JPS6047444B2 - スクロ−ル型流体装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、スクロール型流体装置、特に駆動時のバラ
ンスを維持する装置に関する。

従来、側板上に固定されたうず巻き体を有するスクロ
ール部材の二つを両うず巻き体を互いに角。

度をすらせてかみ合うように重ね合わせ、両うず巻き体
間に形成される流体ポケットを一方のスクロール部材の
他方に対する自転のない円軌道運動によつて任意の方向
に移送するスクロール型流体装置は各種提供されている
。ところで、この種のスクロール型流体装置は通常、流
体を圧縮するのに用いられるため、例えは特公昭５６−
２８２３月公報に示すように、うす春休をスクロール部
材の周辺部分から中心近くに至るまで長く形成し、周辺
部分て取り込んだ流体を圧縮しつつ中央部へ移動させ、
そして充分に圧縮した上て中央の吐出口から吐出するよ
うに構成されている。 しカルながら、流体の圧縮を目
的としない場合、すなわち例えは流体の移送のみを目的
とする場合には、上述したような流体圧縮機能は不要な
ばかりか、運転時に必要以上の大きな駆動力を要し、か
つ重量増の原因にもなるという問題をもつ。

またスクロール部材に円軌道運動を与えるのには、ク
ランク機構が用いられている。

即ち、軸受支持された回転駆動される主軸の一端に偏心
したクランクピンを設け、このクランクピンの先端を、
スクロール部材の側板の背面に設けた円筒状空部にベア
リングを介して嵌合させている。しかしこのようにスク
ロール部材の駆動にクランク機構を用いると、駆動時に
は、円軌道運動を行う部品全体の重心により、主軸の軸
受部分からすれた位置に遠心力が生じ、主軸に揺動力を
与えるおそれがある。この種の遠心力はバランスウエー
トを設けることにより相殺できることが知られている。
しカル従来のスクロール型流体装置の構造に鑑みると、
そのようなバランスウエートは、スクロール部材とは軸
方向において位置ずれした部分に設けざるを得ないため
、結果として、軸方向の寸法が大きくなつてしまう。そ
れ故に本発明の目的は、流体を移送するのに適しかつ軽
量のスクロール型流体装置を提供することにある。

本発明の他の目的は、軸方向寸法を増大させることなく
、重心位置のアンバランスにより生じる遠心力を解消し
た小型のスクロール型流体装置を提供することにある。

本発明の他の目的は、バランスウエートが一個ですむス
クロール型流体装置の提供にある。本発明は、板体の一
面上にうず巻き体を設けてなる一対のスクロール部材を
両方のうず巻き体が互いに角度すれをもつて嵌合するよ
うに重ね合わせて両方のうず巻き体間に流体ポケットを
形成し、一方のスクロール部材を他方のスクロール部材
に対して円軌道運動させることにより該流体ポケットを
位置移動させて流体を送るスクロール型流体装置におい
て、うず巻き中央部に空間を設け、一方のスクロール部
材を駆動するためのクランクピンを該一方のスクロール
部材の板体に貫通させて該中央部の空間に露出させ、該
露出端にクランクジャーナルセンターに関して該クラン
クピンと１８００の角度だけずれた位置に重心を有する
バランスウエートを設けたことを特徴とする。さらに本
発明は、該バランスウエートの重心の軸方向位置が該一
方のスクロール部材の重心の軸方向位置と一致している
ことをも特徴としている。以下、実施例を示す図面を参
照しながら説明する。

第１図は本発明によるスクロール型流体装置の一実施例
を示している。

この流体装置は、フロントエンドプレート１１とこのプ
レートに開口端をボルト等にて固定されたカップ状部分
１２とを有するハウジング１０を含んでいる。フロント
エンドプレート１１には主軸１３がグリースシール作用
を有するベアリング１４によつて回転自在に貫通支持さ
れている。

