JPH062670B2 - 口腔内製剤 - Google Patents

口腔内製剤

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JPH062670B2
JPH062670B2 JP61198361A JP19836186A JPH062670B2 JP H062670 B2 JPH062670 B2 JP H062670B2 JP 61198361 A JP61198361 A JP 61198361A JP 19836186 A JP19836186 A JP 19836186A JP H062670 B2 JPH062670 B2 JP H062670B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、口腔内の湿潤粘膜や歯面に貼付され、適用
部位に長時間に亘つて局所効果を及ぼす口腔内製剤に関
するものである。
〔従来の技術〕
従来より、歯槽膿漏や炎症などの口腔内の疾患に対し
て、種々の薬剤が軟膏剤や液剤として投与されている。
またこれら局所性の治療薬のみならず、粘膜面が外皮な
どに比べて薬剤を比較的よく吸収することに着目して、
経口投与では吸収されにくいホルモン剤などの全身性の
薬剤も口腔内粘膜からの投与が試みられている。このよ
うな、口腔内粘膜を通しての薬剤の投与に際して最大の
障害となるのは、唾液の分泌や飲食により、短時間のう
ちに薬剤が流去されてしまい充分な薬効の発現が困難な
ことである。
また、口腔内の損傷部を被覆保護することは有効な口腔
内包帯が存在していないことから殆ど行われていない
が、口腔内には上記のように常時唾液が分泌され、また
飲食物も入るため、その被覆保護の実現には大きな障害
がある。
最近、これらの障害を克服し口腔内の疾患に対して薬剤
を効果的に投与するか、もしくは口腔内の損傷部を被覆
保護するための口腔内粘膜付着製剤が種々提案されてい
る。例えば、ペーストバツカル錠(特公昭54−381
68号),付着性錠剤(特公昭57−29448号,特
開昭56−100714号)およびフイルム性製剤(特
開昭60−116630号)等が提案されている。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかしながら、これらの口腔内粘膜付着製剤は長時間の
付着持続力を備えていず、薬剤の投与に足るだけの時間
粘膜に付着していないという難点を有しており、充分な
性能を備えていない。また、最近に到り、貼付層に吸水
性高分子を分散させることによつて、粘膜に対する付着
性を強化した口腔用バンドが開示されている(実公昭6
0−13462号,実公昭60−13463号)。この
口腔内バンドは、吸水性高分子物質で唾液を吸水するこ
とによつて貼付層の溶解分散を防ぎ、長時間に亘る付着
性を奏することを目的とするものであるが、口腔内損傷
部位から出血をしているような場合には損傷部位に対す
る付着力が不足しており、損傷部の被覆保護を充分に行
うことができないという難点を有している。また、唾液
分泌量は個人差があり、唾液分泌量の多い場合にもやは
り充分な付着力が得られず、長時間の付着持続性に問題
がある。特に上記のような製剤や口腔内バンドに対して
局所性薬剤を含有させ、その含有局所性薬剤を口腔内粘
膜を通して投与するということが考えられ一部で実施さ
れているが、ここ内製剤,口腔内バンドの基剤と薬剤と
の相互作用のために薬剤の安定性が損なわれたり、放出
性が損なわれるという問題が生じており、この改善が求
められている。
この発明は、このような事情に鑑みなされたもので、口
腔内の損傷部位から出血しているような場合であつて
も、また、唾液分泌量が多い場合であつても長時間の付
着持続力を発揮し、かつ含有薬剤の安定性および放出性
が良好な口腔内製剤の提供をその目的とする。
〔問題点を解決するための手段〕
上記の目的を達成するため、この発明の口腔内製剤は、
フイルム状付着体を構造の主体とする口腔内製剤におい
て、上記フイルム状付着体が、ポリカルボン酸およびポ
リ無水カルボン酸の少なくとも一方と酢酸ビニル重合体
とが相溶状態になつている柔軟なフイルム状体であつ
て、局所性薬剤含有吸水性高分子物質が分散されている
ものによつて構成されているという構成をとる。
すなわち、本発明者らは、ポリカルボン酸およびポリ無
水カルボン酸の少なくとも一方と酢酸ビニル重合体との
相溶体からなるフイルムで口腔内製剤のベースとなる付
着体を構成すると、得られる口腔内製剤が長時間口腔内
粘膜に付着し、口腔内損傷部位等に対する被覆保護を長
時間維持するようになることを見いだしすでに特許出願
をしている(特願昭60−91580号(特開昭61−
