JPS6126514B2 - - Google Patents

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JPS6126514B2
JPS6126514B2 JP55091638A JP9163880A JPS6126514B2 JP S6126514 B2 JPS6126514 B2 JP S6126514B2 JP 55091638 A JP55091638 A JP 55091638A JP 9163880 A JP9163880 A JP 9163880A JP S6126514 B2 JPS6126514 B2 JP S6126514B2
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JP
Japan
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silicon carbide
sintered body
weight
sintering
type
Prior art date
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JP55091638A
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English (en)
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JPS5717465A (en
Inventor
Akira Enomoto
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Ibiden Co Ltd
Original Assignee
Ibiden Co Ltd
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Publication date
Application filed by Ibiden Co Ltd filed Critical Ibiden Co Ltd
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Publication of JPS5717465A publication Critical patent/JPS5717465A/ja
Publication of JPS6126514B2 publication Critical patent/JPS6126514B2/ja
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Description

【発明の詳細な説明】
本発明は、高密度でかつ高強度の炭化珪素焼結
体の製造方法に関するものである。 炭化珪素は、極めて優れた化学的および物理的
性質を有しているので、特にガスタービン部品、
高温熱交換器のような苛酷な条件下で使用される
高温構造物の如き用途に対して好適な材料であ
る。 従来炭化珪素は反応焼結法あるいは加圧焼結法
によつて焼結体とされている。前者すなわち反応
焼結法による焼結体はその製法上必ず遊離の珪素
を含有するため1400℃以上の高温域で使用するこ
とが極めて困難である欠点を有し、一方後者の加
圧焼結法は複雑な形状の焼結体を得ることが極め
て困難である欠点を有していた。 ところで、炭化珪素は難焼結性であるため、酸
化物セラミツクスの製造で一般的に行なわれてい
る無加圧焼結法すなわち常温で成形し、無加圧下
で焼結する方法はこれまで困難とされていた。し
かしながら、最近になつて炭化珪素、ホウ素含有
添加剤および炭素質添加剤から成る混合粉末を成
形し、不活性雰囲気中で焼結する無加圧焼結方法
が種々報告されている。 例えば、特開昭50−78609号公報記載の発明に
よれば炭化珪素をホウ素含有添加剤(0.3〜3.0重
量%B)および炭素含有添加剤(0.1〜1.0重量%
C)と混合成形し、次にこの成形体を不活性雰囲
気中で1900〜2100℃の温度において無加圧焼結
し、少なくとも理論密度の85%を有する炭化珪素
焼結体を得る方法が開示されている。また同公報
第66頁左上欄には「95%以上の高密度を達成する
には、焼成は窒素あるいは窒素と希ガスの混合物
中で為されねばならない」ことが開示されてい
る。しかしながら上記高密度焼結体中には窒素は
固溶されるという欠点があるばかりでなく、窒素
雰囲気中で焼成する場合には焼成温度を高くする
か、あるいは減圧するかの何れかによらなければ
ならず、焼成温度を高くすることは設備上ならび
に経済上のコスト高を招き、一方減圧することは
SiCの揮発損失を招くという欠点がある。 特開昭52−6716号公報記載の発明は前記特開昭
50−78609号公報記載の発明の改良に係り、原料
としてβ型炭化珪素に対して0.05〜5重量%のα
型炭化珪素を使用することによつて焼結温度範囲
をより拡大しても結晶粒の粗大化を抑制すること
ができる点ならびに製造される焼結体においては
実質上0℃以下から2300℃以上の温度範囲におい
て、形状および機械的性質が変わらない特性を有
する点において、その特徴が開示されている。し
かしながらこの焼結方法によつて生成する焼結体
は均質な微細構造を有するが、最終生成物の密度
が小さくなる欠点を有する。 特開昭53−121810号公報によれば、窒化硼素、
リン化硼素、二硼化アルミニウム及びそれらの混
合物から成る群から選ばれた添加剤加合物を添加
することにより、電気的性質が改善され、且つ熱
的衝撃耐性が改善された高密度高強度の炭化珪素
セラミツクス成形体及びその製造方法が開示され
ている。また同公報第62頁右上欄に「この成形体
は添加剤の約150〜500重量%の炭素を含んでい
る。この余分の炭素の大部分は不活性雰囲気中で
成形品を加熱する間に炭化ケイ素及び添加物と化
学的に結合すると信じられる。」ことが開示され
ていることから、前記公報記載の発明の成形体
(焼結体)は遊離した炭素を含有しない焼結体で
ある。 特開昭54−122311号公報記載の発明によれば
2H型炭化珪素の製造時に混入される5重量%ま
でのアルミニウムを含み、且つ2H型結晶を10%
