JPS6119860Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、金型などを切削する比較的大径のス
ローアウエイ式ボールエンドミルの改良に関する
ものである。

〔従来技術〕

従来、ボールエンドミルの底面視形状において
その切刃が工具の回転方向に対して凸なる曲線を
なし、かつ該ミルの外周部の切刃曲線より中心部
の切刃曲線の方が大きな曲率をなすように構成し
たボールエンドミル（特願昭51−105639号）が主
に難削材で被削面が凹凸に富む金型などの切削に
用いられその効果を発揮していることはよく知ら
れている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかし、上記したボールエンドミルは、その切
刃形状からおよび切削特性からロウ付けタイプの
ものであつて該切刃の摩耗または欠損によつて再
研削した際の初期切刃形状の再現性が難かしいこ
とゝチツプの欠損の度合いによつてはシヤンクご
と廃棄しなければならないという問題点を有して
いる。

上記問題点を解決するために該ミルのスローア
ウエイ化が考えられるが、比較的大径の該ミルを
スローアウエイ化した場合、シヤンク先端の球状
面に位置するチツプとシヤンクの直線状外周側に
位置するチツプの形状をそれぞれ異なるものを取
り付けてスローアウエイ化させることが考えられ
るが、これは一つの工具に対して複数の形状の異
なるチツプを用意する必要があり、チツプの管理
面およびコスト的に好ましいものではない。

〔考案の目的〕

本考案は、上記した問題点に鑑みなしたもの
で、比較的大径で複数のチツプを取り付けたボー
ルエンドミルのシヤンク先端球状部と外周直線部
に位置させるチツプのその取り付け姿勢を適正化
させることによつて該チツプの形状が、同一形状
のものを一つの工具に用いられるようにしてチツ
プの管理面またはコスト面を改善したスローアウ
エイ式のボールエンドミルを提供することを目的
とするものである。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は、平面形状を略四角形または矩形状に
形成し、一方の相対する側の一対の切刃稜線を円
弧もしくは円弧に近い曲線で形成し、他方の相対
する側の一対の切刃稜線を直線状に形成したチツ
プを、鋼からなるシヤンクの先端球状面に対して
は円弧または円弧に近い曲線状切刃稜線を切削に
関与させるようにその取り付け姿勢を該先端球状
面ではチツプ平面側を球状面の周面に沿うように
し、該シヤンクの直線状外周に対してはチツプの
前記直線状切刃稜線を切削に関与させるようにチ
ツプ平面側をシヤンクの半径方向へ位置させるよ
うに取り付けたスローアウエイ式のボールエンド
ミルである。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を添付した図面によつて
説明する。

図は、いずれも本考案を説明するために用いた
もので、第１図はシヤンク端部の状態を説明する
ための図で、第２図は第１図の底面側の説明図、
第３図はシヤンク端部の要部を縦断した正面図、
第４図は第３図の側面図を示し、第５図はチツプ
を断面した正面図、第６図は第５図のチツプの平
面図であり、第７図は第５図ならびに第６図に示
したチツプをシヤンクに取り付けた状態の展開図
などである。

前記した図において、先端が球状１０をなす鋼
からなるシヤンク１は、所定位置に設けた複数
で、かつ少なくとも２面のチツプ固定壁１１とチ
ツプ固定面１２ならびに該固定面の中央部にネジ
穴１３を有するチツプ固定凹部と該凹部に連続し
て工具の回転方向前方側に設けた切屑ポケツト１
４などが設けられている。

なお、上記したチツプ固定凹部は、第７図の展
開図に示したように、シヤンクの球状部１０に設
ける該固定凹部はチツプの固定壁１１ならびにチ
ツプ固定面１２をチツプ２の円弧状切刃稜２３_１
が切削に関与するようにチツプの平面側が該球状
面に沿うようにA.B.Cの如く形成し、シヤンクの
外周直線状部に形成するチツプ固定凹部は、チツ
プ２の直線状切刃稜線２４を切削に関与させるよ
うにD.Eの如くシヤンク半径方向へ向つてチツプ
逃げ面２５がシヤンク外周側に沿うように形成す
る。

前記チツプ固定凹部に嵌挿し着脱自在にネジ３
によつて固定するチツプ２は、第５〜６図に示し
たように適宜の厚みｔ（３〜12mm、好ましくは
4.5〜10mm、実施例は８mm）を有し、その中央部
に前記シヤンクのネジ穴１３に螺合されるチツプ
締付ボルト３を貫通し、かつ該チツプの上面側と
下面側を使用可能とさせるための皿面２２，２２
_１を有する取付穴２１が設けられている。

