JPS6124531B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、機関の負荷等運転条件に応じて常用
運転領域の最大噴射量の設定値が調整されるよう
にした分配型燃料噴射ポンプに関する。

従来の分配型燃料噴射ポンプとしては、例えば
第１図に示すようなものがある（昭和55年８月日
産自動車株式会社発行 技術解説書「デイーゼル
エンジン」抜粋参照）。この燃料噴射ポンプにお
いて、ポンプハウジング１に取付けられたプラン
ジヤバレル２には圧送兼分配用のプランジヤ３が
摺動自在に挿入され、従来周知の駆動機構によつ
てプランジヤ３が往復並びに回転させられる。プ
ランジヤ３が図で左行する吸入行程にある時はポ
ンプ室４に満されている燃料が吸入ポート５から
プランジヤ３先端の吸入溝６を介して圧力室７に
吸入されプランジヤ３が図で右行する圧送行程に
移ると圧力室７の燃料が圧縮されつつプランジヤ
３の通孔８を経て分配溝９に流れ、この分配溝９
から吐出ポート１０及びデリバリバルブ１１を介
して図示しない各気筒の燃料噴射ノズルへと送り
出される。

前記ポンプ室４に突出したプランジヤ３の基部
には燃料噴射量制御部材としてのコントロールス
リーブ１２を摺動自在に嵌挿しており、前記通孔
８に連通されたカツトオフポート１３がコントロ
ールスリーブ１２の内周面から外れてポンプ室４
に開口すると圧力室７の燃料がカツトオフポート
１３からポンプ室４内に洩流して噴射終りとな
る。従つて、コントロールスリーブ１２の位置を
調整することにより、噴射量が制御され、このコ
ントロールスリーブ１２がガバナ機構で位置調整
される。

このガバナ機構は周知の遠心メカニカルガバナ
であり、機関の回転速度に比例して回転駆動され
るフライウエイト１４の遠心力でガバナシヤフト
１５に挿着したガバナスリーブ１６が押し出され
てレバー機構にフライウエイト１４の動き、つま
り、機関の実際の回転速度を伝える。レバー機構
は、前記ガバナスリーブ１６に当接保持されたス
タートレバー１７と、このレバー１７と共通の支
軸１８を介してコレクタレバー１９に枢着された
テンシヨンレバー２０とからなり、前記コレクタ
レバー１９をハウジング１に支軸２１で枢支して
サポートスプリング２２でフルアジヤストスクリ
ユー２３に押し付け保持させている。又、前記ス
タートレバー１７とテンシヨンレバー２０との間
にはスタートスプリング２４を張設しスタートレ
バー１７と共に公知のコレクタレバーの最大噴射
量位置決め手段を構成している。テンシヨンレバ
ー２０とコレクタレバー２５で回動制御されるコ
ントロールレバーシヤフト２６の偏心位置とをガ
バナスプリング２７及びアイドルスプリング２８
を介して連結する。そして、レバー機構の下部に
はボールヘツドピン２９を設けこのピン２９をコ
ントロールスリーブ１２のピン穴３０に突入嵌合
させることにより、ガバナスリーブ１６とコント
ロールレバー２５との動き、つまり、負荷・回転
に応じてコントロールスリーブ１２の位置（燃料
噴射量）が制御される。

ところが、このような従来の分配型燃料噴射ポ
ンプにおいては、燃料の最大噴射量を設定するコ
レクタレバー１９の位置がフルロードアジヤスト
スクリユー２３で固定されてしまつていたため
に、最大噴射量を必要としない例えば加速時でも
コントロールレバー２５を燃料噴射方向に回動操
作するとガバナスプリング２７及びアイドルスプ
リング２８を介してテンシヨンレバー２０が図で
左側に引かれる。このために、コントロールスリ
ーブ１２が右方向に移動して最大噴射量位置又は
その近傍に至り、その後、機関の回転速度が高く
なるにつれてガバナスリーブ１６によつて減少方
向（左方向）へと押し戻される。従つて、加速瞬
時には必要以上の燃料が供給されてしまうため排
気煙及び排気特性が悪化すると共に、燃費が低下
する原因となつている。