以上含有する炭化珪素と0.1〜2重量%のホウ素
および0.1〜1重量%の遊離炭素からなる均一分
散粉末の成形体を本質的に不活性な雰囲気中にお
いて1700〜2000℃で焼結する方法が開示されてい
る。しかしながら、この方法において使用される
炭化珪素は同公報第60頁左下欄に記載されている
如く、化学気相反応沈積法あるいはカーボンブラ
ツクとコロイド状シリカとの反応により製造され
るものであり、工業的には非常に高価であるため
実用化が困難である。 前記諸公報記載の従来知られた炭化珪素の無加
圧焼結法に対して本発明者は先に高強度炭化珪素
焼結体の製造方法にかかる発明を提案している。
前記発明によれば、炭化珪素微粉とホウ素含有添
加剤と炭素質添加剤とを混合し成形した後無加圧
焼結する炭化珪素焼結体の製造方法において、 β型結晶の炭化珪素85重量%以上と残部が2H
型結晶の炭化珪素から実質的になる炭化珪素微粉
100重量部とホウ素含有量に換算して0.1〜3.0重
量部のホウ素含有添加剤と固定炭素含有量に換算
して1.0重量部を越え4.0重量部以下の炭素質添加
剤とを均質混合する第1工程; 前記均質混合物を任意の生成形体に成形する第
2工程; 前記生成形体をアルゴン、ヘリウム、ネオン、
クリプトン、キセノン、水素から選択される少な
くとも1種からなるガス雰囲気中で2050〜2200℃
で焼結する第3工程; 上記第1〜3工程の組合せからなるβ型結晶を
50〜85重量%、残留遊離炭素を1.0重量%を越え
3.0重量%以下含有し、3.0g/cm3以上の密度を有
する高強度炭化珪素焼結体の製造方法によつて高
強度の炭化珪素焼結体を得ることができる。 本発明は、前記発明をさらに改良し、より高強
度の炭化珪素焼結体の製造方法を提供することを
目的とするものである。 本発明によれば、ホウ素を0.1〜3.0重量%、ア
ルミニウムを0.1〜1.0重量%、遊離炭素を1.0重量
%を越え3.0重量%以下含有し、炭化珪素の80〜
95%は4H型結晶あるいは6H型結晶のいずれか少
なくとも1種、残部が主として3C型結晶よりな
り、少なくとも3.0g/cm3の密度を有する高強度
炭化珪素焼結体を製造することができる。 次に本発明を詳細に説明する。 炭化珪素はその結晶型が数多く知られており、
従来六方晶系のα型と立方晶型のβ型との2種類
に大別されている。前者α型には高温例えば2000
℃以上でも安定な4H,6H型等の高温安定タイプ
炭化珪素と1500℃以下で安定な2H型炭化珪素と
が知られている。一方後者β型はほぼ2000℃位ま
では安定な3C型であることが知られている。 従来、炭化珪素の無加圧焼結法では出発原料と
して高温安定タイプα型炭化珪素を使用すると比
較的高密度の焼結体を安定して得易いことが種々
報告されているが、高温安定タイプα型炭化珪素
は焼結に際して結晶型の変態転移を伴わず、焼結
速度が遅いため、高密度の焼結体を得ようとする
と焼結温度を高めて焼結する必要があり、さらに
高温安定タイプα型炭化珪素を出発原料として得
られる焼結体は異方性のない擬球状の比較的粗大
な結晶粒よりなる構造となるため高強度の焼結体
を得ることは困難であつた。また、β型結晶を主
体とする炭化珪素を出発原料とする場合には焼結
に際してβ型結晶がα型化し易く、高密度化が困
難であつたため、先にも記載した如く、焼結に際
して雰囲気を窒素ガス雰囲気に保持したり、出発
原料中に0.05〜5重量%のα型炭化珪素微粉を添
加することが必要であるとされているがβ型炭化
珪素を出発原料として使用し、β型炭化珪素の大
部分をα型化させて、かつ高密度の焼結体を得る
方法は従来知られていない。さらに、2H型結晶
を10%以上含有する炭化珪素を出発原料とする方
法も知られているが、この方法において使用され
る炭化珪素は前述の如く、実質的に化学気相反応
沈積法あるいはカーボンブラツクとコロイド状シ
リカとの反応により製造されるものであり、工業
的には非常に高価であると思われる。 ところで、本発明はβ型結晶を主体とする炭化
珪素を出発原料とするものである。従来β型炭化
珪素は学術的には試料として化学気相反応沈積法
で製造されたものが主として用いられているが、
工業的には非常に高価であるため実用化されたこ
とはなかつた。本発明者等は主としてβ型結晶
(3C型結晶)よりなる炭化珪素の製造方法を発明
し、初めてβ型炭化珪素の世界市場への販売に成
功しており、β型炭化珪素を出発原料とする焼結
体の工業的生産を実現している。 従来、無加圧焼結法によれば、炭化珪素粉末に
炭素およびホウ素を混合し焼結して焼結体が製造
されている。前記炭素が添加される理由は、炭化
珪素粒子は室温で常にシリカ膜で被覆されてお
り、このシリカ膜のために炭化珪素の自己焼結が
阻害されるので、前記シリカ膜を炭素によつて高
温で還元除去して炭化珪素の自己焼結性を高める
ことにある。その際炭素の添加量は炭化珪素微粉
中のシリカ膜等に含有されている酸素量によつて
決められ、通常炭化珪素に対して0.1〜1.0重量%
と微量の添加量で充分であるとされていた。 本発明者は、アルミニウムを0.1〜1.0重量%含
有し、β型結晶の炭化珪素が90%以上である焼結
性の極めて良好な炭化珪素微粉を出発原料として
使用することにより、焼結が開始される際に炭化
珪素微粉粒子の相互の接触部に生起する焼結結合
点すなわちネツクを均一に発生させることがで
き、かつ焼結時におけるSiCの固体拡散を促進
し、比較的低温で高密度化ができるとともに前記
固体拡散に伴つて板状の結晶粒子を生成させ、板
状の結晶粒が相互に交差した構造とすることがで
き、さらに従来炭化珪素微粉の酸素含有量によつ
て必要とされる量よりも過剰に添加すると炭素が
炭化珪素焼結体内に遊離炭素の形態で残存して焼
結体の物性特に強度を劣化させると考えられてい
た炭素質添加剤を炭化珪素微粉の酸素含有量によ
つて必要とされる量よりも過剰に添加し、積極的
に炭化珪素焼結体内に遊離炭素の形態で含有させ
ることによつてβ型結晶のα型結晶への相変態を
適正化し、かつβ型結晶のα型化に伴う板状結晶
の粗大化を防止し、比較的均一な粒径を有する板
状結晶が相互に交差し、その間隙をさらに微細な
粒径を有する結晶粒で埋められた微細構造を有す
る高密度で高強度の焼結体を得ることのできるこ
とを知見した。 なお、前記特開昭54−122311号公報記載の発明
