JPH0710769B2 - 口腔内製剤 - Google Patents

口腔内製剤

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JPH0710769B2
JPH0710769B2 JP9902986A JP9902986A JPH0710769B2 JP H0710769 B2 JPH0710769 B2 JP H0710769B2 JP 9902986 A JP9902986 A JP 9902986A JP 9902986 A JP9902986 A JP 9902986A JP H0710769 B2 JPH0710769 B2 JP H0710769B2
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哲夫 堀内
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は,口腔内の湿潤粘膜に貼付され、適用部位に長
時間にわたつて全身効果をおよぼす口腔内製剤に関する
ものである。
〔従来の技術〕
近年、薬剤の投与方法として外皮投与,経粘膜投与など
皮膚を経て薬剤を投与する経皮投与方法が注目を集めて
いる。そしてこれらの投与方法はつぎのようにな特徴を
有している。
(1) 経口投与の場合、吸収された薬剤は、全身にゆ
きわたる前に、必ず門脈,肝臓を通過するが、皮膚を経
て吸収された薬剤は直接全身にゆきわたる。このため胃
腸障害や肝臓の負担が減少する。
また、消化酵素による分解や肝臓での代謝を受けること
がなく薬剤の利用率が増大し、ホルモンのような経口で
は薬効を示さない薬剤でも注射によることなく効果を発
揮する可能性がある。
(2) 薬剤は皮膚を経て徐々に吸収されるため、薬効
持続性の製剤が得やすい。
(3) 製剤を皮膚から剥離することにより投与を簡単
に中止することができる。
外皮投与あるいは経粘膜投与は以上のような長所を有す
るものであるが、外皮は本質的に体内を保護する作用を
有しており、容易には薬剤を透過しないため、全身作用
を有する薬剤の外皮投与はニトログリセリン軟膏のサラ
ンラツプ療法など2,3の例が行われているにすぎない。
この点においては、外皮に比べて薬剤の吸収性の高い粘
膜を用いる経粘膜投与が有利である。
経粘膜投与に利用される粘膜としては、眼粘膜,鼻腔粘
膜,口腔粘膜,直腸粘膜などが考えられるが,その中で
は、利用しうる粘膜の面積,投与の容易さ,投与時の違
和感などを考慮すると、口腔粘膜が最も有利である。
ただ、口腔粘膜に薬剤を経粘膜投与する際に生ずる最大
の障害は、唾液の分泌あるいは会話等に伴う口腔内部の
運動のために、投与した薬剤が効果を発揮する前に洗い
流されてしまい、長時間にわたる粘膜への薬剤の投与そ
のものが困難なことである。
最近、口腔粘膜上での薬剤の滞留性を高めることを目的
とした製剤あるいはその類似物として、ポリアクリル酸
ナトリウムを配合したペーストや水溶性高分子物質から
なるスポンジもしくはタブレツトあるいは片面を難水溶
化せしめたフイルム基剤中に薬剤を含有せしめたものが
提案され、実際に一部で使用されている。
このような製剤は、従来の液剤あるいは軟膏などに比較
すると、滞留性はかなり改善されてはいるが、つぎに述
べる点において、なお、充分なものとはいえない。
すなわち、ペースト状あるいはスポンジ状の製剤におい
ては、充分な物理的強度を有していないために、会話時
における粘膜の伸縮または擦れなどによつて除去されや
すい。特にペースト状製剤においては、意図する薬剤量
を正確に投与することが困難である。
また、タブレツト基剤は剛直であるために、複雑な形状
を有する口腔内湿潤表面の広範な部位に適用することが
困難であり、その剤形は小形とならざるを得ない。これ
は薬剤の投与面積が減少することを意味し、ひいては充
分量の薬剤が吸収されないことに通じるのである。
また、水溶性高分子物質を単にフイルム化したのみでは
充分な貼付強度とフイルム強度を得ることは困難であ
り、実用的な製剤を作製するには不適当である。
複雑な形状を有する口腔内粘膜の広範な部位に薬剤を正
確,確実に、しかもできるだけ違和感を与えることなく
長時間にわたつて投与するには、粘膜に対する充分な付
着力を有する柔軟かつ強靭なシート状製剤が必要である
が、上記のように従来例にはそのようなものは見当たら
ない。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、強力
な付着力および長時間にわたる付着持続力ならびに口腔
内粘膜または歯面の任意の部位に貼付可能な柔軟性を備
え、しかもその部位に薬剤を充分に投与しうる口腔内製