249472号)。特願昭60−91581号(特開昭
61−249473号)。そして、さらに研究を重ねた
結果、上記付着体を構成するフイルムに、局所性薬剤を
含有する吸水性高分子物質を含有させると、吸水性高分
子物質の作用によりさらに口腔内粘膜に対する付着性が
向上し、口腔内損傷部位から出血している場合にも、ま
た唾液分泌量が多い場合にも適用でき良好な被覆保護効
果が得られ、しかも局所性薬剤が吸水性高分子物質の保
護作用によつて安定に存在し、かつ口腔内粘膜貼付後徐
々に放出されるようになることを見いだしこの発明に到
達した。
これについてより詳しく述べると、ポリカルボン酸およ
びポリ無水カルボン酸のような水溶性高分子物質は、そ
れ自体保形性を有しており、少量の水分を吸収した状態
では強力な付着性を発現するが、すぐ過剰吸水状態とな
り粘度低下,崩壊を起し実質的に水に溶解した状態とな
つて付着性を失う。
本発明者らは、ポリカルボン酸,ポリ無水カルボン酸等
の水溶性高分子物質のこのような吸水時における強力な
付着力を生かし、これを口腔内製剤に有効に利用するた
め、その欠陥である過剰吸水時の付着性喪失の改善を目
的として一連の研究を重ねた。その結果、ポリカルボン
酸,ポリ無水カルボン酸と、酢酸ビニル重合体とは相溶
性を有しており、両者を相溶状態にすると、ポリカルボ
ン酸,ポリ無水カルボン酸の実質的な水不溶化が、吸水
時の強力な付着性を損なうことなくむしろ増強した状態
で実現され、両者の相溶物を薄い柔軟なフイルム状に形
成しても湿潤状態で吸水崩壊せず長時間強力な付着力を
発現するようになることを見いだした。これに関しては
先に述べたように、すでに特許出願している。そして、
その後の研究の継続により、ポリカルボン酸類と酢酸ビ
ニル重合体とが相溶状態になつている特殊なフイルム
に、さらに局所性薬剤を含有している吸水性高分子物質
を分散含有させると、口腔内粘膜に対する一層の付着力
の向上効果が得られるようになり、それによつて口腔内
損傷部位から出血しているような場合であつても、また
唾液の分泌量が多い場合であつても強力に付着し、しか
も局所性薬剤が吸水性高分子物質によつて保護され安定
に存在すると同時に、口腔内粘膜貼付時に徐々に貼付粘
膜に対して放出され、貼付個所を中心に長期間に亘つて
投与されるようになることを見いだしこの発明に到達し
た。
上記のようなポリカルボン酸およびポリ無水カルボン酸
の少なくとも一方(以下これらを「ポリカルボン酸類」
と総称する)と酢酸ビニル重合体との相溶物からなる柔
軟なフイルムは、乾燥時には付着性を有していないが、
吸水時に強力な付着性を発揮し、その状態は水中浸漬時
においても殆ど変化しないという画期的な特性を備えて
いる。
この発明は、上記フイルムを口腔内製剤のフイルム状付
着体とする。上記のような画期的な特性はポリカルボン
酸類と酢酸ビニル重合体とが相溶状態になつていて初め
て発現するものであり、相溶状態になつていないときに
は発現しない。
ここで相溶状態とは、ポリカルボン酸類と酢酸ビニル重
合体等とが相分離して独立した小領域を形成することな
く、均一に溶解しあつた状態をいう。ポリカルボン酸類
と酢酸ビニル重合体は、相溶した状態になると、相分離
状態での混合物の特性からは予測されない特性を示すよ
うになる。すなわち、ポリカルボン酸類と酢酸ビニル重
合体の混合物においては、相分離状態のフイルムは白濁
し、相溶状態のフイルムは透明度が高いものとなる。し
かし、この発明の口腔内製剤には、場合によつては、ポ
リカルボン酸類を中和するための塩類を含有させる場合
があり、そのような場合には、ポリカルボン酸類と酢酸
ビニル重合体とが相溶状態になつていても、塩類が粗い
混合状態にあるならば、フイルムは白濁する。したがつ
て、目視あるいは光学顕微鏡による観察によつては、必
ずしもポリカルボン酸類と酢酸ビニル重合体との混合状
態を判別することができない場合がある。
しかしながら、ポリカルボン酸類と酢酸ビニル重合体と
が相溶状態にある時には、水溶性であるはずのポリカル
ボン酸類の水溶性が著しく制限され、たとえ水中にかな
り長時間に亘つて浸漬しても均質に膨潤し、崩壊を起こ
さない。この性質は中和作用を有する塩の有無にかかわ
らず観察される。この性質を利用して、ポリカルボン酸
類と酢酸ビニル重合体との相溶状態を調べることができ
る。すなわち、この発明では、ポリカルボン酸類と酢酸
ビニル重合体の相溶状態をポリカルボン酸類の溶出量か
ら調べるものであり、この発明における相溶状態とは、
具体的には、下記の溶出率測定法によつて求められた溶
出率が50重量%(以下「%」と略す)以下である混合
状態のことをいう。
(溶出率測定法) ポリカルボン酸類と酢酸ビニル重合体と中和作用を有す