によれば、2H型炭化珪素を10%以上有した炭化
珪素微粉を出発原料として用いることにより、焼
結温度を2000℃以下とすることができ、これによ
つて結晶粒の粗大化を防止し、微細な結晶よりな
る焼結体を得ることができるのであるが、本発明
の焼結体に用いる出発原料の1つである炭化珪素
にあつては2H炭化珪素を10%より少なく含有す
るβ型炭化珪素である。 本発明によれば、出発原料である炭化珪素微粉
は、アルミニウムを0.1〜1.0重量%固溶し、β型
結晶の炭化珪素が90%以上であることが必要であ
り、比表面積は15〜35m2/gの範囲内、酸素含有
率は0.1〜1.0重量%の範囲内であることが好まし
い。 通常β型結晶を主体とし、アルミニウムを固溶
しない炭化珪素微粉を出発原料として焼結体を得
ようとすると、焼結に際してSiCの熱分解による
気相が生成し、この気相を介して焼結が進行する
ため、板状のα型結晶よりなる結晶粒が急速に粗
大化して焼結体の高密度化が阻害される欠点があ
つた。これに対して、本発明のアルミニウムを固
溶させたβ型結晶を主体とする炭化珪素微粉を出
発原料とすると、焼結に際して比較的低温域で気
相を介することなくSiCの固体拡散によつて焼結
し、比較的均一な板状結晶が相互に交叉した構造
を有し、なおかつ高密度の焼結体を得ることがで
きる。 前記アルミニウムの固溶量を0.1〜1.0重量%の
範囲内に限定する理由は、0.1重量%より少ない
と、前記焼結時におけるSiCの固体拡散を促進さ
せる効果が不充分で、本発明の目的とする板状の
結晶粒が相互に交叉した構造を有する高強度の焼
結体を得ることが困難であるし、一方、1.0重量
%より多いと、焼結時におけるSiCの固体拡散が
著しく促進され、板状結晶が極めて急速に異常粒
成長するため高密度の焼結体を得ることが困難に
なるばかりでなく、焼結体の高温特性が劣化する
からであり、0.2〜0.5焼結体の範囲内でよい好適
な結果が得られる。 前記アルミニウムを含有する炭化珪素微粉は、
焼結に先がけてアルミニウム含有添加剤を炭化珪
素微粉と混合して調製することも考えられるが、
このように混合によつて含有させたアルミニウム
では先に述べた如き気相を介することなく炭化珪
素を焼結させる効果が殆どないため好ましくな
い。本発明では、炭化珪素を製造する際の原料中
にアルミニウム含有添加剤を添加したり、あらか
じめアルミニウムを多く含有する原料を使用した
りして製造された炭化珪素微粉を使用することが
有利である。 前記炭化珪素微粉がβ型結晶の炭化珪素を90%
以上含有することが必要な理由について次に述べ
る。 通常β型結晶を主体とする炭化珪素に混在する
結晶はβ型結晶より低温域で安定な2H型結晶あ
るいはβ型結晶より高温域で安定な4H,6H型等
のα型結晶である。前記2H型炭化珪素は通常の
焼結反応の生じる温度域において極めて不安定で
あり、焼結に際して異常粒成長の原因となり易
く、2H型炭化珪素を10%以上含有すると焼結温
度等の焼結条件の最適範囲が極めて狭く例えば
2000℃以下としなければならないし、一方4H,
6H型等の高温安定タイプα型炭化珪素を含有す
ると焼結中にβ型結晶からα型結晶への相変態が
促進されるため、本発明の目的とする比較的均一
な粒径を有する板状結晶が相互に交叉し、その間
隙がさらに微細な粒径の結晶粒で埋められた微細
構造を有する焼結体を得ることが困難である。し
たがつて、本発明の目的とする前記の如き微細構
造を有し、かつ高強度の焼結体を得るにはβ型結
晶の炭化珪素が90%以上の炭化珪素微粉を出発原
料とすることが必要であり、なかでもβ型結晶の
炭化珪素が95%以上の炭化珪素微粉がよい好適で
ある。 前記炭化珪素微粉の比表面積は15〜35m2/gの
範囲内にあることが好ましい。その理由は、前記
比表面積が15m2/gより小さい炭化珪素を出発原
料とすると、焼結初期に形成されるネツクの発生
箇所が少なく焼結時における収縮が不均一となる
ため、本発明の目的とする高い密度と強度とを有
する焼結体を得ることが困難であり、一方、35
m2/gより大きな比表面積を有する炭化珪素微粉
はネツクの発生箇所も多く焼結性にも優れている
と考えられるがこのような炭化珪素微粉は入手す
ることが困難で例えば入手できたとしても極めて
高価となり実用的でないからである。 本発明において使用される炭化珪素微粉に含有
される酸素量は0.1〜1.0重量%の範囲内とするこ
とが好ましい。前記炭化珪素微粉に含有される酸
素は焼結時に炭素と反応し、次式に示される如き
機構で除去される。 SiO2+C→SiO+CO (1) SiO+2C→SiC+CO (2) したがつて、前記酸素が1.0重量%よりも多量
に存在すると炭素質添加剤を多量に使用しなけれ
ばならないばかりでなく、COガスが大量に発生
するため焼結時にガス抜きの必要が生じる等焼結
が困難になるばかりでなく、また高密度の焼結体
を得ることが困難になるからである。一方前記酸
素量が0.1重量%よりも少ない炭化珪素微粉は例
えば弗酸と硝酸の混酸で処理することによつて得
ることができるが、このようにして得た高純度の
炭化珪素微粉は極めて活性であり、空気雰囲気中
で乾燥したりすると常温でも容易に酸化してしま
うため、酸素量を低く維持するには酸処理後の雰
囲気を非酸化性に保持したりしなければならず実
用的でないからである。 次に本発明において使用される炭化珪素の製造
方法について説明する。 本発明において使用される炭化珪素は、金属シ
リコンと炭素粉末の混合物を加熱する方法、ハロ
ゲン化珪素と炭化水素のような混合ガスを気相反
応させる方法によつて製造することもできるが、
これらの方法によつて製造されるβ型炭化珪素は
コストが非常に高くて実用的でない。 本発明において使用されるβ型炭化珪素は、シ
リカ粉末と炭素粉末と必要に応じてアルミニウム
含有添加剤とを出発原料とし、本発明者等が先に
発明した特願昭54−18463号に記載の製造装置を
使用して製造されるものが有利であり、初めて経
済的に使用することのできるものである。すなわ
ち、前記特願昭54−18463号記載の装置は、装入
口と予熱帯と加熱帯と冷却帯と密閉自在の生成物
排出口とを有し、それらが縦方向に順次連接して
なる筒状の反応容器であつて、前記加熱帯を形成
