JP2753882B2 - 磁気記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

磁気記録媒体及びその製造方法

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JP2753882B2 JP2103094A JP10309490A JP2753882B2 JP 2753882 B2 JP2753882 B2 JP 2753882B2 JP 2103094 A JP2103094 A JP 2103094A JP 10309490 A JP10309490 A JP 10309490A JP 2753882 B2 JP2753882 B2 JP 2753882B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、磁気記録媒体及びその製造方法に関するも
のであり、特に高密度記録(短波長記録)における電磁
変換特性及び走行耐久性に優れた磁気記録媒体及びその
製造方法に関する。
(従来の技術とその課題) 近年、オーディオテープ、ビデオテープあるいはコン
ピュータ用磁気テープなどとして磁気記録媒体が広く利
用されている。磁気記録媒体は、電磁変換特性あるいは
走行耐久性など種々の特性において優れた特性を有して
いるものであることが要求される。特に、優れた電磁変
換特性と共に良好な走行特性は極めて重要な要件であ
り、上記両特性が共に優れているように両立させること
が必要である。
しかし、最近、S-VHS、ハイエイトという高画質・高
音質のシステムが検討され、更にはハイビジョンやデジ
タル記録のビデオテープやフロッピーディスクの高密度
タイプなどのシステムが検討され、高密度化の要請がま
すます高くなっている。このような高密度化を達成する
ためには磁性層表面を例えば中心線平均粗さ(Ra)で10
nm以下、好ましくは5nm以下の超平滑にすることが必要
である。
このため、従来から実施されている金属ロールと弾性
ロールとの組合せによる平滑化処理工程に代えて、金属
ロールと金属ロールとの組合せによるカレンダー処理を
して、表面性を向上させ、ノイズをさげC/Nをあげ記録
密度の高い磁気記録媒体を製造する方法が特開昭61-230
623号に開示されている。
しかしながら、この方法により折角磁性層表面の表面
性を平滑にし電磁変換特性を向上させても、磁性層の走
行性、耐久性が不足するため、高密記録の要求されるデ
ジタル記録分野などの磁気記録媒体に上記の金属ロール
と金属ロールの組合せによる平滑化処理技術が実用化で
きないでいた。
これは、一般に磁気テープの表面を平滑にすると、磁
気テープの走行中において磁性層と装置系との接触の摩
擦係数が増大する結果、短期間の使用で磁気記録媒体の
磁性層が損傷を受けたり、極端な場合には磁性層が剥離
したりすることがある。特にビデオテープではビデオヘ
ッドと磁気記録媒体が高速で接触しながら走行するた
め、磁性層から強磁性体粉末及び/もしくは結合剤が脱
落し易く、磁気ヘッドの目詰まりの原因ともなる。従っ
て、磁気テープの表面を平滑にした磁気記録媒体では、
磁性層の走行性および耐久性の向上が望まれ、特に、磁
気テープの表面を前記したように金属ロールと金属ロー
ルとの組合せによるカレンダー処理をして超平滑にする
と、摩擦係数の増大は顕著であり、磁性層の走行性およ
び耐久性の向上がより大きな課題となり、その改良が強
く望まれていた。
本発明は、超平滑な磁性層表面を有し、しかも走行
性、耐久性の高い磁気記録媒体の製造方法を提案し、ハ
イビジョン、デジタル記録などの高密度磁気記録の分野
にきわめて有効な磁気記録媒体を提供するものである。
従来、これらの磁気記録媒体の走行性、耐久性向上の
ため各種の潤滑剤を磁性塗液に添加する方法(例えば、
特公昭49-39402号、同39-26793号、同51-39081号、同39
-28367号、同41-18065号)、潤滑剤を磁性層表面に塗布
する方法(例えば、特公昭59-39810号、特開昭56-13527
号)、あるいは潤滑剤を含浸させる方法(例えば、特開
昭52-24503号)などが提案されている。しかしながら、
これらの方法では、超平滑化磁性面の走行性及び耐久性
が要求されている現在、高度な電磁変換特性と走行性、
耐久性の両立はできなくなった。
(発明の目的) 従って、本発明は、特に高密度記録(短波長記録)に
おける電磁変換特性が優れ、かつ、走行安定性及び走行
耐久性、特に高温高湿等の酷しい環境条件に保存しても
摩擦係数(μ値)の増加が防止され、また繰り返し使用
してもオーディオ及びビデオヘッドの目詰まりが防止さ
れ、走行耐久性が極めて優れた磁気記録媒体及びその製
造方法を提供することを目的とする。
(発明の構成) すなわち本発明の上記目的は、非磁性支持体上に強磁
性粉末と結合剤とを主体として含有する磁性層を有する
磁気記録媒体において、前記磁性層が、塗布前の磁性塗
液に含まれる脂肪酸および脂肪酸エステルを含有し、且
つ非磁性支持体上に磁性塗膜を形成した後に磁性層上に
オーバーコートした脂肪酸エステルを有し、かつ前記磁
気記録媒体は、少なくとも金属ロールと金属ロールの組
み合わせを含むカレンダーロールで処理して得られた磁
気テープ表面を有することを特徴とする磁気記録媒体に
よって達成することができる。
又、本発明の上記目的は、非磁性支持体上に磁性層を
塗設する磁気記録媒体の製造方法において、主として、
強磁性粉末、結合剤、脂肪酸および脂肪酸エステルを混
合分散してなる磁性塗液を非磁性支持体上に塗布し、乾
燥させた後に、少なくとも金属ロールと金属ロールの組
み合わせを含むカレンダーロールで処理をして得られた
塗膜上に脂肪酸エステルをオーバーコートすることを特
徴とする磁気記録媒体の製造方法によって達成すること
ができる。
すなわち本発明により、脂肪酸及び脂肪酸エステルを
含む磁性塗液を非磁性支持体上に塗設し、磁性面をカレ
ンダー処理により超平滑にし、これに脂肪酸エステルを
オーバーコートすることによって、極めて平滑な充填度
の高い磁性面であり、出力が向上し、C/Nも良化し、優
