JPS6128859B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明はラツクピニオン式がかじ取り装置用
ラツクのプレス成形金型に関し、特にラツク部両
端に形成されたラツク歯形の歯みぞ形状に係る。

一般に等歯車比を有するラツクピニオン式かじ
取り装置のラツクの場合にはすべてのラツク歯形
形状が一様であるためフライス盤などによつてラ
ツク歯形を容易に歯切り加工で形成することが可
能である。

しかし、可変歯車比を有するラツクピニオン式
かじ取り装置のラツクの場合にはラツク歯形形状
が各歯形毎に変化して一様でないため公知の切削
加工によつてラツク歯形を形成することが不可能
であつた。

第１図ないし第３図は可変歯車比を有するラツ
クピニオン式かじ取り装置におけるヘリカルピニ
オン（図示していない）に噛み合う従来のラツク
の一例を示したものである。ラツク１は円筒状の
ラツク棒２にラツク部３が設けられており、ラツ
ク部３には複数のラツク歯形４が形成されてい
る。このようなラツク１を製造するには、先ず、
ラツク棒２の素材の外面部にラツク歯形４の歯先
面５に相当する平面をラツク棒２の軸線６の平行
になうようにラツク部３に形成する。次に完成ラ
ツク歯形４に近以し、歯切り加工の可能な近以ラ
ツク歯形をラツク部３に切削加工で形成する。次
に完成ラツク歯形４の転写形状を有するラツク成
形金型（図示してない）によつて切削加工された
近以ラツク歯形の歯面をプレス成形することによ
つて所望のラツク１が得られた。しかし、ラツク
歯形４をプレス成形する従来の方法においては、
ラツク部３におけるラツク棒の軸線６方向の両端
部に形成された端部歯みぞ７に対応するラツク成
形金型の歯部が端部歯みぞ７面の成形荷重の反力
及びラツク棒２が軸方向に伸びることによつて生
ずる材料のフローストレスの影響を受けて折損又
は破損することがあつて、ラツク成形金型の寿命
が非常に短く、ラツク成形金型が高価であるため
ラツクの製造コストが低減できないなどの欠点が
あつた。

この発明は上記の欠点を解決するためのもの
で、ラツク棒に設けられたラツク部におけるラツ
ク棒軸方向の両端部に形成された端部歯みぞ形状
について、歯先部歯みぞ幅寸法が少なくともラツ
ク部に形成された他のラツク歯形の歯先部歯みぞ
幅寸法以上で、かつ端部歯みぞの外側傾斜端面と
ラツク棒の軸線に直交する面とのなす傾斜角が少
なくとも他のラック歯形の圧力角以上に形成した
ラツク歯形の転写形状を有するプレス成形金型で
プレス成形することによつて、安定した高精度の
品質で、ラツク成形金型の寿命が向上し、製造コ
ストの低減ができ、しかし量産の可能なラツクピ
ニオン式かじ取り装置のラツクを得ることを目的
とする。

この発明の実施例について図面にもとずきその
一例を以下に説明する。

第４図および第５図において、ラツク１１は円
筒状のラツク棒１２にラツク部１３が設けられて
おり、ラツク部１３には複数のラツク歯形１４が
形成されている。ラツク歯形１４は図示していな
いヘリカルピニオンに噛み合うもので、ラツク歯
形１４の歯先面１５はラツク棒１２の軸線１６に
平行な面で形成されている。１７はラツク部１３
におけるラツク棒１２軸方向の両端部に形成され
た端部歯みぞであつて、端部歯みぞ１７は外側傾
斜端面１８、端部歯底面１９および端部歯面２０
で形成されている。端部歯みぞ１７の歯先部歯み
ぞ幅寸法Ａはラツク部１３に形成された他のラツ
ク歯形１４の歯先部歯みぞ幅寸法Ｂに少なくとも
等しいか又は歯先部歯みぞ幅寸法Ｂよりも大き
く、端部歯みぞ１７の外側傾斜端面１８とラツク
棒の軸線１６に直交する面とのなす傾斜角θはラ
ツク部１３に形成された他のラツク歯形１４の圧
力角αに少なくとも等しいか又は圧力角αよりも
大きくなるように形成されている。端部歯みぞの
外側傾斜端面１８は端部歯底面１９と交わる線と
ラツク棒１２の外面と交わる円弧状曲線とからな
る半円状の平面で端部歯面２０より大きな面積に
なるよう形成されている。