る塩類とからなるフイルム(フイルム状付着体)を0℃
以下にて粉砕し、秤量する。これをメツシユの袋に入
れ、該付着体の重量の300倍以上の20℃の精製水内
に静置状態で1時間浸漬したのち、袋ごと付着体を取り
出す。この操作により精製水中に溶出したポリカルボン
酸類の量を、浸漬による付着体の重量減少などより求め
る。これをフイルム中のポリカルボン酸類の配合量で除
算して溶出率を算出する。
上記ポリカルボン酸類と酢酸ビニル重合体とが相溶状態
になつている柔軟なフイルム(フイルム状付着体)に分
散含有される局所性薬剤含有吸水性高分子物質の基剤で
ある吸水性高分子物質としては、澱粉アクリル酸塩グラ
フト重合体(澱粉系),カルボキシメチルセルロース架
橋体(セルロース系)およびビニルアルコールアクリル
酸塩共重合体,ポリアクリロニトリル加水分解物,架橋
ポリアクリル酸塩,変性ポリビニルアルコールのような
合成ポリマー系のもの等があげられる。これらは単独で
用いてもよいし、2種以上を併用しても問題はない。
上記局所性薬剤含有吸水性高分子物質における局所性薬
剤としては、 a)副腎皮質ホルモン トリアムシノロンアセトニド,デキサメタゾン,ベタメ
サゾン,プレドニゾロン,フルオシノロン,ハイドロコ
ルチゾン,ベクロメタゾンなど、およびそれらの塩。
b)消炎剤 フルルビプロフエン,イブプロフエン,ジクロフエナツ
ク,インドメサシン,ベンダザツク,フルフエナム酸,
ブフエキサマツク,サイクロスポリン,クリダナク,グ
リチルリチン,ケトプロフエン,ピロキシカム,プラノ
プロフエン,ベンジダミン,イブプロフエンピコノー
ル,エトフエナマート,リゾチーム,キモトリプシン,
エピジヒドロコレステリン,ヒノキチオール,α−アミ
ラーゼ,アズレン,クロロフイリン,クロモグリク酸,
トラニラスト,セラチオペプチダーゼ,プロナーゼ,グ
ルカナーゼ,シコンエキスなど、およびそれらの塩。
c)殺菌剤 アクリノール,セチルピリジニウム,クロルヘキシジ
ン,ドミフエン,ヨード,モネンシン,サンギナリン,
メトロニダゾール,デカリニウム,テトラサイクリン,
ミノサイクリン,オフロキサシン,ペニシリン,ドキシ
サイクリン,オキシテトラサイクリン,セフアトリジ
ン,ナイスタチン,クリンダマイシン,硫酸フラジオマ
イシンなど、およびそれらの塩 d)鎮痛剤 アミノ安息香酸エチル,カンフル,オイゲノール,ジブ
カイン,フエノール,メントール,クレオソート,ジフ
エンヒドラミン,リドカイン,テトラカイン,プロカイ
ン,コカイン,ピペロカイン,メピバカイン,プロモキ
シン,デイクロニン,グアヤコールなど、およびそれら
の塩。
e)止血剤 トラネキサム酸,ε−アミノカプロン酸,アルギン酸,
バイオフラボノイド,ビタミンC,トロンビン,酸化セ
ルロース,セトラキサート,エピネフリン,塩化第二
鉄,フイブリノーゲン,カルバゾクロム,アドレノクロ
ムなど、およびそれらの塩。
f)血管拡張剤 イノシトールヘキサニコチネート,シクランデレート,
シンナリジン,トラゾリン,アセチルコリンなど、およ
びそれらの塩。
g)組織修復剤 ソルコセリン,プログルミド,スクラルフアート,ゲフ
アルナート,クエン酸ニカメタート,グルタミン,アセ
グルタミドアルミニウム,エチルシステイン,キチン,
ビタミンEニコチネート,ユビデカレノンなど、および
それらの塩。
h)抗ウイルス剤 アシクロビル,イドクスウリジン,ビタラビン,アマン
タジンなど、およびそれらの塩。
i)骨代謝剤 ビタミンD類,エンドトキシン,ハイドロキシアパタイ
ト,コラーゲン,カタボリン,2−クロロアデノシン,
ノカルデイア,カルシトリオール,対歯槽骨プロスタグ
ランジン類,対歯槽骨破骨細胞活性化因子,対歯槽骨副
甲状腺ホルモン,対歯槽骨カルシトニンなど、およびそ
れらの塩。
j)収れん剤 タンニン,タンニン酸,フツ化亜鉛,フツ化ナトリウ
ム,フツ化ストロンチウム,硝酸カリウム,フツ化ス
ズ,硫酸アルミニウムカリウム,ベルベリン,ビスマス
類,塩化ストロンチウム,乳酸アルミニウムなど、およ
びそれらの塩。
等があげられる。これらの局所性薬剤は、フイルム状付
着体の貼付面等から流通する唾液等の水分によつて付着
体外に移送放出され、貼付個所の粘着およびその周辺部
に対して局所効果を奏する。
上記のような局所性薬剤を含有する吸水性高分子物質の
製造は、上記局所性薬剤を溶解した水,酸性溶液,アル
カリ性溶液,水−アルコール系溶液,アルコールまたは
多価アルコール溶液に吸水性高分子を加えて局所性薬剤
を吸収させ、その後乾燥することにより得ることができ
る。なお、必要により上記のようにして得られた局所性
薬剤含有吸水性高分子物質を非水溶性高分子物質,抗唾