主軸１３はハウジング１０の内部にクランクピン１３１
を有したものである。クランクピン１３１の中心は、主
軸１３の中心に対し距離ＲＯｒだけすれた位置にある。
プレート１１の前面にはさらにプ−リー支持部材１５が
設けられている。このプーリ一支持部材１５はプレート
１１と一体に設けられてもよいし、また別体の部品をプ
レート１１にボルト等で固着せしめてもよい。プーリ一
支持部材１５の先端のスリーブ１５１にはプーリ−１６
がベアリング１７によつて回転自在に塔載されている。
プ−リー１６はさらにキー１８、ボルト１９およびシム
２１によつて主軸１３の外端にしつかりと固定されてい
る。かくして外部駆動源からの回転力は、プーリ−１６
に掛けわたされたベルト（図示せず）を介して主軸１３
に伝達され得るようになつている。カップ状部分１２は
内部に側板１２１と一体に形成された１．５〜２．０回
巻きのうず巻き体１２２を有している。うず巻き体１２
２は中央部を除いて設けられる。側板１２１およびうず
巻き体１２２は固定スクロール部材を構成する。さらに
側板１２１には吐出口１２３が形成され、また外周板１
２４には吸入口１２５が形成されている。カップ状部分
１２の内部にはさらに可動スクロール部材２２が配置さ
れている。

可動スクロール部材２２は側板２２１の一面上に中央部
を除いて１．５〜２．０回巻きのうす巻き体２２２を一
体に形成したものてあり、カップ状部分１２の固定スク
ロール部材を構成する部分に重ね合わされている。その
際、両方のうず巻き体１２２，２２２が互いに角度すれ
をもつて嵌合し、これによりそれらの間に流体ポケット
２３を形成している。このよう・な周辺部に形成される
流体ポケット２３は、中心近くに形成される場合よりも
比較的大きな容積をもつことはいうまでもない。また中
央部には比較的広い空間２４が形成されている。可動ス
クロール部材２２の側板２２１のほぼ中・央には、主軸
１３のクランクピン１３１が貫通している。

側板２２１にはクランクピン１３１の周囲を囲むように
、うず巻き体２２２よりも高さの低い筒状部２２３が一
体に形成されている。そしてニードルベアリング２５と
、筒状部２２３の先ノ端内面のグリースシール作用を有
するボールベアリング２６とによつて、可動スクロール
部材２２はクランクピン１３１に軸受支持されている。
また可動スクロール部材２２とフロントエンドプレート
１１との間には、可動スクロール部材２２の公転を許し
つつ回転を禁止する自転防止機構２７が備えられている
。この自転防止機構２７は種々の機構にて実施できるこ
というまでもない。なお、２８はグリースシールである
。このような構成において、プーリ−１６の回転により
主軸１３が回転させられると、可動スクロール部材２２
が自転することなく半径ＲＯｒをもつて円軌道運動をし
、流体ポケット２３を外周から中央へ移動させ、吸入口
１２５からの流体を吐出口１２３から排出する作用を行
う。

ここで流体ポケット２３は周辺部分に形成されたもので
あるため比較的大きな容積をもち、したがつて流体の移
送を能率よく行なわせることができる。なお主軸１３を
反対回りに回転させると、流体ポケット２３は中央から
外周へ移動させられ、その結果、流体の流れは逆向きに
なる。ところで可動スクロール部材２２およびベアリン
グ２５，２６等の円軌道運動を行う部品全体の重心はク
ランクピン１３１と軸心と一致したＧ１の地点にあるた
め、駆動時にはその重心Ｇ１により片寄つた遠心力Ｆ１
が作用してしまう。

この遠心力を補正するために、クランクピン１３１の空
間２４に露出した端部に第一のバランスウエート３１を
、主軸１３の軸心に関してクランクピン１３１と１８０
０の角度だけずれた位置に重心Ｇ２を有するように設け
る。クランクピン１３１に対する第一のバランスウエー
ト３１の取付けは、ここではスプリングワッシャ３２、
キー３３およびスナップリング３４等の部品を用いて行
われているが、他の構造にて実施されてもよい。こうし
て第一のバランスウエート３１が設けられても、重心Ｇ
１およびＧ２の位置が軸方向て相違することによるアン
バランスは解消されない。

