの
端部外面との摩擦力、中子部６ｂと中空試験片Ｐ
の端部内面との摩擦力によつて伝達される。すな
わち、負荷アクチユエータからの負荷力は、負荷
フランジ１からボルト５、くさびホルダ２、くさ
び３を介して（経路Ａ）、あるいはフランジ部６
ａ、くさび３を介して（経路Ｂ）中空試験片Ｐに
伝達され、また負荷フランジ１からフランジ部６
ａ、中子部６ｂを介して（経路Ｃ）中空試験片Ｐ
に伝達される。この結果、従来に比べて負荷伝達
効率が向上する。さらに詳しく説明すると、第４
図に示す従来例では、中子４が負荷フランジ１と
一体化されていないから、例えば負荷フランジ１
を回転させて中空試験片Ｐにねじり負荷を与える
とき、中子４にはその回転力が伝達されず、この
ため中空試験片Ｐの端部内面側にはねじり負荷が
生じない。これに対して第１図のつかみ具では、
中子フランジ６の中子部６ｂがフランジ部６ａを
介して負荷フランジ１と一体化されているから、
負荷フランジ１の回転力が中子部６ｂに伝達さ
れ、中子部６ｂと中空試験片Ｐの端部内面との摩
擦力により試験片内面側にもねじり負荷が働く。
また、引張負荷を与えるときも同様に、従来のつ
かみ具では負荷フランジ１からの負荷力が中子４
に伝達されないが、第１図のつかみ具では、負荷
フランジ１からの負荷力が中子部６ｂに伝達さ
れ、中子部６ｂと中空試験片Ｐの端部内面との摩
擦力により試験片内面側にも引張負荷が働く。し
たがつて従来に比べてねじり負荷および引張負荷
の伝達効率が大幅に向上する。

なお圧縮負荷に関しては、フランジ部６ａの試
験片当接面を介して直接試験片Ｐに伝達されるか
ら、試験片外面および内面における摩擦力はさほ
ど関与しない。

なお、第１図では、ボルト５でくさびホルダ２
を緊締してくさび３のくさび力を得、これにより
軸方向および径方向の力を得るようにしたが、第
３図に示すように、ボルト５でフランジ部６ａを
負荷フランジ１に接続し、くさび３を油圧により
押圧して軸方向と径方向との力を得てもよい。こ
の場合、くさびホルダ２を２つの部材２Ａ，２Ｂ
に分割し、外側の部材２Ａを負荷フランジ１に螺
着し、部材２Ａと２Ｂとの間に油圧室７を形成
し、内側の部材２Ｂを油圧により移動させる。

Ｇ 考案の効果 この考案によれば、中子部とフランジ部とを一
体にした中子フランジを設け、中空試験片の端部
における内面および外面の両摩擦力で負荷を伝達
するため、負荷伝達効率が従来よりも著しく向上
し、しかも引つ張り圧縮とねじり負荷を両振りで
加えてもガタが生じない。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案に係るつかみ具を示す断面
図、第２図は第１図の−線断面図、第３図は
他の実施例を示す断面図、第４図は従来例を示す
断面図である。 １……負荷フランジ、２……くさびホルダ、３
……くさび、６……中子フランジ、６ａ……フラ
ンジ部、６ｂ……中子部。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 負荷アクチユエータと接続された負荷フランジ
   に中空試験片の端部を接続する試験機のつかみ具
   であつて、前記中空試験片の端部外面に複数配設
   されるくさびと、前記負荷フランジに緊締され前
   記くさびを中空試験片の端部に押圧するくさびホ
   ルダと、前記負荷フランジと一体化され負荷フラ
   ンジから負荷力が伝達されるフランジ部、および
   このフランジ部に突設されて前記中空試験片の端
   部内に挿入される中子部から成る中子フランジと
   を具備することを特徴とする材料試験機のつかみ
   具。