液性高分子物質もしくは腸溶性高分子物質で被覆しても
よい。
上記水溶性高分子物質としては、ヒドロキシプロピルセ
ルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロース,メチ
ルセルロース,カルボキシメチルセルロースナトリウ
ム,ヒドロキシエチルセルロース,プルラン、また腸溶
性高分子物質としては、ヒドロキシプロピルセルロース
フタレート,セルロースアセテートフタレート,カルボ
キシメチルエチルセルロース,ヒドロキシプロピルメチ
ルセルロースアセテートサクシネート,メタアクリル酸
メチルコポリマー(オイドラギツトL100,オイドラ
ギツトS100、ローム・フアーマ社製)、抗唾液性高
分子物質としては、メタアクリル酸ジメチルアミノエチ
ル,メタアクリル酸メチルコポリマー(オイドラギツト
E100、ローム・フアーマ社製)、非水溶性高分子物
質としては、エチルセルロース,メタアクリル酸エチル
・メタアクリル酸塩化トリメチルアンモニウムエチルコ
ポリマー(オイドラギツトRS100、ローム・フアー
マ社製),アクリル酸エチル・メタアクリル酸メチルコ
ポリマー(オイドラギツトE30D、ローム・フアーマ
社製)等があげられる。
このような局所性薬剤含有吸水性高分子物質は、上記柔
軟なフイルムからなるフイルム状付着体中に均一に分散
させることが好適であり、そのフイルム状付着体中に2
0%未満になるように分散含有させることが好ましい。
特に、好ましいのは5〜20%の範囲内であり、この範
囲内において、付着時間の延長と止血効果が良好に発揮
されるようになる。さらに、好適なのは5〜15%であ
る。この範囲内では貼付後5時間でも剥離せず、良好な
止血効果が認められる。
この発明の口腔内製剤は、上記のような、乾燥時には付
着性を示さず吸水時にのみ付着力を発現する柔軟なフイ
ルムをフイルム状付着体とするものであり、フイルム状
付着体が乾燥している状態では付着性を有しないため特
別な保管態様をとることなくそのまま保管でき、使用に
際しては口腔内粘膜に押し付けるだけで粘膜上の唾液や
粘膜の水分を吸収して速やかに付着性を発現し粘膜に強
力に付着する。したがつて、出血等により付着しにくく
なつている口腔内疾患部位や損傷部位の上に強力に付着
して被覆保護作用を発現すると同時に含有局所性薬剤の
作用により治癒作用等を奏する。そして、この被覆保護
状態は著しく長時間持続し、それに伴い吸水性高分子物
質に含有されている局所性薬剤も口腔内疾患部位や損傷
部位等に対して徐々に放出され、長期間に亘つて治癒作
用等を奏するのであり、これがこの発明の大きな特徴で
ある。この場合、口腔内製剤を粘膜に貼付した初期段階
で、ポリカルボン酸類が損傷部等を刺激するということ
が考えられる。このような場合には、先に述べたよう
に、上記柔軟なフイルムから構成されるフイルム状付着
体に、ポリカルボン酸類に対する中和作用を有する塩類
を含有させることが好ましい。このようにすることによ
り、ポリカルボン酸類が中和されるため、上記損傷部位
に対して刺激が加えられず、長時間の付着によつても何
ら支障が生じなくなる。このような口腔内製剤の長時間
の付着持続性は、先に述べたようにフイルム状付着体に
おいてポリカルボン酸類と酢酸ビニル重合体とが相溶状
態になつており、さらにそこに吸水性高分子物質が所定
量分散含有されていることにより初めて実現するもので
ある。
この付着持続力の発生機構は明らかではないが、相溶状
態下においては、ポリカルボン酸類が湿潤粘膜に対する
付着性を、酢酸ビニル重合体が耐水性を付与し、かつ吸
水性高分子物質がフイルム状付着体における過剰浸入水
分を吸水してポリカルボン酸類に対する適正水分供給作
用を発揮し、これらがうまく調和して長時間の付着持続
力が発現するものと考えられる。そして、上記吸水性高
分子物質に含有されている局所性薬剤は吸水性高分子物
質によつて保護された構造となつているため、基剤(フ
イルム状付着体)と相互作用を生じず、したがつて、安
定に存在する。そして、吸水性高分子物質の吸水によ
り、徐々に吸水性高分子物質およびフイルム状付着体を
通して放出され、長期間に亘つて治癒作用等を奏するよ
うになる。なお、ポリカルボン酸類に対して中和作用を
有する塩類はその混合状態が付着性に影響を与えること
はないが、その特性が上記付着性等に対して微妙に影響
する。例えば、酸化亜鉛や酸化カルシウムのような多価
の金属塩は、付着性を減じ耐水性を高める働きをする
が、酢酸ナトリウム等の一価の金属塩や、水酸化ナトリ
ウムやトリエタノールアミン等の一価の塩基は付着性高
め耐水性を減じる作用をする。
このように、この発明の口腔内製剤は、口腔内粘膜に対