剤の提供をその目的とする。
〔問題点を解決するための手段〕
上記の目的を達成するため、本発明は、全身性薬剤を含
有するフイルム状付着体単独からなる薬剤、もしくはフ
イルム状付着体と柔軟なフイルム状支持体との一体化物
からなり、上記フイルム状付着体およびフイルム状支持
体の少なくとも一方に全身性薬剤を含有する製剤であつ
て、上記フイルム状付着体がポリカルボン酸およびポリ
無水カルボン酸の少なくとも一方と酢酸ビニル重合体と
が相溶状態になつている柔軟なフイルム状体によつて構
成されている口腔内製剤を第1の要旨とし、上記ポリカ
ルボン酸およびポリ無水カルボン酸の少なくとも一方と
酢酸ビニル重合体とが相溶状態になつている柔軟なフイ
ルム状体に、中和作用を有する塩類を含有させた口腔内
製剤を第2の要旨とする。
ポリカルボン酸およびポリ無水カルボン酸のような水溶
性高分子物質は、それ自体保形性を有しており、少量の
水分を吸収した状態では強力な付着性を発現するが、す
ぐ過剰吸水状態となり粘度低下、崩壊を起し実質的に水
に溶解した状態となつて付着性を失う。そのうえ、溶解
ポリカルボン酸は酸性を呈するので、敏感な口腔内粘膜
の損傷部に接触した場合に強い刺激を与え損傷部の悪化
の原因となる。
本発明者らは、ポリカルボン酸,ポリ無水カルボン酸等
の水溶性高分子物質のこのような吸水時における強力な
付着力を生かし、これを口腔内製剤に有効に利用するた
め、その欠陥である過剰吸水時の付着性喪失の改善およ
び口腔内損傷部に対する刺激性の改善を目的として水溶
性高分子物質を水不溶性化すべく一連の研究を重ねた。
その結果、ポリカルボン酸,ポリ無水カルボン酸と、酢
酸ビニル重合体とは相溶性を有しており、両者を相溶状
態にすると、ポリカルボン酸,ポリ無水カルボン酸の実
質的な水不溶化が、吸水時の強力な付着性を損なうこと
なくむしろ増強した状態で実現され、両者の相溶物に全
身性薬剤を含有させて薄い柔軟なフイルム状に形成して
も湿潤状態で吸水崩壊せず長時間強力な付着力を発現す
るようになり、また、上記相溶物にポリカルボン酸ない
しポリ無水カルボン酸に対して中和作用を有する塩類
(塩または塩基)を含有させると、口腔内粘膜に対する
刺激を殆どなくすことができるようになることを見いだ
した。したがつて、本発明の口腔内製剤は、柔軟であつ
て口腔内の任意の粘膜部位に対して貼付し、充分な量の
薬剤を吸収させうるのであり、またその際、粘膜に殆ど
刺激を与えないようにしうるのである。上記のような薬
剤の投与は、上記相溶物からなる柔軟なフイルム(フイ
ルム状付着体だけでなく、それを支持するフイルム状支
持体に対して全身性薬剤を含有させても実現することが
できる。
上記のようなポリカルボン酸およびポリ無水カルボン酸
の少なくとも一方(以下、これらを「ポリカルボン酸
類」と総称する)と酢酸ビニル重合体との相溶物からな
る柔軟なフイルムは、乾燥時には付着性を有していない
が、吸水時に強力な付着性を発揮し、その状態は水中浸
漬時においても殆ど変化しないという画期的な特性を備
えている。このような特性はポリカルボン酸類と酢酸ビ
ニル重合体とが相溶状態になつていて初めて発現するも
のであり、相溶状態になつていないときには発現しな
い。
ここで相溶状態とは、ポリカルボン酸類と酢酸ビニル重
合体とが相分離して独立した小領域を形成することな
く、均一に溶解しあつた状態をいう。ポリカルボン酢酸
と酢酸ビニル重合体は、相溶した状態になると、相分離
状態での混合物の特性からは予測されない特性を示すよ
うになる。すなわち、相分離状態のフイルムは白濁して
いるのに対し、相溶状態のフイルムは透明度が高く、高
学顕微鏡を用いた観察によつても独立した小領域を認め
ることができない。また、水中に浸漬した状態におい
て、相分離状態のフイルムはポリカルボン酸類が溶出し
全体が崩壊するが、相溶状態のフイルムは均質に膨潤す
るのみであつてポリカルボン酸類の溶出は極めて少な
く、ポリカルボン酸類は実質的に不溶化されている。こ
のポリカルボン酸類の不溶化を利用してポリカルボン酸
類と酢酸ビニル重合体との相溶状態を調べることができ
る。
また、ポリカルボン酸類に対して中和作用を有する塩類
を添加した場合、その混合状態が上記付着性に殆ど影響
を与えない。したがつて、この塩類は相溶状態になつて
いても、粉末が分散しているような粗い混合状態になつ
ていてもよいのである。また、前記したようにポリカル
ボン酸類と酢酸ビニル重合体のみの混合物であれば、明
瞭に相溶状態を観察することが可能であるが、中和作用
を有する塩類を含む混合物においては、その差異は不明
瞭となる。すなわち、ポリカルボン酸類と酢酸ビニル重