れた電磁変換特性と走行性及び耐久性が得られた。
磁性塗液に脂肪酸及び脂肪酸エステル等の潤滑剤を添
加する方法では、添加量が少ないと充分な走行性及び耐
久性が得られない。また、脂肪酸エステルの添加量が多
いと、磁性層の可塑化が大きくなり耐久性が弱くなり、
あるいはオーバーコートまでの製造工程でウェブハンド
リングの時にパスロール等を汚したりする問題がある。
脂肪酸及び脂肪酸エステル等の潤滑剤を磁性塗液に添
加しないで磁性層表面に塗布する方法では、磁性テープ
製造後の経時保存により走行性及び耐久性が悪化する。
これは磁性層内部が潤滑剤で飽和しておらず、磁性層表
面との潤滑剤濃度勾配が生じるため、経時保存により塗
布した潤滑剤が磁性層中に吸収され、磁性層表面におけ
る潤滑剤の存在量が低下するため充分な潤滑機能を発揮
しえないためと推定される。これらを防止するため潤滑
剤を塗設後に熱処理により経時促進させることが特開昭
56-13527号に開示されているが、熱処理により製造工程
が一つ増え製造コストがかかるという問題が生じたり、
熱処理により磁性テープが変形する問題が生じる。特に
高密度記録のビデオテープの場合は、テープ厚が薄く変
形し易いため、ビデオヘッドへのテープのあたりが変動
し出力変動をおこしたりする問題があり好ましくない。
これら従来技術の欠点を解決するため、本発明では磁
性塗液に添加し潤滑剤として用いる脂肪酸および脂肪酸
エステルの内脂肪酸エステルの一部を磁性塗液に添加ぜ
ず、磁性層にオーバーコートすることにより、驚いたこ
とに耐久性の確保に必要な脂肪酸エステルの総量を減じ
ることができた。耐久性向上に特に効果的なのは流体潤
滑的機能であり、これには脂肪酸エステルが有効である
ことから、脂肪酸エステルが磁性層表面上に局在化した
ためと推定される。すなわち、磁性層内部には磁性塗液
に添加して脂肪酸エステルがあるため、磁性層表面に脂
肪酸エステルをオーバーコートしても磁性層内部と磁性
層表面との潤滑剤濃度勾配があまり大きくならず、磁性
テープの経時保存後も、耐久性を発揮するに必要な潤滑
剤の磁性層表面存在量が確保できたものと考えられる。
更に、本発明の製造方法において、オーバーコートす
る脂肪酸エステルが常温で粘度の低い液状の場合は、有
機溶剤を用いずにオーバーコートすることが可能とな
り、有機溶剤を用いる場合の防爆装置が不要となり、製
造装置上・製造コスト上の大きな利点を有する。また、
常温で固体あるいは粘度の高い液状の場合は、加温して
使用することにより、有機溶剤を用いないでもオーバー
コート可能となり、防爆装置類が不要となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において用いる脂肪酸は炭素数の総和が12〜26
のもの、特に14〜20のものが走行性および耐久性向上に
効果的で好ましい。これらの好ましい具体例としてはラ
ウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン
酸、イソステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、テトラ
コサン酸、ヘキサコサン酸、オレイン酸、リノール酸、
リノレン酸、エイコ酸、エライジン酸、エルカ酸などの
脂肪酸類であり、特に好ましくはミリスチン酸、パルミ
チン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘン酸、
オレイン酸、エルカ酸である。
磁性塗液に用いる脂肪酸は、1種でも、2種以上の脂
肪酸を混合したものでもよい。
本発明において用いる脂肪酸エステルは炭素数の総和
が16〜36のもの、特に18〜26のものが走行性および耐久
性向上に効果的で好ましい。これらの好ましい具体例と
しては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ス
テアリン酸、イソステアリン酸、アラキン酸、オレイン
酸、エイコ酸、エライジン酸、エルカ酸などの脂肪酸の
メチル、エチル、プロピル、ブチル、sec−ブチル、ア
ミル、iso−アミル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、
ヘプチル、オクチル、iso−オクチル、デシル、iso−デ
シル、iso−トリデシル、iso−セチル、オレイル、iso
−ステアリル等の直鎖、分岐アルキルのエステル類であ
り、あるいはメトキシエチル、エトキシエチル、プロポ
キシエチル、ブトキシエチル、ブトキシエトキシエチ
ル、ブトキシエトキシエトキシエチル等のアルコキシエ
ステル類であり、特に好ましくはミリスチン酸ブチル、
ミリスチン酸オクチル、パルミチン酸プロピル、ステア
リン酸ブチル、イソステアリン酸オクチル、オレイン酸
オレイルなどである。
磁性塗液に用いる脂肪酸エステルおよびオーバーコー
トされる脂肪酸エステルは、同一でも異なっていてもよ
く、各々、2種以上の脂肪酸エステルを混合したもので
あってもよい。
特に、オーバーコートに用いる脂肪酸エステルとして
は、融点が30℃以下であることが好ましい。このような
脂肪酸エステルとしては総炭素数が36以下の脂肪酸エス
テルが挙げられる。これら脂肪酸エステルは有機溶剤を
用いずに直接オーバーコートしても、粘度が低いため薄
く均一にオーバーコートすることが可能となる。
本発明において、磁性塗液に用いる脂肪酸の使用量は
強磁性粉末100重量部に対し0.1〜3重量部が好ましく、
より好ましくは0.3〜2重量部である。また、磁性塗液
に用いる脂肪酸エステルの使用量は強磁性粉末100重量
部に対し0.1〜2重量部が好ましく、より好ましくは0.3
〜1.5重量部である。
本発明の磁性塗液において、潤滑剤構成成分である脂
肪酸と脂肪酸エステルとの比は、脂肪酸1重量部に対
し、0.5〜10重量部、好ましくは1〜5重量部の脂肪酸
エステルを用いる。
本発明において、オーバーコートされる脂肪酸エステ
ルの塗布量は5〜300mg/m2が好ましく、より好ましくは
5〜50mg/m2である。
なお、磁性塗液に用いる潤滑剤は、磁性層に用いる潤