する強力な付着力を有しているため、口腔内疾患部位に
対して長時間の被覆保護作用を奏すると同時に口腔内損
傷部位、特に出血しているような口腔内損傷部位に対し
ても充分な被覆保護を行うことができ、その際、含有局
所性薬剤の作用によりその治癒等を早めうるようにな
る。さらに、この発明の口腔内製剤におけるフイルム状
付着体は、ポリカルボン酸類と酢酸ビニル重合体とが相
溶状態になつている実質的に水不溶性の柔軟なフイルム
からなり、単に水溶性高分子物質をそのまま用いたもの
ではないため非常に薄い状態で長時間に亘る付着持続力
を発現する。すなわち、水溶性高分子物質をそのまま用
いる場合には、それをあまり薄くすると唾液によつて短
時間の間に急速に溶解して付着性が急速に失われるよう
になるから薄くできないのであり、かなりの厚みをもた
せることとなる。しかし、このようにすると、使用時の
異物感が大きくなると同時に口腔内製剤の柔軟性が損な
われるようになる。この発明の口腔内製剤のフイルム状
付着体は、非常に薄い状態で長時間に亘り強力な付着力
を発現するため、厚みを厚くする必要がなく、厚みの過
大による異物感等を感じさせないのである。この発明の
口腔内製剤は、このようにフイルム状付着体を薄い柔軟
なフイルムによつて構成しているため、全体が柔軟であ
り、かつ薄い。したがつて使用時に軽く押し付けるだけ
で口腔内粘膜に沿つて円滑に変形し簡単に付着するもの
であり、また貼付によつて異物感を与えないという利点
を有している。
この発明の口腔内製剤は、例えばつぎのようにして製造
することができる。すなわち、ポリカルボン酸類と酢酸
ビニル重合体とを、両者に共通の溶媒に溶解し、場合に
よつては、さらに上記ポリカルボン酸類に対して中和作
用を有する塩類を配合した均一溶液をつくる。他方、局
所性薬剤を溶解した溶液に吸水性高分子物質を含有させ
て薬剤を吸収させたのち乾燥させ局所性薬剤含有吸水性
高分子物質をつくる。場合によつては、上記局所性薬剤
含有吸水性高分子物質を水溶性高分子,抗唾液性高分
子,腸溶性高分子で被覆する。つぎに、このようにして
得られた局所性薬剤含有吸水性高分子物質を上記ポリカ
ルボン酸類と酢酸ビニル重合体との均一溶液に所定量配
合し分散させ、これを迅速に流延し乾燥してフイルム状
付着体化することにより製造することができる。この製
造法によれば非常に薄いフイルム状体を容易に形成しう
るという利点がある。
上記ポリカルボン酸類の代表的なものを例示すると、ア
クリル酸重合体,メタクリル酸重合体,無水マレイン酸
重合体があげられ、単独でもしくは併せて使用すること
ができる。上記アクリル酸重合体の具体例として、アク
リル酸単独重合体の他に、アクリル酸ブチル,アクリル
酸−2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル類や、
メタクリル酸メチル等のメタクリル酸エステル類ならび
に酢酸ビニルなどのビニルモノマーとの共重合体や、カ
ルボキシビニルポリマーのような共重合体があげられ
る。また、メタクリル酸重合体の具体例としては、メタ
クリル酸単独重合体の他に、アクリル酸重合体の場合と
同様な共重合体があげられ、無水マレイン酸重合体の具
体例としては、メチルビニルエーテル等との共重合体が
あげられる。なお、上記各具体例に例示した化合物は単
独使用だけでなく混合使用できることはいうまでもな
い。これらのポリカルボン酸類において、ポリカルボン
酸中には、−COOH基が20%以上、ポリ無水カルボ
ン酸中には、−CO−O−CO−基が16%以上含まれ
ていることが効果の上で好ましい。
また、酢酸ビニル重合体の代表的なものを例示すると、
酢酸ビニル単独重合体があげられ、それ以外にアクリル
酸エステル等のビニルモノマーと酢酸ビニルとの共重合
体および酢酸ビニル単独重合体を部分ケン化した部分ケ
ン化物もあげられる。これらは単独でもしくは併せて使
用することができる。また、これらは平均分子量(粘度
平均分子量)が60000以上であることが好ましい。
平均分子量が60000未満のものを用いると、上記フ
イルム状付着体の耐水性が低下し所期の効果が得られに
くくなる。
ポリカルボン酸類に対して中和作用を有する塩類とは、
塩のみではなく、塩基も含むものであり、その代表例と
して、金属と弱酸との塩,金属の酸化物,金属の水酸化
物,アミン等およびそれらの混合物があげられる。金属
と弱酸との塩の具体例として、ナトリウム,カリウム,
カルシウム,マグネシウム等と、酢酸,乳酸,クエン酸
等のカルボン酸との塩があげられ、金属の酸化物の具体
例としては、酸化亜鉛,酸化カルシウム,酸化マグネシ
ウムがあげられる。また、金属の水酸化物の具体例とし