する筒は黒鉛製であり、加熱帯内の装入物を間接
電気加熱する手段を具備し、少なくとも前記加熱
帯の外側に炭素あるいは黒鉛質微粉よりなる断熱
層を有するβ型炭化珪素の製造装置において、前
記予熱帯を形成する筒の任意の位置より上部にお
ける内部水平断面積は加熱帯の内部水平断面積よ
りも大きく形成させてなることを特徴とする主と
してβ型結晶よりなる炭化珪素の製造装置であ
る。前記アルミニウムを固溶する炭化珪素微粉の
製造装置として前述の如き装置を使用することが
好ましい理由は、炭化珪素を製造する際にアルミ
ニウム含有添加剤を出発原料中に添加したり、ア
ルミニウムを多く含有する出発原料を使用すると
反応容器内で炭化珪素中に固溶されなかつたアル
ミニウムがガス化し、予熱帯で析出し、長時間操
業において原料の円滑な移動降下を阻害すること
を防止できるからである。 前記アルミニウム含有添加剤としては各種のア
ルミニウム含有塩や金属アルミニウムを使用する
こともできるが、アルミナ(酸化アルミニウ
ム)、ムライト等を使用することが有利である。 本発明の均質混合物はホウ素含有量に換算して
0.1〜3.0重量部のホウ素含有添加剤を含有するこ
とが必要である。本発明においてホウ素含有添加
剤を添加する理由は、焼結に際してホウ素を共存
させることによつて炭化珪素粒子表面に粘着層を
形成しネツク形成時に接着作用を発揮させること
にあり、全体的に均一な焼結収縮を起こさせるた
めである。またホウ素に相当するアルミニウム含
有添加剤の含有量を0.1〜3.0重量部にする理由は
0.1重量部より少ないとネツク形成時の接着作用
が充分でなく、3.0重量部より多いと焼結体内に
残留するホウ素が焼結体表面のシリカ層の融点を
低下させて焼結体の耐酸化性を劣化させるからで
ある。前記ホウ素含有添加剤としては、例えばホ
ウ素、炭化ホウ素あるいはそれらの混合物から選
択される少なくとも1種を用いることが好まし
い。 前記ホウ素含有添加剤は少なくとも20m2/gの
比表面積を有することが好ましい。その理由は比
表面積が20m2/gより小さいホウ素含有添加剤は
各粒子の粒径が比較的大きく生成物体中にホウ素
が偏在するため焼結収縮が不均一となり、高密度
で均一な微細構造を有する焼結体が得られ難いか
らであり、特に30〜50m2/gの比表面積を有する
ものが好適である。 本発明によれば、前記第1工程における均質混
合物は固定炭素含有量に換算して1.0重量部を越
え4.0重量部以下の炭素質添加剤を含有すること
が必要である。前記炭素質添加剤の混合量を固定
炭素含有量に換算して1.0重量部を越え4.0重量部
以下に限定する理由は、前記混合量が1.0重量部
以下の場合には炭素質添加剤の大部分が酸素によ
つて消費されるためβ型結晶のα型化を抑制する
作用が充分に発揮されず、急速なα型化に伴つて
α型結晶の粗大な板状結晶が焼成初期に生成し、
焼成収縮を妨害するため高密度でかつ均一な微細
構造を有する焼結体を得ることが困難であり、一
方、4.0重量部よりも多いと炭化珪素粉末粒子間
に過剰の炭素が存在し、焼結を著しく阻害するた
め、高密度の焼結体を得ることが困難となるばか
りでなく、焼結体内の介在物相が増加し、焼結体
の物性特に強度を著しく低下させるからである。 前記炭素質添加剤は炭化珪素微粉に含有される
酸素を除去し、かつ炭化珪素粒子間に介在してβ
型結晶のα型結晶への相変態速度を適正化させる
ために用いられる。したがつて炭素質添加剤は酸
素含有量にみあう量を少なくとも添加し、さらに
炭化珪素粒子間に均一に介在するに充分な量を添
加することが有利であり、前記第1工程における
炭素質添加剤の混合量(X重量部)は炭化珪素微
粉の比表面積(Vm2/g)と炭化珪素微粉の酸素
含有率(A重量%)と炭素質添加剤の固定炭素含
有率(B重量%)の関係式(3)から導かれる量とす
ることが好ましい。 5.5V+70A/B≦X≦15V+150A/B…
…(3) 前記炭素質添加剤の混合量を前記式(3)から導か
れる量とすることが好ましい理由は、前記混合量
が前記式(3)から導かれる量よりも少ないと炭化珪
素粒子間に均一に介在することが困難でβ型結晶
のα型化速度を適正化する作用が充分に発揮され
ず、急速速なα型化に伴つてα型炭化珪素の粗大
な板状結晶が生成し、焼結収縮を妨害するため高
密度でかつ均一な微細構造を有する高強度の焼結
体を得ることが困難であり、一方前記式(3)から導
かれる量よりも多いと炭化珪素粒子間に過剰の炭
素が存在し、介在物相として焼結体内に大量に残
存するため高強度の焼結体を得ることができない
からである。 なお、前述の如く焼結体内に遊離炭素を含有さ
せることによつて焼結時におけるβ型結晶のα型
結晶への相変態速度を適正化する機構はおそらく
微細な炭素粒子を炭化珪素粒子表面に介在させる
ことによつてSiCの拡散が抑制されるとともに
SiCの熱分解によるシリコン蒸気の発生も抑制さ
れることによるものと推察される。 前記炭素質添加剤は第3工程における焼結開始
時に少なくともm2/gの比表面積を有することが
好ましい。その理由は前記焼結開始時における比
表面積が100m2/gよりも小さいとβ型結晶のα型
化を抑制する作用が弱いため、充分に抑制作用を
発揮させるには大量に添加しなければならず、焼
結体中の介在物相を増加させる結果となり高強度
の焼結体を得難いからである。 前記炭素質添加剤としては、焼結開始時に炭素
を存在させられるものであれば使用でき、例えば
フエノール樹脂、リグニンスルホン酸塩、ポリビ
ニルアルコール、コンスターチ、糖蜜、コールタ
ールピツチ、アルギン酸塩のような各種有機物質
あるいはカーボンブラツク、アセチレンブラツク
のような熱分解炭素が有利に使用できる。 本発明の第3工程において生成形体はアルゴ
ン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、
水素から選択される少なくとも1種からなるガス
雰囲気中で焼結されることが必要である。本発明
の第3工程における焼結時には先にも記載した如
く、前記式(1),(2)に従つてCOガスが発生する。
前記COガスが多量に存在すると前記式(1)の反応
が抑制され炭化珪素表面のシリカ膜除去が不充分
となり、充分な焼結収縮が得られないし、シリカ