そこでこのアンバランスによる問題を除くために、主軸
１３の外端に第二のバランスウエート３５を、主軸１３
の軸心に関して第一のバランスウエート３２の重心Ｇ２
と角度ずれのない位置に重心Ｇ３を有するように設ける
。この第二のバランスウエート３５は、プーリ−１６を
主軸１３に取付けるための部分の肉厚を厚くすることに
より設け・られている。ここで、駆動時の第一および第
二のバランスウエート３１，３５による遠心力Ｆ２およ
びＦ３は、Ｆ１＝Ｆ２＋Ｆ３になるように設計されるべ
きである。

このような構造のスクロール型流体装置によれば、駆動
時に作用する遠心力のアンバランスが解消される。

その上、第一および第二のバランスウエート３１，３５
の同じ向きに作用する遠心力Ｆ２，Ｆ３の和によつて遠
心力Ｆ１を相殺するタイプであるため、第一のバランス
ウエート３１による遠心力Ｆ２は比較的小さくてもよく
、したがつて第一のバランスウエート３１の重量や重心
Ｇ２のフ回転半径を小さく設計することができるという
利点もある。なお第一のバランスウエート３１を筒状部
２２３の外側の隙間３６に延長させた構造とすることは
好ましく、それによれは重心Ｇ２の軸方向位置・が重心
Ｇ１の軸方向位置に近づくことになるので、第二のバラ
ンスウエート３５を小さく設計することができる。

さらに第２図に示す如く、第一のバランスウエート３１
をその重心Ｇ２の軸方向位置を重心Ｇ１の軸方向位置と
一致するように設けると、第二のバランスウエート３５
は想像線で示すように不要になる。上述したように本発
明のスクロール型流体装置によれば、流体圧縮機能を実
質的にもたないため駆動力が小さくてすみ、かつ流体ポ
ケットが周辺部分に形成されているため、容量の減少を
招くことなく流体の移送を能率よく行わせることかてき
、したがつて流体の移送のみを行なうのにきわめて好適
てある。

また中央部分は空所とされ、ここにはうず巻体が形成さ
れていないので、可動のスクロール部材の軽量化によつ
て駆動時の遠心力の減少を計ることができ、したがつて
バランスウエートも軽量化が可能であるため、全体の重
量も小さくできる。

またバランスウエートはスクロール部材の中央の空所に
設けられるので、そのバランスウエートを設けたことに
よつて軸方向寸法が増大するというような問題は生じな
いし、かつアンバランスを効果的に相殺するためにもき
わめて有利てある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明によるスクロール型流体装置の一実施例
の縦断面図、第２図は他の実施例の縦断面図である。 １０・・・・・・ハウジング、１１・・・・・・フロン
トエンドプレート、１２・・・・・・カップ状部分、１
２１・・・・・・側板、１２２・・・・・・うず巻き体
、１３・・・・・・主軸、１３１・・・・・・クランク
ピン、１４・・・・・・ベアリング、２２・・・・可動
スクロール部材、２２１・・・・・・側板、２２２・・
・・・うず巻き体、２３・・・・・流体ポケット、２４
・・・空間、２７・・・・・自転防止機構、３１・・・
・・・第一のバランスウエート、３５・・・・・第二の
バランスウエート。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 板体の一面上にうず巻き体を設けてなる一対のスク
   ロール部材を両方のうず巻き体が互いに角度ずれをもつ
   て嵌合するように重ね合わせて両方のうず巻き体間に流
   体ポケットを形成し、一方のスクロール部材を他方のス
   クロール部材に対して円軌道運動させることにより該流
   体ポケットを位置移動させて流体を送るスクロール型流
   体装置において、うず巻き中央部に空間を設け、上記一
   方のスクロール部材を駆動するためのクランクピンを該
   一方のスクロール部材の板体に貫通させて該中央部の空
   間に露出させ、該露出端にクランクジャーナルセンター
   に関して上記クランクピンと１８０゜の角度だけずれた
   位置に重心を有するバランスウエートを設けたことを特
   徴とするスクロール型流体装置。 ２ 特許請求の範囲第１項記載のスクロール型流体装置
   において、上記バランスウエートはその重心の軸方向位
   置が上記一方のスクロール部材の重心の軸方向位置と一
   致しているもの。