滑剤総量の10〜80重量%であり、好ましくは30〜70重量
%である。
上記本発明の磁気記録媒体は、以下の〜をを満足
させることによって製造することができる。
磁性層に含有させる強磁性粉末が、BET法による比表
面積が35m2/g以上であり結晶子サイズが300Å以下であ
ること、好ましくは比表面積が45m2/g以上であること、
更に好ましくは強磁性合金粉末でありBET法による比表
面積が55m2/g以上である。100m2/g以上になるとσ
低下するため実用的には55〜100m2/gの範囲がよい。
磁性層における強磁性粉末と結合剤との含有割合が、
強磁性粉末100重量部に対し結合剤10〜30重量部、好ま
しくは18〜30重量部であり、かつその他の添加剤の含有
量が結合剤の含有量よりも少ない。
磁気記録媒体の製造時に、磁性層はカレンダー処理さ
れている。好ましくは、少なくとも1対の剛性ロール
(例えば、中心表面粗さ(Ra)が約20nm以下であるメタ
ルロール)でカレンダー処理されている。
上記カレンダー処理前の磁性層のガラス転移温度T
g(E″のピーク温度)が、カレンダー処理温度よりも3
0℃以上、好ましくは50℃以上低い値である。
本発明の磁気記録媒体の製造方法において、脂肪酸エ
ステルをオーバーコートする方法としては、磁性塗料を
非磁性支持体上に塗設・乾燥した後に、 (1)前記脂肪酸エステルを液状で(所望により加温さ
せながら)、有機溶剤を用いずに直接塗布・乾燥させる
方法 (2)脂肪酸エステルを有機溶剤に溶解させた潤滑剤溶
液を塗布・乾燥させる方法 (3)脂肪酸エステルもしくはその有機溶剤溶液を噴霧
する方法 (4)脂肪酸エステル蒸気の中を該磁性層を担持した支
持体を通過させる方法 (5)脂肪酸エステルを固体状で擦りつける方法などが
挙げられる。
上記製造方法のうち好ましい方法は(1)及び(2)
であり、特に好ましくは(1)である。
(1)及び(2)の方法において、塗布方式としては
ディップコート、グラビアコート、エクストルージョン
コート、コイルバーによるコーティング、カーテンコー
ト、スライドコート、潤滑剤溶液を含浸させた繊維等を
タッチさせるコーティング方式などを用いることができ
る。
潤滑剤のオーバーコート処理とカレンダー処理の順序
は特に限定されるものではないが、カレンダー処理を施
した後に潤滑剤をオーバーコートすることが好ましい。
これは、例えば、カレンダー処理とオーバーコート処理
とを直結し、カレンダー処理直後に巻きとらずにオーバ
ーコート処理することが可能となるからである。
オーバーコートするときに用いることのできる有機溶
剤は、潤滑剤に対する溶解性があり、一方塗設した磁性
層を溶解しにくいものあるいは磁性層に損傷を与えない
もので、しかも沸点が120℃以下のものが好ましい。具
体的な有機溶剤を例示するとアセトン、メチルエチルケ
トン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、酢酸メ
チル、酢酸エチルなどのエステル類、メタノール、エタ
ノール、プロパノールなどのアルコール類、ペンタン、
ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル、リグロイン、ベン
ゼン、トルエン、キシレンなどの炭化水素類、エチルエ
ーテル、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテ
ル類などが使用可能である。これらの内好ましいものは
アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノー
ルなどの沸点が80℃以下のものである。必要によっては
これらの混合溶剤を用いてもよい。
本発明に於ける非磁性支持体としては特に制限はな
く、通常使用されているものを用いることができる。非
磁性支持体を形成する素材の例としては、ポリエチレン
テレフタレート、ポリプロピレン、ポリカーボネート、
ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリアミドイ
ミド、ポリイミドなどの各種の合成樹脂フィルム、およ
びアルミ箔、ステンレス箔などの金属箔を挙げることが
できる。また、非磁性支持体の厚さにも特に制限はない
が、一般には2.5〜100μm、好ましくは3〜80μmであ
る。また、該支持体の表面粗さ(Ra:光干渉式表面粗
さ)は、0.05μm以下、好ましくは0.02μm以下、更に
好ましくは0.015〜0.004μmであり、特に0.02μm以下
の表面平滑性の優れた支持体を使用した場合に優れた効
果を奏することができる。
本発明における強磁性微粉末としては、従来公知の強
磁性微粉末、例えば、γ−酸化鉄系強磁性粉末、Co含有
γ−酸化鉄系強磁性粉末、強磁性二酸化クロム微粉末、
強磁性金属又は合金微粉末、窒化鉄系強磁性粉末、バリ
ウムフェライト、ストロンチウムフェライト等の六方晶
フェライト系の強磁性粉末等を用いることができる。こ
のような強磁性微粉末は、それ自体公知の方法によって
製造することができる。本発明においては、BET法によ
る比表面積が35m2/g以上、好ましくは45m2/g以上であ
り、結晶子サイズが300Å以下、好ましくは250Å以下で
あるような強磁性粉末を使用することが好ましい。
強磁性粉末の形状には特に制限はないが、通常は針
状、粒状、サイコロ状、米粒状、板状のものなどを使用
することができる。
本発明における磁性層の結合剤としては、従来磁気金
属媒体用の結合剤として使用されている公知の熱可塑性
樹脂、熱硬化性樹脂、放射線硬化性樹脂、反応型樹脂、
及びこれらの混合物の何れであってもよい。より好まし
くは、上記結合剤中に放射線照射により架橋または重合
可能な物質が含有されていることである。
上記熱可塑性樹脂としては、アクリル酸エステルアク
リロニトリル共重合体、アクリル酸エステル塩化ビニリ
デン共重合体、アクリル酸エステルスチレン共重合体、
メタアクリル酸エステルアクリロニトリル共重合体、メ
タアクリル酸エステル塩化ビニリデン共重合体、メタア
クリル酸エステルスチレン共重合体、塩化ビニル系共重