膜が残存すると炭化珪素焼結体内で介在物相を形
成し、焼結体の物性特に機械的強度を劣化させる
ため、COガスを炉内より除去しなければならな
い。従つて本発明によれば炉内を前記ガス気流雰
囲気とすることが有利であり、前記ガスはアルゴ
ン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン、
水素から選択される何れか少なくとも1種からな
ることが必要である。なお前記焼結時の炉内雰囲
気中のCOガス分圧は10KPa以下に維持すること
が好ましい。 また、前記COガスは炉内を減圧することによ
つて除去する方法も考えられるが、本発明によれ
ば炉内圧は50K〜120KPaの範囲内に維持するこ
とが好ましい。その理由は焼結時の炉内圧を
50KPaよりも低くすると炭化珪素の揮発分が増加
したり、焼結体表面に形成される黒皮の層が厚く
なるため研削仕上げ代が大きくなる等の欠点を有
するし、一方120KPaよりも高くすると焼結体内
に気孔が残存し易くなり、高密度の焼結体を得難
いからである。 本発明の第3工程において前記生成形体を最高
温度が1900〜2100℃の範囲内で焼成することが必
要である。その理由は焼結温度が1900℃より低い
と本発明の3.0g/cm3以上の密度を有する焼結体を
得ることが困難で、逆に2100℃より高い温度では
結晶粒の成長が著しく、焼結体の物性例えば機械
的強度が低下するからであり、特に均一な微細構
造でかつ高強度の焼結体を得る上では1950〜2050
℃の温度範囲内で焼結することがより好ましい。
前記1900〜2100℃の温度範囲内における焼結時間
は、主として所望する微細構造と密度によつて決
まり、一般的には低温度で長時間かけて焼成した
方が均一で微細な構造を有する焼結体を得易く、
3.0g/cm3以上の密度となすには、前記1900〜2100
℃の温度範囲内で少なくとも10分間焼結すること
が最も好適である。 本発明の第3工程の焼結温度に至る昇温過程の
うち1550〜1700℃の温度範囲内は少なくとも20分
間かけて昇温することが好ましい。その理由は前
記温度範囲内において炭化珪素微粉を被覆してい
るところのシリカ膜の除去反応および炭化珪素微
粉の各接触部においてネツクの生成反応が開始す
るため、前記反応が生成形体内で均一に進行し始
めるまで前記温度範囲内に維持することが好まし
く、前記温度範囲内を少なくとも20分間かけて昇
温することによつて前記目的を達成でき、均一な
微細構造でかつ高密度の焼結体を得ることができ
るからである。また前記昇温過程のうち1500〜
1700℃の温度範囲内において少なくとも20分間
COガス分圧を1KPa以下に維持することが好まし
い。焼結時におけるCOガスの挙動は先に述べた
如くであるが、前記温度範囲内では特に前記シリ
カ膜の除去反応を速やかに進行させてネツクの生
成反応を均一に発生させることが重要であり、前
記温度範囲において少なくとも20分間COガス分
圧を1KPaより低く維持することにより前記目的
を達成できるからである。 前記焼結体を焼結する焼結炉としては、従来公
知の焼結温度と雰囲気を制御し得る各種の高温
炉、例えば黒鉛製の炉心管と発熱体を具備したタ
ンマン炉のような炉を使用することができる。 本発明の焼結体は、ホウ素を0.1〜3.0重量%、
アルミニウムを0.1〜1.0重量%、遊離炭素を1.0重
量%を越え3.0重量%以下含有し、炭化珪素の80
〜95%が4H型結晶あるいは6H型結晶のいずれか
少なくとも1種、残部が主としてβ型結晶よりな
り、少なくとも3.0g/cm3の密度を有する高強度
炭化珪素焼結体である。 前記炭化珪素焼結体に含有されるホウ素は、焼
結に際して炭化珪素粒子表面に粘着層を形成しネ
ツク形成時に接着作用を発揮させ、全体的に均一
な焼結収縮を起こさせる目的で出発原料中に添加
されたホウ素が焼結体中に残留し含有されるもの
である。前記ホウ素含有量を0.1〜3.0重量%に限
定する理由は、0.1重量%より少ないとネツク形
成時の接着作用が充分でなく、高密度の焼結体と
なり得ないし、一方3.0重量%より多いとH型結
晶表面のシリカ層の融点を低下させるため高温域
における焼結体の耐酸化性を劣化させるからであ
り、0.1〜0.5重量%の範囲が特に好適である。 前記炭化珪素焼結体に含有されるアルミニウム
は、出発原料である炭化珪素の製造時に含有させ
たものが焼結体中に残留し含有されるものであ
る。前記アルミニウムを出発原料である炭化珪素
中に含有させる目的について次に述べる。 通常β型結晶を主体とする炭化珪素微粉を出発
原料として焼結すると、焼結に際してSiCが熱分
解し、気相を介する焼結反応および急速な相変態
が進行するため、α型結晶よりなる板状の結晶粒
が急速に粗大化し易く、高密度の焼結体を得るこ
とが困難であつた。これに対してアルミニウムを
含有させた炭化珪素微粉を出発原料とすると、
SiCが熱分解する温度よりも低温域でSiCの固体
拡散によつて、気相を介することなく焼結させる
ことができ、かつ相変態させられるため、比較的
均一な粒状の板状結晶が相互に交叉した極めて強
固な構造でなおかつ高密度の焼結体を得ることが
できる。 前記アルミニウムの固溶量を0.1〜1.0重量%の
範囲内に限定する理由は、0.1重量%より少ない
と、焼結時におけるSiCの固体拡散を促進させる
効果が不充分で、本発明の目的とする板状の結晶
粒が相互に交叉した構造とすることが困難で高強
度の焼結体を得ることができず、一方1.0重量%
より多いと、焼結時におけるSiCの固体拡散が著
しく促進されるため、板状結晶が異常粒成長する
ばかりでなく、焼結体の高温特性が劣化するから
であり、0.2〜0.5重量%の範囲内で特に好適な結
果が得られる。 前記炭化珪素焼結体に含有される遊離炭素は、
焼結に際して炭化珪素微粉粒子間に介在してβ型
結晶のα型化速度を緩和し適正化させる目的で出
発原料中に添加された炭素が焼結体中に残留し含
有されるものである。前記遊離炭素含有量を1.0
重量%を越え3.0重量%以下に限定する理由は、
1.0重量%以下の場合にはβ型結晶のα型化速度
を緩和する効果が充分でなく相変態が極めて急速
に進行し、焼結収縮する前にα型結晶の粗大な板
状粒子が生成し収縮を阻害するため、高密度化が
