JPS6330515B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は車両用空調装置における冷媒の圧縮等
に用いる回転圧縮機に関するものである。

（従来技術及びその問題点） 一般の回転圧縮機、例えば、ベーン型圧縮機は
第１図に示すように構成されている。即ち、内周
面にカム面を形成したカムリング１と、該カムリ
ング１の両端に配設されたフロント側のサイドブ
ロツク２およびリア側のサイドブロツク３とによ
り画成されたロータ室内に、駆動軸４に固着され
たロータ５が回転自在に配設されている。該ロー
タ５の外周面には複数のスリツト６が放射状に形
成され、各スリツト６内に収納されたベーン７が
前記ロータ５の回転に伴つて前記カムリング１の
内周面に摺接しながら、前記スリツト６内を半径
方向に進退し、前記両サイドブロツク２，３、カ
ムリング１の内周面およびロータ５の外周面と協
働して、ポンプ室８が画成される。前記フロント
側のサイドブロツク２の軸方向外方には、冷媒吸
入口１０を形成したシリンダヘツド９が配設され
ている。前記両サイドブロツク２，３およびカム
リング１は、前記シリンダヘツド９と隣り合つて
配設されたカツプ状のシエル１２によつて覆われ
ており、このシエル１２とカムリング１およびリ
ア側のサイドブロツク３とによつて、吐出圧室１
３が画成されている。前記シリンダヘツド９とシ
エル１２とは、互いに隣接する端部にフランジ９
ａ，１２ａが夫々一体に形成され、これらのフラ
ンジ９ａ，１２ａをボルト１１で締着することに
より、前記シエル１２がシリンダヘツド９に固定
されている。

ところで、一般に、この種のベーン型圧縮機の
圧縮能力は、ポンプ室８の吐出容量により決定さ
れるが、ポンプ室８の軸方向の長さ、即ち、カム
リング１、ロータ５およびベーン７の軸方向の長
さを変えることによつて、ポンプ室８の吐出容量
を変えて圧縮機の圧縮能力を必要に応じて変更で
きるように構成されている。

しかしながら、第１図に示した従来の圧縮機に
おいては、シエル１２は、その一端に閉塞壁１２
ｂを有しているので、カムリング１等の軸方向の
寸法に応じて異なる軸長のシエル１２を形成しな
ければならない。このようなシエル１２は一般に
プレス加工により形成されており、従つて、多数
のプレス型を用意しなければならず、コスト高に
なる等の問題があつた。

また、第１図に示した従来の圧縮機において
は、シエル１２とシリンダヘツド９との突き合せ
部分に、夫々半径方向外方に突出するフランジ９
ａ，１２ａが形成されているため、圧縮機の半径
方向の寸法が大きくなり、取付性が悪いという問
題があつた。

更に、ポンプ室８の軸方向の寸法を容易に変更
可能にするために、従来、第２図に示すように、
シエルを除去し、リア側のサイドブロツク３の軸
方向外方に、前記シリンダヘツド９と略同形のリ
ア側のシリンダヘツド１４を隣接配置することに
より、ボルト１５，１６の軸長を変えるだけで、
カムリング１等の軸長を自由に変更できるように
したベーン型圧縮機が提案されている。しかしな
がら、このような第２図に示す従来の圧縮機にお
いては、両サイドブロツク２，３およびカムリン
グ１が圧縮機の外側にむき出しにされている。従
つて、カムリング１と両サイドブロツク２，３と
の各接合部Ａ，Ｂや各サイドブロツク２，３と対
応するシリンダヘツド９，１４との各接合部Ｃ，
Ｄから圧縮機外部へ冷媒が漏洩するのを防止する
ために、これらの接合部Ａ，Ｂ，Ｃ，Ｄの加工精
度を高めなければならないと共に、各接合部Ａ〜
Ｄにシール部材を介装する必要があるので、シー
ル部材の数が多くなり、部品点数が多くなつて圧
縮機の製造コストが高くなる。また、各接合部Ａ
〜Ｄにシール部材を介装する必要上、これら各接
合部Ａ〜Ｄの接触面積を大きくする必要があり、
従つて圧縮機の半径方向の寸法が大きくなると共
に圧縮機の重量が大きくなる等の問題があつた。

本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、カ
ムリング、ロータおよびベーン等の軸長を変える
ことにより、ポンプ室の吐出容量を変えて圧縮能
力の変更が容易で、しかも、コストダウンを円滑
には図ることができると共に、半径方向の寸法を
縮少し得るようにした回転圧縮機を提供すること
を目的とするものである。