合体のみの混合物であれば、相分離状態のフイルムは白
濁するのに対し、相溶状態のフイルムは透明度が高いも
のとなるのであるが、中和作用を有する塩類を含む混合
物においては、塩類の混合状態についての規制がないた
め、ポリカルボン酸類と酢酸ビニル重合体とが相溶状態
にあつても、塩類が粗い混合状態にあるならば、やはり
フイルムは白濁するものである。このように、目視ある
いは光学顕微鏡による観察によつては、必ずしもポリカ
ルボン酸類と酢酸ビニル重合体との混合状態を判別する
ことができない場合がある。
しかしながら、すでに述べたように、本発明者らは、ポ
リカルボン酸類と酢酸ビニル重合体とが相溶状態にある
時には、水溶性であるはずのポリカルボン酸の水溶性が
著しく制限され、たとえ水中にかなり長時間にわたつて
浸漬しても均質に膨潤し、崩壊を起こさないものである
ことを見いだしている。この性質は中和作用を有する塩
の有無にかかわらず観察された。
この性質を利用して、ポリカルボン酸類と酢酸ビニル重
合体との相溶状態を調べることができる。また、ポリカ
ルボン酸類の水溶性が制限されていることにより、本発
明の口腔内製剤が長時間にわたつて口腔内粘度に付着で
きることから考えても、この判別法は適当であるといえ
る。
本発明では、ポリカルボン酸類と酢酸ビニル重合体の相
溶状態をポリカルボン酸類の溶出量から調べるものであ
り、本発明における相溶状態とは、具体的には、下記の
溶出率測定法によつて求められたポリカルボン酸類の溶
出率が40重量%(以下、「%」と略す)以下である混合
状態の場合をいい中和作用を有する塩類を含有する口腔
内製剤の場合では塩類の溶出も生じるので、下記測定法
によつて求められた溶出率が50%以下である混合状態の
場合をいう。
〈溶出率測定法:塩類を含有しない場合〉 ポリカルボン酸類と酢酸ビニル重合体とからなるフイル
ム(フイルム状付着体)を0℃以下において粉砕し秤量
する。これをメツシユの袋に入れて該付着体の重量の30
0倍以上の200℃の精製水内に、静置状態で1時間浸漬し
たのち、袋ごと付着体を取り出し、精製水中に溶出した
ポリカルボン酸類の量を、中和滴定などの方法により求
める。これをフイルム中のポリカルボン酸類の配合量で
除算し溶出率を算出する。
〈溶出率測定法:塩類を含有する場合〉 中和作用を有する塩類を含有するフイルム(フイルム状
付着体)に対して上記と同様の操作を行う。この操作に
より、精製水中に溶出したポリカルボン酸類と中和作用
を有する塩類の量を、浸漬による付着体の重量減少など
により求める。これをフイルム中のポリカルボン酸類と
中和作用を有する塩類との配合量の和で除算して溶出率
を算出する。
本発明の口腔内製剤は、上記のような、乾燥時には付着
性を示さず吸水時にのみ付着力を発現する柔軟なフイル
ムをフイルム状付着体(母材)とするものであり、フイ
ルム状付着体が乾燥している状態では付着性を有しない
ため特別な保管態様をとることなくそのまま保管でき、
使用に際しては口腔内粘膜または歯面に押し付けるだけ
で粘膜上の唾液や粘膜の水分の如き湿分を吸収して速や
かに付着性を発現し粘膜または歯面に強力に付着する。
そして、この付着状態は著しく長時間持続するのであ
り、これが本発明の大きな特徴である。このような長時
間の付着持続力は、すでに述べたようにフイルム状付着
体においてポリカルボン酸類と酢酸ビニル重合体とが相
溶状態になつていることにより初めて実現するものであ
る。
この付着持続力の発生機構は明らかではないが、相溶状
態下においては、ポリカルボン酸類が湿潤粘膜に対する
付着性を、酢酸ビニル重合体が耐水性を付与し、両者が
うまく調和して長時間の付着持続力を発現するものと考
えられる。なお、ポリカルボン酸類に対して中和作用を
有する塩類は、その混合状態が付着性に影響を与えるこ
とはないが、それ自身の有する特性が上記付着性等に対
して微妙に影響する。例えば、酸化亜鉛や酸化カルシウ
ムのような多価の金属塩は、付着性を減じ耐水性を高め
る働きをするが、酢酸ナトリウム等の1価の金属塩や、
水酸化ナトリウムやトリエタノールアミン等の1価の塩
基は付着性を高め耐水性を減じる作用をする。
このように、本発明の口腔内製剤は、長時間にわたる付
着持続力を有しているため、薬剤の吸収率を著しく高め
うるのである。
また、中和作用を有する塩類を含有する本発明の口腔内
製剤は、口腔内粘膜に対する刺激を殆どなくすことがで
きるので損傷部に対しても貼付できるという利点を有す
る。
本発明の口腔内製剤におけるフイルム状付着体は、非常
に薄い状態で長時間にわたり強力な付着力を発現するた
め、厚みを厚くする必要がなく、厚みの過大による異物