合体(詳細は後記)、ポリウレタン樹脂(詳細は後
記)、ウレタンエラストマー、ナイロン−シリコン系樹
脂、ニトロセルロース−ポリアミド樹脂、ポリフッ化ビ
ニル、塩化ビニリデンアクリロニトリル共重合体、ブタ
ジエンアクリロニトリル共重合体、ポリアミド樹脂、ポ
リビニルブチラール、セルロース誘導体(セルロースア
セテートブチレート、セルロースダイアセテート、セル
ローストリアセテート、セルロースプロピオネート、ニ
トロセルロース等)、スチレンブタジエン共重合体、ポ
リエステル樹脂、クロロビニルエーテルアクリル酸エス
テル共重合体、アミノ樹脂、各種の合成ゴム系の熱可塑
性樹脂等が挙げられる。
また、上記熱硬化性樹脂又は反応型樹脂としては、塗
布液の状態では20万以下の分子量であり、塗布、乾燥後
に加熱することにより、分子量が極めて大きくなるもの
であり、例えば、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、エ
ポキシ樹脂、ポリウレタン硬化型樹脂、尿素樹脂、メラ
ミン樹脂、アルキッド樹脂、シリコン樹脂、アクリル系
反応樹脂、エポキシ−ポリアミド樹脂、ニトロセルロー
スメラミン樹脂、高分子量ポリエステル樹脂とイソシア
ネートプレポリマーの混合物、メタクリル酸塩共重合体
とジイソシアネートプレポリマーの混合物、ポリエステ
ルポリオールとポリイソシアネートとの混合物、尿素ホ
ルムアルデヒド樹脂、低分子量グリコール/高分子量ジ
オール/トリフェニルメタントリイソシアネートの混合
物、ポリアミン樹脂及びこれらの混合物等が挙げられ
る。
更に、放射線硬化性樹脂としては、放射線照射により
硬化させることができる炭素炭素不飽和結合を分子中に
少なくとも一個有する樹脂を使用することができる。放
射線硬化性樹脂の例としては、前記塩化ビニル系共重合
体やポリウレタン樹脂に、分子中に炭素炭素不飽和結合
を少なくとも一個有する化合物を、重合時の共重合成分
として使用したり、前記共重合体や樹脂と反応させたり
することによって含有させることにより製造されたもの
を挙げることができる。炭素炭素不飽和結合を少なくと
も一個有する化合物としては、分子中に少なくとも一個
の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物が好まし
く、このような化合物には更にグリシジル基や水酸基が
含まれていてもよい。
更に、前記結合剤に、放射線照射により重合可能な化
合物を添加してもよい。このような化合物としては、
(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリルアミ
ド類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステ
ル類、ビニル異節環化合物、N−ビニル化合物、スチレ
ン類、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸類、イタ
コン酸類、オレフィン酸、等を挙げることができる。こ
れらの中でも特に好ましい化合物は、一分子中に(メ
タ)アクリロイル基を二個以上含有する化合物、例え
ば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ト
リエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメ
チロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエ
リスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ポリイソシ
アネートとポリ(メタ)アクリレートとの反応生成物、
等を挙げることができる。
上記塩化ビニル系共重合体としては、軟化温度が150
℃以下、平均分子量が1万〜30万、程度のものを使用す
ることができる。
好ましい塩化ビニル系共重合体の具体例としては、塩
化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニ
ル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エス
テル共重合体、塩化ビニル−グリシジル(メタ)アクリ
レート共重合体、あるいはこれに−SO3M基、−PO3M
2基、−COOM基等を有する化合物を付与した塩化ビニル
系共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニルアルコー
ル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−マレイン酸−ビ
ニルアルコール共重合体、塩化ビニル−プロピオン酸ビ
ニル−マレイン酸共重合体、塩化ビニル−プロピオン酸
ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸
ビニル−アクリル酸共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル
−アクリル酸−ビニルアルコール共重合体、およびこれ
らの共重合体を酸化したもの等を挙げることができる。
特に、カルボン酸基またはその塩、スルホン酸基また
はその塩、リン酸基またはその塩、アミノ基、水酸基等
の極性基を有する塩化ビニル系共重合体が、磁性体の分
散性向上のために好ましい。
また、上記ポリウレタン樹脂としては、ポリオールと
ジイソシアネートと、更に必要に応じて鎖延長剤とか
ら、それ自体公知のポリウレタンの製造方法によって製
造されたポリウレタン樹脂を使用することができる。
上記ポリオールは、例えば、ポリエーテルジオール、
ポリエステルジオール、ポリカーボネートジオール、ポ
リカプロラクトンジオールのような化合物である。
上記ポリエーテルジオールの代表例としては、ポリエ
チレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリ
アルキレングリコールを挙げることができる。
上記ポリエステルジオールは、例えば、二価のアルコ
