JPS6136031B2 - - Google Patents

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JPS6136031B2
JPS6136031B2 JP1260178A JP1260178A JPS6136031B2 JP S6136031 B2 JPS6136031 B2 JP S6136031B2 JP 1260178 A JP1260178 A JP 1260178A JP 1260178 A JP1260178 A JP 1260178A JP S6136031 B2 JPS6136031 B2 JP S6136031B2
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JP
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powder
multilayer
coating film
monomer
copolymer
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JP1260178A
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Heihachi Murase
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Kansai Paint Co Ltd
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Kansai Paint Co Ltd
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Priority to US05/903,260 priority patent/US4246368A/en
Priority to GB18753/78A priority patent/GB1584897A/en
Priority to DE2821012A priority patent/DE2821012C2/de
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Description

【発明の詳細な説明】
本発明は複層塗膜形成に適する粉体塗料用組成
物に関し、更に詳しくはただ1回の添付工程によ
り、異種の樹脂から成る複層塗膜を物体表面上に
形成することの出来る粉体塗料用組成物に関す
る。 粉体塗料用組成物を用いて金属等の被塗面に塗
膜を形成させることはよく知られたことであり、
この組成物を用いて1回の塗装工程により数百ミ
クロンにも達する比較的厚い塗膜を形成出来るた
め資源的な面並びに溶剤を使用しないことに基ず
く無災害の面より近時広範囲に用いられている。 一般に粉体塗料用組成物にかぎらず広く塗料組
成物を用いて金属、木材、プラスチツク等の被塗
面に塗膜を形成させて被塗面の保護、美装をはか
る場合、単一の塗料組成物のみを用い、必要に応
じて塗り回数を重ねることによつて所要の厚さの
塗膜を形成させるよりも、被塗面に接する側(以
下「下層」という)に対しては、その性質に応じ
た高度の付着力、金属塗装における電気化学的効
果による防食性などの機能を有する塗料組成物を
用い、他方外部大気に接する側(以下「表層」と
いう)にはたとえば色彩、光沢、耐摩さつ性、光
化学的安定性、化学物質に対する不浸透性および
化学的または物理的安定性などの外部因子に関す
る機能を有する塗料組成物を用いるというよう
に、分化された機能を有する2種以上の塗料組成
物を組合せて用い、複層塗膜を形成させることが
好ましい。液状の塗料組成物による塗装によつて
複層塗膜を形成させるには分化せしめる機能ごと
に少なくとも1種の塗料組成物を用いる必要があ
り、単一の液状塗料組成物によつては目的を達し
得ない。粉体塗装の場合にも、一般には単一の塗
料組成物によつて複層塗膜を形成させることは従
