JP3546682B2 - ギヤ製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、歯が軸に対し斜めになっているヘリカルギヤの製造方法及び製造装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば、ステアリングに用いられるヘリカルピニオンギヤは、入力軸に連結される側はギヤが設けられていない大径の軸部であり、ラックに噛合するヘリカルギヤ部は前記軸部よりも小径である。このようなヘリカルギヤは機械加工で製造されていたが、機械加工では工程数が多く加工に時間がかかり、高価な専用機を必要とするため、近年では押し出し製造が行われれている。この押し出し製造は、図9及び図10で示すように、歯形を成形する多数の歯形溝2が内周面にヘリカルに形成され、この歯形溝2の上方に歯形溝2に向かって傾斜したテーパ面3を備えているダイス1に、円柱状の歯車素材Wを押し込んで前記歯車素材Wの外周面にヘリカルギヤを製造するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の製造は、歯車素材Wがテーパ面3に倣って絞られ、歯形溝2に押し込まれるが、前記テーパ面3による絞り作用は歯形溝2に対する絞りとなっているため、歯車素材Wは歯形溝2の両側面に不均一な流動となり、これにより、図11で示すように、歯車素材Wは歯形溝2の両側の下側面2aには当接するが、上面2bには当接し難い。その結果、図12で示すように、歯Gの一方の歯面G1の形状は歯形溝2の形状通りに精密な転写によって成形されるが、他方の歯面G2の形状はヒケが発生して歯形溝2の形状通りに精密な転写が得られず、製品精度を低下している。
【0004】
このような問題を解消するために、各歯形溝の上端面の下方側の歯面の一部を三角形状に切り欠いた切り下げ部を形成して歯形溝の両側面へ歯車素材を均等に流動させるようにした技術が特開平7−308729号で提供されているが、このものでは、三角形状に切り欠いた切り下げ部を多数の各歯形溝の上端面に加工する必要があり、加工が甚だ面倒な問題がある。
【0005】
本発明の目的は、簡単な加工によるダイスによって歯形溝の歯形を歯車素材に精密に転写して歯面にヒケのない精度良好な歯を成形するようにしたギヤ製造方法及び製造装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための本発明の製造方法は、歯形を成形する多数の歯形溝が内周面にヘリカルに形成されているダイスに、円柱状の歯車素材を押し込んで前記歯車素材の外周面にヘリカルギヤを製造する方法において、前記歯車素材を歯形溝の上方から歯形溝に向かって押し込む際その歯形溝の直前において歯形溝の両側面に流動するよう急角度のテーパ面と、この急角度のテーパ面と連続し、かつ前記歯形溝に連続する緩角度のテーパ面とで絞り制御し、前記歯車素材を前記歯形溝の両側面間に充満して流動させるようにしたことを特徴とするものである。
【0007】
また、上記の目的を達成するための本発明の製造装置は、歯形を成形する多数の歯形溝が内周面にヘリカルに形成されているダイスに、円柱状の歯車素材を押し込んで前記歯車素材の外周面にヘリカルギヤを製造する装置において、前記ダイスに前記歯形溝の上方から歯形溝に向かって押し込む際その歯形溝の直前において急角度のテーパ面と、この急角度のテーパ面と連続し、かつ前記歯形溝に連続する緩角度のテーパ面を設け、この急角度のテーパ面と緩角度のテーパ面によって歯車素材を前記歯形溝の両側面に充満して流動するよう流動方向を絞り制御し、前記歯車素材を前記歯形溝の両側面間に充満して流動させるようにしたことを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明装置であり、左半分は成形前を示す断面で、右半分は成形後を示す断面である。この図1において、10は型本体である。この型本体10には円柱状(中実軸又は中空軸)の歯車素材Wがセットされるコンテナダイス11と、このコンテナダイス11の下部に成形用ダイス12が装填されている。前記成形用ダイス12は、その内周面に歯車素材Wに対して歯形を成形する多数の歯形溝13がヘリカルに形成されている。
【0009】
また、コンテナダイス11の上方にはアクチュエータによって昇降動するパンチ16が配置されており、成形用ダイス12の下方にはアクチュエータによって昇降動するノックアウト17が配置されている。前記パンチ16は下降動によって前記コンテナダイス11にセットされた歯車素材Wを押圧して成形用ダイス12に押し込むものであり、ノックアウト17は上昇動によって成形後の歯車素材Wを成形用ダイス12から押し上げて型本体10より取り出すものである。
【0010】
そこで本発明は、図2にも示すように、前記成形用ダイス12の歯形溝13上方から歯形溝13に向かって、急角度θ1の第1テーパ面14と緩角度θ2の第2テーパ面15の2段テーパを設けたものである。
【0011】
従って、この第1テーパ面14と第2テーパ面15は図4で示すように、多数の歯形溝13の上端部の上方円周面が2段テーパ面の漏斗状を呈した形状で各歯形溝13の上端部(歯車素材Wの押し込み口)に連続した構成である。
【0012】