以上説明したラツク１１を製造する方法は従来
のように先ずラツク歯形１４および端部歯みぞ１
７を完成形状に近以した形状に切削加工を行つた
後、ラツク歯形１４および端部歯みぞ１７の転写
形状の歯部を有するラツク成形金型で切削加工さ
れた近以ラツク歯形の歯面および近以端部歯みぞ
面をプレス成形することによつてラツク１１が得
られる。ラツク部両端の端部歯みぞ１７に対する
ラツク成形金型の歯部はプレス成形時に、端部歯
みぞの端部歯面２０におけるラツク歯形成形荷重
の反力とラツク棒１２が中央部から外側へ軸方向
に伸びることによつて生ずる材料フローストレス
が加わるが、またラツク成形金型の歯部を従来よ
り大きな平面部分が形成された端部歯みぞの外側
傾斜端面１８に当接させることによつて端部歯み
ぞの端部歯面２０におけるラツク成形荷重の反力
の軸線１６方向成分および材料フローストレスに
対し反対対向きの反力の軸線１６方向成分を外側
傾斜面１８に対応するラツク成形金型の歯部面に
従来より大きく作用させることが可能になつた。
また、端部歯みぞ１７の歯先部歯みぞ幅寸法Ａを
許容可能な範囲で大きくすることによつて、端部
歯みぞ１７に対応するラツク成形金型の歯部が横
方向（ラツク棒の軸線６の方向）の負荷に対して
強化させることになる。

この発明のラツクピニオン式かじ取り装置用ラ
ツクのプレス成形金型は以上説明した如く、ラツ
ク歯形がラツク棒に塑性加工で成形されるラツク
ピニオン式かじ取り装置用ラツクのプレス成形金
型において、ラツク棒にラツク部が設けられ、こ
のラツク部におけるラツク棒軸方向の両端部に形
成された端部歯みぞの形状は歯先部歯みぞ幅寸法
Ａが少なくともラツク部に形成された他のラツク
歯形の歯先部みぞ幅寸法以上で、かつ、端部歯み
ぞの外側傾斜端面とラツク棒の軸線に直交する面
となす傾斜角θが少なくともラツク部に形成され
た他のラツク歯形の圧力角以上に形成した歯形の
転写形状を有するプレス成形金型でプレス成形す
ることによつて、端部歯みぞに対応するラツク成
形金型の歯部も折損又は破損が改善され、ラツク
成形金型の寿命が著しく向上し、更に安定した高
精度の品質のラツクピニオン式かじ取り装置のラ
ツクが量産可能となり、製造コストが低減できる
と云う効果があつた。また、ラツク成形金型を端
部歯みぞの外側傾斜端面に当接させてプレス成形
することによつて、ラツク棒の両端部に発生する
そり変形を従来より減少させると云う効果もあつ
た。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図は従来のラツクピニオン式
かじ取り装置のラツクを示すもので、第１図は要
部の平面図、第２図は第１図のＸ―Ｘ線における
部分断面図、第３図は第２図におけるＹ―Ｙ線に
おける断面図、第４図および第５図はこの発明用
ラツクのプレス成形金型の実施例としてプレス成
形加工されたラツクによつて示したもので、第４
図は要部の平面図、第５図は第４図のＺ―Ｚ線に
おける部分断面図である。 １１……ラツク、１２……ラツク棒、１３……
ラツク部、１４……ラツク歯形、１５……歯先
面、１７……端部歯みぞ、１８……外側傾斜端
面、Ａ……端部歯みぞの歯先部歯みぞ幅寸法、θ
……傾斜角、α……圧力角。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ ラツク歯形がラツク棒の塑性加工で成形され
   るラツクピニオン式かじ取り装置用ラツクのプレ
   ス成形金型において、前記ラツク棒にラツク部が
   設けられ、このラツク部における前記ラツク棒軸
   方向の両端部に形成された端部歯みぞの形状は歯
   先部歯みぞ幅寸法Ａが小なくとも前記ラツク部に
   形成された他のラツク歯形の歯先部歯みぞ幅寸法
   以上で、かつ、前記端部歯みぞの外側傾斜端面と
   前記ラツク棒の軸線に直交する面となす傾斜角θ
   が少なくとも前記ラツク部に形成された他の前記
   ラツク歯形の圧力角以上である形状を有するラツ
   ク歯形の転写形状を備えたことを特徴とするラツ
   クピニオン式かじ取り装置用ラツクのプレス成形
   金型。