JPS6124556B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はトロコイド曲線の２弧状の筒型内面を
有すると共に複数の円板状の部分からなるケース
と、偏心軸の偏心体上を回転する３角状のピスト
ンとからなり、該ピストンがその角部で筒型内面
と常に滑り接触している全包囲型回転ピストン圧
縮機に関する。

この様な圧縮機は閉鎖冷凍回路又は圧縮空気ブ
レーキ系に用いられる。そのケースはボルトによ
り軸方向に固定され、その円板状部分がずれたり
捩れたりするのを防いでいて、相互接合位置は漏
れ止めを挿入することにより気密保持されてい
る。この様な構成は多数のボルト止めを設けなけ
ればならないのでその装着が高価なものとなる。
冷凍機の圧縮機では漏れ止めに化学的な作用が生
じるという危険があり、この作用は長時間に亘つ
て作動媒体の損失を可なりなものとすることがあ
る。

ボルト止めケースを外套部により包囲した包囲
型圧縮機もある。米国特許第3135460号明細書及
びドイツ連邦共和国特許第1428050号公開公報
は、シリンダー部分と２個の蓋からなりボルト止
めされ、気密に構成した包囲ケースを例示してい
る。

ドイツ連邦共和国特許第822393号明細書及び特
許第2012233号公開公報は、溶着又は溶接により
包囲ケースを閉鎖したものを例示している。ドイ
ツ連邦共和国特許第2012233号公開公報によれ
ば、圧縮機ケースの各部が、２個の合せピンによ
りその相互位置を固定され、包囲蓋が凸円筒部分
と溶接されている。この場合、ケースを密接して
共圧するのに必要な圧力を得るのには難点があ
る。従つて前記公開公報ではこれに加えて合せボ
ルトを用いることを提案し、このボルトを包囲蓋
及びケース部分に貫通させ共締めする。しかしこ
の構成は組立てコストが大きく、溶接時に熱歪を
起しやすく、又運転中の熱でケース部分が膨張し
て働いたりする。

本発明の課題は、このような欠点又は運転中の
不安定さ、特に、周知の構造で生じる製造コスト
高をなくすことにある。更に、本発明の課題は、
閉鎖回路系、例えば自動車又はブレーキ系に監視
なしで用いることができ、且つ出来るだけ小さな
寸法で簡潔な構造様式を提供することにある。平
たくまとめれば本発明の課題は、軸方向にもラジ
アル方向にも出来るだけ小さな構造長さを有する
ような安価で大量生産により簡単に製造しうるよ
うな初めに述べた種の圧縮機を創ることにある。

この課題は、円板状部分が２個の貫通ボルトの
みで相互に結合され、包囲ケースによつて取り囲
まれており、該包囲ケースは圧縮機の一方に吐出
口を有するわん曲蓋を有し、該蓋は低圧部分から
高圧部分を分離するカバーを包囲し、該カバーと
蓋とは流入導管用の接続部を形成する中央部分に
より結合され、該カバーは円板状部分の隣接側部
分の肩に気密に係合し、さらに包囲ケースはかな
り大きな力をもつて、蓋の方に向いた側部分の外
縁周りを包囲する肩状へこみと、もう一方の側部
分の外縁周りを包囲する曲げ部分とで前記円板状
部分を把持し、さらに圧縮機のピストンが一端面
に側壁を有して深なべ状に形成され、さらに圧縮
機の構造長を短くするためにピストン内にバラン
ス重量体を設けるように構成することにより解決
される。

次に図面に示した実施例により本発明を詳細に
説明する。

図示の圧縮機はトロコイド曲線の２弧状の筒型
内面１を有し、該内面１に、偏心体２周りを回転
する３角状のピストン３がその角部で歯車４の制
御を受けて常に滑り接触をする。

左の側部分５内には流入溝６が設けられ、該流
入溝６は側壁８内にポケツト状のへこみ７を形成
し、該へこみ７はピストン３内の孔９を介して右
側壁１１内の同様のへこみ１０に接続している。
へこみ１０は第２図でピストン３により部分的に
かくされている。このへこみの角部は吸入室１
４，１５内への流入口１２，１３を形成してい
る。圧縮機１８，１９からの流出口１６，１７は
筒型内面１を通り、ケース外筒内部分２０内を軸
方向に装着された圧力弁２１により制御される。