ールと二塩基酸との重縮合、ラクトン類、例えば、カプ
ロラクトンの開環重合等によって合成することができ
る。代表的な二価のアルコールとしては、エチレングリ
コール、プロピレングリコール、ブタンジオール、1,6
−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール等の
グリコールを例示することができる。また、代表的な二
塩基酸としては、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン
酸、セバシン酸、フタル酸、テレフタル酸等を例示する
ことができる。
また、ポリカーボネートジオールは、例えば、下記一
般式(A−1) HO-R1‐OH (A−1) 〔式中、R1は、例えば、−(CH2)n−(nは3〜14を示
す)、 で表わされる多価アルコールと、ホスゲン、クロルギ酸
エステル、ジアルキルカーボネートまたはジアリールカ
ーボネートとの縮合又はエステル交換により合成され
る、分子量300〜2万、水酸基価20〜300のポリカーボネ
ートジオール、或いは、該ポリカーボネートジオールと
下記一般式(A−2) HOOC-R2‐COOH (A−2) 〔式中、R2は、炭素原子数3〜6個のアルキレン基、1,
4−、1,3−若しくは1,2−フェニレン基又は1,4−、1,3
−若しくは1,2−シクロヘキシレン基を表わす。〕 で表わされる二価カルボン酸との縮合により得られる、
分子量400〜3万、水酸基価5〜300のポリカーボネート
ポリエステルジオールである。
上記ポリオールに、その他のポリオール(例えば、ポ
リエーテルポリオール、ポリエステルエーテルポリオー
ル)やポリエステルを、上記ポリオールの90重量%まで
配合し併用してもよい。
上記ポリオールと反応させてポリウレタンを形成する
ために用いられるポリイソシアネートとしては、特に制
限はなく通常使用されているものを用いることができ
る。例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレ
ンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,
3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイ
ソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、トル
イジンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネ
ート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェ
ニルメタンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシ
アネート、m−フェニレンニジイソシアネート、1,5−
ナフチレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタン
ジイソシアネート、3,3−ジメチルフェニレンジイソシ
アネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートな
どを挙げることができる。
鎖延長剤としては、例えば、前記の多価アルコール、
脂肪族ポリアミン、脂環式ポリアミン、芳香族ポリアミ
ン等を挙げることができる。
上記ポリウレタンは、例えば、−COOM、SO3M、−OPO3
M、−OM(ここで、Mは、水素原子、ナトリウム、また
はカリウムを示す)等のような極性基を含有していても
よい。
また、上記結合剤には、更に、イソシアネート基を二
個以上有する化合物(ポリイソシアネート)を含有させ
てもよい。このようなポリイソシアネートとしては、例
えば、トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニル
メタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネ
ート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5
−ジイソシアネート、o−トルイジンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタン
トリイソシアネート等のイソシアネート類、これらイソ
シアネート類とポリアルコールとの反応生成物、及び、
これらイソシアネート類の縮合によって生成したポリイ
ソシアネート等を挙げることができる。上記ポリイソシ
アネート類は、例えば、日本ポリウレタン工業(株)か
ら、コロネートL、コロネートHL、コロネートH、コロ
ネートEH、コロネート2030、コロネート2031、コロネー
ト2036、コロネート3015、コロネート3041、コロネート
2014、ミリオネートMR、ミリオネートMTL、ダルトセッ
ク1350、ダルトセック2170、ダルトセック2280、武田薬
品工業(株)から、タケネートD-102、タケネートD-110
N、タケネートD-200、タケネートD-202、住友バイエル
(株)から、スミジュールN75、西独バイエル社から、
デスモジュールL、デスモジュールIL、デスモジュール
N、デスモジュールHL、大日本インキ化学工業(株)か
ら、バーノック−D850、バーノック−D802、などの商品
名で販売されている。
本発明の磁気記録媒体の磁性層における強磁性粉末と
結合剤との配合割合は、強磁性粉末100重量部当たり結
合剤10〜30重量部であることが好ましい。
本発明の磁気記録媒体の製造時に磁性層をカレンダー
処理する際に、カレンダー処理前の磁性層のガラス転移
温度Tg(E″のピーク温度)が、カレンダー処理温度よ
りも30℃以上、好ましくは50℃以上低い値に保持されて
いることが好ましい。一般に、上記Tgは60℃以下、特に
40℃以下であることが好ましい。上記Tgを上記条件に保
持するためには、前記結合剤の種類や使用量を適宜選択
したり、磁性層中に残留する溶剤の量を調節すればよ
