JPS6131528B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

本発明は、強磁性体粒子をバインダーに分散し
支持体上に塗着してなる磁気記録媒体の製造法、
特に磁性粒子が良好な分散状態に保たれ、Ｓ／Ｎ
比が優れた磁気記録媒体を製造する方法に係るも
のである。 近年、磁気記録媒体の応用範囲が広がるにつれ
て磁性特性の内Ｓ／Ｎ比の優れた磁気記録媒体の
開発が望まれている。特に、ビデオテープやオー
デイオテープの改良が要求されるにつれて、この
傾向が著しくなつている。 このために磁性粒子の分散状態のよいことが望
まれる訳であるが、従来磁性粒子の分散性を改善
しテープノイズを低減するために、(1)磁性粒子の
微粒子化、(2)分散剤（界面活性剤等）の添加、(3)
粒子凝集防止剤（例えば固形粒子）の添加、(4)強
力な分散機の導入等が試みられて来た。 しかし、如何に塗布液の状態で高分散状態を実
現しても乾燥の過程で、磁性粒子が再凝集して、
折角の高分散性が損われることが判明した。 このため塗布液の高粘度化や、粒子凝集防止剤
（例えば固形粒子）の添加はある程度効果はある
が、工程上過や塗布の上で、また固形粒子の大
きさの制限から限度がある。 本発明は電子線により硬化または架橋の可能な
（以下、「電子線硬化可能な」と称す）バインダー
（特に好ましくは、高沸点モノマー及び／または
低分子量ポリマーの混合系）と低沸点溶剤とより
なる溶液中に分散せしめた塗布液を支持体上に塗
布し、塗布直後、磁性粒子が未だ高い分散状態に
あるうちに電子照射して、溶剤の存在下でバイン
ダー系を硬化させ（架橋を含む）磁性粒子の相互
の凝集を阻止したのち溶剤を蒸発せしめ乾燥する
工程を経ることにより極めて平滑で高分散の塗膜
を得るに至らしめる方法である。 電子線を用いて磁気記録テープを製造すること
は、既に特公昭47−12423において知られている
が、ここに述べられている方法と本発明方法と基
本的に異なる。前記特許発明においては電子線硬
化可能なバインダー系と低沸点溶剤との混合系に
強磁性体を分散せしめた組成物をプラスチツク基
質フイルムに塗布し、ついで予備乾燥により低沸
点溶剤を除去した後に電子線を照射し、電子線硬
化可能なバインダー系（磁性粒子を含む）を硬化
せしめるに対して、本発明の方法は上述の如く低
沸点溶剤を乾燥することなく、分散液を塗布した
後、直ちに電子線照射する点である。即ち、前記
特許方法では塗布後溶剤を蒸発せしめ乾燥する間
に、塗布直後折角磁性粒子が高分散状態にあつて
も、再び磁性粒子の凝集がおこり、望むような磁
性粒子が高分散状態で支持体上に塗着されない。
これに対して本発明者はこの点に着目し、磁性粒
子分散液を塗布した後、直ちに電子線を照射し、
電子線硬化速度の速いことを利用し、磁性体粒子
の再凝集することを阻止して期待する高分散状態
の磁性粒子の配列のまま支持体上に塗着すること
を目的としている。 更に、本発明の特長は、電子線照射後、バイン
ダー系は硬化し、磁性粒子は固定するが磁性体を
含む形成された塗膜はなお低沸点溶剤を含有し、
膨潤状態にあるため、その後の乾燥工程において
溶剤を蒸発する際、適当な乾燥条件を選べば、磁
性層中に溶剤の蒸発跡のスポンジ状空隙構造を作
ることが出来ることである。この空隙は、磁気記
録媒体の走行性を助ける潤滑剤を保持する溜めの
役目を果たすし、またテープ状の場合にはカーリ
ング防止やカール調節に利用することが出来る。 更に、この空隙があるために、この後のカレン
ダー処理工程にて大きな減厚効果を得ることが出
来、カレンダー処理効果を著しく大きくして、磁
性層表面の平滑さを助けたり、磁性粒子の厚味方
向に配向効果を上げるため、磁気記録媒体のＳ／
Ｎ比を向上することに効果がある。上記の効果
は、いずれも特公昭47−12423には勿論のこと、
他の文献等にも一切記載されておらず、上記の如
き本発明者等が見出した電子線硬化系において塗
布後、直ちに電子線を照射しバインダー系を硬化
と同時に磁性粒子を固着する方法で初めて得られ
る効果である。 通常の磁気記録媒体の製造に用いられているカ