ピストン３は第１図において右側方向へ開いて
形成され、その逆側にのみ側壁を有している。側
壁には前述の孔９が開いている。ピストン３のな
べ状の中空内室内にはカウンター重量体２２が設
けられ、その半径方向外側の周２３は、偏心体２
の軸を中心点とする円弧を形成している。第２図
において、このカウンター重量体はピストン３の
孔を通して見える。この構成で、圧縮機の構造長
を長くすることなく、カウンター重量体を大きく
することができる。

流入溝６への作動媒体の供給は丸り蓋状のカバ
ー２４により行われ、該カバー２４はその外縁で
側部分５の肩２５内に気密に適合している。カバ
ー２４はその中央部分２６で包囲ケース２８の蓋
に溶接されている。中央部分２６内には流入口が
ねじ止めできる。このカバー内ではバランス重量
体２９が回転する。カバー２４は、高圧部分と低
圧部分を分離し、蓋の機械的剛性を大きくすると
いう課題を有している。

包囲ケース２８は圧縮機ケースを包囲し、該圧
縮機ケースは左側側部分５、ケース外筒部分２０
及び右側側部分３０とからなる。包囲ケース２８
はこの３つの部分５，２０，３０を側部分５の外
縁にその肩状へこみ３１で、側部分３０の外縁に
曲げ部分３２で共に緊締している。包囲ケース２
８の蓋２７はカバー２４周りに中空室３３を形成
し、該中空室３３内には吐出口３４が開口してい
る。

ケース外筒部分２０はその外周に、へこみ３５
を有しへこみ３５は弁２１によつてのみ中断され
ている。へこみ３５は比較的巾狭く側部分５，３
０に接触する外縁３６を形成している。包囲ケー
ス３７，３８で略示的に示されている円回転する
プレス工具で肩状へこみ３１と曲げ部分３２とを
形成しながら大きなプレス圧力で圧縮機ケース
５，２０，３０にかしめ付けられている。この場
合、側部分５，２０の外縁とケース外筒部分２０
の外縁とはわずかに内方に曲げられ、従つてケー
ス外筒部分と側部分間の接合は、ケース外筒部分
２０の両外縁３６が側部分の外縁から曲げ応力を
受けて常に気密に保持され、そしてケース外筒部
分と側部分とは相互にその位置に継続的に固定さ
れる。従つて圧縮機ケースを多数のねじ止めする
コストは必要としない。むしろ２本のボルト３
９，４０のみで充分である。前述の接合位置に
は、圧縮機ケースを、圧縮機ケースと包囲ケース
間に設ける粘性の高い漏れ止めで気密保持するこ
ともできる。この技術思想で別のケース漏れ止め
は必要としない。従つて漏れ止めを劣化させるよ
うな化学的に活性のある作動媒体を用いても危険
なく連続的に長時間に作動する。

本発明による圧縮機は従来周知の構造様式のも
のに比べ特に簡単に組立てることができる。ケー
ス外筒部分及び側部分はピストンを装入した後に
ケース漏れ止めなしに組合せ、ボルト３９，４０
を締結することにより整合されて結合される。漏
れ止めをケース外筒部分２０と側部分の接合位置
に設けたのち、包囲ケースを取り付け、プレス工
具で共締めし、その際包囲ケースはその最終形状
になる。予め包囲ケース内に溶接したカバーは肩
２５上に気密に保持される。

この技術思想は、任意で寸法の小さい高出力の
圧縮機の製造を可能とする。カウンター重量体を
ピストン内に設けることにより、可成り寸法を小
さくすることができ、このことはこの種の包囲型
圧縮機では所望であり且つ必要なことである。

以下に本発明の構成とその作用効果との関係を
述べることにする。

ねじ止めを避けるために包囲ケース２８によつ
てケース部分（側部分及び外筒部分）を締め付け
ることによつて、ねじ穴が省略できるためにラジ
アル方向の圧縮機の寸法を小さくしうるものであ
る。

またピストンの一側にのみ可動の密閉部材を設
ける構成により、製造が著しく簡単になり値段を
安くすることができる。

偏心体２を取り囲むようにピストン３内にカウ
ンター重量体２２を設ける構成によつて、圧縮機
の軸方向の長さが元来ピストン３に並んで設けら
れていたカウンター重量体の幅分だけ短縮出来る
ことになる。とりわけそれによつて軸を曲げるモ
ーメントが避けられ、従つて軸の太さを細くする
こともできる。

