JPS6210179Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、乗用型田植機やコンバインなどのよ
うに、走行機体に連結の植付け装置や、走行機体
に連結の刈取前処理装置を、昇降制御機構を介し
て対地一定高さに制御すべく構成するとともに、
前記昇降制御機構中に、前記植付け装置や刈取前
処理装置等の作業装置を人為的に昇降操作する操
作具を設けて前記作業装置を人為的に昇降操作可
能に構成してある作業機に関する。

一般にこの種作業機においては、走行作業中の
自動制御時には、制御を伴う作業装置の昇降速度
を遅くして、過敏な制御によるハンチングを防止
したい要望があり、また、圃場端に達して作業を
中断するとともに機体を方向転換させる機体旋回
時には、人為昇降操作により迅速に作業装置を昇
降できるように、作業装置の昇降速度を速くした
いという要望がある。

ところが、従来では、この種作業機において
は、作業装置を昇降制御する昇降制御機構のアク
チユエータ（油圧シリンダ）に対する油圧ポンプ
を、エンジンに直結した状態で駆動すべく構成し
ていたものであるから、走行変速にかかわらな
く、作業装置に対するアクチユエータの作動速度
はほぼ一定であり、前述の要望をともに満たすこ
とはできないものであつた。

つまり、アクチユエータの作動速度を、作業中
の自動制御によるハンチングを抑制するに有効で
あるように、充分に緩速に設定すれば、圃場端で
の方向転換時における手動による作業装置の昇降
速度がきわめて遅くなり、非能率的な作業を余儀
なくされるものであり、逆に、圃場端での手動昇
降が素早く行えるように、前記アクチユエータの
作動速度を充分急速に設定すると、自動制御状態
での走行作業中に、作業装置が過敏に上下位置調
節されて、ハンチングを招き易いという問題があ
る。

本考案は、作業状態、非作業状態の切換による
ことが多い機体の走行速度の変更に応じて、自動
制御のハンチングが生じる虞れ、および、作業装
置の非能率な手動での緩速昇降が行われることを
避けられるように、作業装置の昇降速度を変更で
きるようにした作業機を得ることにその目的があ
る。

上記目的を達成するための本考案の特徴とする
構成は、走行用変速装置の増速側への変速操作に
連動して、昇降制御機構のアクチユエータの作動
速度を自動的かつ可逆的に減少する機構を設けた
点にあり、かかる構成から次の作用ならびに効果
を奏する。

すなわち、機体の走行速度と作業装置の昇降速
度との相関が、互に逆の関係となるように、つま
り、走行速度が早くなれば昇降速度が遅くなり、
走行速度が遅くなれば昇降速度が早くなるように
関連づけて設定したものであるから、一般に、圃
場端部などでの方向転換時よりも早い速度で機体
を進行させる走行作業中には、自動制御状態で過
敏に作動してハンチングが生じるということを抑
制できるように、前記作業装置の昇降速度を充分
緩速に設定しておいても、方向転換時に進行速度
を低速に切換えれば、作業装置の昇降速度は急速
側に切換えられるので、自動制御状態と同様な緩
速ではなく、充分急速に作業装置を昇降させられ
る。

従つて、従来のように、機体の進行速度に関係
なく作業装置の昇降速度をほぼ一定に定めていた
ものに比べて走行作業中には、自動制御が過敏に
なりすぎてハンチングを招くというようなことが
抑制され、方向転換時には、作業装置の昇降を素
早く行えるというように、作業中および非作業中
の何れの走行状態ででも好適な速度で、良好な作
業状態で能率良く、作業装置の昇降を行えるもの
である。

以下、本考案の実施例を図面に基づいて説明す
ると、エンジン１から左右一対の操向用駆動前輪
２，２及び駆動後輪３，３への伝動系にクラツチ
４及び高低２段に切換え自在なギヤ式変速装置５
を介在してある走行機体Ａの後部に、その後端側
を支点として一定範囲内で上下揺動自在な３つの
接地フロート６……を左右方向に並設してある作
業装置としての５条植えの植付け装置７を、平行
四連リンク機構８及び正面視ほぼ逆台形状の吊下
げリンク機構９を介して昇降ならびにローリング
自在に連結支持するとともに、前記整地フロート
６……のうち、機体中央部に位置する接地フロー
ト６をそれの接地圧変化を検出するためのセンサ
ーに兼用構成し、かつ、このセンサーフロート６
の検出揺動に基づいて、その接地圧が一定又はほ
ぼ一定に維持されるように、前記走行機体Ａと平
行四連リンク機構８との間に架設したアクチユエ
ータとしての油圧シリンダ１０を介して前記植付
け装置７を昇降制御する機構１１を設けてある乗
用田植機において、前記走行用変速装置５の高速
側への変速操作に連動して、前記昇降制御機構１
１の圧油供給用ポンプ１２の駆動回転数、つま
り、前記油圧シリンダ１０の作動速度を自動的か
つ可逆的に減少する機構１３を設けている。