い。特に、前記結合剤として、放射線照射により架橋ま
たは重合可能な物質を使用すると、上記Tgの調節を容易
に行なうことができる。
本発明の磁気記録媒体の磁性層には、上記強磁性微粉
末および結合剤の外に、他の各種の添加物、例えば、カ
ーボンブラック、充填材、研磨材、分散剤、帯電防止
剤、潤滑剤等を含有させることができる。このような各
種の添加物の含有量は、結合剤の含有量よりも少ないこ
とが好ましい。
上記カーボンブラックとしては、公知のカーボンブラ
ック、例えば、ファーネスブラック、カラー用ブラッ
ク、アセチレンブラック、等の任意のカーボンブラック
を任意に使用することができる。カーボンブラックの表
面の一部がグラフト化しているものを用いてもよい。平
均粒子サイズが約30〜1000nmのカーボンブラックを使用
することが好ましく、微粒子のカーボンブラックと粗粒
子のカーボンブラックとを併用してもよい。
上記充填材としては特に制限はなく、例えば、平均粒
径が0.01〜0.8μmの範囲、好ましくは0.06〜0.4μmの
範囲の通常使用されている粒状充填材を使用することが
できる。上記の充填材の例としては、二硫化タングステ
ン、炭酸カルシウム、二酸化チタン、酸化マグネシウ
ム、酸化亜鉛、酸化カルシウム、リトポンおよびタルク
などの粒子を挙げることができ、これらを単独であるい
は混合して使用することができる。
本発明における磁性層中に含有させる研磨材として
は、例えば、α−アルミナ、熔融アルミナ、炭化ケイ
素、酸化クロム、酸化セリウム、コランダム、人造ダイ
ヤモンド、α−酸化鉄、ザクロ石、エメリー(主成分:
コランダムと磁鉄鉱)、ガーネット、ケイ石、窒化ケイ
素、窒化ホウ素、炭化モリブデン、炭化ホウ素、炭化タ
ングステン、チタンカーバイド、トリポリ、ケイソウ
土、ドロマイト等が、磁気記録媒体の磁性層の耐久性の
面から代表的なものとして挙げられる。特に、モース硬
度6以上の研磨材を一種乃至四種組み合わせて使用する
ことが好ましい。
研磨剤の平均粒子サイズは0.005〜5μm、特に0.05
〜2μmであることが好ましい。
分散剤としては、炭素数9〜22の脂肪酸(例えば、カ
プリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パ
ルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エライジン
酸、リノール酸、リノレン酸、ステアロール酸)、上記
脂肪酸とアルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウ
ム、カリウム)またはアルカリ土類金属(例えば、マグ
ネシウム、カルシウム、バリウム)とからなる金属石
鹸、上記脂肪酸のエステル及びその化合物の水素原子の
一部あるいは全部をフッ素原子で置換した化合物、上記
脂肪酸のアミド、脂肪族アミン、高級アルコール、ポリ
アルキレンオキサイドアルキルリン酸エステル、アルキ
ルリン酸エステル、アルキルホウ酸エステル、サルコシ
ネート類、アルキルエーテルエステル類、トリアルキル
ポリオレフィンオキシ第四級アンモニウム塩、及びレシ
チン等の公知の分散剤を挙げることができる。分散剤を
使用する場合、通常は使用する結合剤100重量部に対し
て0.05〜20重量部の範囲で使用される。
帯電防止剤としては、カーボンブラックグラフトポリ
マー等の導電性微粉末;サポニン等の天然界面活性剤;
アルキレンオキサイド系、グリセリン系およびグリシド
ール系等のノニオン性界面活性剤;高級アルキルアミン
類、第四級アンモニウム塩類、ピリジンその他の複素環
化合物の塩類、ホスホニウムまたはスルホニウム類、等
のカチオン性界面活性剤;カルボン酸、スルホン酸、燐
酸、硫酸エステル基、燐酸エステル基などの酸性基を含
むアニオン性界面活性剤;アミノ酸類、アミノスルホン
酸類、アミノアルコールの硫酸または燐酸エステル類な
どの両性界面活性剤などを挙げることができる。帯電防
止剤として上記の導電性微粉末を使用する場合には、た
とえば結合剤100重量部に対して0.2〜20重量部の範囲で
使用され、界面活性剤を使用する場合には0.1〜10重量
部の範囲で使用される。
潤滑剤としては、前記した潤滑剤として本発明に使用
される脂肪酸および脂肪酸エステルの他に、高級アルコ
ール類、鉱物油、動植物油、オレフィン低重合体、α−
オレフィン低重合体等や、シリコンオイル、グラファイ
ト微粉末、二硫化モリブデン微粉末、テフロン微粉末な
どの公知の潤滑剤およびプラスチック用潤滑剤を挙げる
ことができる。
混練の際に使用する溶剤に特に制限はなく、通常、磁
性塗料の調製に使用されている溶剤を使用することがで
きる。
混練の方法にも特に制限はなく、また各成分の添加順
序などは適宜設定することができる。
磁性塗料の調製には通常の混練機、例えば、二本ロー
ルミル、三本ロールミル、ボールミル、ペブルミル、ト
ロンミル、サンドグラインダー、ツェグバリ(Szegvar
i)アトライター、高速インペラー分散機、高速ストー
ンミル、高速度衝撃ミル、ディスパー、ニーダー、高速
ミキサー、ホモジナイザーおよび超音波分散機などを挙
げることができる。
尚、上述した分散剤、帯電防止剤、潤滑剤などの添加
剤は、厳密に上述した作用効果のみを有するものである
との限定の下に記載したものではなく、例えば、分散剤
が潤滑剤あるいは帯電防止剤として作用することもあり
得る。従って、上記分類により例示した化合物などの作
用効果が、上記分類に記載された事項に限定されるもの
ではないことは勿論であり、複数の作用効果を奏する物
質を使用する場合には、添加量は、その物質の作用効果
を考慮して決定することが好ましい。
その他、清浄分散剤、粘度指数向上剤、流動点降下
剤、泡どめ剤などを添加することもできる。
このようにして調製された磁性塗料の粘度は、通常60
〜200psの範囲内にある。
磁性塗料の塗布は、前記非磁性支持体上に直接行なう
ことも可能であるが、また、接着剤層などを介して、ま
たは、非磁性支持体上に物理的処理(例えば、コロナ放
電処理、電子線照射処理)を施した後、非磁性支持体上
に塗布することもできる。