来不可能であつたが、とくに帯電性の異なる少な
くとも2種の粉体樹脂の混合物を塗料として用い
ることによつて、1回の静電塗装で耐食性のよい
複層塗膜を形成させる技術が開発された。しか
し、この場合には、樹脂の帯電性ばかりでなくそ
の比重、粒子径などによつても考慮する必要があ
り、また併用する着色顔料などの性質によつても
影響を受けるので、複層形成作用の調節は著しく
複雑であり、広く一般に実用とされる状態には至
つていない。 本発明者は粉体塗料用組成物を用いてただ1回
の塗装手段で分化した二層以上の塗膜を形成する
上記方法の欠点を解消すべく従来から鋭意研究を
続けた所、帯電性の差を利用することなく所期の
目的をほぼ達成しうる粉体塗装方法を開発するに
成功し、すでに出願した(特開昭51−122137
号)。更に引き続く研究に於いて、上記方法で使
用する粉体塗料用組成物の成分について検討を加
えていた所、特にその成分を特定の成分とすると
きには更に一段と容易に複層塗膜を形成出来るこ
とを見出しこれに基ずく発明を完成しすでに出願
した(特開昭53−140336号)。 本発明者は更にこの研究を続け、上記粉体塗料
用組成物の貯蔵安定性を一段と改良し安定度の極
めて高い工業製品として供給することの可能な粉
体塗料用組成物を完成し茲に本発明を完成するに
至つた。即ち本発明は (イ) ホモポリマーとして80℃をこえるガラス転移
温度を示す重合性エチレン状不飽和化合物であ
る硬度付与性単量体とホモポリマーとして10℃
よりも低いガラス転移温度を示す重合性エチレ
ン状不飽和化合物である軟度付与性単量体とを
コモノマーとして含み、ガラス転移温度が40〜
75℃であるアクリル系熱硬化性付加共重合体の
粉体、及び (ロ) 該共重合体と不相溶乃至難相溶であつて、該
共重合体よりも溶融物の同一温度に於ける表面
張力が実質的に大であり且つ複層形成複合パラ
メータに実質的な差異を有する樹脂状物の粉体 を主成分とする組成物であつて、上記共重合体に
含まれるコモノマーとしての硬度付与性単量体と
軟度付与性単量体が夫々の重量100分率を夫夫a
%およびb%とするとき a+b≦50,a>6およびa>1.5b の夫々の関係式を満足する様に含まれて成るもの
であることを特徴とする複層塗膜形成に適する粉
体塗料用組成物に係るものである。 本発明の複層塗膜形成用粉体塗料は、少くとも
2種の樹脂状物の粉体が混合されたものである。
これ等の樹脂状物のうちの1種は複層塗膜のうち
の表層を形成させるためのものであり、硬度付与
性単量体と軟度付与性単量体とをコモノマー成分
として含有するアクリル系熱硬化性付加共重合体
を主要成分とするもの(以下樹脂状物質Aとい
う)である。 本発明粉体塗料は、上記特定の組成としたこと
により、単一の塗装工程で複層塗膜の形成を容易
且つ確実に行なわしめることができ、しかも優れ
た貯蔵安定性を有する。 粉体塗料を物体表面に塗付し、加熱溶融して複
層化せしめるに際し、とくに表層部分において、
各成分の相分離を完全に行なわせ、しかも実用上
十分な貯蔵安定性を保持させるためには、樹脂状
物Aの主要成分であるアクリル系熱硬化性付加共
重合体は、凝集性と流動性とに適切な均衡を与え
られたものであり、かつ熱軟化性の低いものであ
ることを必要とする。すなわち、この共重合体
は、その共重合体組成において、硬度付与性およ
び軟度付与性の点に関し中程度となり、しかも制
限された範囲内のガラス転移温度を有する共重合
体が得られるように組合わされた組成の単量体を
含むものである。こゝでいう硬度付与性単量体と
は、単独で付加重合せしめてホモポリマーとした
場合に80℃をこえるガラス転移温度を示す重合性
エチレン状不飽和化合物である単量体を指し、少
数のものについて、そのホモポリマーのガラス転
移温度を例示するが、本発明はこれらに限られる