困難となり、焼結体の強度が低下するし、一方
3.0重量%より多いと焼結体内の介在物相が増加
するため焼結体の強度が劣化するからであり、
1.5〜2.5重量%の範囲内でより好適な効果が得ら
れる。 前記炭化珪素焼結体の80〜95%が4H型結晶あ
るいは6H型結晶のいずれか少なくとも1種、残
部が主としてβ型結晶よりなることが必要な理由
について次に述べる。 本発明は出発原料としてβ型結晶を90%以上含
有する炭化珪素微粉を使用し、焼結に際してβ型
結晶より4H型結晶あるいは6H型結晶に相変態さ
せることによつて板状結晶の交叉し絡み合つた構
造とし、高強度の焼結体を得るものである。前記
炭化珪素焼結体の80〜95%が4H型結晶あるいは
6H型結晶のいずれか少なくとも1種、残部が主
としてβ型結晶に限定する理由は、前記4H型結
晶あるいは6H型結晶のいずれか少なくとも1種
が80%より少ない焼結体は板状の結晶粒の発達が
不充分であり、例えば特開昭54−122311号公報の
実施例1に記載の如く、約54%が4H型結晶で残
部がβ型結晶よりなる番号8,9の焼結体は93〜
95%と比較的高密度であるが、3点曲げ強度が
10-4mmHg、1500℃で65Kg/mm2とそれ程高強度と
はなり得ず、一方95%より多くすると板状の結晶
粒が異常粒成長し、変形応力が集中し易い構造と
なるため実質的に機械的強度が低下するからであ
る。 次に本発明の焼結体の特徴である物性について
説明する。 本発明の炭化珪素焼結体は少なくとも3.0g/cm3
の密度を有し、室温における平均曲げ強度が70
Kg/mm2以上と極めて高強度である。 炭化珪素無加圧焼結体の機械的強度は、測定時
の温度条件によつて変化し、通常室温よりも高温
域においてより高い測定値が得られることが知ら
れている。 従来知られている炭化珪素無加圧焼結体の強度
は、例えば特開昭54−118411号公報記載の如くα
型炭化珪素を出発原料とし、アルミニウムおよび
炭素を焼結助剤とする焼結体にあつては室温(20
℃)で580N/mm2(約59.1Kg/mm2)、1400℃で
640N/mm2(約65.3Kg/mm2)の3点曲げ強度、特
開昭54−67598号公報記載の如く有機珪素高分子
化合物を熱分解して得た極めて高価なβ型炭化珪
素を出発原料とする焼結体にあつては65Kg/mm2
3点曲げ強度、特開昭54−122312号公報記載の極
めて特殊な製法によつて合成された炭化珪素を使
用する焼結体にあつては約10-5mmHg、1700℃に
おいて82Kg/mm2と比較的高い3点曲げ強度が得ら
れることが開示されているが、本発明の如く、シ
リカと炭素とより合成されるβ型結晶を主体とす
る炭化珪素を出発原料として、室温で70Kg/mm2
上と極めて高い平均3点曲げ強度を有する炭化珪
素無加圧焼結体を得ることは従来知られていなか
つた。 本発明者は、本発明の焼結体の室温における3
点曲げ強度(FKg/mm2)は炭化珪素焼結体の密度
(Dg/cm3)および炭化珪素焼結体に含有される
4H型結晶と6H型結晶の含有率の和(W%)とに
それぞれ依存し、下記の式(4),(5)でそれぞれ示さ
れる関係にあることを新規に知見した。 F≧−333D2+2095D−3220 ……(4) F≧−0.0047W3+1.18W2−98.2W+2780
……(5) 前記式(4)で示される範囲は第1図の実線で示さ
れる曲線Aおよび同曲線Aよりも上の部分であ
る。本発明者の実験によれば、β型結晶を主体と
し、アルミニウム固溶量が0.1重量%以下の炭化
珪素微粉を出発原料として使用した従来方法によ
る焼結体の3点曲げ強度と密度との関係はほぼ同
図の破線よりも下部の範囲であり、同図の実線で
示される曲線Aおよび同曲線Aよりも上の強度を
有する焼結体は第4図に示した如き板状結晶が相
互に絡み合つた構造を有する本発明の焼結体だけ
に見られるものである。 また、前記式(5)で示される範囲は第2図に実線
で示される曲線Bおよび同曲線Bよりも上の部分
である。本発明者の実験によれば、β型結晶を主
体とし、アルミニウム固溶量が0.1重量%以下の
炭化珪素微粉を出発原料としてβ型炭化珪素の大
部分をα型化させた焼結体を得ようとすると、密
度が低くなつたり、α型結晶よりなる板状結晶が
異常粒成長するため高強度の焼結体を得ることが
できず、その強度は60Kg/mm2以下であり、同図の
実線で示される曲線Aよりも上の強度を有する特
性は本発明の焼結体にだけ見られるものである。 次に本発明を実施例および比較例について説明
する。 実施例 1 珪砂粉末(SiO2=99.6%,T−A=0.13%,
80メツシユ以下)、無煙炭粉末(C=87.8%,T
−A=1.27%,325メツシユ下)、およびピツチ
粉末(C=50.4%,200メツシユ下,珪砂に対し
て7重量%配合)をC/SiO2モル比が3.8になる
ように配合し、第8図に示した如き前記特願昭54
−18463号に記載したと同様の製造装置を用いて
合成し、さらに精製、粒度分級して炭化珪素微粉
を調製した。前記炭化珪素微粉は93.8%がβ型結
晶で残部が2H型結晶よりなり、0.47重量%のア
ルミニウム、0.34重量%の遊離炭素、0.19重量%
の酸素を含有し、16.8m2/gの比表面積を有して
いた。 前記炭化珪素微粉98.7gと市販の200メツシユ
炭化ホウ素粒(電気化学工業会社製)を粉砕、粒
度分級して比表面積を24.3m2/gに調製した炭化
ホウ素粉末1.3gと固定炭素含有率51.6重量%の
ノボラツク型フエノール樹脂3.0gとの混合物に
対し、アセトン150mlを添加して2時間ボールミ
ル処理を行つた。前記ボールミル処理を行つた混
合物スラリーを常温で撹拌しながら乾燥し、その
後徐々に温度を上げながら最終的に60℃迄加熱乾
燥し、冷却してからメノウ乳鉢中で30分間混和し
た。この混和粉末から適量を採取し、金属製押し
型を用いて150Kg/cm2の圧力で円盤状に仮成形し
た。次にアイソスタテイツクプレス機を用いて
2000Kg/cm2の圧力で成形した。前記生成形体の直
径は38mmであり、密度は1.90g/cm3(相対理論密
度率約59.2%)であることが認められた。 前記生成形体をタンマン型焼結炉に装入し、大
気圧下のアルゴンガス気流中で焼結した。昇温過
程は常温〜1650℃は5℃/min、1650℃にて45分