感等を感じさせないのである。このように本発明の口腔
内製剤は、母材となるフイルム状付着体を薄い柔軟なフ
イルムによつて構成されている。
本発明の口腔内製剤は、例えば、ポリカルボン酸類と酢
酸ビニル重合体とを、両者に共通の溶媒に溶解し、これ
に全身性薬剤を含有させたのち、迅速に流延し乾燥して
フイルム状付着体化することにより製造することができ
る。
一方、中和作用を有する塩類を含有する本発明の口腔内
製剤は、例えば、ポリカルボン酸類と酢酸ビニル重合体
とを、両者に共通の溶媒に溶解し、さらに全身性薬剤を
含有させたのち、ポリカルボン酸類に対して中和作用を
有する塩類を配合し、これを迅速に流延し乾燥してフイ
ルム状付着体化することにより製造することができる。
上記塩類の配合は、上記溶液に塩類を溶解させることに
よつて行つてもよいし、また粉末状のものを分散させる
ことによつて行つてもよい。上記両製法によれば非常に
薄いフイルム状体を容易に形成しうるという利点があ
る。
上記口腔内製剤に含有される全身性薬剤は、ポリカルボ
ン酸類と酢酸ビニル重合体とが相溶状態になつているフ
イルム状付着体およびこれを支持するフイルム状支持体
のいずれに含有させてもよく、また含有方法に特に制限
はない。例えば、先に述べたように共通溶媒に溶解した
ポリカルボン酸類と酢酸ビニル重合体の溶液に全身性薬
剤をそのまま、もしくは溶液状態にして配合し、これを
迅速に流延し乾燥して、フイルム状付着体とすることが
できる。また、フイルム状支持体に薬剤を含有させる場
合には、支持体用樹脂と混練する方法や溶液状態で混合
する方法、もしくは吸着含浸させる方法などがあげられ
る。
上記ポリカルボン酸類の代表的なものを例示すると、ア
クリル酸重合体,メタクリル酸重合体,無水マレイン酸
重合体があげられ、単独でもしくは併せて使用すること
ができる。上記アクリル酸重合体の具体例として、アク
リル酸単独重合体の他に、アクリル酸ブチル,アクリル
酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル類や、メ
タクリル酸メチル等のメタクリル酸エステル類ならびに
酢酸ビニルなどのビニルモノマーとの共重合体や、カル
ボキシビニルポリマーのような重合体があげられる。ま
た、メタクリル酸重合体の具体例としては、メタクリル
酸単独重合体の他に、アクリル酸重合体の場合と同様な
重合体があげられ、無水マレイン酸重合体の具体例とし
ては、メチルビニルエーテルなどとの共重合体があげら
れる。
なお、上記各具体例に例示した化合物は、単独使用だけ
でなく混合使用できることはいうまでもない。これらの
ポリカルボン酸類において、ポリカルボン酸中には、‐
COOH基が20%以上、ポリ無水カルボン酸中には、‐CO-O
-CO-基が16%以上含まれていることが効果の上で好まし
い。
上記酢酸ビニル重合体の代表的なものを例示すると、酢
酸ビニル単独重合体があげられ、それ以外にアクリル酸
エステル等のビニルモノマーと酢酸ビニルとの共重合体
および酢酸ビニル単独重合体を部分ケン化した部分ケン
化物もあげられる。これらは単独でもしくは併せて使用
することができる。これらは平均分子量(粘度平均分子
量)が60000以上であることが好ましい。平均分子量が6
0000未満のものを用いると、上記フイルム状付着体の耐
水性が低下し所期の効果が得られにくくなる。ただし架
橋する場合はこの限りではない。
ポリカルボン酸類に対して中和作用を有する塩類とは、
塩のみではなく、塩基も含むものであり、その代表例と
して、金属と弱酸との塩,金属の酸化物,金属の水酸化
物,アミン等およびそれらの混合物があげられる。金属
と弱酸との塩の具体例として、ナトリウム,カリウム,
カルシウム,マグネシウル等と、酢酸,乳酸,クエン酸
等のカルボン酸との塩があげられ、金属の酸化物の具体
例としては、酸化亜鉛,酸化カルシウム,酸化マグネシ
ウムがあげられる。また、金属の水酸化物の具体例とし
ては、水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,水酸化カル
シウム,水酸化マグネシウム等があげられ、アミンの具
体例としては、トリエタノールアミン,ジイソプロパノ
ールアミン等があげられる。上記に具体例に例示した化
合物は単独でもしくは併用しうるものである。このよう
な塩類の好ましい配合量は、塩または塩基の種類によつ
て大幅に異なる。多価の金属塩を使用する場合には、フ
イルム状付着体中のポリカルボン酸類に対して、0.2〜
0.8当量配合することが好ましく、その量が0.2当量を下
回ると、損傷部(損傷粘膜)に対する刺激性低減効果が
不充分となり、0.8当量を上回ると、充分な付着持続性