ものではない。 硬度付与性単量体 ガラス転移温度 スチレン 100℃ メタクリル酸メチル 105℃ アクリロニトリル 105℃ メタクリロニトリル 120℃ メタクリル酸 144℃ アクリル酸 86℃ インデン 85℃ アクリル酸イソボルニル 94℃ 2―クロロスチレン 119℃ 2―メチルスチレン 136℃ t―ブチルビニルエーテル 88℃ 塩化ビニル 81℃ アクリルアミド 153℃ また、こゝでいう軟度付与性単量体とは、単独
で付加重合せしめてホモポリマーとした場合に10
℃よりも低いガラス転移温度を示す重合性エチレ
ン状不飽和化合物である単量体を指し、その代表
例を例示するが、本発明はこれらに限られるもの
ではない。 軟度付与性単量体 ガラス転移温度 アクリル酸―2―エチルヘキシル −50℃ アクリル酸メチル 6℃ アクリル酸エチル −24℃ メタクリル酸―2―エチルキシル −10℃ アクリル酸イソブチル −24℃ アクリル酸―n―ブチル −56℃ アクリル酸―2―ヒドロキシエチル −60℃ アクリル酸―2―ヒドロキシプロピル −60℃ メタクリル酸ラウリル −27℃ アクリル酸―t―ブチル −22℃ p―ノニルスレン −53℃ n―ブチルビニルエーテル −52℃ フツ化ビニル −20℃ アクリル酸イソプロピル −3℃ これらの硬度付与性単量体および軟度付与性単
量体を除く、付加共重合体のコモノマー成分の主
体となる単量体は、ホモポリマーとしたもののガ
ラス転移温度が前2者の値に含まれないものであ
つて、たとえばメタクリル酸―2―ヒドロキシエ
チル(ホモポリマーのガラス転移温度55℃)、メ
タクリル酸イソブチル(同53℃)、メタクリル酸
エチル(同65℃)、メタクリル酸グリシジル(同
46℃)、メタクリル酸―n―ブチル(同20℃)、メ
タクリル酸―2―ヒドロキシプロピル(同26
℃)、アクリル酸シクロヘキシル(同16℃)、アク
リル酸ヘキサデシル(同35℃)、p―オクタデシ
ルスチレン(同32℃)など、アクリル酸エステル
類、メタクリル酸エステル類、芳香族ビニル化合
物等の重合性エチレン状不飽和化合物の中から選
択したものの1種以上が用いられる。 硬度付与性単量体と軟度付与性単量体の割合を
充分理想的な状態に保持することができるならば
複層塗膜の形成に支障を生じることはないが、実
際上は、両者の含有割合の合計が50%をこえると
両者の均衡を実現するのが困難になる。そのた
め、本発明者は、両種単量体の含有割合の上限に
基準を設け、その範囲内で組成の選択を行なうこ
とにより、複層塗膜の形成を確実に行うことがで
き、しかも一般的塗膜性能の調整が随意可能な粉
体塗料を得ることに成功した。すなわち、前記
a,bを用いて表わせば、これ等aおよびbが a+b≦50 で表わされる範囲内とした場合には、上記の目的
を容易に達成出来、更に前記aおよびbの大きさ
についての制限、即ちa>1.5bおよびa>6なる
制限と組合せ且つアクリル系熱硬化性付加共重合
体のガラス転移温度(Tg点)を特定の範囲とす
るときは、理想的な複層塗膜形成用粉体塗料用組
成物が得られることが判つた。 硬度付与性単量体の含有割合が6%以下である
場合および硬度付与性単量体の含有割合が軟度付
与性単量体の含有割合の1.5倍以下である場合に
は、アクリル系熱硬化性付加共重合体のガラス転
移温度にかかわらず、耐ブロツキング性にすぐれ
た貯蔵安定性の十分な粉体塗料が得られないおそ
れがある。 樹脂状物Aの主要成分であるアクリル系熱硬化
性付加共重合体については、そのガラス転移温度
についてもその範囲を厳密に選択する必要があ
り、たとえば、その粉体塗料用組成物が比較的高
温度、高湿度下での長期間にわたる貯蔵後に使用
される場合には、ブロツキングを避けるため、
Tg点が40℃以上となるようにするのが必要で、
更に大きな貯蔵安定性を目的とする場合には55℃
以上となるようにすることが好ましい。この際
Tg点が極端に高い場合には、溶融時の流動性が
低下するため複層塗膜の形成が必ずしも円滑に行
なわれ難くなる傾向があり、また形成さた塗膜の
たわみ性が低下して被塗物の種類によつては被膜
に損傷を受け易くなる傾向が生じるので、最高75
℃以下となるようにする必要があり、特に70℃以