レンダー工程は本発明の方法においても必要に応
じ実施されればよい。本発明の方法の場合には溶
剤の蒸発除去前にバインダー系の固化があり、溶
剤蒸発に伴う磁性表面の乱れや、磁性粒子の乱れ
がないため表面性がよいため、目的によつてはカ
レンダー処理を要しない場合もある。 他方、カレンダー処理を必要とする場合には、
カレンダー処理を電子線照射して、溶剤を蒸発乾
燥してから後でも、また溶剤の蒸発乾燥を全くし
ないかまたは一部溶剤を残留せしめた状態で行つ
てもよい。後者の如く未乾燥状態または半乾燥状
態でカレンダー処理を行うとカレンダー条件が緩
かな条件（比較的低温で、かつ圧力の低い状態）
で済む利点がある。 これらは従来なし得なかつた磁性層中における
磁性粒子の高分散性と磁性層表面の高平滑性を同
時に可能ならしめ、今迄に得られたことのない高
いＳ／Ｎ比を実現することが出来るようになる。 本発明に用いられる電子線硬化可能なバインダ
ー系（電子線硬化性低分子量ポリマー及び／また
は高沸点モノマー）としては、例えば特公昭47−
12423に記載のアクリル酸アルキルエステルの１
種以上とメタクリル酸アルキルエステルの１種以
上からなるコポリマー又はアクリル酸アルキルエ
ステルの１種以上よりなるホモポリマー又はコポ
リマーあるいは上記モノマーの少くとも１種が50
〜99.5重量％と上記モノマーと共重合可能な他の
ビニル系モノマー0.5〜50重量％からなるコポリ
マー（）、飽和多塩基性酸、不飽和多塩基性酸
および多価アルコールからなる不飽和ポリエステ
ル（）および高沸点モノマー（）、を用いて
（），（）または（）と（）の混合物と
（）とからなる組成物が挙げられる。 更に詳しくは、前述したようなアクリル系プレ
ポリマー（）、不飽和ポリエステルプレポリマ
ー（）、（）と（）との混合物であるが、
（）のアクリル系プレポリマーとしてはアクリ
ル酸アルキルエステルの１種以上とメタクリル酸
アルキルエステルの１種以上からなるコポリマ
ー、アクリル酸アルキルエステル１種以上よりな
るコポリマーホモポリマーまたは上記モノマーの
１種以上が50〜99.5重量％と上記モノマーと共重
合可能な他のビニル系モノマー0.5〜50重量％か
らなるコポリマーが該当し、この場合の該プレポ
リマーを合成するのに用いられるアクリル酸また
はメタクリル酸アルキルエステルのアルキル基と
しては例えばメチル、エチル、ｎ−プロピル、ｎ
−ブチル、ｉ−ブチル、ｔ−ブチル、２−エチル
ヘキシル、ラウリル、ステアリルなどがあげられ
るし、またこれらと共重合可能なビニル系モノマ
ーとしては例えばアクリル酸、メタクリル酸、イ
タコン酸、α−メチレングルタロ酸、アコニツト
酸、スチレンもしくはその誘導体例えばα−メチ
ルスチレン、β−クロルスチレン、ｐ−ブロモス
チレン、有機ニトリル類例えばアクリロニトリ
ル、メタクリロニトリル、メチレングルタロニト
リル、有機酸のビニルエステル例えば酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニル、イソプロピオン酸ビニ
ルなどがあげられる。 （）の不飽和ポリエステルプレポリマーは飽
和多塩基酸、不飽和多塩基酸および多価アルコー
ルからなる不飽和ポリエステルが該当するが、こ
の場合の飽和多塩基酸としては例えばコハク酸、
アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル
酸、テレフタル酸、２，５−ジメチルテレフタル
酸、チオジパレリアン酸、トリメリツト酸等、不
飽和多塩基酸としては例えば無水マレイン酸、マ
レイン酸、フマル酸等、多価アルコールとしては
例えばエチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、トリエチングリコール、プロピレングリコー
ル、２，２−ジメチル−１，３−プロパンジオー
ル、１，３−ブタンジオール、１，５−ペンタン
ジオール、１，６−ヘキサンジオール、１，10−
デカンジオール、ネオペンチルグリコール、２−
エチル−１，３−ヘキサンジオール、トリメチロ