が得られにくくなる。また、1価の金属塩あるいは1価
の塩基を使用する場合には、フイルム状付着体中のポリ
カルボン酸類に対して、0.03〜0.2当量配合することが
好ましく、その量が0.03当量を下回ると損傷部に対する
刺激性低減効果が不充分となり、0.2当量を上回るとフ
イルム状付着体の耐水性が低下して充分な付着力が得ら
れにくくなるからである。
上記ポリカルボン酸類と酢酸ビニル重合体の共通溶媒と
しては、メタノール,エタノール等の低級アルコー
ル、およびこれと可溶なアセトン,酢酸エチル等の有
機溶媒との混合物であつて低級アルコールを主成分とす
るもの、ならびに上記混合物または低級アルコールに
さらに水を添加混合したものがあげられる。上記の溶
媒に関しては、アセトン,酢酸エチル等の有機溶媒の含
有量を30%以下に制限することが好ましい。30%を越え
るとポリカルボン酸類の溶解が困難になるからである。
上記の溶媒に関しては、水の含有量を30%以下に制限
することが好ましい。水の含有量が30%を越えると酢酸
ビニル重合体の溶解が困難になる傾向がみられるからで
ある。
前記のように口腔内製剤を製造する場合において、ポリ
カルボン酸類と酢酸ビニル重合体との混合比率は、下記
の式で求められるA値が15〜45の範囲内になるように規
制することが好ましい。
A値が大きくなる程、フイルム状付着体の、粘膜または
歯面に対する付着力は大きくなるが、付着持続性は低下
する傾向を示し、逆にA値が小さくなる程付着力は小さ
くなるが、付着持続性は増加する傾向を示す。そして、
上記A値が15を下回ると、充分な付着力が得られにくく
なり、また、45を上回ると、充分な付着持続性が得られ
にくくなる。したがつて、A値が15〜45の範囲内にある
ようポリカルボン酸類と酢酸ビニル重合体の混合比率を
規制することが好ましいのである。ポリカルボン酸類と
してポリアクリル酸を使用した場合を例にとつて説明す
ると、フイルム状付着体中に占めるポリアクリル酸の割
合が24〜72%の範囲にあれば、A値が上記範囲内に入る
のであり、好ましい結果が得られるようになる。
ポリカルボン酸類と酢酸ビニル重合体を溶解し、これに
全身性薬剤を配合した溶液、あるいはさらにこれに中和
用の塩類は配合した溶液の流延乾燥フイルム状付着体化
は、つぎのようにして行うことができる。すなわち、剥
離処理を行つたポリエチレンラミネート紙などの適当な
フイルム上に上記溶液を流延したのち、乾燥器あるいは
乾燥塔などの高温空気浴または減圧乾燥器を使用するこ
とによつて迅速に乾燥しフイルム状化することにより行
うことができる。適正な乾燥時間あるいは乾燥温度は、
共通溶媒の組成,溶液中の固形分濃度,流延厚み等によ
つて異なるが、一般に30℃から120℃の温度で、1分か
ら120分程度乾燥することが好ましい。
このようにして非常に薄いフイルム状付着体が得られ
る。このフイルム状付着体は、全身性薬剤を含有してお
り、そのまま本発明の口腔内製剤となりうるものであ
る。この場合、上記フイルム状付着体の厚みは流延量等
の制御により調製しうるものであり、5〜150μmの範
囲内に規制することが好ましい。厚みが5μm未満にな
ると充分な付着特性の発現が困難となり、150μmを超
えると使用に際して口中異物感を与え、またフイルム状
付着体の柔軟性が損なわれる傾向がみられるからであ
る。
このフイルム状付着体は、すでに述べたように、ポリカ
ルボン酸類と酢酸ビニル重合体とが単に混合しているの
でなく両者が相溶した状態になつており、実質的にポリ
カルボン酸類が不溶化されているため、上記のような非
常に薄い状態であつても吸水崩壊せず、強力な付着力を
長期にわたつて発揮し、その含有薬剤を長期間にわたつ
て投与する。そして、このものは、柔軟であるため、口
腔内粘膜に押し付けるだけでその形状に沿つて簡単に変
形し付着するのである。
上記全身性薬剤としては、常温で固体であつても液体で
あつてもよく、前記フイルム状付着体およびこれを支持
するフイルム状支持体に溶解または分散させることがで
きるものであればよい。
口腔内製剤に含有させる全身性薬剤の配合量は、薬剤の
種類によつて異なるが、通常は薬効および粘膜への付着
性を考慮して製剤中0.001〜30%、好ましくは0.05〜20
%である。
本発明に用いる全身性薬剤としては、全身麻酔薬,催眠
・鎮静剤,抗癲癇剤,興奮剤,覚醒剤,鎮暈剤,精神神
経用剤,筋弛緩剤,自律神経用剤,鎮痙剤,抗パーキソ
ン剤,抗ヒスタミン剤,刺激療法剤,アレルギー用剤,
強心剤,不整脈用剤,利尿剤,血圧降下剤,血管収縮
剤,冠血管拡張剤,未梢血管拡張剤,動脈硬化用剤,そ
の他の循環器官用剤,呼吸促進剤,鎮咳去痰剤,消化性