間保持した後、さらに5℃/minで昇温し最高温
度2000℃で30分間保持した。焼結中のCOガス分
圧は常温〜1650℃が5KPa以下、1650℃で保持す
る際は0.5KPa以下、1650℃より高温域では5KPa
以下となるようにアルゴンガス流量を適宜調整し
て制御した。 得られた焼結体はアルミニウムを0.44重量%、
遊離炭素を1.65重量%含有し、3.15g/cm3(相対
理論密度率約98.1%)の密度を有し、第3図の走
査型電子顕微鏡写真(750倍)および第4図の走
査型電子顕微鏡写真(1500倍)に示した如く板状
結晶が比較的よく発達した微細構造であつてしか
も高密度の焼結体であることがわかる。また第5
図に示したこの焼結体の粉末X線回折図よりこの
焼結体は79.0%が4H型結晶、8.1%が6H型結晶よ
りなり残部がβ型結晶であることが確認された。
さらに前記焼結体を3×3×27mmの棒状に加工
し、スパン20mm、クロスヘツドスピード5mm/
minの条件で3点曲げ強度を測定したところ室温
で79Kg/mm2の平均強度を有していた。 また、前記炭素質添加剤として使用したノボラ
ツク型フエノール樹脂を非酸化性雰囲気で1300℃
迄加熱して炭化させたところ246m2/gの比表面
積を有していた。 実施例 2 実施例1に記載したと同様の配合であるが、無
煙炭粉末に代えてオイルコークス粉末(C=96.2
%,T−A=0.52%,325メツシユ下)を使用
して、炭化珪素微粉を調製した。前記炭化珪素微
粉は95.3%がβ型結晶で残部が2H型結晶よりな
り、0.22重量%のアルミニウム、0.31重量%の遊
離炭素、0.16重量%の酸素を含有し、17.2m2/g
の比表面積を有していた。 前記炭化珪素微粉を使用し、実施例1と同様に
して焼結体を焼結した。得られた焼結体の物性は
実施例1に示したと同様の方法で測定し、第1表
に示した。 実施例 3 実施例1に記載したと同様の配合であるが、ア
ルミナ(T−A=52.8%)を配合原料100重量
部に対して0.9重量部添加して、炭化珪素微粉を
調製した。前記炭化珪素微粉は92.3%がβ型結晶
で残部が2H型結晶よりなり、0.82重量%のアル
ミニウム、0.32重量%の遊離炭素、0.20重量%の
酸素を含有し、17.5m2/gの比表面積を有してい
た。 前記炭化珪素微粉を使用し、実施例1と同様に
して焼結体を得た。得られた焼結体の物性は実施
例1に示したと同様の方法で測定し、第1表に示
した。 比較例 1 実施例1に記際したと同様の配合であるが、珪
砂粉末に代えて高純度の珪石粉末(SiO2=99.7重
量%、T−A=0.07%,80メツシユ下)および
無煙炭素粉末に代えて高純度のオイルコークス
(C=98.7%,T−A=0.02%,325メツシユ
下)を使用して、炭化珪素微粉を調製した。 前記炭化珪素微粉は97.3%がβ型結晶で残部が
2H型結晶よりなり、0.04重量%のアルミニウ
ム、0.32重量%の遊離炭素、0.21重量%の酸素を
含有し、17.5m2/gの比表面積を有していた。 前記炭化珪素微粉を使用し、実施例1と同様に
して焼結体を焼結して得られた焼結体の物性は実
施例1に示したと同様の方法で測定し、第1表に
示した。 比較例 2 比較例1に記載した炭化珪素微粉を使用し、焼
結温度を2100℃に高めた他は実施例1と同様にし
て焼結体を得た。焼結体の物性は実施例1に示し
たと同様の方法で測定し、第1表に示した。
【表】 第1表に示した如く、比較例1のアルミニウム
含有率の低い炭化珪素微粉を出発原料として2000
℃の焼結温度で焼結した焼結体の密度は2.89g/
cm3(相対理論密度率約90.0%)と低く、また室温
における3点曲げ強度も55Kg/mm2の平均密度であ
つた。この焼結体は第6図に走査型電子顕微鏡写
真(750倍)に示した如く、焼結収縮が不充分
で、空孔が多く含まれた構造であつた。一方比較
例2の比較例1と同様の生成形体を2100℃の焼結
温度で焼結した焼結体の密度は3.16g/cm3(相対
理論密度率約98.4%)と極めて高密度ではある
が、第7図の走査型電子顕微鏡写真(750倍)に
示した如く、比較的均一な微細構造を有してお
り、結晶粒相互の絡み合いがないため室温におけ
る3点曲げ強度は71Kg/mm2と本発明の焼結体に比
較すると若干低い値であつた。 比較例 3 実施例1に記載したと同様にして作成した成形
体を、実施例1に記載したタンマン型焼結炉に装
入し、アルゴンガス気流中で焼結した。昇温は室
温〜2000℃迄50℃/minで昇温し、2000℃で30分
間保持した。前記焼結時におけるCOガス分圧は
1600〜1700℃の温度域で最高値を記録し、その値
は28KPaであつた。 得られた焼結体は焼結収縮が不充分で2.738g/
cm3(相対理論密度率約85.0%)と低密度であつ
た。さらにこの焼結体を実施例1と同様にして組
織観察したところ、板状結晶の発達は顕著である
が、結晶粒と結晶粒の間に比較的粗大な空孔が多
数存在していた。 実施例 4 出発原料として実施例1に記載した炭化珪素微
粉をさらに粒度分級し、比表面積を33.0m2/gに
調製した炭化珪素微粉を使用した。前記炭化珪素
微粉は93.2%がβ型結晶よりなり、0.45重量%の
アルミニウム、0.36重量%の遊離炭素、0.22重量
%の酸素を含有していた。 前記炭化珪素微粉96.7gと実施例1に記載した
炭化ホウ素粉3.3gと固定炭素含有率56.3重量%
の高ピツチ粉4.0gとの混合物に対してアセトン
150mlを添加して3時間ボールミル処理を行つ
た。前記スラリーより実施例1と同様の操作で生
成形体を作成し焼結した。 得られた焼結体は0.45重量%のアルミニウム
2.40重量%の遊離炭素を含有し、3.10g/cm3(相
対理論密度率約96.6%)の密度を有しており、実
施例1と同様に粉末X線回折測定を行つた結果
4H型結晶を84.3%、6H型結晶を7.8%含有してお
り、残部はβ型結晶よりなることが確認された。
さらに実施例1と同様に3点曲げ強度を測定した
ところ室温で75Kg/mm2の平均強度を有していた。 実施例 5 出発原料として実施例1に記載した炭化珪素微
粉99.7gと実施例1に記載した炭化ホウ素粉末を
さらに粒度分級し、比表面積を46.3m2/gに調製