下となるようにするのが好ましい。 こゝで用いられるガラス転移温度Tgとは、通
常用いられているいわゆる調和平均法によつて定
められるものであつて、共重合体のガラス転移温
度をTg〓(絶対温度)、成分である各コモノマー
から得られるホモポリマーのガラス転移温度をを
それぞれT1〓,T2〓……Tn〓、各コモノマーの
含有割合(重量百分率)をそれぞれa1%、a2%、
……ao%(a1+a2+……ao=100)とすると
き、式 100/Tg=a1/T1+a2/T2+……ao/Tn によつて表わされる。 複層塗膜の形成を確実に行なわせるには、加熱
時に表層成分が分離し、架橋反応により硬化して
流動性を失なうことが必要である。そのため、表
層成分である樹脂状物Aは熱硬化性であるべき
で、したがつて、その主要成分である付加共重合
体は、架橋性官能基を有する単量体を共重合させ
たものが用いられ、この目的で共重合体中に含有
せしめられる架橋性の官能基としては、たとえ
ば、−OH、
【式】−NH2、−COOH、− CO−O−CO−、−NHCH2OR(RはHまたは炭
素数1〜6の炭化水素基を表わす)などがあり、
これらの官能基は、硬度付与性単量体、軟度付与
性単量体およびその他の単量体のいずれが有して
いてもよい。具体的には、たとえば2―ヒドロキ
シエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロ
ピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)
アクリレート、(メタ)アクリル酸、フマル酸、
無水マレイン酸、N―メチロールアクリルアミ
ド、N―ブトキシメチルアクリルアミドなどが用
いられる。 このような官能基を有する架橋性の単量体を、
アクリル系熱硬化性付加共重合体のコモノマーと
して用いる割合は、通常1〜30重量%、とくに好
ましくは5〜25重量%であり、1重量%未満では
架橋分子構造を充分に発達させることができず、
惹いては複層塗膜の耐溶剤性、硬度などの性能に
おいて実用性を欠くおそれがあり、30重量%をこ
えて使用すると、架橋分子構造の過度の発達によ
る塗膜の脆弱化あるいはそれらの単量体の親水性
にもとずく耐水性の不足を招くおそれがある。 このようなアクリル系熱硬化性付加共重合体に
対しては、必要に応じ、粉体化可能な樹脂状態を
失なわない範囲内で、架橋剤、反応促進剤、可塑
剤、顔料などの添加物を混融もしくは分散させた
のち粉体化する。架橋剤の種類は、付加共重合体
中の架橋性官能基の種類に応じ、通常の粉体塗料
技術に従い選択して用いる。粉体化の程度につい
ても通常の粉体塗料技術に従えばよく、たとえば
最大粒径300ミクロン以下、とくに好ましくは100
ミクロン以下の程度とする。 本発明の複層塗膜形成用粉体塗料用組成物は、
表層を形成させるための前記樹脂状物Aの粉体の
ほか、下層および必要ならばさらに中間層をも形
成させるための、樹脂状物A以外の樹脂状物の粉
体1種以上を主要成分とするものを使用する必要
がある。これらの樹脂状物は、その少なくとも1
種が、樹脂状物Aと不相溶乃至難相溶であり、ま
たこれと比較して溶融物の同一温度での表面張力
が実質的に大であること、および複層形成複合パ
ラメータに実質的な差を有することが必要であ
る。このような条件が満足させられるならば、熱
硬化性、非熱硬化性のいずれでも、通常粉体塗料
の成分とされるものをそのまゝ用いることができ
る。 各樹脂状物の間の不相溶もしくは難相溶の程度
は、なるべく著しいものとすることによつて複層
塗膜の形成を確実にすることができて好ましい
が、通常は後記測定方法によつて与えられる親和
性パラメータの数値により難相溶性の程度を判定
し、基準を定めることができる。すなわち、その
親和性パラメータが、正数、0もしくは絶対値
0.10未満の負数である場合には、本発明に関して
難相溶の程度が好ましい範囲であり、中でもとく
に正数であるようにするのがよい。親和性パラメ
ータが絶対値0.10以上の負数であるときは、複層