潰瘍治療剤,その他の消化器官用剤,脳下垂体ホルモン
剤,甲状腺・副甲状腺ホルモン剤,男性ホルモン剤,卵
胞・黄体ホルモン剤,その他のホルモン剤,子宮収縮
剤,泌尿生殖器用剤,酵素製剤,糖尿病用剤,その他の
代謝医薬品,抗悪性腫瘍剤,抗生物質,化学療法剤,麻
薬などがあげられる。
上記のように、本発明の口腔内製剤は、フイルム状付着
体だけでも構成されうるものであるが、これと柔軟なフ
イルム状支持体とを組み合わせても構成することができ
る。
この組合せ物の製法について説明すると、この組合せ物
は、前記のようにしてフイルム状付着体を製造し、これ
を、熱圧着,接着剤使用等の通常の方法で、別個に用意
した柔軟なフイルム状支持体に貼り合わせることにより
製造でき、またシート状付着体の製造に使用する配合物
を柔軟なフイルム状支持体の上に流延し、フイルム状付
着体の製造と柔軟なフイルム状支持体との貼り合わせを
同時に行うことによつても製造することができる。後者
のようにするときには熱圧着,接着作業が不要になり製
造の簡易化を実現しうるという利点がある。
上記柔軟なフイルム状支持体としては、実質的に水不透
過性のものを用いることが好ましい。その代表的なもの
を例示すると、ポリエチレン,酢酸ビニル樹脂,エチレ
ン−酢酸ビニル共重合体,ポリ塩化ビニル,ポリウレタ
ンなどのプラスチツクフイルム、アルミ箔,すず箔など
の金属箔、布や紙とプラスチツクフイルムとのラミネー
トフイルムなどがあげられる。なかでも、安全性,使用
感の点で、ポリエチレン,酢酸ビニル樹脂,エチレン−
酢酸ビニル共重合体などのプラスチツクフイルムを用い
ることが好ましい。このようなフイルム状支持体は、厚
みが10〜100μmのものを用いることが、取扱い性や使
用時に異物感を与えないという点で好ましく、上記柔軟
なフイルム状支持体とフイルム状付着体との一体化物
は、厚みを30〜250μmの範囲内に規制することが好ま
しい。すなわち、厚みが30μm未満では取扱い性や操作
性が悪くなり、250μmを超えると使用時に異物感を与
える傾向がみられるからである。
上記のようにフイルム状付着体と柔軟なフイルム状支持
体とを一体化して得られる口腔内製剤は、フイルム状付
着体の作用により、口腔内粘膜に対して強力に付着し、
長時間の付着持続力を発現するのであるが、上記柔軟な
フイルム状支持体を一体化していることにより、製剤の
強度が増し使用しやすくなる,フイルム状支持体の作用
により背面に食物等の異物が付着することが防止される
等の効果がさらに得られる。そして、柔軟なフイルム状
体として実質的に水不透過性のものを用いることによ
り、背面からの水分の侵入を防ぎ付着持続時間の延長を
実現できる等の効果がさらに得られるようになるのであ
る。
なお、本発明の口腔内製剤のフイルム状付着体またはフ
イルム状支持体に、その付着性または薬理効果を妨げな
い範囲で着色料,香味料,軟化剤などを配合することは
自由である。例えば、上記付着体,支持体ともに無色で
ある場合には、その一方に着色料を配合すると、製剤の
表裏が明確になり使いやすいという利点が得られるよう
になる。
以上のように、本発明に用いるフイルム状支持体は、ポ
リカルボン酸類と酢酸ビニル重合体との相溶物を柔軟な
薄いフイルム状に形成しているため、フイルム状付着体
だけからなるもの、およびこれと柔軟なフイルム状支持
体とを一体化したものの双方とも、柔軟性に富んでいる
のであり、口腔内に貼付すると、口腔内の水分を吸収し
てさらに軟化する。したがつて口腔内のどの部分に対し
ても容易にフイツトし、強力な付着力と長時間の付着持
続力を発現する。この付着力は、水で膨潤させた架橋コ
ラーゲンフイルムを口腔内粘膜の代用にして測定(180
゜剥離力)した結果、25〜200g/2.5cm幅の値を示す。上
記付着力が25g/2.5cm幅を下回ると口腔内粘膜への長時
間の付着が困難となり、200g/2.5cm幅を上回ると口腔内
粘膜から剥離する際に粘膜に損傷を与えやすくなる傾向
が認められる。したがつて、これらを勘案すると本発明
品は最適な付着力を発揮するといいうるのである。
ただし、上記付着力は、対象とする被着体の種類によつ
て異なり、粘膜もしくは外皮,架橋コラーゲンフイルム
等の粘膜類類似面または歯面に対しては付着力が充分発
現され、その付着力は被着体に本発明品を貼付したのち
水中に投入しても何ら損なわれるものではない。しか
し、プラスチツク,セロフアン等に対しては殆ど付着力
を発揮せず、仮に付着力を発揮したとしても弱いもので
あり、水中に浸漬すると急速に消滅する。この性質は本
発明品の保管に極めて好都合であり、保管中吸水しても