ールプロパン、ペンタンエリスリトール等がそれ
ぞれあげられる。 高沸点モノマー（）としては、予備乾燥によ
り低沸点溶剤を除去した後残存するに充分な高沸
点を有するモノマーであればよく、具体的には例
えばアクリル酸またはメタクリル酸の炭素数６個
以上のアルキルエステル（ヘキシル、２エチルヘ
キシル、ラウリル、デシル、ステアリルエステ
ル）、高沸点のヒドロキシアクリレートまたはヒ
ドロキシマレートすなわちアクリル酸−２−ヒド
ロキシプロピル、アクリル酸−４−ヒドロキシブ
チル、メタクリル酸−２−ヒドロキシエチル、メ
タクリル酸−６−ヒドロキシヘキシル、マレイン
酸モノ（２−ヒドロキシエチル）、マレイン酸ジ
（２−ヒドロキシエチル）、アクリルアミド、メタ
クリルアミドなどが好適であり、さらに架橋促進
のためビニル基を２個以上有する高沸点モノマー
例えばジビニルスチレン、エチレングリコールジ
メタクリレート、トリエチレグリコールジメタク
リレート、テトラエチレングリコールジメタクリ
レート、Ｎ，N′メチレンビスアクリルアミド、
１，３ブチレンジメタクリレート、ジアクリルフ
タレート、トリメチロールプロパントリ（メタ）
アクリレート、ペンタエリスリトールトリ（メ
タ）アクリレートなどを併用すること更に効果的
である。 組成物としては上述のようなプレポリマー
（）、（）または（）と（）との混合物と
高沸点モノマー（）の比が１／９〜９／１（重
量）になるようにそれぞれ調製することにより得
られる。 また特開昭52−17517に記載の如きポリエステ
ル系ポリウレタンの末端水酸基とヒドロキシアル
キル（メタ）アクリレートをジイソシアナート化
合物を介して結合せしめた末端に（メタ）アクリ
レートグループを有する化合物を含有する組成
物、特開昭53−57023に記載のアクリル化ウレタ
ン化合物またはそれを含有する組成物、特開昭52
−21035に記載の飽和アクリル系コポリマー、及
び分子中にOH基とエーテル結合とを共に有する
多官能不飽和ラジカル重合性化合物とからなる組
成物、また高沸点モノマーとしては「ジヤーナル
オブ アプライドポリマーサイエンス」23巻、
3229頁（1979年）に記載の各種多価アクリレー
ト、アクリルアミド化合物、「高分子加工」２月
号29頁（1977年）に記載のモノアリリデンペンタ
エリスリツト、ジアリリデンペンタエリスリツ
ト、またはこれらプレポリマー等が挙げられる
が、これらに限定されるものではない。 更に具体的には、東亜合成化学工業(株)の商品名
「アロニツクス」として知られている多種アクリ
ル系不飽和化合物組成物が用いられる。またジア
リリデンペンタエリスリツト系では、昭和高分子
(株)の商品名「スピラツク」で代表される。また必
要に応じ本発明の電子線硬化バインダー系には通
常の磁気テープの磁性粒子分散に用いられるポリ
マー系バインダーを併用してもよい。例えばポリ
ウレタン、ポリエステル、エポキシ樹脂、各種塩
酢ビ樹脂、ポリ塩化ビニリデンが使用される。 強磁性粒子としては酸化鉄、及びこれにコバル
トの如き金属を添加したもの、CrO₂，Fe，Ni，
Coの何れか一種以上含むメタル粒子、MnB等が
用いられる。 一般には磁性粒子分散体中の磁性粒子／バイン
ダー系の重量比は、100／10〜400が適当であり、
本発明においてバインダーは電子線硬化可能な前
記低分子量ポリマーと高沸点モノマーとの和とな
るのであるが、これのみでは磁性粒子を完全に分
散せしめることが困難であるから、実施において
は、適当量の低沸点溶剤により稀釈して磁性粒子
を分散し易く、かつ塗布し易い状態となしてから
塗布し、その後上述の理由により電子線照射によ
り磁性層を硬化してから、その後不用な低沸点溶
剤を蒸発除去せしめる。この場合、低沸点溶剤と
しては、アセトン、メチルエチルケトン、メチル
イソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、シ
クロヘキサノン、ブタノール、トルエン、キシレ
ン等がよく用いられるが特に制限するものではな
い。 次に塗布方式について述べるとドクターブレー
