JPS6161831B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は布押え装置の質量を小さくして、布押
えに作用する慣性力をできるだけ減少するように
した布押えの低慣性押え装置に係るものである。

従来、ミシンにおけるこの種布押えは、押え腕
の先端に直接取り付けられ、押え腕の基端を押え
軸に固定するもので、送り歯に作用する布押えの
質量は、布押えが運動するとき布押え自体の質量
の外に押え腕、押え案内、主押えばね等の質量が
加わつて慣性力が大となり、送り歯の上下運動の
軌跡に追随して布押えが運動せず、ミシンの回転
が速くなると（即ち、送り歯の上下運動の回数が
増加すると）ますますその傾向が増大し、そのた
め強力な押えばねで押え腕を下方に押圧し、布押
えが送り歯の上下運動の軌跡に追随するようにし
ているが、布押えと送り歯との間に生地を強く押
圧することゝなり、薄物生地の場合は特に縫製時
に送り歯による送り傷ができたり、ミシン空踏み
時に布押えが送り歯に強く当たり空音が甚だしい
等の欠点を存した次第である。

然るに本発明においては、布押えを直接押え腕
の先端に取り付けず、押え腕基部下面に固定した
板ばね製補助押えばねの先端に取り付け、押え腕
の先端を押え腕案内を介して主押えばねで押圧す
るよう装置し、主押えばねのばね圧により補助押
えばねがたわまないように押え腕を一定位置から
降下させないストツパーを付設し、布押えの上下
量の少ないときには主押えばねは作動せず、補助
押えばねのみがたわみ、送り歯に作用する運動時
の布押えの質量は布押え自体の質量と補助押えば
ねの一部の質量のみとなるため、小となつて布押
えに働く慣性力が小となり、ミシン空踏み時の空
音が減少し、薄物生地でも送り傷発生の防止が可
能になるものである。更に送り歯の上下運動の軌
跡に追随して布押えが運動するから、ミシンが高
速回転になつても主押えばねにそれ程強力なもの
を必要とせず、補助押えばねのばね圧も弱くてす
み、布押えを揚げ卸しする作業者の疲労も少なく
なる等の効果があるものである。

また、本発明においては、生地縫製時に生地の
厚い部分（段）等が、布押えの下に来て、布押え
の上下量が多いとき押え腕が作動するものであ
る。

今、ここに本発明実施の一例を示す添付図面に
ついて詳説する。

１は押え腕で、第１図及び第２図に示す如く上
面の基部を残し一側を切欠し、平坦面２を成形し
て断面Ｌ字状としたものである。３は第３図に示
す如く鉤形の押え軸腕部で、押え腕１の基部の二
股部４に該腕部３の一端を軸５で水平方向回動自
在に軸支し、他端をミシン本体６に押え軸ブツシ
ユ７を介して回動自在とした公知押え軸８の先端
に一体状に固定したものである。９は長孔で、前
記平坦面２の中間部に穿設したものである。１０
は平坦面２の基部下面に突設した補助押えばね受
けで、下面に凹入溝１０ａを成形したものであ
る。１１は板ばね製補助押えばねで、基端を該ば
ね受け１０に穿設した凹入溝１０ａに嵌入し、止
めねじ１２で固定したもので、補助押えばね機構
とするものである。１３は公知の布押えで、前記
補助押えばね１１の先端に止めねじ１４で固定し
たものである。１５は補助押えばね圧力調節片
で、下面に補助押えばね１１が嵌入し摺動し得る
凹入溝１５ａを穿設し、押え腕１と補助押えばね
１１との間のばね受け１０により成形した間隙１
６内を補助押えばね１１に沿つて摺動させ、前記
長孔９を介して止めねじ１７で平坦面２に固定
し、補助押えばね１１の有効に作動する長さを調
節し、補助押えばね１１のばね圧を調節するもの
である。１８は押え腕案内で、ミシン頭部１９の
下面１９ｂに挿嵌し固定した軸受２０内を上下方
向に摺動自在としたもので、先端に押え腕１の刃
状の先端部１ａを挾持する溝部２１を穿設し、押
え腕１の溝部２１からの着脱を容易にするために
溝部２１の一方の作業者側の辺２１ａを短かく
し、基端部にストツパー取付腕部２２を突設し、
基端から先端に亘つて主押えばね圧力調節ねじ２
３に固定した心棒２４の嵌入用の孔２１ｂを穿設
したものである。２５はプラスチツク製押え腕押
しピンで、押え腕案内１８の溝部２１の底部に第
６図に示す如く嵌入したもので、該案内１８と押
え腕１間の緩衝を目的としたものである。２６は
主押えばねで、圧縮コイルばねより成り、押え腕
案内１８の基端にワツシヤー２７を介して該基端
とミシン頭部１９の上面１９ａに固定したナツト
２８に挿嵌して、前記主押えばね圧力調節ねじ２
３下端との間の心棒２４に装着したもので、補助
押えばね１１よりはばね圧を強くし、該調節ねじ
２３を回すことにより押え腕案内１８に作用する
主押えばね２６のばね圧を調節して主押え機構を
構成するものである。２９はストツパーで、前記
ストツパー取付腕部２２に挿嵌したボルトから成
り、先端をナツト３０によりミシン頭部１９の下
面１９ｂに調節自在に当接させ、主押えばね２６
のばね圧を受けて押え腕１が縫製に適した一定位
置より下がらないようにするものである。３１は
布押え１３の公知の押え揚げレバーで、先端部に
押え腕案内１８の基端側面に穿設した切欠３２に
嵌合する係止突起３３を付設し、リンク３４によ
り押え腕案内１８を引き揚げるように構成する。