前記機構１３は、前記ポンプ１２の入力軸１４
に、前記エンジン１の駆動軸１５に固着した大小
２つのギヤ１６Ａ，１６Ｂに択一的に噛合連動自
在な変速ギヤ１７をスプライン嵌合し、この変速
ギヤ１７の操作軸１８と前記走行用変速装置５の
変速操作レバー１９とをリンク３１，３２を介し
て連動連結して構成している。

前記昇降制御機構１１は次の如く構成されてい
る。

即ち、前記ポンプ１２から油圧シリンダ１０へ
の圧油供給路途中に、上昇状態Ｕと下降状態Ｄな
らびに昇降中立状態Ｎとに切換え自在なスプール
式のバルブ２０を介装し、このバルブ２０の近傍
に設けた回転自在な内外二重の支点軸２１，２２
のうち、内側の支点軸２１には、前記バルブ２０
のスプール２０Ａを前述の３状態に切換え可能な
アーム２３を固着し、かつ、外側の支点軸２２に
は、前記スプール２０Ａを上昇状態Ｕ側にのみ押
圧切換え可能なアーム２４を固着している。ま
た、前記内側支点軸２１を介して前記スプール２
０Ａを上昇状態Ｕ側に付勢するスプリング２５
と、前記植付け装置７の植付け伝動ケース２６に
対して前記センサーフロート６の前部ブラケツト
６Ａを上下揺動自在に支持するリンク２７を介し
て、該センサーフロート６を接地方向に付勢する
設定接地圧変更用スプリング２８を設けるととも
に、前記内側支点軸２１とリンク２７とをワイヤ
ー２９を介して連係し、以つて、前記センサーフ
ロート６の接地圧変化に伴なう一定以上の上下揺
動に基づいて、前記バルブ２０を上昇状態Ｕ又は
下降状態Ｄに自動的に切換えるべく構成してい
る。

尚、図中３０は前記外側支点軸２２に付設した
手動操作具としての操作レバーである。

また、可変容量形のポンプを用いて、このポン
プと前記走行用変速装置５とを連動させても良
く、更に、前記ポンプ１２からバルブ２０への圧
油供給路途中に可変絞り弁を介在して、この弁と
前記走行変速装置５とを連動させても良い。

また、本案技術をコンバインや乗用型耕耘機な
どに適用しても良い。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案に係る作業機の実施例を示し、第
１図は乗用田植機の全体側面図、第２図は要部の
拡大一部切欠側面図、第３図は植付け装置の昇降
制御系統図である。 ５……走行用変速装置、７……作業装置、１０
……アクチユエータ、１１……昇降制御機構、１
２……ポンプ、１３……減少機構、３０……操作
具、Ａ……走行機体。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 走行機体Ａに連結の作業装置７を昇降制御機
   構１１を介して対地一定高さに制御すべく構成
   するとともに、前記昇降制御機構１１中に、前
   記作業装置７を人為的に昇降操作する操作具３
   ０を設けて前記作業装置７を人為的に昇降操作
   可能に構成してある作業機において、走行用変
   速装置５の増速側への変速操作に連動して、昇
   降制御機構１１のアクチユエータ１０の作動速
   度を自動的かつ可逆的に減少する機構１３を設
   けてあることを特徴とする作業機。 前記機構１３が前記昇降制御機構１１の圧力
   流体供給用ポンプ１２の駆動回転数を変更する
   ものである実用新案登録請求の範囲第項に記
   載の作業機。 前記昇降制御機構１１が田植機に装備される
   植付け装置７の昇降制御機構である実用新案登
   録請求の範囲第項又は第項に記載の作業
   機。