包装材や保管ケース等に付着しないため特別な防湿包装
をする必要がない。また口腔内製剤を小片に切断して保
管する必要はなく、それをテープ状に形成しロールに巻
き取つた状態でも付着を生じさせることなく保管しうる
のである。また、そのままの裸の状態でも保管しうるの
であるが、汚染の心配がある場合には付着面に紙やプラ
スチツク保護フイルムを貼合わせて保管すればよいので
ある。
とりわけ、中和用の塩類をフイルム状付着体に含有する
本発明品は、口腔内損傷部位等に貼付したときに、損傷
部を溶出ポリカルボン酸類の酸で刺激して悪化させると
いうことのない安全性の高いものである。すなわち、こ
のようなフイルム状付着体から、中和用の塩類を除去し
ても、剃毛したモルモツトの皮膚、家兎の眼粘膜、また
健常人の口腔内粘膜等に対しては支障なく使用でき、刺
激性は殆ど認められない。しかしながら、これを、剃毛
したモルモツトの皮膚に粘着テープを用いて角質層を剥
離して生じさせた損傷皮膚に貼付した場合には、刺激性
が認められる。これに対し中和用の塩類を含有したもの
は上記損傷皮膚に貼付して殆ど刺激性が認められないの
である。なお、正常粘膜に対して刺激性が認められない
のはもちろんである。
さらに、本発明の口腔内製剤は、フイルム状付着体を構
成するポリカルボン酸類が実質的に不溶化されており、
たとえ水中に浸漬しても膨潤するのみで吸水崩壊するよ
うなことは全くなく、高度な耐水性を有している。した
がつて、上記製剤を口腔内粘膜に貼付したときに、長時
間(一般に3,4時間)の付着力を持続するものであり、
1昼夜にわたつて貼付することも可能である。
〔発明の効果〕
本発明の口腔内製剤は、ポリカルボン酸類と酢酸ビニル
重合体との相溶物であつて実質的に水不溶状態になつて
いる薄い柔軟なフイルムを用いて構成されており、この
フイルムの作用により強力な付着力を発現して口腔内粘
膜に強力に付着しその状態を長時間持続する。しかも、
上記口腔内製剤は柔軟であつて使用に際して軽く押し付
けるだけで口腔内粘膜の膜面に沿つて変形し付着するも
のであり、口腔内粘膜のあらゆる個所または歯面に貼付
可能なものである。また、中和用の塩類を含有する本発
明の口腔内製剤は、口腔内粘膜に対する酸の刺激を殆ど
なくすことができる。このように本発明の口腔内製剤
は、口腔内粘膜に強力に付着し、その状態を長時間持続
するため、適用部位に全身性薬剤を充分投与させること
ができ、充分な薬理効果を発揮させることができる。し
かも、先に述べたように、本発明の口腔内製剤は、単
に、患部の湿潤面に貼付するだけで長時間付着するた
め、極めて取扱いやすいという利点を有している。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
〔実施例1〕 カルボキシビニルポリマー(以下、「CVP」と略す)4.7
重量部(以下、「部」と略す),酢酸ビニル樹脂(以
下、「PVAc」と略す)(≒1500)5.0部,クエン酸3Na
(以下、「CA3Na」と略す)3部をメタノール80部,精
製水20部に混合溶解し、均一な溶液を得た。ついで、上
記溶液にニフエジピンを添加混合して、厚さ10μmPVAc
(≒1500)フイルム上に、乾燥後の厚みが50μmとな
るように塗布し乾燥してフイルム状付着体からなる口腔
内製剤を得た(ニフエジピン含有量500μg/cm2)。
つぎに、この口腔内製剤を面積10cm2の大きさに切断し
て5人のパネラー(男性22〜53才)の上顎歯茎外面に施
用した。1時間後および4時間後の平均血中濃度は、そ
れぞれ35ng/ml,20ng/mlであつた。
〔実施例2〕 メチルビニルエーテル・無水マレイン酸交互共重合体
(以下、「PVM−MA」と略す)4部とPVAc(≒1000)
6部をメタノール90部に溶解した。それにピンドロール
を添加混合して均一な溶液とし、紙セパレーター上に塗
布し乾燥して厚みが60μmのフイルム状付着体からなる
口腔内製剤を得た(ピンドロール含有量900μg/cm2)。
つぎに、この口腔内製剤を面積10cm2の大きさに切断し
て5人のパネラー(男性18〜46才)の上顎歯蓋外面に施
用した。1時間後および4時間後の平均血中濃度は、そ
れぞれ8ng/ml,19ng/mlであつた。
〔実施例3〕 ポリアクリル酸(以下、「PAA」と略す)(≒5000)
6部と部分ケン化ポリ酢酸ビニル(以下、「PVAc−OH」
と略す)(ケン化度20モル%,≒1500)14部をメタノ
ール80部に溶解し、この溶液にテオフイリンを添加混合
し、これを紙セパレーター上に塗布乾燥して厚み100μ
mのフイルム状付着体を得た。
他方、PVAc(≒800)にテオフイリンを含有させた厚