ては、水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,水酸化カル
シウム,水酸化マグネシウム等があげられ、アミンの具
体例としては、トリエタノールアミン,ジイソプロパノ
ールアミン等があげられる。上記に具体的に例示した化
合物は単独でもしくは併用しうるものである。このよう
な塩類の好ましい配合量は、塩または塩基の種類によつ
て大幅に異なる。多価の金属塩を使用する場合には、フ
イルム状付着体中のポリカルボン酸類に対して、0.2〜
0.8当量配合することが好ましく、その量が0.2当量を下
回ると、損傷部位(損傷粘膜)に対する刺激性低減効果
が不充分となり、0.8当量を上回ると、充分な付着持続
性が得られにくくなる。また、一価の金属塩あるいは一
価の塩基を使用する場合には、フイルム状付着体中のポ
リカルボン酸類に対して、0.03〜0.2当量配合すること
が好ましく、その量が0.03当量を下回ると損傷部位に対
する刺激性低減効果が不充分となり、0.2当量を上回る
とフイルム状付着体の耐水性が低下して充分な付着力が
得られにくくなるからである。
上記ポリカルボン酸類と酢酸ビニル重合体の共通溶媒と
しては、メタノール,エタノール等の低級アルコー
ル、およびこれと可溶なアセトン,酢酸エチル等の有
機溶媒との混合物であつて低級アルコールを主成分とす
るもの、ならびに上記混合物または低級アルコールに
さらに水を添加混合したものがあげられる。上記の溶
媒に関しては、アセトン,酢酸エチル等の有機溶媒の含
有量を30%以下に制限することが好ましい。30%を
超えるとポリカルボン酸類の溶解が困難になるからであ
る。上記の溶媒に関しては、水の含有量を30%以下
に制限することが好ましい。水の含有量が30%を超え
ると酢酸ビニル重合体の溶解が困難になる傾向がみられ
るからである。
このようにして口腔内製剤を製造する場合において、ポ
リカルボン酸類と酢酸ビニル重合体との混合比率は、下
記の式で求められるA値が15〜55の範囲内になるよ
うに規制することが好ましい。
A値が大きくなる程、フイルム状付着体の、粘膜に対す
る付着力は大きくなるが、付着持続性は低下する傾向を
示し、逆にA値が小さくなる程付着力は小さくなるが、
付着持続性は増加する傾向を示す。そして、上記A値が
15を下回ると、充分な付着力が得られにくくなり、ま
た、55を上回ると、充分な付着持続性が得られにくく
なる。したがつて、A値が15〜55の範囲内になるよ
うポリカルボン酸類と酢酸ビニル重合体の混合比率を規
制することが好ましい。ポリカルボン酸類としてポリア
クリル酸を使用した場合を例にとつて説明すると、フイ
ルム状付着体中に占めるポリアクリル酸の割合が24〜
88%の範囲にあれば、A値が上記範囲内に入るのであ
り、好ましい結果が得られるようになる。
また、上記ポリカルボン酸類と酢酸ビニル重合体とを共
通溶媒に溶解する際、両者が充分溶解するように配慮す
ることが必要である。この場合、ポリカルボン酸類,酢
酸ビニル重合体等の高分子物質の濃度は特に制限を受け
るものではないが、高分子物質の濃度が高くなりすぎる
と、溶液粘度が大きくなり、これを流延フイルム状化す
る際、困難になる傾向がみられるため高分子物質の濃度
が40%を超えないように配慮することが好ましい。
ポリカルボン酸類と酢酸ビニル重合体を溶解しこれに局
所性薬剤含有吸水性高分子物質を前記のように配合した
溶液の流延乾燥フイルム状付着体化は、剥離処理を行つ
たポリエチレンラミネート紙などの適当なフイルム上に
上記溶液を流延したのち、乾燥器あるいは乾燥塔などの
高温空気浴を使用することによつて迅速に乾燥しフイル
ム状化することにより行うことができる。適正な乾燥時
間あるいは乾燥温度は、共通溶媒の組成,溶液中の固形
分濃度,流延厚さ等によつて異なるが、一般に60℃か
ら120℃の温度で1分から20分程度乾燥することが
好ましい。
このようにして非常に薄いフイルム状付着体が得られ
る。このフイルム状付着体は、そのままこの発明の口腔
内製剤となりうるものである。この場合、上記フイルム
状付着体の厚みは流延量等の制御により調整しうるもの
であり、10〜100μmの範囲内に規制することが好
ましい。厚みが10μm未満になると充分な付着特性の
発現が困難となり、100μmを超えると使用に際して
口中異物感を与え、またフイルム状付着体の柔軟性が損
なわれる傾向がみられるからである。
上記のように、この発明の口腔内製剤は、フイルム状付
着体だけでも構成されうるものであるが、これと柔軟な
フイルム状支持体とを組み合わせても構成することがで
きる。
この組合せ物の製造法について説明すると、この組合せ
物は、前記のようにしてフイルム状付着体を製造し、こ