の形成が不確実となるおそれを生じる。 上述の親和性パラメータは、本出願人の特開昭
51−122137号明細書に示されたものと同一の意義
を有する。 複層塗膜を形成させる目的で組合せて用いる樹
脂の2種の組合せは、溶液状態で観測された親和
性パラメータが前記範囲の数値であることが必要
なばかりでなく、溶媒を除去した状態においても
不相溶もしくは難相溶であることを要する。すな
わち前記親和性パラメータの測定に際して作成さ
れた混合溶液を厚さ約50ミクロンの乾燥膜が得ら
れるように透明板に塗布し、溶媒を揮散させ(室
温24時間)乾燥膜としたものを、透過光および散
乱光で観察して濁りもしくは樹脂の分離が認めら
れることが必要である。両種樹脂のうち少なくと
も一方が前記混合溶媒に不溶の場合には、上記の
シート状物溶融の試験において界面等の形成が認
められたことをもつて、両種樹脂間の不相溶もし
くは難相溶を示すものとすることができる。 下層、中間層形成のための樹脂状物は、表層形
成のための樹脂状物Aよりも、なるべく大きい溶
融物の表面張力を有することが、複層形成を確実
にするために好ましいが、通常1.0dyne/cm以
上、とくに好ましくは2.0dyne/cm以上大である
ものとすることよつて、複層塗膜形成の目的を充
分容易に達成することができる。この表面張力の
差が1.0dyne/cmに達しない場合は、塗膜形成を
行なつた場合に、とくにその表層部分における相
分離が不完全となるおそれがある。 表面張力の測定温度は、それぞれの粉体塗料に
関し、その各成分樹脂状物が有する溶融温度のう
ち、最も高温度であるものの直上、すなわち、そ
の混合物を被塗面に塗着させ、溶融させて被層塗
膜を形成させるための加熱温度とすることが最も
正確であるが、実際上は、いずれの樹脂状物の場
合にも一定温度たとえば180℃または200℃とし
て、その温度での表面張力の値を用い、比較する
こととしても支障はなく便利である。 樹脂状物の溶融物の表面張力σL(dyne/cm)
の測定方法についてはとくに制限はないが、たと
えば特開昭51−122137号に記載の方法で行なわれ
る。 本発明の粉体塗料において、混合された粉体樹
脂状物を加熱溶融によつて分離し、完全な複層塗
膜を形成させるには、下層形成用樹脂状物が表層
形成用熱硬化性樹脂よりも強く被塗面に誘引され
ることが必要である。溶融樹脂状物の被塗面への
選択的誘引は、その溶融温度領域、表面張力、粘
度、比重などの諸要素の複合要因によつて支配さ
れる。本発明者は、金属、ガラス、陶磁器等の極
性表面に溶融樹脂が誘引される程度を定量的に表
示する指標としては前述の特開昭51−122137号に
記載された試験方法により測定される「複層形成
複合パラメータ」(以下「複層パラメータ」とい
う)を用いることができ、複層塗膜形成の難易
は、各成分樹脂についてのこの複層パラメータの
数値の比により最も容易に判別し得ることを明ら
かにした。すなわち、本発明の場合、下層形成用
樹脂の複層パラメータが表層形成用熱硬化性樹脂
の複層パラメータよりも実質的に大であることが
必要で、具体的にはその比が1.3以上であること
が好ましく、とくに1.5以上であることが好まし
い。この比が1.3よりも1に近い数値であると混
合された樹脂間の分離がとくに塗膜の下層部分に
おいて充分でなく、不整の程度の大きい不完全な
複層塗膜となるおそれがある。 下層形成用樹脂状物が2種以上用いられている
場合には、それらのうちの2種の組合せについて
も前記各制限要件をみたすことを必ずしも要する
ものではなく、表層形成用の熱硬化性樹脂状物と
の間にそれらの制限要件がみたされるものであれ
ば、下層形成用の樹脂状物相互間においては、不
相溶もしくは難相溶であることのほか、表面張力
および複層パラメータのいずれか一方の指標につ
いてのみ、前記の制限に適合するものとすること
によつて、3層以上の複層構造を容易に形成でき
る。 下層、中間層形成のための樹脂状物の場合に
も、自己硬化性ではない熱硬化性のものである場
