JPS6213930B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は紫根を含有する粘着性貼付剤に関す
る。 紫根は消炎、止血、鎮痛、殺菌、肉芽形成促進
等の作用を有し、外傷、火傷、ただれ、かぶれ、
ひび、しもやけ等の皮膚疾患に対して古来より軟
膏剤、たとえば当帰等を配合した紫雲膏などの漢
方の代表的軟膏剤として使用されてきた。 ところが紫雲膏などの紫根軟膏剤は一般に硬く
皮膚へ塗付しにくく、また紫根は染料としても使
用されるものであり、その紫色の色素が衣服等を
汚すなどの不便が多々見られた。そのため、紫根
の軟膏剤は、皮膚疾患に対して優れた治療効果を
有するにもかかわらず、一般家庭に普及繁用され
るに至つておらず、より実用的な紫根製剤の開発
が試みられている。 しかしながら、漢方処方剤は、そこに配合され
た種々成分が相互作用を起し、相乗、相加、相殺
作用等の収差が最終薬効として現われるため、未
だ満足のいく紫根製剤を開発するに至つていない
のが実情である。 かかる実情下に本発明者らは、より優れた紫根
製剤、特に、紫根と当帰よりなる紫雲膏の改良製
剤を得るべく研究を重ねたところ、 紫根及び／又は当帰を粘着性高分子物質中に
配合し、これを外皮に適用した場合、紫根、当
帰が容易に当該高分子物質から放出されて外皮
に至ること、 粘着性高分子物質としてアクリル系粘着剤、
天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤を使用し
た場合によりすぐれた放出性を示すこと、 上記粘着性高分子物質の可塑剤として、ゴマ
油、ミツロウ、トン脂、ハチミツの群から選ば
れた少なくとも１種を使用することにより、よ
りすぐれた薬効が得られること、 などを見出した。 本発明はかかる知見に基づいて完成されたもの
であり、有効成分として少なくとも紫根又は紫根
エキスを含有させた粘着性高分子物質層を担持体
上に密着して形成させてなる粘着性外用皮膚疾患
治療剤である。 本発明の製剤は、上記の如き構成としたので、
従来の紫根製剤の欠点、即ち皮膚への適用困難
で、かつ衣服を汚染するという欠点を一挙に解決
しうるものであると同時に、当該製剤をはがす時
痛まず新生表皮も傷つけられることがない。 本発明にて使用される有効成分は紫根、または
紫根エキスであり、紫根エキスとしては水製エキ
ス、油製エキス、アルコール製エキスなどがあげ
られるが、特に好ましいものはゴマ油にて、好ま
しくは50〜80℃で抽出したものである。主成分と
しては、さらに他の生薬成分、好ましくは紫雲膏
の他の主成分たる当帰または当帰エキスを配合し
てもよく、当帰エキスとしては、紫根エキスと同
様のものがあげられる、また、紫根エキス及び当
帰エキスは各々別個に抽出したものであつても、
紫根と当帰を混合して同時に抽出したものであつ
てもよい。 粘着性高分子物質としては、人体に対して無害
な粘着性高分子物質であればいずれでもよく、具
体的にはアクリル系粘着剤、天然ゴム系粘着剤、
合成ゴム系粘着剤などが好ましいものとして例示
される。 アクリル系粘着剤としては従来公知のものを広
く適用できるが、とくに好ましいものはアルキル
基の炭素数が４以上のアクリル酸アルキルエステ
ルと分子内にカルボキシル基ないしヒドロキシル
基を有する官能性モノマーおよび／または酢酸ビ
ニルとの共重合体を粘着性ポリマーとしたもので
ある。これらの共重合体のなかでもアクリル酸ア
ルキルエステルと酢酸ビニルとの共重合体は紫根
及び当帰の放出性、皮膚刺激に対する安全性およ
び薬剤の放出性という面でとくに好ましいもので
ある。上記のアクリル酸アルキルエステルの具体
例としては、アミルアクリレート、ブチルアクリ
レート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリ
レート、オクチルアクリレート、ノニルアクリレ
ート、２−エチルヘキシルアクリレート、２−メ
トキシエチルアクリレートなどがあり、また分子
内にカルボキシル基ないしヒドロキシル基を有す
る官能性モノマーとしては、アクリル酸、メタク