れを、熱圧着,接着剤使用等の通常の方法で、柔軟なフ
イルム状支持体に貼り合わせることにより製造でき、ま
たフイルム状付着体の製造に使用する配合物を上記柔軟
なフイルム状支持体の上に流延し、フイルム状付着体の
製造と柔軟なフイルム状支持体との貼り合わせを同時に
行うことによつても製造することができる。後者のよう
にするときには熱圧着,接着作業が不要になり製造の簡
易化を実現しうるという利点がある。
上記柔軟なフイルム状支持体としては、水不透過性のも
のを用いることが好ましい。その代表的なものを例示す
ると、ポリエチレン,酢酸ビニル樹脂,エチレン−酢酸
ビニル共重合体,ポリ塩化ビニル,ポリウレタンなどの
プラスチツクフイルム、アルミ箔,すず箔などの金属
箔、布や紙とプラスチツクフイルムとのラミネートフイ
ルムなどがあげられる。なかでも、安全性,使用感の点
で、ポリエチレン,酢酸ビニル樹脂,エチレン−酢酸ビ
ニル共重合体などのプラスチツクフイルムを用いること
が好ましい。このような柔軟なフイルム状支持体は、厚
みが10〜100μmのものを用いることが、取扱い性
や使用時に異物感を与えないという点で好ましく、上記
柔軟なフイルム状支持体とフイルム状付着体との一体化
物は、厚みを30〜150μmの範囲内に規制すること
が好ましい。すなわち、厚みが30μm未満では取扱い
性や操作性が悪くなり、150μmを超えると使用時に
異物感を与える傾向がみられるからである。
上記のようにフイルム状付着体と柔軟なフイルム状支持
体とを一体化して得られる口腔内製剤は、フイルム状付
着体の作用により、口腔内粘膜に対して強力に付着し、
長時間の付着持続力を発現するのであるが、上記柔軟な
フイルム状支持体を一体化していることにより、口腔内
製剤の強度が増し使用しやすくなると同時に、フイルム
状支持体の作用により背面に食物等の異物が付着するこ
とが防止される等の効果がさらに得られる。そして、柔
軟なフイルム状体として水不透過性のものを用いること
により、背面からの水分の侵入を防ぎ付着持続時間の延
長を実現できる等の効果がさらに得られるようになるの
である。
なお、この発明の口腔内製剤の、フイルム状付着体また
はフイルム状支持体に、その付着性を妨げない範囲で着
色料,香味料,軟化剤などを配合することは自由であ
る。例えば、上記付着体,支持体ともに無色である場合
には、その一方に着色料を配合すると、製剤の表裏が明
確になり使いやすいという利点が得られるようになる。
以上のように、この発明の口腔内製剤は、ポリカルボン
酸類と酢酸ビニル重合体との相溶物であつて局所性薬剤
含有吸水性高分子物質が分散されているものを柔軟な薄
いフイルム状に形成し、これをフイルム状付着体として
用いているため、フイルム状付着体だけからなるもの、
およびこれと柔軟なフイルム状支持体とを一体化したも
のの双方とも、柔軟性に富んでいるのであり、口腔内に
貼付すると、口腔内の水分を吸収してさらに軟化する。
したがつて口腔内のどの部分(歯面も含む)に対しても
容易にフイツトし、強力な付着力と長時間の付着持続力
を発現する。特にこの発明の口腔内製剤は、局所性薬剤
含有吸水性高分子物質が上記相溶物に分散含有されてい
るため、口腔内粘膜に対する付着力が著しく向上してお
り、口腔内損傷部位であつて出血をしているような部位
に対してもまた唾液分泌量の多い場合であつても良好に
付着し、長時間の被覆保護を実現しうると同時に、上記
高分子物質に含有されている局所性薬剤の作用により口
腔内損傷部位等に対する治癒効果等を奏するようにな
る。
〔発明の効果〕
この発明の口腔内製剤は、以上のように構成されている
ため、口腔内粘膜に対する付着力が著しく向上してお
り、出血状態の損傷部位等に対しても良好に付着し、含
有局所性薬剤の保護作用と相俟つて長時間の被覆保護お
よび損傷部位等の治癒効果を実現しうるのであり、また
唾液分泌量の多い場合にも付着可能であつて長時間の被
覆保護を実現しうる。しかも、上記口腔内製剤は柔軟で
あつて使用に際して軽く押し付けるだけで口腔内粘膜の
膜面等に沿つて変形し付着するものであり、口腔内のあ
らゆる個所に貼付可能で極めて実用的である。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
〔実施例1〕 ポリカルボン酸類としてカルボキシビニルポリマーを用
い、これの4.7重量部(以下「部」と略す)と酢酸ビニ
ル樹脂(1500)4.7部とを両者の共通溶媒であ
るメタノール90部に投入し、さらにジイソプロパノー
ルアミン0.6部を投入し混合溶解して均一な溶液をつく
つた。
他方、上記とは別にトラネキサム酸0.01部を水5部に溶
解し、これにビニルアルコールアクリル酸塩共重合体0.