本発明は以上の如き構成で、主押えばね２６の
ばね圧をストツパー２９によりミシン頭部１９の
下部１９ｂで受け、押え腕１が一定位置より下が
らないから、例えばミシン空踏み時又は薄物生地
縫製の場合等の布押え１３の上下量の少ない時に
は、送り歯による布押え１３の上下に伴つて補助
押えばね１１がたわむだけで、主押えばね２６等
の主押え機構は作動しないものである。

従つて、布押え１３の運動に際して布押え１３
に押え腕１、押え腕案内１８及び主押えばね２６
の質量が作用せず、布押え１３と補助押えばね１
１の補助押えばね圧力調節片１５より先端部の有
効長さだけの質量となり、布押え１３に働く慣性
力は小となり、ミシン空踏み時の空音の減少、及
び薄物生地縫製時の送り歯による送り傷防止等に
効果がある。また、布押え１３の上下量が生地縫
製中に段部等で大きくなつた場合には押え腕１が
主押えばね２６のばね圧に抗して作動し、段部等
の生地の厚い部分の縫製も支障なく行なえるもの
である。

【図面の簡単な説明】

添付図面は本発明実施の一例を示すものであ
り、第１図は要部斜視図、第２図は一部断面とし
た要部左側面図、第３図は押え軸腕部の一部断面
とした要部正面図、第４図は第２図Ａ―Ａ線端面
図、第５図は同Ｂ―Ｂ線端面図、第６図は押え腕
を挾持した押え腕案内の要部断面図である。 １……押え腕、１ａ……先端部、２……平坦
面、３……押え軸腕部、４……二股部、５……
軸、６……ミシン本体、７……押え軸ブツシユ、
８……押え軸、９……長孔、１０……補助押えば
ね受け、１０ａ……凹入溝、１１……補助押えば
ね、１２……止めねじ、１３……布押え、１４…
…止めねじ、１５……補助押えばね圧力調節片、
１５ａ……凹入溝、１６……間隙、１７……止め
ねじ、１８……押え腕案内、１９……ミシン頭
部、１９ａ……上面、１９ｂ……下部、２０……
軸受、２１……溝部、２１ａ……一方の辺、２１
ｂ……孔、２２……ストツパー取付腕部、２３…
…主押えばね圧力調節ねじ、２４……心棒、２５
……押え腕押しピン、２６……主押えばね、２７
……ワツシヤー、２８……ナツト、２９……スト
ツパー、３０……ナツト、３１……押え揚げレバ
ー、３２……切欠、３３……係止突起、３４……
リンク。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 板ばね製補助押えばねを設け、該補助押えば
   ねの基端を、布の押え腕に固定し、該補助押えば
   ねの先端に布押えを固定し、前記押え腕を主押え
   ばねを以つて押圧するようにしたことを特徴とす
   る布押えの低慣性押え装置。 ２ 板ばね製補助押えばねを設け、該補助押えば
   ねの基端を布の押え腕に固定し、該補助押えばね
   の先端に布押えを固定し、前記押え腕の先端寄り
   上面を平坦面に成形し、該押え腕の基部を押え軸
   腕部によつて水平方向に回動自在に軸支し、前記
   押え腕の平坦面の中間部に長孔を穿設し、補助押
   えばねの上面、押え腕との間に補助押えばね圧力
   調節片を、前記長孔に貫設する止めねじを以つて
   摺動可能且つ調節自在に定置することを特徴とす
   る布押えの低慣性押え装置。 ３ 板ばね製補助押えばねを設け、該補助押えば
   ねの基端を布の押え腕に固定し、該補助押えばね
   の先端に布押えを固定し、下端を押え腕の先端部
   を挾持する溝部に成形し、上部にストツパー取付
   腕部を突設した押え腕案内を設け、該案内の上端
   に主押えばねを装着し、ミシン頭部にねじ孔を穿
   設し、該ねじ孔に主押えばね圧力調節ねじを螺入
   し、前記ストツパー取付腕部に、先端がミシンの
   頭部に当接するように、ストツパーを調節自在に
   螺入したことを特徴とする布押えの低慣性押え装
   置。