ド、リバースロール、グラビヤ、グラビヤオフセ
ツト、メイヤーバー、スプレースリツトノズル等
各方式が使用出来、面状、塗布厚、塗布スピード
等種々の条件により選択されるものである。 電子線照射法については、電子線のビームスキ
ヤンニング方式でも線状照射方式（所謂エレクト
ロカーテン方式）でもよい。照射条件について
は、加速電圧が0.1〜2.0M・ｅ・Ｖ好ましくは0.2
〜0.6M・ｅ・Ｖの電子線加速器を用い、線量率
0.1〜2.0megarad／sec（rad＝100erg／ｇ）にて
0.5〜20megaradの吸収線量になるように照射せ
しめることが必要であり、加速電圧が0.1M・
ｅ・Ｖ以下の場合はエネルギー透過力が不充分で
あり逆に2.0M・ｅ・Ｖを超える場合は重合に寄
与するエネルギーの利用率が低下するし、さらに
被覆物の発熱が著しかつたり放射線防禦等の面で
不利となるので上記範囲外では共に好ましくな
い。 この非磁性支持体の素材としてはポリエチレン
テレフタレート、ポリエチレン−２，６−ナフタ
レート等のポリエステル類、ポリプロピレン等の
ポリオレフイン類、セルローストリアセテート、
セルロースダイアセテート等のセルロース誘導
体、ポリカーボネート、芳香族ポリアミドなどの
プラスチツク；Cu，Al，Znなどの非磁性金属；
ガラス、磁器、陶器等のセラミツクなどが使用さ
れる。 又、非磁性支持体の形態はフイルム、テープ、
シート、デイスク、カード、ドラム等いずれでも
良く、形態に応じて種々の材料が必要に応じて選
択される。 これらの非磁性支持体の厚みはフイルム、テー
プ、シート状の場合は約２〜50μｍ程度好ましく
は３〜25μｍである。又、デイスク、カード状の
場合は0.5〜10mm程度であり、ドラム状の場合は
円筒状とし、使用するレコーダーに応じてその型
は決められる。 上記の非磁性支持体は、フイルム、テープ、シ
ート、薄型フレキシブルデイスク等可撓性支持体
の場合は帯電防止、転写防止、ワウフラツターの
防止等の目的で、磁性層を設けた側の反対の面が
いわゆるバツクコート（backcoat）されていて
もよい（すなわち、バツク層を有することであ
る）。 バツクコートに関しては、例えば米国特許
2804401号、同3293066号、同3617378号、同
3062676号、同3734772号、同3476596号、同
2643048号、同2803556号、同2887462号、同
2923642号、同2997451号、同3007892号、同
3041196号、同3115420号、同3166688号、同
3761311号等に示されている。 磁性粉末及び前述のバインダー系、分散剤、潤
滑剤、研磨剤、帯電防止剤、溶剤等は混練されて
磁性塗料とされる。 混練にあたつては、磁性粉末及び上述の各成分
は全て同時に、あるいは個々順次に混練機に投入
される。たとえばまず分散剤を含む溶剤中に磁性
粉末を加え所定の時間混練をつづけて磁性塗料と
する方法などがある。 磁性塗布液の混練分散にあたつては各種の混練
機が使用される。例えば二本ロールミル、三本ロ
ールミル、ボールミル、ベブルミル、トロンミ
ル、サンドグライダー、Szegvariアトライタ
ー、高速インベラー分散機、高速ストーンミル、
高速度衝撃ミル、デイスバー、ニーダー、高速ミ
キサー、ホモジナイザー、超音波分散機などであ
る。 混練分散に関する技術は、T.C.PATTON著の
“Paint Flow and Pigment Dispersion”（1964
年、John Wiley ＆ Sons社発行）に述べられ
ている。又、米国特許第2581414号、同2855156号
にも述べられている。 磁気記録層には、前記のバインダー系、強磁性
微粉末の他に添加剤として分散剤、潤滑剤、研磨
剤、帯電防止剤等が加えられてもよい。 分散剤としてはカプリル酸、カプリン酸、ラウ
リン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリ
ン酸、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、