合には、所要の架橋剤等を、また、必要に応じて
顔料等の添加物をあらかじめ混融、分散せしめて
おくことができる。 これらの樹脂状物を粉体とする程度は、適用し
ようとする任意の粉体塗装手段たとえば静電法、
流動床浸漬法などによる塗着について支障のない
粒子径でさえあればよく、粒度分布を精密に調節
することも被層塗膜形成の目的に対してとくに必
要でないが、なるべく粒径300ミクロン、とくに
好ましくは100ミクロンをこえる粗粒を残存せし
めないことが望ましく、また、最大の複層パラメ
ータを有する成分樹脂粉体の粒子径を比較的小さ
いものとすることによつて、溶融の容易さとの関
係のために、複層の形成、とくに下側における成
分の分離をさらに促進することができる。各成分
粉体樹脂状物を混合する割合は、溶融により分離
して複層を形成せしめようとする各成分ごとに合
計量の10重量%未満、とくに好ましくは30重量%
未満とならないようにすることが必要であり、10
重量%未満の割合で混合された成分は、完全な複
層を構成することができない。 本発明の粉体塗料により形成される複層塗膜の
各部分ごとの各成分樹脂状物の分布は、種々の方
法により確認、定量することができる。たとえ
ば、各成分ごとに色彩の異なる着色顔料をあらか
じめ分散させて粉体とし混合すると、硬化した塗
膜の断面を観察し、または上側から研摩し、順次
変化する色彩を見ることによつて複層化を確認で
きる。また、色彩で判別できない場合でも、塗膜
を研摩して磨砕により生ずる粉状樹脂についてた
とえば赤外線吸収スペクトルの観測などで組成分
析を行ない、または露出した研摩面について赤外
線反射スペクトルの観測を行なうなどの方法が用
いられる。 本発明の粉体塗料を用いることにより、単一の
粉体塗装工程において、使用の目的に応じて高度
の機能たとえば耐候性、付着性などが必要な各部
分ごとに分属せしめられた複層塗膜が容易に形成
されるので、塗装作業の合理化に寄与するところ
がきわめて大きい。 以下、本発明を実施例でもつてさらに詳しく説
明する。 実施例 1 スチレン20%、メタクリル酸メチル10%、メタ
クリル酸イソブチル45%、メタクリル酸―2―エ
チルヘキシル5%およびメタクリル酸グリシジン
20%の共重合によるアクリル樹脂(Tg=60.5
℃、a=30,b=5、数平均分子量12000)100重
量部とドデカンジカルボン酸16および二酸化チタ
ン(ルチル型)20各重量部を混合粉砕し、熱ロー
ル法により分散し、次いで粉砕・分級(200メツ
シユ)して成分Iを得た。 つぎに、エピコート1004(シエル化学社製、エ
ポキシ樹脂)100、ベンガラ(戸田工業1号W)
20、アジピン酸ジヒドラジツド5.5各重量部を混
合し、前記と同方法にて、成分を得た。 成分および成分の親和性パラメータP、表
面張力r(dyne/cm)ならびに複層パラメータ
h(g/cm2)は次表の如くであつた。
【表】 成分/成分を重量比で40/60で混合して、
複層塗膜形成用粉体塗料を製造した。この粉体塗
料をリン酸亜鉛処理鋼板(日本テストパネル社
製、ボンデライトBN#144,0.5mm厚)上に静電
塗装し、175℃、30分間加熱硬化して、約90μm
の塗膜を得た。この塗膜を上層より基材側に漸次
切削して顔料の色調の変化を観察すると同時に、
赤外線分析により分析した、結果、基材側にエポ
キシ樹脂、気相側にアクリル樹脂層の複層が形成
されていることを確認した。 また従来得られなかつた塗膜物性(エリクセン
値)および粉体塗料の貯蔵安定性等について優れ
た結果が得られた。
【表】 実施例 2 スチレン20%、メタクリル酸メチル15%、メタ
クリル酸イソブチル45%、メタクリル酸ヒドロキ
シエチル20%の共重合によるアクリル樹脂(Tg
=69.1℃,a=35,b=0数平均分子量約
12000)100重量部と変性ヘキサメチロールメラミ
ン(三和ケミカル(株)製造品、品番Px―3000)
24、二酸化チタン(ルチル型)10、およびシアニ
ンブル―2、各重量部の混合粉砕により、実施例