した炭化ホウ素0.4gと平均粒径210A、比表面積
123m2/gのカーボンブラツク(三菱化成会社製、
ダイヤブラツク)1.5gとの混合物に対し、ア
セトン150ml、ポリエチレングリコール0.7mlを添
加し、10時間ボールミル処理した後スラリーを噴
霧乾燥した。この乾燥粉末を適量採取して実施例
1と同様に生成形体を作成し、タンマン型焼結炉
に装入して60KPaに維持されたアルゴンガス雰囲
気で焼結した。焼結温度に至る昇温過程は室温〜
1600℃が40℃/min、1600〜1700℃が3℃/
min、さらに2050℃で10℃/minで昇温し、最高
温度2050℃で40分間保持した。前記焼結時におけ
るCOガス分圧は最高値で0.3KPaであつた。 得られた焼結体は0.45重量%のアルミニウム、
1.63重量%の遊離炭素を含有し、3.04g/cm3(相
対理論密度率約95.3%)の密度を有しており、実
施例1と同様に粉末X線回折測定を行つた結果
4H型結晶を82.1%、6H型結晶を11.7%含有して
おり、残部はβ型結晶よりなることが確認され
た。さらに実施例1と同様に3点曲げ強度を測定
したところ室温で73Kg/mm2の平均強度を有してい
た。 比較例 4 実施例1に記載したと同様にして合成した炭化
珪素微粉であるが、β型結晶の含有率が87.3%で
残部が2H型結晶よりなり、0.44重量%のアルミ
ニウム、0.35重量%の遊離炭素、0.22重量%の酸
素を含有し、17.1m2/gの炭化珪素微粉を使用
し、実施例1と同様の操作で焼結体を得た。 得られた焼結体は2.94g/cm3(相対理論密度率
約91.5%)と比較的高い密度を有していたが、実
施例1と同様に3点曲げ強度を測定したところ室
温で66Kg/mm2と比較的低強度であつた。この焼結
体を実施例1と同様の方法で組織観察したとこ
ろ、焼結体内部に極めて粗大な板状結晶が生成
し、さらに粗大な空孔も存在していることが確認
された。 以上述べた如く、本発明の焼結体は、従来の無
加圧焼結法では得ることの困難であつた極めて高
強度の焼結体、例えば室温における3点曲げ強度
が70Kg/mm2以上の焼結体であり、特にガスタービ
ン部品、高温熱交換器のような苛酷な条件下で使
用される高温構造物の如き用途において非常に優
れた特性を有するものである。
【図面の簡単な説明】
第1図は炭化珪素焼結体の3点曲げ強度と焼結
体密度との関係を示す図、第2図は炭化珪素焼結
体の3点曲げ強度と焼結体に含有される4H型結
晶と6H型結晶の含有率の和との関係を示す図、
第3図は実施例1に記載の焼結体の走査型電子顕
微鏡写真(750倍)、第4図は実施例1に記載の焼
結体の走査型電子顕微鏡写真(1500倍)、第5図
は実施例1に記載の焼結体の粉末X線回折図、第
6図は比較例1に記載の焼結体の走査型電子顕微
鏡写真(750倍)、第7図は比較例2に記載の焼結
体の走査型電子顕微鏡写真(750倍)、第8図は本
発明の実施例1において使用した主としてβ型結
晶よりなる炭化珪素の製造装置の縦断面図であ
る。 1…原料装入口、2…予熱帯、3…加熱帯、4
…冷却帯、5…生成物排出口、6…反応容器、7
…黒鉛製電気抵抗発熱体、8…黒鉛製反射筒、9
…断熱層、10…非酸化性ガス装入口、11…案
内電極、12…可撓導体、13…ブスバー、14
…測温パイプ、15…外殻、16…耐火煉亙、1
7…排気ダクト。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 炭化珪素微粉を無加圧焼結する炭化珪素焼結
    体の製造方法において、 アルミニウムを0.1〜1.0重量%固溶し、β型結
    晶の炭化珪素が90%以上である炭化珪素微粉100
    重量部とホウ素含有量に換算して0.1〜3.0重量部
    のホウ素含有添加剤と固定炭素含有量に換算して
    1.0重量部を越え4.0重量部以下の炭素質添加剤を
    均質混合する第1工程; 前記均質混合物を任意の形状を有する生成形体
    に成形する第2工程; 前記生成形体をアルゴン、ヘリウム、ネオン、
    クリプトン、キセノン、水素から選択される少な
    くとも1種からなるガス雰囲気中で1900〜2100℃
    で焼結する第3工程; 前記第1〜3工程の組合せからなる4H型結晶
    あるいは6H型結晶のいずれか少なくとも1種が
    80〜95%、残部は主としてβ型結晶よりなり、残
    留遊離炭素を1.0重量%を越え3.0重量%以下含有
    し、少なくとも3.0g/cm3の密度を有する高強度
    炭化珪素焼結体の製造方法。 2 前記第1工程における炭化珪素微粉は、炭化
    珪素を製造する際の原料中にアルミニウム含有添
    加剤を添加したり、あらかじめアルミニウムを多
    く含有する原料を使用したりして製造された炭化
    珪素微粉である特許請求の範囲第1項記載の高強
    度炭化珪素焼結体の製造方法。 3 前記ガス雰囲気中のCOガス分圧は10KPa以
    下である特許請求の範囲第1あるいは2項のいず
    れかに記載の高強度炭化珪素焼結体の製造方法。 4 前記第3工程の焼結温度に至る昇温過程のう
    ち1550〜1700℃の温度範囲内を少なくとも20分間
    かけて昇温する特許請求の範囲第1〜3項のいず
    れかに記載の高強度炭化珪素焼結体の製造方法。 5 前記第3工程の焼結温度に至る昇温過程のう
    ち1550〜1700℃の温度範囲内において少なくとも
    20分間雰囲気中のCOガス分圧を1KPa以下に維持
    する特許請求の範囲第1〜4項のいずれかに記載
    の高強度炭化珪素焼結体の製造方法。 6 前記第1工程における炭素質添加剤の混合量
    は下記式から導かれるX重量部である特許請求の
    範囲第1〜5項のいずれかに記載の高強度炭化珪
    素焼結体の製造方法。 5.5V+70A/B≦X≦15V+150A/B 但し、V:炭化珪素微粉の比表面積(m2
    g)、 A:炭化珪素微粉の酸素含有率(重量%)、 B:炭素質添加剤の固定炭素含有率(重量%)、 X:炭素質添加剤の混合量(重量部)。
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