本発明は上記のような不都合を解消するために
なされたものであつて、燃料噴射部材に作用して
該部材の最大噴射量を規制するコレクタレバーの
最大噴射量位置決め手段と、始動時の噴射量増量
位置を規制する始動増量位置決め手段と、を備え
た分配型燃料の噴射ポンプにおいて、前記最大噴
射量位置決め手段を、機関の負荷等運転条件に応
じてコレクタレバーの位置を変化させるべく構成
することにより、機関の出力性能の低下をともな
うことなく不必要な燃料の過剰供給を予防して排
気煙及び排気特性の悪化を防止すると共に、燃費
をも向上させることができる分配型燃料噴射ポン
プを提供することを目的とする。

以下に本発明を第２図乃至第８図に示された実
施例について説明する。

第２図乃至第４図は本発明に係るコレクタレバ
ーの最大噴射量位置決め手段の一実施例を示すも
のであつて、従来同様にして図示しないスタート
レバー及びテンシヨンレバーを軸支保持したコレ
クタレバー１９は、ハウジング１にナツト３１で
固定されたハーフロードセツト用のアジヤストス
クリユー３２と、フルロードセツト用の回動カム
３３を含むカム装置とで位置決め保持され、第２
図で右側に揺動すると最大噴射量の設定値が増加
するようになつている。

ここに、カム３３のカム軸３４は、ポンプハウ
ジング１に嵌着されたカラー３５に回動自在に挿
通保持されており、更に、カム軸３４の外端には
嵌め合い用のセレーシヨン３６と、該セレーシヨ
ン３６にフルロードアジヤストレバー３７を嵌合
保持させるためのねじ部３８を形成している。３
９はレバー３７のの止めねじである。

上記のようにしてカム軸３４の外端部に締付固
定されたフルロードアジヤストレバー３７の先端
部には圧力応動型アクチユエータ４０のロツド４
１を連結している。尚フルロードアジヤストレバ
ー３７は、ポンプハウジング１にナツト４２で固
定されたフルロードアジヤストスクリユー４３で
その最大回転角度が設定される。４４はアクチユ
エータ４０をポンプハウジング１に固定するブラ
ケツトであり、アクチユエータ４０を介してフル
ロードセツト用のカム３３を回転させることでコ
レクタレバー１９をハーフロード位置とフルロー
ド位置とに切換保持できるようにしている。

即ち、アクチユエータ４０のロツド４１が第４
図で左側に移動すると、フルロードアジヤストレ
バー３７を介してカム軸３４が時計回りの方向に
回転する。すると、ハーフロードセツト用のアジ
ヤストスクリユー３２に当接保持されていたコレ
クタレバー１９がカム３３で増量側に押し出され
るので、最大噴射量の設定値が増加される。又、
最大噴射量を必要としない運転条件では、ロツド
４１が逆方向（第４図で右行）に移動してカム３
３を逆方向に回転させその結果燃料の最大噴射量
の設定値を減少する。そしてこのカム３３による
押し出しはコレクタレバー１９がアジヤストスク
リユー３２と当接するハーフロード位置に至つて
解除される。

