JPS6125745Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は下送り歯に対向する上送り歯を有
し、該上送り歯を下送り歯と同期して四運動さ
せ、布送りを行うようにしたミシンにおいて、上
送り歯の送り量調整装置を設け、押え金による影
響を受けて生ずる上層部と下層部の布ずれを上送
り歯の送り量を調整することによつて補正できる
ようにした上送り装置を備えたミシンに関する。

この種のミシンの上送り装置は既知であるが、
従来のものは縫合終了後、或いは縫製中の糸切れ
等によつて生地を取り外ずそうとしても針上昇時
には上送り歯が下降し、同時に下送り歯も上昇し
ていて生地を上下に挾持しているため生地を容易
に取外せない欠点があつた。

本考案は上記欠点を解消したミシンを提供する
ことを目的とする。

以下本考案の実施例を図面によつて説明する
と、図中１は送り駆動軸であり、該駆動軸には主
送りクランク２と差動送りクランク３が止着さ
れ、主送りクランク２は主送りリンク４を介して
主送り台５に、また差動送りクランク３は一端を
該クランク３にスライド可能に係合する差動送り
リンク６を介して差動送り台７にそれぞれ連結さ
れ、主送り台５には主送り歯８が差動送り台７に
は差動送り歯９がそれぞれ設けてある。

しかして主送り歯８と差動送り歯９は送り駆動
軸１によつて前後動し、ことに差動送り歯は、差
動送りリンクの差動送りクランクへの係合位置を
調整することによつて、その送り量が調整される
ようになつている。

以上述べた装置は、既知の差動送り装置と同様
であり、何ら変わるところはない。

送り駆動軸１には更に、その端部に円弧形の上
送りクランク１１が固着され、該クランクは上送
り軸１２の固着のアーム１３とリンク１４を介し
て連結され、送り駆動軸１の揺動運動を上送り軸
１２に伝え上送り軸１２は該軸端部に固着のクラ
ンク１５によつて上送り腕１６を送り方向に進退
させ、該腕自由端部に前記主送り歯８と対向して
設けられる上送り歯１７を主送り歯８と同調して
前後動させるようになつている。そして、その前
後動は、上記クランク１４下端に設けたスライダ
ー１８を上送りクランク１１に沿つて移動し、係
合位置を変えることによつてその量を主送り歯と
は別個に独自に調整し、これによつて押え金によ
る影響を受けて生ずる布上層部と下層部の布ずれ
を補正できるようになつており、そのために上送
り軸１２に回動可能に遊嵌され先端の二又をスラ
イダー１８に軸支の角駒１９に嵌合させた二又レ
バー２０と、該レバーと一体をなす操作レバー２
１とよりなる調節機構が設けてあり、操作レバー
２１を上送り軸１２を支点として枢軸させること
により二又レバー２０を回動し、スライダー１８
を上送りクランク１１に沿つて摺動させるように
なつている。

以上のように上送り歯１７の送り量は操作レバ
ー２１の枢動操作によつて調整されるが、送り量
の変化にかゝわらず前後運動の前位置を一定に
し、押え金後端と送り歯との隙間を最小かつ一定
にするたのに上送り歯１７が前位置にあるときの
上送りクランク１１の曲率中心がリンク１４とア
ーム１３の軸着点２３に一致するように上送りク
ランク１１を形成し上記操作レバー２１の枢動操
作によりスライダー１８を上送りクランク１１に
沿つて移動させてもリンク１４は軸着点２３を支
点として枢着し、このためアーム１３は静止して
上送り歯を前位置に留めるようにしてある。

また、上記操作レバー２１は、その先端がミシ
ンフレーム（図示しない）天板上に突出するよう
にして設けてもよいが、その枢動操作をより一層
容易に行うに好適なように、ミシン前面に設けた
ダイヤル２５の回動操作によつて行われるよう構
成される。すなわち、ブラケツト２６に回動可能
に軸支される螺杆２７の一端にダイヤル２５をミ
シン前面に突出するようにして取着するとともに
螺杆他側部を操作レバー２１に取着のブラツシユ
２８に螺挿し、ダイヤル２５を回動操作すること
によつてブツシユ２８か螺杆２７を進退し、これ
に伴い操作レバー２１が枢動するようにしてあ
る。