リル酸、イタコン酸、無水マレイン酸、ヒドロキ
シエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアク
リレートなどが挙げられる。合成ゴム系粘着剤と
しては、ポリイソブチレンゴム、シリコーンゴム
を主体とするものが好ましい。 当該高分子物質層に配合される紫根の量は0.1
〜30重量％であり、当帰等の他の生薬成分の配合
量は０〜30重量％である。 当該高分子物質層中には可塑剤としてトン脂、
ミツロウ、ゴマ油、ハチミツなどを配合すること
が好ましく、これら成分は、可塑剤としての機能
の外、粘着性高分子物質の軟化、粘着調整機能を
も有するものである。かかる可塑剤の配合量は１
〜80重量％である。 本発明に関する粘着性高分子物質層中にはさら
にたとえばヘスペリジン、ルチン、BHT、
BHA、アニソール、没食子酸プロピル、ブチル
ハイドロキシトルエン、イオウ末などの酸化防止
剤ないし老化防止剤などを配合してもよい。 本発明において用いられる担持体としては、
紙、織布、不織布、発泡シート、ゴムシート、プ
ラスチツクフイルム等の可撓性を有するものが用
いられる。 本発明製剤は、たとえば紫根等を配合した粘着
性高分子物質を担体に延展することによつて得ら
れるものであり、粘着性高分子物質層の厚みは通
常20μｍ〜3000μｍ、好ましくは40μｍ〜2000μ
ｍである。 本発明製剤は、さらに粘着性高分子物質層に剥
離フイルム（たとえば、ポリエチレンフイルムな
ど）を仮着しておき、使用時にこれをはがして外
皮へ貼付することが好ましい。 実施例 １ ２−エチルヘキシルアクリレート98部、アクリ
ル酸２部、過酸化ベンゾイル0.2部および酢酸エ
チル150部を、還流冷却器と撹拌機とを有する反
応器に投入し、窒素ガス雰囲気下、60℃で８時間
重合させた。得られた共重合体溶液にさらに酢酸
エチルを加えて乾燥後の固形分が20％となるよう
に希釈した。 このアクリル系粘着剤溶液にその固形分100重
量部に対して紫根アルコールエキス５重量部、ソ
ルビタンモノオレート１重量部、ゴマ油５重量
部、ハチミツ２重量部、水１重量部を配合し、こ
れを離型ライナー上に塗布乾燥して紫根アルコー
ルエキスを含む粘着性高分子物質層を形成した。
ついで片面を酸化処理したポリエチレンフイルム
の上記処理面に前記の粘着性高分子物質層を貼り
合せて圧着し、離型ライナー付の粘着性外用皮膚
疾患治療剤を得た。 実施例 ２ スチレン−イソプレン−スチレンブロツク共重合
体 30重量部 天然ゴム 50重量部 天然ロジン 16重量部 ヘスペリジン（ビタミンＰ） １重量部 イオウ末 0.2重量部 以上を120〜140℃で15分素練りを行い、混合ゴム
の固形物を得る。次にこの固形物を115℃まで温
度を落とし、 ミツロウ 10重量部 トン脂 ５重量部 以上を加え、20分混合練りした後、別に調整した
下記組成のゴマ油性エキス５部を加えて更に20分
混練りし、粘着膏体を得る。この粘着膏体を不織
布に500μｍ厚に展延して粘着性高分子物質層を
形成させ、上からポリエチレンフイルムを被覆し
粘着性外用皮膚疾患治療薬剤を得る。 ＜紫根、当帰エキス＞ 紫根 12部 当帰 ８部 ゴマ油 ５部 以上を60℃10日間放置後、圧搾してゴマ油性エキ
ス５重量部を得る。 実験例 １ 実施例２で得た製剤を第１表に示す傷に適用
し、その効果の判定を行つた結果は第１表に示す
通りである。 【表】

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 有効成分として少なくとも紫根又は紫根エキ
   スを配合した粘着性高分子物質層を担持体上に密
   着して形成させてなる粘着性外用皮膚疾患治療
   剤。 ２ 粘着性高分子物質層に当帰又は当帰エキスを
   添加してなる特許請求の範囲第１項記載の粘着性
   外用皮膚疾患治療剤。 ３ トン脂、ミツロウ、ゴマ油、ハチミツの群か
   ら選ばれた少なくとも一種を配合してなる特許請
   求の範囲第１及び２項のいずれかに記載の粘着性
   外用皮膚疾患治療剤。