第５図はアクチユエータ４０の制御装置の一例
を示すものであり、ダイヤフラム４５によつて大
気室４６と圧力室４７とを区画形成し、前記ダイ
ヤフラム４５に取付板４８を介してロツド４１を
固定している。スプリング４９を張設した圧力室
４７には電磁三方弁５０を介して負圧源５１を接
続している。尚、三方弁５０は、アクセルペダル
５２とコントロールレバー２５とを連動させるリ
ンク機構５３で制御される負荷検出器５４及びメ
インスイツチ５５を介してバツテリ５６に接続さ
れており、アクセルペダル５２の踏み込み量、つ
まり機関の負荷が通常の領域にある時にのみ負荷
検出器５４の両接点５７，５８が可動接点５９を
介して接続されて電磁三方弁５０を励磁し、以つ
て、アクチユエータ４０のロツド４１を没入させ
てコレクタレバー１９をハーフロード位置に保持
させるようになつている。又、アクセルペダル５
２の踏み込み量が所定値以上に達すると、負荷検
出器５４がオフして電磁三方弁５０を消磁させ
る。すると、アクチユエータ４０の圧力室４７に
大気が導入されるのでロツド４１が突出作動し、
カム３３が回転作動してコレクタレバー１９をハ
ーフロード位置からフルロード位置へと押し出し
移動させるのである。

尚、アクチユエータ４０を電磁式とした場合
は、第６図に示すように負荷検出器５４でアクチ
ユエータ４０を直接に制御できる。

第７図は負荷検出器５４とキースイツチ５５と
の間に機関の始動にともなつてオンとされる油圧
スイツチ等の始動検出器５９′を設けることによ
り、始動時は必ずコレクタレバー１９をフルロー
ド位置に保持させて始動増量を確保するようにし
ている。

第８図は前記始動検出器５９′に加えて、機関
温度スイツチ６０を付加することにより、機関温
度が設定値以上に達しない時はコレクタレバー１
９をフルロード位置に保持させてアイドル回転速
度を上昇させ、以つて、暖機を促進させるように
したものである。このように、コレクタレバー１
９の位置を変更することにより、始動増量特性及
びアイドル制御特性をも変更できるので、機関の
始動性及び暖機特性を悪化させることなく加速時
に起りがちであつた燃料の過剰供給を予防でき
る。

尚、上記実施例においてフルロード設定は負荷
等の機関運転条件に対して比例的に応動させても
よく或いはフルロード及びハーフロードの２位置
のみを段階的に応動させるようにしてもよい。
又、アクチユエータとしては必ずしも実施例に限
定されるものではなく、例えば、ソレノイドのプ
ランジヤをそのままコレクタレバー位置決め用の
アクチユエータとして使用することもできる。

以上説明したように本発明によれば、負荷等機
関の運転条件に応じてコレクタレバーの位置が変
るので、機関の始動性及び出力特性などを損なう
ことなく常用運転領域における燃料の過剰供給を
防止できる。従つて、機関の排気煙及び排気特性
の悪化を予防できると共に、燃費をも改善でき
る。またアジヤストスクリユーによつてカム装置
ではなし得ない特定の燃料噴射量を微調整セツト
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の分配型燃料噴射ポンプの断面
図、第２図は本発明の一実施例を示す要部の断面
図、第３図は第２図のＡ−Ａ断面図、第４図はア
クチユエータの外観図、第５図は同上制御機構
図、第６図乃至第８図は制御装置の変形例を示す
機構図である。 １２……コントロールスリーブ、１９……コレ
クタレバー、３２……アジヤストスクリユー、３
３……回動カム、４０……圧力応動型アクチユエ
ータ、５２……アクセルペダル、５３……リンク
機構、５４……負荷検出器、５５……メインスイ
ツチ、５９′……始動検出器、６０……機関温度
スイツチ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 燃料噴射量制御部材に作用して該部材の最大
   燃料噴射量位置を規制するコレクタレバーの最大
   噴射量位置決め手段と、始動時の噴射量増量位置
   を規制するコレクタレバーの始動増量位置決め手
   段と、を備えた分配型燃料噴射ポンプにおいて、
   前記最大噴射量位置決め手段を、機関負荷等の運
   転条件に応動して最大噴射量を設定するカム装置
   と、位置調整可能で最大噴射量を設定するアジヤ
   ストスクリユーと、の２者を、選択的にコレクタ
   レバーに接触可能に配設し、最大燃料噴射量を可
   変に構成したことを特徴とする分配型燃料噴射ポ
   ンプの最大燃料噴射量制御装置。