またチツプの平面形状は、略四角形あるいは矩
形状からなり、その巾Ｓ，S₁は10〜25mm、好まし
くは12〜20mmの範囲から選択的に形成すればよ
く、実施例はＳ，S₁を共に16mmとした。一方の相
対する側の一対の切刃稜線２３，２３_１は直径Ｄ
を15〜100mmから選択して形成する円弧状切刃稜
または円弧に近い曲線状切刃稜とすればよく、実
施例上は25mmの円弧の一辺を切刃稜とした。他方
の相対する側の一対の切刃稜線２４，２４_１は直
線状に形成してある。

以上のように形成したチツプ２は、前々記した
シヤンク端部球状部においては円弧切刃稜２３_１
を切削に関与させるために該球状部の周面にチツ
プの平面側を沿わせるように固定し、シヤンクの
直線状外周部に固定するチツプは直線状切刃稜２
４を切削に関与させるためにチツプの逃げ面２５
側をシヤンク直線状外周のチツプ固定凹部に固定
する。

そして、シヤンクの球状面１０に固定するチツ
プＢはチツプＡの切削領域を越えない位置に固定
し、チツプＣはチツプＢの切削領域を越えない位
置で、その円弧切刃稜２３_１を切削に関与させる
ように順次固定するのと共に外周直線状部に固定
するチツプＤは直線状切刃２４を切削に関与させ
るように前記チツプＣの切削領域を越えない位置
に固定し、チツプＥはチツプＤと同姿勢でチツプ
Ｄの切削領域を越えない位置に固定する。なお、
各チツプは上記同様の配列でボールエンドミルの
径の変化に対応させ、その取り付け個数を増減さ
せる。

また、各チツプのシヤンクに対するレーキアン
グルすなわち切刃の軸方向角度ならびに半径方向
の角度などは、被削材あるいは種々の切削条件を
考慮して決めればよい。

〔考案の効果〕 本考案は、以上のような構成によりボールエン
ドミルの回転中心付近を切削する切刃が曲線状切
刃となり、直線状の外周部を切削する切刃は直線
状切刃となつて工具の回転がゼロに近い工具中心
を切削する切刃と外周側を切削する直線状切刃は
共に１刃当りの切削量がほゞ同じとなり工具は無
理なく切削できバランス性を向上させ重切削を可
能にする。

また、工具中心側に位置した切刃から排出され
る切屑はきわめて排出性の良好な薄く分断され易
いものが生成され切屑の切刃への溶着を防止し、
切刃の欠損を減じさせ作業能率を大巾に向上させ
る。

しかもシヤンクに固定する複数のチツプは、同
一形状のものが、その取り付け姿勢を変えること
のみで対応できるので、チツプの管理が非常に容
易になり、かつ曲線状切刃２３_１および直線状切
刃２４のいずれかが摩耗または欠損した場合は、
その向きを変えてシヤンクの球状部または直線状
部のチツプ取り付け凹部へ入れ替えてもちいるこ
とができるなどチツプの切刃コーナーが有効に使
用できるなどの効果を有するスローアウエイ式ボ
ールエンドミルである。

【図面の簡単な説明】

図は、いずれも本考案を説明するために用いた
もので、第１図はシヤンク端部の状態を説明する
ための図で、第２図は第１図の底面側の説明図、
第３図はシヤンク端部の要部を縦断した正面図、
第４図は第３図の側面図を示し、第５図はチツプ
を断面した正面図、第６図は第５図のチツプの平
面図であり、第７図は第５図ならびに第６図に示
したチツプをシヤンクに取り付けた状態の展開図
などである。 １……シヤンク、２……スローアウエイチツ
プ、３……締め付けボルト、１０……球状面、１
１……チツプ固定壁、１２……チツプ固定面、２
１……取付穴、２３，２３_１……曲面切刃稜線、
２４，２４_１……直線切刃稜線、２５……逃げ
面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 平面形状を略四角形または矩形状に形成し、一
   方の相対する側の一対の切刃稜線を円弧もしくは
   円弧に近い曲線で形成し、他方の相対する側の一
   対の切刃稜線を直線状に形成したチツプを、鋼か
   らなるシヤンクの先端球状面に対しては円弧また
   は円弧に近い曲線状切刃稜線を切削に関与させる
   ようにその取付け姿勢を、該先端球状面ではチツ
   プ平面側を該球状面の周面に沿うようにし、該シ
   ヤンクの直線状外周に対してはチツプの前記直線
   状切刃稜線を切削に関与させるようにチツプ平面
   側をシヤンクの半径方向へ位置させるように取り
   付けたことを特徴とするスローアウエイ式ボール
   エンドミル。