非磁性支持体上への塗布法の例としては、エアードク
ターコート、ブレードコート、ロッドコート、押出しコ
ート、エアナイフコート、スクイズコート、含浸コー
ト、リバースロールコート、トランスファーロールコー
ト、グラビヤコート、キスコート、キャストコート、ス
プレイコートおよびスピンコート等の方法を挙げること
ができ、これらの方法以外であっても利用することがで
きる。同時重層塗布(wet on wet法)でもよい。
塗布厚さは、最終的に得られる磁気記録媒体の磁性層
の厚さが2〜10μmの範囲内の厚さとなるようにするこ
とが好ましい。
一般にこのように塗布された塗布層が未乾燥の状態で
磁場配向処理を行ない、磁性層に含有される強磁性微粉
末を配向させる。磁場配向処理は、通常の方法に従って
行なうことができる。
次に、塗布層を乾燥工程に付して乾燥して磁性層とす
る。乾燥工程は、通常50〜120℃にて塗布層を加熱する
ことにより行なう。加熱時間は一般には10秒間〜5分間
である。
乾燥した後、通常は、磁性層に表面平滑化処理を施
す。
表面平滑化処理は、カレンダー処理によって行なう。
このカレンダー処理は、少なくとも一対(二段)の、好
ましくは三段以上の剛性ロールを使用して加熱・加圧す
る工程を含むものであることが好ましい。上記剛性ロー
ルとしては、例えば、中心表面粗さ(Ra:カットオフ
値、0.25mm)が約20nm以下、より好ましくは約10nm以下
であるメタルロールが好ましい。剛性ロールの例として
は、各種の鋼製のロールの表面にハードクロムメッキや
セラミックコーティングを施したもの、ロール表面が超
硬合金製のロール等を挙げることができる。少なくとも
一対の剛性ロールを使用する工程の前および/または後
に、通常のカレンダー処理で使用される剛性ロールと弾
性ロールとの組合せロールを使用する工程を設けてもよ
い。
上記のカレンダー処理は、50〜110℃の範囲の温度
で、50〜1000kg/cmの範囲の線圧(好ましくは100〜400k
g/cm、より好ましくは200〜350kg/cm)で行うことが好
ましい。カレンダー処理条件が上記範囲外であると、本
発明の磁気記録媒体を製造することができない。上記処
理条件が、上記範囲よりも低いと、電磁変換特性及び走
行特性の優れた磁気記録媒体を製造することができず、
また、上記範囲よりも高いと、磁気記録媒体が変形した
り、剛性ロールが破損したりする。
上記のようにして表面平滑化処理した後、適宜放射線
照射処理または熱処理を施し、所望の形状に裁断して磁
気記録媒体とする。
上記放射線処理において照射される放射線としては、
電子線、γ線、β線、紫外線などを使用できるが、好ま
しくは電子線である。電子線照射は電子線加速器を用い
て行われる。この電子線照射によって、非磁性支持体上
に塗布した磁性塗料のの結合剤成分が重合反応を起こし
硬化する。
照射する電子線は、一般に100〜500kV、好ましくは15
0〜300kVの加速電圧のものが使用される。また、吸収線
量は、一般に1.0〜20メガラッド、好ましくは2〜10メ
ガラッドである。加速電圧が100kVに満たない場合に
は、エネルギーが不足し磁性層の硬化反応が完全に進行
しないことがあり、一方、500kVを超えると付与するエ
ネルギーが重合反応に使われるエネルギーよりも過剰に
なり、磁性層および非磁性支持体に悪影響を及ぼすこと
がある。
また、吸収線量が1.0メガラッドに満たない場合に
は、硬化反応の進行が不充分で磁性層の強度が充分とな
らないことがあり、一方、20メガラッドを超えるとエネ
ルギー効率が低下して不経済であるばかりではなく、被
照射体が発熱することもあり、発熱により非磁性支持体
が変形することもある。
本発明は上記放射線(電子線)照射工程により、磁性
層の硬化工程を、通常の加熱硬化処理に比べて大幅に短
縮することもできる。さらに、製造時の溶剤の使用量を
大幅に低減することができ、そして製造後直ぐに品質が
安定するため製品の出荷が直ぐに可能である等の利点を
有する。
本発明では放射線を上記のように磁性塗料を塗布し、
カレンダー処理を施した後に照射することが好ましい
が、照射した後カレンダー処理することも可能である。
あるいは更にもう一度放射線照射することも可能であ
る。
非磁性支持体の磁性層が設けられていない側の表面に
は、それ自体公知のバック層が設けられていてもよい。
バック層は、例えば、カーボンブラックと、モース硬度
5以上の無機充填剤粒子が分散された結合剤からなり厚
さ0.6μm以下の薄膜層である。
(発明の効果) 本発明は、磁性塗液に脂肪酸及び脂肪酸エステルを含
有し、磁性層を形成後、磁性層上に脂肪酸エステルをオ
ーバーコートするために、磁性層表面に存在する脂肪酸
エステル量をコントロールすることができ、且つ磁性層
表面に脂肪酸が適度に滲み出ることにより、高温高湿等
の酷しい環境条件に保存しても摩擦係数(μ値)の増加
が防止され、また繰り返し使用してもオーディオヘッド
の目詰まりが防止され、走行耐久性が極めて優れ、且つ
電磁変換特性の極めて優れた磁気記録媒体が得られた。
(実施例) 次に、本発明の実施例および比較例を示す。
各例において、「部」は「重量部」を示す。
〔実施例1〕 強磁性合金粉末 (組成:Fe94%、Zn4%、Ni2%、Hc 1500 Oe、結晶子サ
イズ200Å) 100部 をオープンニーダーで10分間粉砕した。次いで、 塩化ビニル/酢酸ビニル/グリシジルメタアクリレート
(86/9/5重量比)共重合体にヒドロキシエチルスルフォ
ネートナトリウム塩を付加した化合物(SO3Na基含有量
=6×10-5eq/g、エポキシ基含有量=10-3eq/g、平均分
子量=30,000) 10部 メチルエチルケトン 60部 を加え60分間混練した。次いで、 SO3Na基含有ウレタン樹脂 (東洋紡製UR8200) (固形分)10部 研磨剤(Al2O3粒子サイズ0.3μm) 2部 カーボンブラック(粒子サイズ40nm) 2部 メチルエチルケトン 100部 トルエン 100部 を加えてサンドミルで120分間分散した。これに、 ポリイソシアネート(日本ポリウレタン製コロネート30