（問題点を解決するための手段） 上述した問題点を解決するため本発明の回転圧
縮機は、内周面にカム面を形成したカムリング
と、該カムリングの両端に配設されて該カムリン
グと協働してロータ室を画成するフロント側のサ
イドブロツクおよびリア側のサイドブロツクと、
前記ロータ室内に回転自在に配設されたロータ
と、前記両サイドブロツクの軸方向外方に夫々配
設されたフロント側のシリンダヘツドおよびリア
側のシリンダヘツドと、前記フロント側のシリン
ダヘツドおよびフロント側のサイドブロツクを貫
通して前記ロータと連結された駆動軸と、前記カ
ムリングと前記両サイドブロツクを覆う如く両端
部が前記両シリンダヘツドの外周に嵌装された円
筒状のカバーと、該カバーの両端部と前記両シリ
ンダヘツドとの間に介装されたシール部材とを備
えたことを特徴とするものである。

（作用） カムリングと両サイドブロツクと両シリンダヘ
ツドの各外周面を覆う如く円筒状のカバーの両端
部を両シンダヘツドの外周に嵌装し、これら両シ
リンダヘツドとカバーの両端部との間にシール部
材を介装した。

（実施例） 以下、本発明の各実施例を第３図および第４図
に基づき説明する。

第３図は本発明の第１実施例を示す回転圧縮機
の断面図で、同図中１はカムリング、２および３
はフロント側およびリア側のサイドブロツクで、
これらカムリング１と両サイドブロツク２，３は
互いに略同一外径に設定されている。前記リア側
のサイドブロツク３の軸方向外方には、リア側の
シリンダヘツド１４が配設されている。このリア
側のシリンダヘツド１４は、フロント側のシリン
ダヘツド９、カムリング１および両サイドブロツ
ク２，３を貫通してリア側のシリンダヘツド１４
内に螺着されたボルト１６によつて、カムリング
１および両サイドブロツク２，３に固定されてい
る。前記リア側のシリンダヘツド４の内側面に
は、仕切壁２１が一体に形成され、該仕切壁２１
の先端面は、前記リア側のサイドブロツク３の外
側面に当接し、これにより、前記リア側のサイド
ブロツク３とシリンダヘツド４との間の空間が、
低圧室１９と高圧室２０とに仕切られている。前
記両シリンダヘツド９，１４は、それらの軸方向
内方端に夫々位置し、前記両サイドブロツク２，
３と略同一外径に設定された小径部９ｂ，１４ｂ
と、これよりわずかに大きい径に設定された大径
部９ｃ，１４ｃとより成り、これらの小径部９
ｂ，１４ｂと大径部９ｃ，１４ｃとの境界には、
半径方向に延びる壁面９ｄ，１４ｄを夫々有して
いる。前記小径部９ｂ，１４ｂの軸方向略中間部
より各対応する壁面９ｄ，１４ｄ側外周面には、
環状溝９ｅ，１４ｅが夫々形成され、これらの環
状溝９ｅ，１４ｅにはＯリング（シール部材）１
７が嵌装されている。前記両壁面９ｄ，１４ｄ間
には円筒状のカバー１８が介装され、該カバー１
８により前記カムリング１および両サイドブロツ
ク２，３が覆われている。前記カバー１８はその
両端部が前記両シリンダヘツド９，１４の小径部
９ｂ，１４ｂの外周面に嵌合されている。前記Ｏ
リング１７は、前記カバー１８によつて押圧され
て該カバー１８の内周面および壁面９ｄ，１４ｄ
に沿つて変形し、該カバー１８の内外の気密を保
つようにされている。また、前記ボルト１６が嵌
挿された孔は、該ボルト１６の頭部とフロント側
のシリンダヘツド９の端面との間に介装された、
例えば銅製のガスケツトによつて気密に保持され
ている。

第４図は本発明の回転圧縮機の第２実施例を示
す要部の断面図である。なお、この第２実施例に
おいて、上述した第１実施例と同一部分について
は図面に同一符号を付して説明する。この第２実
施例は、壁面９ｄ，１４ｄの半径方向の長さを、
前記第１実施例の場合よりも長く設定し、外壁面
９ｄ，１４ｄの半径方向略中間部より小径部９
ｂ，１４ｂ側部分に環状溝９e′，１４e′を形成す
る一方、カバー１８′の両端部に、半径方向外方
に突出するフランジ部１８′ａを夫々形成し、こ
れら両フランジ部１８′ａの外側面により、前記
Ｏリング１７，１７を軸方向に夫々押圧するよう
にしたものである。このように形成されたカバー
１８′は、Ｏリング１７を環状溝９e′，１４e′内
に一層確実に押圧するので、シール効果を増大す
ることができる。