更に作動媒体（圧縮されたガス）の集まる空間
としての包囲ケースを軸方向に密閉するように形
成し且つ丸い蓋状のプレス加工されたカバー２４
を用いて吸い込まれた作動媒体を両方の流入へこ
み７，１０へ分配するためその前方空間を分離す
る構成が成されている。これによつて複雑な鋳型
を必要とする側方部分に流入口及び流出口を設け
なくて済み、これもまた非常に簡単な大量生産を
可能とするものである。

包囲ケース２８をプレス加工する圧力によつて
包囲側部分５，３０の縁部は軸方向内側へと曲げ
られるがその曲げは僅かなものである。これらの
側部分はそれによつて外筒部分と極めてしつかり
と締め付けられ、ラジアル方向に対して外筒部分
と側部分とのずれは完全に防止される。プレス加
工圧の強度によつて側方部分と外筒部分とのねじ
れ、側方部分と側方部分とのねじれも確実に排除
されることになり、且つそれらの部分間の間隙を
完全に密閉できるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による回転ピストン圧縮機の第
２図の断面線−を示す縦断面図であり、第２
図は第１図の断面線−を示す。 １…筒型内面、２…偏心体、３…ピストン、
５，３０…側部分、２０…外筒部分、２２…カウ
ンター重量体、２４…カバー、２５…肩、２６…
中央部分、２７…蓋、２８…包囲ケース、３１…
肩状へこみ、３２…曲げ部分。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ トロコイド曲線の２弧状の筒型内面を有する
   と共に複数の円板状の部分からなるケースと、偏
   心軸の偏心体上を回転する３角状のピストンとか
   らなり、該ピストンがその角部で筒型内面と常に
   滑り接触している全包囲型回転ピストン圧縮機に
   おいて、円板状部分５，２０，３０が２個の貫通
   ボルト３９，４０のみで相互に結合され、包囲ケ
   ース２８によつて取り囲まれており、該包囲ケー
   ス２８は圧縮機の一方に吐出口３４を有するわん
   曲蓋２７を有し、該蓋２７は低圧部分から高圧部
   分を分離するカバー２４を包囲し、該カバー２４
   と蓋２７とは流入導管用の接続部を形成する中央
   部分２６により結合され、該カバー２４は円板状
   部分の隣接側部分５の肩２５に気密に係合し、さ
   らに包囲ケース２８はかなり大きな力をもつて、
   蓋２７の方に向いた側部分５の外縁周りを包囲す
   る肩状へこみ３１と、もう一方の側部分３０の外
   縁周りを包囲する曲げ部分３２とで前記円板状部
   分５，２０，３０を把持し、さらに圧縮機のピス
   トン３が一端面に側壁を有して深なべ状に形成さ
   れ、さらに圧縮機の構造長を短くするためにピス
   トン３内にバランス重量体２２を設けていること
   を特徴とする圧縮機。 ２ ケース外筒部分２０がその周に連続的なへこ
   み３５を有し、該へこみ３５はケース外筒部分の
   外縁３６を両側に形成させ、該外縁３６は隣接側
   部分５，３０に接触していることを特徴とする特
   許請求の範囲第１項に記載の圧縮機。 ３ 側部分５，３０の外縁とケース外筒部分２０
   の外縁とが、包囲ケース２８の肩状へこみ３１と
   その曲げ部分３２により生じた圧力の下でわずか
   に内方に曲げられていることを特徴とする特許請
   求の範囲第１項または第２項に記載の圧縮機。 ４ ケース外筒部分２０と側部分５，３０の接合
   位置及び側部分と包囲ケースの接合位置に漏れ止
   めを設けていることを特徴とする特許請求の範囲
   第１項、第２項または第３項に記載の圧縮機。 ５ カウンター重量体２２の曲率中心が偏心体２
   の軸上にあることを特徴とする特許請求の範囲第
   １項に記載の圧縮機。 ６ 肩状へこみ３１が一方の側部分５の外縁に、
   曲げ部分３２がもう一方の側部分３０の外縁にそ
   れぞれプレス工具で形成されることを特徴とする
   特許請求の範囲第１項、第２項または第３項に記
   載の圧縮機。