99部を加え、トラネキサム酸および水を吸収させたのち
50℃で乾燥し、水分を除去し局所性薬剤含有吸水性高
分子物質を製造した。
つぎに、これを上記均一な溶液に配合しできるだけ均一
に分散させた。ついで、この分散液を、剥離処理したポ
リエチレンラミネート紙の上に流延し80℃の乾燥機中
で8分間乾燥して厚み80μmのフイルム状付着体をつ
くつた。このようにして得られたフイルム状付着体を厚
み40μmの酢酸ビニル樹脂フイルムと100℃で熱圧
着して口腔内製剤を得た。
このようにして得られた口腔内製剤を抜糸術後の患者の
抜糸部に貼付したところ、止血効果が認められた。
〔実施例2〕 実施例1と同様にして局所性薬剤含有吸水性高分子物質
をつくり、得られたものに対してフローコーターで濃度
2%のヒドロキシプロピルセルロースエタノール溶液を
噴霧し被覆した。それ以外は実施例1と同様にして口腔
内製剤を得た。
得られた口腔内製剤を実施例1と同様、抜糸術後の患者
の抜糸部に貼付したところ、顕著な止血効果が認められ
た。
〔実施例3〕 下記の原料を下記に示す割合で準備した。
カルボキシビニルポリマー 3.4部 酢酸ビニル樹脂(1000)8.4部 クエン酸3Na 0.2部 メタノール 71.0部 精 製 水 17.0部 上記成分原料を混合し均一な溶液を得た。
他方、上記とは別にアズレン0.3部を水12部に溶解
し、これに架橋ポリアクリル酸塩からなる吸水性高分子
物質1.7部を加え、アズレンおよび水を吸収させ、80
℃で水を除去し局所性薬剤含有吸水性高分子物質を得
た。つぎに、これを前記均一な溶液に添加し、できるだ
け均一に撹拌した。そして、得られた混合溶液をポリエ
チレンラミネート紙の上に流延し80℃の乾燥機中で1
5分間乾燥し、厚み200μmのフイルム状付着体を得
た。つぎに、これを厚み15μmのアルミ箔に100℃
で熱圧着し、口腔内製剤を製造した。
このようにして得られた口腔内製剤をアフタ性口内炎患
者の患部に貼付したところ、アフタの消失が認められ
た。
〔実施例4〕 実施例3と同様にして局所性薬剤含有吸水性高分子物質
をつくり、得られた高分子物質に濃度1%のヒドロキシ
プロピルメチルセルロースフタレート塩化メチレン溶液
を噴霧し被覆した。これを用いた以外は実施例3と同様
にして口腔内製剤を得た。
このようにして得られた口腔内製剤を実施例3と同様、
アフタ性口内炎患者の患部に貼付したところ、アフタの
消失が認められた。
〔比較例1〕 局所性薬剤含有吸水性高分子物質の使用を取り止めた以
外は実施例1と同様にして、ポリカルボン酸類と酢酸ビ
ニル重合体とが相溶状態になつているフイルムからなる
口腔内製剤を得た。
〔比較例2〕 実施例1と同様にしてポリカルボン酸類と酢酸ビニル樹
脂との混合溶液をつくり、これにトラネキサム酸0.01部
を少量のメタノールに溶解した溶液を添加し均一な溶液
とした。これを用い、実施例1と同様の方法でフイルム
状付着体をつくり、これを口腔内製剤とした。
〔比較例3〕 実施例3と同様にしてポリカルボン酸類と酢酸ビニル樹
脂との混合溶液をつくり、これにアズレン0.3部を少量
のメタノールに溶解した溶液を加えて均一な状態とした
のち、実施例3と同様にしてポリエチレンラミネート紙
の上に流延し口腔内製剤を得た。
以上の実施例および比較例で得られた口腔内製剤につい
て特性試験を行つた。その結果を次表に示した。
上記の表から明らかなように、局所性薬剤含有吸水性高
分子物質を含んだ口腔内製剤は、含んでいないものに比
べて付着時間が長く、それに伴い薬物の放出時間も延び
ている。したがつて、健常人を対象にした実用化試験に
おいても有効性が示されている。さらに、唾液分泌の多
い流延症の患者や術後出血が認められる患者に対しては
特に有効であることがわかる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大岸 裕次 大阪府高槻市朝日町3番1号 サンスター 株式会社内 (72)発明者 堀内 哲夫 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電気工業株式会社内 (72)発明者 井上 祐一 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電気工業株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フイルム状付着体を構造の主体とする口腔
    内製剤において、上記フイルム状付着体が、ポリカルボ
    ン酸およびポリ無水カルボン酸の少なくとも一方と酢酸
    ビニル重合体とが相溶状態になつている柔軟なフイルム
    状体であつて、局所性薬剤含有吸水性高分子物質が分散
    されているものによつて構成されていることを特徴とす
    る口腔内製剤。
  2. 【請求項2】局所性薬剤含有吸水性高分子物質の分散量
    が、フイルム状付着体の20重量%未満に設定されてい
    る特許請求の範囲第1項記載の口腔内製剤。
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