上述のように構成された回転圧縮機によれば、
カムリング１、ロータ５およびベーン７の軸方向
の寸法に応じて、単にカバー１８，１８′、およ
びボルト１５，１６の夫々の軸長を変えるだけで
よく、しかも、カバー１８，１８′は既製の円形
パイプを適宜の長さに切断することにより極めて
容易に製造することができる。また、カムリング
１および両サイドブロツク２，３は、カバー１
８，１８′およびＯリング１７，１７によつて圧
縮機外部から密閉されているので、カムリング１
と両サイドブロツク２，３と、シリンダヘツド
９，１４との各接合部Ａ，Ｂ，Ｃ，Ｄから漏出し
た冷媒が圧縮機の外側に漏洩することがなく、従
つて、これらの各接合部Ａ，Ｂ，Ｃ，Ｄ部分を高
い精度をもつて加工することや、これらの部分に
夫々シール部材を介装することなどが不要にな
る。更に、カムリング１、両サイドブロツク２，
３および両シリンダヘツド９，１４を、これらの
内部を貫通するボルト１６によつて互いに連結固
定するようにしたので、連結部分にフランジを形
成して、そのフランジ同志をボルト止めしていた
従来の圧縮機に比べ、圧縮機の半径方向の寸法を
縮少することができる。また、リア側のサイドブ
ロツク３の軸方向外方端にフロント側のシリンダ
ヘツド９と略同形のリア側のシリンダヘツド１４
を配設し、リア側のサイドブロツク３との間に空
間を画成するように構成したので、該リア側のシ
リンダヘツド１４をフロント側のシリンダヘツド
９と同様に鋳造によつて低コストで製造すること
ができる。また、鋳造によつてリア側のシリンダ
ヘツド１４に仕切壁２１を容易に一体形成して、
前記空間を低圧室１９と高圧室２０とに仕切るこ
とができるので、該シリンダヘツド１４に吸入用
コネクタ２２と吐出用コネクタ２３との両方を取
り付けることも可能である。

（発明の効果） 以上説明したように、本発明の回転圧縮機は、
内周面にカム面を形成したカムリングと、該カム
リングの両端に配設されて該カムリングと協働し
てロータ室を画成するフロント側のサイドブロツ
クおよびリア側のサイドブロツクと、前記ロータ
室内に回転自在に配設されたロータと、前記両サ
イドブロツクの軸方向外方に夫々配設されたフロ
ント側のシリンダヘツドおよびリア側のシリンダ
ヘツドと、前記フロント側のシリンダヘツドおよ
びフロント側のサイドブロツクを貫通して前記ロ
ータと連結された駆動軸と、前記カムリングと前
記両サイドブロツクを覆う如く両端部が前記両シ
リンダヘツドの外周に嵌装された円筒状のカバー
と、該カバーの両端部と前記両シリンダヘツドと
の間に介装されたシール部材とを備えたことを特
徴とするものである。

従つて、カムリング、ロータ等の軸長を変えて
圧縮機の圧縮能力を変更する場合に、既製のパイ
プを適宜長さに切断して得られるカバーおよびボ
ルトを変えるだけで容易に対処し得、しかも、カ
ムリング、両サイドブロツクおよび両シリンダヘ
ツドの各接合部を高精度に加工したり、各接合部
に夫々シール部材を介装したりする必要がないの
で、加工精度が緩和されると共に、シール部材の
配設数も少なくてすみ、コストダウンを円滑に図
れると共に、径方向の寸法も増大せず、取付性が
良好となる等の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は従来のベーン型圧縮機の
縦断面図、第３図は本発明の第１実施例を示すベ
ーン型圧縮機の縦断面図、第４図は本発明の第２
実施例を示すベーン型圧縮機の要部縦断面図であ
る。 １……カムリング、２，３……サイドブロツ
ク、９，１４……シリンダヘツド、１７……Ｏリ
ング（シール部材）、１８，１８′……カバー。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 内周面にカム面を形成したカムリングと、該
   カムリングの両端に配設されて該カムリングと協
   働してロータ室を画成するフロント側のサイドブ
   ロツクおよびリア側のサイドブロツクと、前記ロ
   ータ室内に回転自在に配設されたロータと、前記
   両サイドブロツクの軸方向外方に夫々配設された
   フロント側のシリンダヘツドおよびリア側のシリ
   ンダヘツドと、前記フロント側のシリンダヘツド
   およびフロント側のサイドブロツクを貫通して前
   記ロータと連結された駆動軸と、前記カムリング
   と前記両サイドブロツクを覆う如く両端部が前記
   両シリンダヘツドの外周に嵌装された円筒状のカ
   バーと、該カバーの両端部と前記両シリンダヘツ
   ドとの間に介装されたシール部材とを備えたこと
   を特徴とする回転圧縮機。 ２ 前記カバーは、両端に半径方向外方に突出す
   るフランジ部を有していることを特徴とする特許
   請求の範囲第１項記載の回転圧縮機。 ３ 前記シール部材は、Ｏリングであることを特
   徴とする特許請求の範囲第１項または第２項記載
   の回転圧縮機。 ４ 前記リア側のシリンダヘツドは、前記リア側
   のサイドブロツクと当接する仕切壁が一体形成さ
   れ、該仕切壁によつて前記リア側のシリンダヘツ
   ドとリア側のサイドブロツクとの間を、吸入口が
   開口する低圧室と吐出口が開口する吐出圧室とに
   区画したことを特徴とする特許請求の範囲第１項
   乃至第３項のいずれかに記載の回転圧縮機。