リノレン酸、ステアロール酸等の炭素数12〜18個
の脂肪酸（R₁COOH、R₁は炭素数11〜17個のア
ルキルまたはアルケニル基）：前記の脂肪酸のア
ルカリ金属（Li，Na，Ｋ等）またはアルカリ土
類金属（Mg，Ca，Ba）から成る金属石鹸：前記
の脂肪酸エステルの弗素を含有した化合物：前記
の脂肪酸のアミド；ポリアルキレンオキサイドア
ルキルリン酸エステル；レシチン；トリアルキル
ポリオレフインオキシ第四アンモニウム塩（アル
キルは炭素数１〜５個、オレフインはエチレン、
プロピレンなど）；等が使用される。この他に炭
素数12以上の高級アルコール、およびこれらの他
に硫酸エステル等も使用可能である。これらの分
散液は結合剤100重量部に対して0.5〜20重量部の
範囲で添加される。こられについては特公昭39−
28369号、同44−17945号、同48−7441号、同48−
15001号、同48−15002号、同48−16363号、同50
−4121号、米国特許3387993号；同3470021号等に
記載がある。本発明による添加剤はこれら分散剤
と併用しても分散剤の効果を何ら損う事がない。 潤滑剤としてはカーボンブラツク、グラフアイ
ト、カーボンブラツクグラフトポリマーなどの導
電性微粉末；二酸化チリブテン、二硫化タングス
テンマイカなどの無機微粉末；ポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリエチレン塩化ビニル共重合
体、ポリテトラフルオロエチレンなどのプラスチ
ツク微粉末；α−オレフイン重合物；常温で液状
の不飽和脂肪族炭化水素（ｎ−オレフイン二重結
合が末端の炭素に結合した化合物、炭素数約24位
まで）；炭素数12〜26個の一塩基性脂肪酸と炭素
数３〜12個の一価のアルコールから成る脂肪酸エ
ステル類などが使用できる。また有機シリコーン
化合物も利用出来る。これらの潤滑剤は結合剤
100重量部に対して0.2〜20重量部の範囲で添加さ
れる。これらについては特公昭41−18064、43−
23889号、同46−40461号、同47−15621号、同47
−18482号、同47−28043号、同47−32001号、同
50−5042号、米国特許3470021号；同3492235号；
同3497411号；同3523086号；同3625760号；同
3630772号；同3642539号；“IBM Technical
Disclosure Bulletin”Vol.9，No.７，Page779
（1966年12月）；“ELEK−TRONIK”1961年、
No.12，Page380、特開昭52−108804、同53−
24806、同53−125803、特公昭52−34923等に記載
されている。これら潤滑剤は単独でもこれらの混
合で使用してもよく、通常は後者の方法で使用さ
れている。 研磨剤としては一般に使用される材料で溶融ア
ルミナ、炭化ケイ素酸化クロム、コランダム、人
造コランダム、ダイヤモンド、人造ダイヤモン
ド、ザクロ石、エメリー（主成分：コランダムと
磁鉄鉱）等が使用される。これらの研磨剤はモー
ス硬度が５以上であり、平均粒子径が0.05〜５μ
ｍの大きさのものが使用され、特に好ましくは
0.1〜２μｍである。これらの研磨剤は結合剤100
重量部に対して0.5〜20重量部の範囲で添加され
る。これらについては特公昭47−18572号、同48
−15003号、同48−15004号（米国特許3617378
号）、同49−39402号、同50−9401号、米国特許
3007807号；同3041196号；同3293066号；同
3630910号；同3687725号；英国特許1145349号；
西ドイツ特許（DT−PS）853211号；同1101000
号に記載されている。本発明による添加剤は、こ
れら研磨材と併用すると、研磨材によるヘツド摩
耗を減少させる。 帯電防止剤としてはカーボンブラツク、グラフ
アイト、カーボンブラツクグラフトポリマーなど
が用いられる。 磁性層の表面平滑化にはカレンダー処理が実施
されるが、前述の如く磁性層を乾燥して完全に溶
剤を除去してからでよいし、また未乾燥状態で施