1と同様の方法にて成分Iを得た。 つぎにエピコート1004を70、同1007を30、二酸
化チタン(成分Iと同じ)20および変性ジシアン
ジアミド(チバ・ガイギー(株)社製造品、品番HT
―2844)5各重量部を同様の方法で調製し、成分
を得た。 成分Iおよび成分の親和性パラメータp、表
面張力r(dyne/cm)ならびに複層パラメータ
h(Kg/cm2)は次表の如くであつた。
【表】 成分I/成分を重量比で50/50で混合して、
複層塗膜形成用粉体塗料を製造した。この粉体塗
料をリン酸亜鉛処理鋼板(実施例1と同じ)上に
静電塗装し、180℃、30分間加熱硬化して、約115
μmの塗膜を得た。これを実施例1と同様の方法
で分析を行ない、複層が形成されていることを確
認した。 得られた塗膜の物性値および粉体塗料の貯蔵安
定性は次の如くであつた。
【表】 実施例 3 アクリルアミド3%、α―メチルスチレン4
%、メタクリル酸イソブチル70%、アクリル酸メ
チル3%およびメタクリル酸ヒドロキシエチル20
%の共重合によるアクリル樹脂(Tg=57.8℃,
a=7,b=3、数平均分子量約9500)100部と
ヘキサメチロールメラミン系硬化剤(三和ケミカ
ル(株)製造品、品番px―2000)23各重量部とを混
合粉砕し、熱ロール法により分散し、次いで粉
砕・分級(200メツシユ)して成分Iを得た。 つぎにテレフタル酸ジメチル51.9%、イソフタ
ル酸11.1%、ネオペンチルグリコール33.8%およ
びグリセリン3.2%を縮合成分として常法により
製造されたポリエステル(数平均分子量約6000)
100部と前記硬化剤(px―2000)25部、ルチル型
酸化チタン30部およびフタロシアニングリール
(住友化学工業(株)製造品)5各重量部から成分
を得た。 成分および成分の親和性パラメータp、表
面張力r(dyne/cm)並びに複層パラメータh
(g/cm2)は次表の如くであつた。
【表】 成分/成分を重量比で40/60で混合し
て、、複層塗膜形成用粉体塗料を製造した。この
粉体塗料をリン酸鉄処理軟鋼板(日本テストパネ
ル社製ボンデライト、BN#525T 0.6mm厚)上に
静電塗装し、190℃、30分間加熱硬化して、約120
μmの塗膜を得た。これを実施例1と同様の方法
で分析を行ない複層が形成されていることを確認
した。 得られた塗膜の物性値および粉体塗料の貯蔵安
定性は次の如くであつた。
【表】

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1(イ) ホモポリマーとして80℃をこえるガラス転
    移温度を示す重合性エチレン状不飽和化合物で
    ある硬度付与性単量体とホモポリマーとして10
    ℃よりも低いガラス転移温度を示す重合性エチ
    レン状不飽和化合物である軟度付与性単量体と
    をコモノマーとして含み、ガラス転移温度が40
    〜75℃であるアクリル系熱硬化性付 加共重合
    体の粉体、及び (ロ) 該共重合体と不相溶乃至難相溶であつて、該
    共重合体よりも溶融物の同一温度に於ける表面
    張力が実質的に大であり且つ複層形成複合パラ
    メータに実質的な差異を有する樹脂状物の粉体 を主成分とする組成物であつて、上記共重合体に
    含まれるコモノマーとしての硬度付与性単量体と
    軟度付与性単量体が夫々の重量100分率を夫々a
    %およびb%とするとき、 a+b≦50,a>6およびa>1.5bの夫々の
    関係式を満足する様に含まれて成るものであるこ
    とを特徴とする複層塗膜形成に適する粉体塗料用
    組成物。
JP1260178A 1977-05-13 1978-02-07 Powder coating composition suitable for forming composite films Granted JPS54105135A (en)

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