み100μmのフイルム状支持体を作製し、上記フイルム
状付着体と加熱ラミネーターで貼り合わせ口腔内製剤を
得た。
口腔内製剤中のテオフイリン含有量は7mg/cm2であつ
た。
つぎに、この口腔内製剤を直径5cmの円形に打ち抜き、
5人のパネラーの口蓋部に施用した。1時間後および4
時間後の平均血中濃度は、それぞれ0.3μg/ml,2.5μg/m
lであつた。
〔実施例4〜32〕 まず、口腔内製剤におけるフイルム付着体用の原料配合
例として後記の第1表に示すNo.1〜No.13の13種類の例
を示し、それぞれの例に示す原料を準備するとともに、
それから得られたフイルム状付着体を支持する支持体を
組合わせた。
つぎに、上記1〜13の配合例における各原料と、後記の
第2表に示す全身性薬剤とを用い、実施例1〜3と同様
にして配合,溶解,混合,塗布,乾燥することにより口
腔内製剤を得た。
なお、第1表中の略号は下記の物質を示す。
DIPAm ジイソプロパノールアミン ZnO 酸化亜鉛 NaOH 水酸化ナトリウム TiO2 酸化チタン MeOH メタノール AcOEt 酢酸エチル isoPrOH イソプロパノール H2O 精製水 EVA エチレン−酢酸ビニル共重合体 つぎに、上記のようにして得られた口腔内製剤のうち、
下記の第3表に示す実施例品を、実施例1〜3と同様、
上顎歯茎外面貼付用には矩形状に切断し、また口蓋用に
は円形に切断し、5人のパネラーのそれぞれ上顎歯茎外
面および口蓋に施用した。その1時間後および4時間後
の平均血中濃度は第3表に示すとおりである。
第3表の結果から、本発明の口腔内製剤は、極めて長時
間口腔内粘膜に貼着しており、しかも全身性薬剤を口腔
内粘膜を通じて良好に吸収させうることがわかる。な
お、上記の実験に際しては、上記のパネラーについて、
通常の生活を行わせており、その状態で4時間経過後も
口腔内製剤は粘膜に付着していることから、本発明の口
腔内製剤は、通常の生活状態において、何ら貼付状態が
損なわれないことがわかる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】全身性薬剤を含有するフイルム状付着体単
    独からなる薬剤、もしくはフイルム状付着体と柔軟なフ
    イルム状支持体との一体化物からなり、上記フイルム状
    付着体およびフイルム状支持体の少なくとも一方に全身
    性薬剤を含有する製剤であつて、上記フイルム状付着体
    がポリカルボン酸およびポリ無水カルボン酸の少なくと
    も一方と酢酸ビニル重合体とが相溶状態になつている柔
    軟なフイルム状体によつて構成されていることを特徴と
    する口腔内製剤。
  2. 【請求項2】ポリカルボン酸およびポリ無水カルボン酸
    の少なくとも一方と酢酸ビニル重合体との混合比率が下
    記式 において15〜45の範囲である特許請求の範囲第1項記載
    の口腔内製剤。
  3. 【請求項3】柔軟なフイルム状体がポリカルボン酸およ
    びポリ無水カルボン酸の少なくとも一方と酢酸ビニル重
    合体を、共通溶媒下で溶解せしめて相溶状態となしたフ
    イルムである特許請求の範囲第1項記載の口腔内製剤。
  4. 【請求項4】全身性薬剤を含有するフイルム状付着体単
    独からなる製剤、もしくはフイルム状付着体と柔軟なフ
    イルム状支持体との一体化物からなり、上記フイルム状
    付着物およびフイルム状支持体の少なくとも一方に全身
    性薬剤を含有する製剤であつて、上記フイルム状付着体
    がポリカルボン酸およびポリ無水カルボン酸の少なくと
    も一方と酢酸ビニル重合体とが相溶状態になつており、
    かつ上記ポリカルボン酸ないしポリ無水カルボン酸に対
    して中和作用を有する塩類が含有されている柔軟なフイ
    ルム状体によつて構成されていることを特徴とする口腔
    内製剤。
  5. 【請求項5】ポリカルボン酸およびポリ無水カルボン酸
    の少なくとも一方と酢酸ビニル重合体との混合比率が下
    記式 において15〜45の範囲である特許請求の範囲第4項記載
    の口腔内製剤。
  6. 【請求項6】塩類が、塩および塩基の少なくとも一方で
    ある特許請求の範囲第4項記載の口腔内製剤。
  7. 【請求項7】柔軟なフイルム状体がポリカルボン酸およ
    びポリ無水カルボン酸の少なくとも一方と酢酸ビニル重
    合体を、共通溶媒下で溶解せしめて相溶状態となしたフ
    イルムである特許請求の範囲第4項記載の口腔内製剤。
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