してもよい。 カレンダー条件としては、メタルロールとコツ
トンロールまたは合成樹脂（たとえばナイロン）
ロールなどの２本のロールの間を通すスーパーカ
レンダー法によつて行なうのが好ましい。スーパ
ーカレンダーの条件は約25〜100Kg／cm、好まし
くは30〜70Kg／cmのロール間圧力で、約35〜100
℃、好ましくは40〜80℃の温度で、５〜120ｍ／
minの処理速度で行なうのが好ましい。温度及び
圧力がこれらの上限以上になると磁性層および非
磁性支持体に悪影響がある。又、処理速度が約５
ｍ／min以下だと表面平滑化の効果が得られな
く、約120ｍ／min以上だと処理操作が困難とな
る。 これらの表面平滑化処理については米国特許
2688567号；同2998325号；同3783023号；西独公
開特許（DT−OS）2405222号；特開昭49−53631
号、同50−10337号などに記載されている。 以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれ
らに限定されない。なお、実施例中「部」は「重
量部」を示す。 実施例 １〜３ 電子線硬化可能な磁性粒子の分散液を下記の組
成でボールミルに仕込み、約24時間混和して得
る。

【表】 得られた粘稠な分散液をドクターブレードを使
用して15μのポリエチレンテレフタレートフイル
ム上に最終膜が５μになるよう塗布し、直ちに加
速電圧0.5Me・Ｖ、ビーム電流15mAの電子線加
速器を用い、2megarad／secの線量率で
10megaradの吸収線量になるように照射した。こ
の電子線照射によりバインダー系は直ちに硬化す
るが、その後この未乾のテープを、80〜110℃の
乾燥ゾーンを通過せしめ低沸点溶剤を完全に蒸発
除去せしめる。その後磁気テープ製造の常法のカ
レンダー処理を施して磁性層の整面をして１／２
吋にスリツトしてビデオ用磁気テープを得た。 次に結果を実施例１〜３（バインダー系の組成
を３種類表１に示す）におき、分散液塗布直後、
電子線照射せず、先に低沸点溶剤を蒸発除去して
から電子線照射した例と比較して、出来上つたテ
ープの磁性層の平滑性（表面粗さ）とビデオテー
プの、カラー信号のＳ／Ｎにて表２に示す。表２
の結果から判るように、溶剤乾燥除去後電子線照
射した例に比して、本発明の方法による塗布後直
ちに電子線照射しバインダー系を硬化せしめた後
溶剤除去したものはテープの磁性層の表面粗さが
低く平滑であり、その結果としてビデオテープの
カラー信号Ｓ／Ｎが高くなつている。これらのテ
ープは高温高湿状態においても極めて走行性に秀
れた特性を示した。

【表】

【表】 ＊ 東京精密社触針式表面粗さ計に測定した
中心線平均粗さでカツトオフは0.08mmを
用いた。
実施例 ４ 実施例１において、磁性粒子γ−Fe₂O₃の代り
に鉄メタル磁性粒子に置換えテープを作つたとこ
ろ電子線照射と溶剤蒸発の順序の相異により実施
例１においてみられたと同様の効果が認められ、
カラー信号Ｓ／Ｎ値において電子線前照射の場合
が後照射より＋1.8dB高い値を観測した。 実施例 ５ 実施例１において、塗布分散液を塗布後直ちに
電子線を照射し、次いででテープを乾燥し、溶剤
を蒸発除去せしめ、残留溶剤が約３％の時点でテ
ープをカレンダー処理にかけ、磁性面の整面を行
う。カレンダー処理後再度乾燥ゾーンを通し完全
に残留溶剤を除去せしめて得た磁気テープは、そ
の磁性層の表面粗さは0.01μでカラー信号のＳ／
Ｎが＋3.0dBを示す極めて高画質特性のテープで
あつた。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 電子線照射により硬化可能なバインダーと低
   沸点溶剤からなる溶液中に強磁性粒子を分散せし
   めた塗布液を支持体上に塗布し、電子線照射およ
   び乾燥工程を経ることにより磁気記録媒体を製造
   する方法において、該塗布液が塗布されいまだ上
   記溶剤を含有する状態において、電子線を照射
   し、その後溶剤を乾燥することを特徴とする磁気
   記録媒体の製法。