上記の構成による本発明は図1の左半分の断面で示すように、コンテナダイス11に歯車素材Wをセットした後、パンチ16を下降動して図5(a)で示すように歯車素材Wを押圧する。この押圧によって歯車素材Wは先ず急角度θ1の第1テーパ面14で絞られ、続いて図5(b)で示すように、緩角度θ2の第2テーパ面15でさらに絞られて歯形溝13に押し込まれ、図5(c)で示すように、成形を完了する。すなわち、歯車素材Wは急角度θ1の第1テーパ面14と緩角度θ2の第2テーパ面15の2段テーパ面による2段階の絞り制御によって流動して歯形溝13に押し込まれる。
【0013】
この2段階の絞り制御によって図4の矢印で示すように、歯車素材Wは歯形溝13の両側面に対し略平行に充満して流動するよう流動方向が制御されて歯形溝13に導入する。その結果、歯車素材Wは歯形溝13の両側面間に充満して流動し、歯車素材Wに対し歯形溝13の歯形を精密に転写して歯面にヒケのない精度良好な歯を成形するものである。
【0014】
この歯車素材Wの流動方向を制御させるための急角度θ1の第1テーパ面14と緩角度θ2の第2テーパ面15の2段テーパ面は、ダイス12の各歯形溝13の円周面を2段テーパ面の漏斗状に切削加工することにより各歯形溝13の全てに対応させることができ、成形用ダイス12の加工が簡単に行われる。
【0015】
尚、この実施例においては、歯車素材Wの流動方向を2段テーパ面により制御しているが、この2段テーパ面に限らず3段以上のテーパ面であっても良い。要するに、テーパ面が急角度から除々に緩やかな角度の多段のテーパ面であれば良い。
【0016】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によると、歯形溝を備えた成形用ダイスに歯車素材を押し込んむ際その歯形溝の直前において急角度のテーパ面と、この急角度のテーパ面と連続し、かつ前記歯形溝に連続する緩角度のテーパ面とで絞り制御することにより、歯車素材は歯形溝の両側面間に対し略平行方向から導入されるよう流動方向が制御され、歯車素材を歯形溝の両側面間に充満して流動させるようにしたので、簡単な構造により成形用ダイスの歯形溝の歯形を精密に転写でき、歯面にヒケのない精度良好な歯を成形することができる。また、成形用ダイスを簡単かつ短時間で加工することができる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明装置の断面図
【図2】本発明の要部の拡大断面図
【図3】本発明による歯形溝に対する歯車素材の流動方向を示す図
【図4】本発明による歯形溝に対する歯車素材の流動方向を示す斜視図
【図5】本発明の製造過程を示す断面図
【図6】図5のA−A線断面図
【図7】図5のB−B線断面図
【図8】図5のC−C線断面図
【図9】従来のギヤ製造を示す断面図
【図10】従来の成形用ダイスの一部斜視図
【図11】従来の歯形溝に歯車素材が流動した時の不具合を示す図
【図12】従来のギヤの不具合を示す図
【符号の説明】
10 型本体
11 コンテナダイス
12 成形用ダイス
13 歯形溝
14 第1テーパ面
15 第2テーパ面
16 パンチ
17 ノックアウト
W 歯車素材
Claims (2)
- 歯形を成形する多数の歯形溝が内周面にヘリカルに形成されているダイスに、円柱状の歯車素材を押し込んで前記歯車素材の外周面にヘリカルギヤを製造する方法において、前記歯車素材を歯形溝の上方から歯形溝に向かって押し込む際その歯形溝の直前において歯形溝の両側面に流動するよう急角度のテーパ面と、この急角度のテーパ面と連続し、かつ前記歯形溝に連続する緩角度のテーパ面とで絞り制御し、前記歯車素材を前記歯形溝の両側面間に充満して流動させるようにしたことを特徴とするギヤ製造方法。
- 歯形を成形する多数の歯形溝が内周面にヘリカルに形成されているダイスに、円柱状の歯車素材を押し込んで前記歯車素材の外周面にヘリカルギヤを製造する装置において、前記ダイスに前記歯形溝の上方から歯形溝に向かって押し込む際その歯形溝の直前において急角度のテーパ面と、この急角度のテーパ面と連続し、かつ前記歯形溝に連続する緩角度のテーパ面を設け、この急角度のテーパ面と緩角度のテーパ面によって歯車素材を前記歯形溝の両側面に充満して流動するよう流動方向を絞り制御し、前記歯車素材を前記歯形溝の両側面間に充満して流動させるようにしたことを特徴とするギヤ製造装置。
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JP02018098A JP3546682B2 (ja) | 1998-01-19 | 1998-01-19 | ギヤ製造方法及び製造装置 |
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Family Applications (1)
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JP02018098A Expired - Fee Related JP3546682B2 (ja) | 1998-01-19 | 1998-01-19 | ギヤ製造方法及び製造装置 |
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Families Citing this family (2)
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1998
- 1998-01-19 JP JP02018098A patent/JP3546682B2/ja not_active Expired - Fee Related
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