41) (固形分)5部 潤滑剤A (表−1参照) メチルエチルケトン 50部 を加え、さらに20分間攪拌混合した後、1μmの平均孔
径を有するフィルターを用いてろ過し、磁性塗料を調製
した。
得られた磁性塗料を乾燥後の厚さが3.0μmになるよ
うに、厚さ10μmのポリエチレンテレフタレート支持体
の表面にリバースロールを用いて塗布した。
磁性塗料が塗布された非磁性支持体を、磁性塗料が未
乾燥の状態で3000ガウスの磁石で磁場配向を行ない、さ
らに乾燥後、金属ロール−金属ロール−金属ロール−弾
性ロール−金属ロール−弾性ロール−金属ロールの組合
せによるカレンダー処理を、速度100m/min、線圧300kg/
cm、温度90℃で行なった後、1/2インチ幅にスリットし
た。
こうしてできたビデオテープの磁性層面に、 潤滑剤B (表−1参照) メチルエチルケトン 50部 の溶液を、潤滑剤Bの乾燥後の塗布量が30mg/m2になる
ようにグラビアコートして1/2インチのビデオテープサ
ンプルを作成した。
〔実施例2〜3、比較例1〜4〕 実施例1において、磁性塗料に用いた潤滑剤A、およ
びオーバーコート液に用いた潤滑剤Bを、表−1に示す
ように変えた以外は実施例1と同様に操作して、1/2イ
ンチのビデオテープサンプルを作成した。
〔実施例4〕 実施例1において、オーバーコート液を有機溶剤メチ
ルエチルケトンなしで潤滑剤Bを直接オーバーコートす
るように変えた以外は実施例1と同様に操作して、1/2
インチのビデオテープサンプルを作成した。
上記のようにして作成した1/2インチビデオテープサ
ンプルについて、以下の性能評価を実施した。
(1)電磁変換特性: 上記ビデオテープにβカム方式VTR(Sony(株)製:BV
W60)を用いて7MHzの信号を記録し、再生した。基準テ
ープ(比較例1)に記録した7MHzの再生出力を0dBとし
たときのビデオテープの相対的な再生出力を測定した。
(2)走行性: 得られたビデオテープの磁性面とステンレスポールと
を50gの張力(T1)、巻きつけ角180°で接触させ、この
条件下で、ビデオテープを3.3cm/secの速度で走行させ
るのに必要な張力(T2)を測定した。この測定値をもと
に、下記計算式によりビデオテープの摩擦係数μをもと
めた。
μ=1/π・ln(T2/T1) 尚、摩擦係数の測定は、25℃、70%RHの条件で行なっ
た。
(3)耐久性: スチル耐久性: 上記のVTRを用いてスチル状態でテストし、再生出力
が記録信号の50%になるまでの時間を測定した(これを
スチル耐久時間とする)。このときUnloarding機能は解
除した。
早送り巻戻し汚れ: 上記のVTRを用いて早送り巻戻しを100回連続して行
い、ガイドポールの汚れを目視により観察し、以下の評
価基準により評価した。
○ 汚れがみられなかった。
△ 汚れが少しついていた。
× 汚れが多かった。
(4)繰り返し走行性: 90分長のビデオテープを200回連続繰り返し走行さ
せ、オーディオ出力を連続して記録し、オーディオヘッ
ドの目詰まりの発生度合を調べた。
(5)保存性: 50℃、80%RHに1週間保存したビデオテープの摩擦係
数(μ値)とスチル耐久性を測定し、保存性を評価し
た。
得られた結果を表−1に示した。
表−1の結果より明らかな如く、本発明の磁気記録媒
体は、再生出力の高い優れた電磁変換特性と、摩擦係数
(μ値)の低い優れた走行性、および長時間のスチル耐
久性と共に早送り巻き戻しによっても汚れが認められな
いという優れた耐久性を示した。また、繰り返し走行に
よってもオーディオヘッドの目詰まりが発生せず、更に
は、高温高湿等の酷しい環境条件に保存しても摩擦係数
の増加やスチル耐久性の劣化が認められないという優れ
た保存性を示した。
一方、比較例の磁気記録媒体において、脂肪酸と脂肪
酸エステルを磁性塗料に用い、オーバーコートしなかっ
たり(比較例1)、また、逆に、脂肪酸と脂肪酸エステ
ルをオーバーコート液に用い、磁性塗料には潤滑剤を用
いないと(比較例2)、本発明の磁気記録媒体に比べ、
その性能はいずれも劣っていた。
更に、脂肪酸を磁性塗料には用いずに、オーバーコー
ト液に用いたり(比較例3)、また、脂肪酸エステルを
オーバーコート液には用いずに、磁性塗料に用いたり
(比較例4)した場合も、本発明の磁気記録媒体に比
べ、その性能はいずれも劣っていた。
以上より、本発明の磁気記録媒体だけが、優れた電磁
変換特性、走行性および耐久性を満足することがわか
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI G11B 5/71 G11B 5/71 5/72 5/72 5/84 5/84 A B // C10N 40:18 50:08

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非磁性支持体上に強磁性粉末と結合剤とを
    主体として含有する磁性層を有する磁気記録媒体におい
    て、前記磁性層が、塗布前の磁性塗液に含まれる脂肪酸
    および脂肪酸エステルを含有し、且つ非磁性支持体上に
    磁性塗膜を形成した後に磁性層上にオーバーコートした
    脂肪酸エステルを有し、かつ前記磁気記録媒体は少なく
    とも金属ロールと金属ロールの組み合わせを含むカレン
    ダーロールで処理して得られた磁気テープ表面を有する
    ことを特徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】非磁性支持体上に磁性層を塗設する磁気記
    録媒体の製造方法において、主として、強磁性粉末、結
    合剤、脂肪酸および脂肪酸エステルを混合分散してなる
    磁性塗液を非磁性支持体上に塗布し、乾燥させた後に、
    少なくとも金属ロールと金属ロールの組み合わせを含む
    カレンダーロールで処理をして、得られた塗膜上に脂肪
    酸エステルをオーバーコートすることを特徴とする磁気
    記録媒体の製造方法。
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