上送り腕１６には、その下側に上メス腕２９と
一体をなすアーム３０に軸支されてコロ３１が配
置され、該コロはメス軸３２によつて上メス３３
が下降、すなわち主送り歯８が下降するときには
上昇し、上昇するときには下降するようにしてあ
り、バネ負荷されるコロ３４によつて上記コロ３
１に緩衝ゴム３５を介して弾接すべく付勢される
上送り腕１６は、上記コロ３１のよつて上下動
し、上述の前後運動とで主送り歯８とは上下対称
をなす既知の四運動を行うようになつている。

上送り腕１６には更に、その下側に押え腕軸３
７が回動するときに押え腕３６（図にはその基部
のみが示してある）と一体をなして上下方向に回
動すべく押え腕軸３７に取着のレバー３８の自由
端に軸着されるコロ３９が設けてあり、図示しな
いペダルの踏み込み操作により、押え腕軸３７に
固着の踏上げレバー４０を回動させると、押え腕
３６が上向きに枢動して押え金（図示しない）を
持上げると同時にコロ３９がバネ負荷の上送り腕
１６を押上げて上送り歯１７を主送り歯８より離
間させるようにしてある。

本考案の上送り装置は以上のように、その送り
量の調節が下送り歯とは別個にできるようになつ
ているため押え金による影響を受けて生ずる布上
層部と下層部との間の布ずれを容易に補正するこ
とができるほか縫合作業の終了後、或いは縫製中
の糸切れ等によつて生地を取り外そうと押え金を
上げたときには、それに連動して上送り歯も同時
に上がるようになつているので生地の取り外しに
何等支障を生じるこてがなく、しかもそのための
機構としては上送り腕に係合して該腕を持上げる
レバーを既存の押え腕軸に何ら機械加工を施すこ
となく単に取着するのみでよいため構造上きわめ
て簡単であるほか上記レバーは押え金を昇降させ
ないかぎりミシン駆動中は静止しているので、振
動や騒音の原因となつたり、安全上問題となつた
りすることは全くない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る上送り装置を備えたミシ
ン要部機構の斜視図、第２図は同上送り装置の要
部斜視図である。 １……送り駆動軸、８……主送り歯、９……差
動送り歯、１１……上送りクランク、１２……上
送り軸、１３……アーム、１４……リンク、１６
……上送り腕、１７……上送り歯、１８……スラ
イダー、１９……角駒、２０……二又レバー、２
１……操作レバー、３０……アーム、３２……メ
ス軸、３７……押え腕軸、３８……レバー。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) ミシン駆動軸に連動して揺動するクランク１
   ５と、該クランク１５の揺動運動によつて枢支
   点が送り方向に進退する上送り腕１６と、該上
   送り腕１６に下送り歯８に対向して取着される
   上送り歯１７と、上送り腕１６を前記枢支点を
   中心に上下動させる上下動機構とを有し、前記
   クランク１５の揺動運動による前後動と相合し
   て前記上送り歯１７に下送り歯８と上下対称の
   上下動を行わせ、下送り歯８と協働して布を送
   るようになつているミシンにおいて、送り駆動
   軸１に固着された円弧形の上送り揺動クランク
   １１と、該クランク１１に摺動可能に嵌合した
   スライダー１８と、前記クランク１５を固着し
   た上送り軸１２と、該上送り軸１２に固着され
   るアーム１３と、該アーム１３と前記スライダ
   ー１８とを連結し、上送り揺動クランク１１の
   揺動運動をアーム１３に伝えるリンク１４と、
   前記スライダー１８に回動可能に軸支される角
   駒１９と、前記上送り軸１２に回動可能に軸支
   され、二又部に前記角駒１９が摺動可能に嵌合
   する二又レバー２０と、該二又レバー２０に一
   体的に連結され、二又レバー２０を前記上送り
   軸１２を中心として回動させる操作レバー２１
   と、押え金を止着する押え腕３６の押え腕軸３
   ７に取着され、押え腕３６と一体となつて上下
   方向に回動するレバー３８と、該レバー３８の
   自由端に設けられ、該レバーの上向きの回動に
   より前記上送り腕１６に係合する係合部とを有
   し、前記操作レバー２１の枢動操作により前記
   上送り腕の前後運動量を調整することができ、
   かつ押え金を持ち上げる際、前記押え腕３６と
   ともにレバー３８が上向きに回動することによ
   て前記係合部が上送り腕１６に係合して前記上
   送り腕１６を押え金が持ち上げられると同時に
   持ち上げて前記上送り歯１７を前記下送り歯よ
   り離間させるようにしたことを特徴とするミシ
   ン。 (2) 前記係合部は前記レバー３８の自由端に軸着
   されるコロ３９である登録請求の範囲第１項記
   載のミシン。