JPS6119348Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、自動車エンジン冷却系等に適用され
る熱交換器に関し、特に熱交換器のタンクに接合
される流体導管の取付構造の改良に関する。

〔従来の技術〕

自動車エンジン冷却系の熱交換器である自動車
用ラジエータは、一般に第１図に示すようにエン
ジンで加熱された水を冷却するコア１と、このコ
ア１の上下端に夫々設けた上部タンク２及び下部
タンク３とからなり、また、当該両タンク２，３
には、エンジンのウオータージヤケツトにゴムホ
ースを介して接続する流体導管としてのパイプ４
が夫々水密に接合されている。

従来、この種のタンクに対する上記パイプの取
付構造としては、先ず、第２図に示す如くタンク
２（タンク３に於ても同様の取付構造であるた
め、タンク３についての説明は省略する。）に接
合用のリブ５が形成されるようにパイプ接合穴６
を穿ち、且つパイプ４の挿入先端部にタンク２の
内壁面と面接触する接合片７を形成し、この接合
片７がタンク２の内壁面に当接するまでパイプ４
を接合穴６より差し込んだ後、接合片７とタンク
２及びパイプ４と接合穴６のリブ５とを半田付け
したもの（突き当て取付法）、第３図に示す如く
パイプ接合穴６から差し込まれたパイプ４の先端
部外周に対向するタンク２の上部に、パイプ４の
先端部外周が接触する絞り部８を形成し、この絞
り部８とパイプ４をスポツト溶接すると共に、パ
イプ４とリブ５を半田付けしたもの（スポツト取
付法）、また第４図に示す如くパイプ接合穴６か
ら挿入されたパイプ４の先端部と当接するタンク
２の内壁面に皿状の支持部材９をスポツト溶接に
より固着し、この支持部材９とパイプ４の先端縁
部及びパイプ４とリブ５とを半田付けしたもの、
更に、第５図に示す如くパイプ４の先端部のみを
上記リブ５に半田付けした片持ち構造のもの等が
提案されている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

しかし、上記第２図の取付構造ではパイプ４の
加工が複雑で、また、タンクサイズに対する共用
化に不利となる。また、第３図の構造に於ては、
パイプ４の長さカツトのみであるため共用化が可
能である反面、ラジエータホースを介して伝達さ
れるエンジン振動等の外力によりパイプ４とタン
ク２との接合が剥離され、水洩れが発生してしま
う虞がある。更に第４図の取付構造にあつては、
パイプ４の長さカツトのみであるため、第３図の
場合と同様、パイプ４の共用化が可能となるが、
皿状の支持部材９とパイプ４の先端部との半田付
部ａが、タンク内圧の変動等によるタンク２の変
形により剥離されてしまう等、接合強度に難点が
ある。また更に、上記第５図の取付構造にあつて
は、パイプ４が片持ち接合であるため、ラジエー
タホースを介して伝達されるエンジン振動等の外
力がパイプ接合基部に集中し、その接合基部に亀
裂が入つてしまう虞れがあつた。

〔考案の目的〕

本考案は斯かる実情に鑑み案出されたもので、
タンクとパイプの組付作業性が良好で、また、タ
ンクの内圧変動等により生じる応力、或いはエン
ジン振動等による外力がパイプ接合部に作用して
も、その剥離等を防止しパイプ取付けの信頼性を
向上した熱交換器を提供することを目的とする。

〔問題点を解決するための手段〕

斯かる目的を達成するために本考案は、タンク
に挿通した流体導管の先端をタンク内壁に取り付
けた皿状の支持部材に固定し、流体導管の挿入先
端部に流体通口が切り込み形成してなる熱交換器
に於て、流体導管の挿入先端部を、上記支持部材
外周面とこの内側に同心に設けた挾持片により挾
持したものである。

〔考案の作用〕

本考案によれば、支持部材の外周面と挾持片が
流体導管の先端部を挾持し、当該先端部との接合
部の剥離や亀裂等を防止する。

〔考案の実施例〕

以下、第６図乃至第１２図に基づき本考案の実
施例を詳細に説明する。尚、上記従来例と同一の
ものには同一符号を付してそれらの説明は省略
し、また、上部タンク及び下部タンクに於けるパ
イプの取付構造は同一の構造からなるため、下部
タンクについての説明も省略する。

第６図乃至第１０図は本考案に係る熱交換器に
於けるパイプ取付構造の第一実施例を示し、タン
ク２の壁面に穿設された接合穴６に挿通接着され
るパイプ４の挿入先端部は、第６図の如く半割し
た半円筒形をなしており、この半円筒部４ａの先
端部はタンク２の内壁にスポツト溶接等により固
着した支持部材１０によつて、固着状態に支持さ
れるようになつている。

支持部材１０は、第７図及び第８図に示すよう
に絞り加工等により丸皿状に成形されており、そ
の外周壁１０ａの内径はパイプ４の外径と略等し
いか、もしくはこれよりやや大きめにしてある。
また、支持部材１０の平板部１０ｂには、その一
部を外周壁１０ａに沿つて内方へ略半円形状に切
り起こしたパイプ挾持片１１が形成してあり、ま
た、当該パイプ挾持片１１の外周径は上記パイプ
４の内径と略等しいか、もしくはそれよりやや小
さ目にして、外周壁１０ａとの間に上記半円筒部
４ａの先端部を挿入する間隙１２が設けられてい
る。更に、上記パイプ挾持片１１の両端縁に対向
する部分の平板部１０ｂには、押出加工等により
内方に突出する位置決め用ストツパ１３が形成さ
れている。

このようにした支持部材１０は、その中心をパ
イプ４の軸線に一致してタンク２の内径にスポツ
ト溶接により固着される。

上記構成のパイプ取付構造に於て、パイプ４を
タンク２に取り付ける場合は、先ず、パイプ４半
円筒部４ａの先端部をタンク２の接合穴６から差
し込み、当該先端部を第９図に示す如く支持部材
１０の外周壁１０ａとパイプ挾持片１１により形
成される間隙１２内に一杯に挿入し、その縁部を
位置決め用ストツパ１３に係合してタンク２に対
するパイプ４の周方向の位置決めを行なう。次
に、第１０図に示すように、パイプ４の外周とリ
ブ５との接触部及び間隙１２内に挿入されたパイ
プ４の先端部とこれを内外周から挾持する外周壁
１０ａ、パイプ挾持片１１との接触部に、高温硬
ロー材等の溶接材１４を流し込んで溶接し、パイ
プ４とタンク２とを一体にする。

そして、本実施例によれば、パイプ４の挿入先
端部をタンク２内に固着した支持部材により内外
周面から挾持し、これにより接合面積が増大され
るから、タンク２に対するパイプ４の支持が強固
となり、タンク２が内圧等により変形しようとす
るときに生ずる応力がパイプ接合部に作用して
も、その接着が剥離されることがなく、また、エ
ンジン振動等の外力がラジエータホースを介して
パイプ４に伝達された場合も、パイプ接合穴部に
剥離，亀裂を生じることがない。

しかも、本実施例は、従来の支持部材１０を利
用し、この支持部材１０にパイプ挾持片１１及び
位置決め用ストツパ１２を切り起こす等の簡単な
加工によつて所期の目的，作用を達成することが
でき、また、パイプ４の挿入時に、その先端部が
支持部材１０の外周壁１０ａとパイプ挾持片１１
によつて案内されるので、組付作業性も極めて良
好である。

第１１図及び第１２図は本考案に於けるパイプ
接合支持部材の他の実施例を示し、上記実施例と
異なる点は、パイプ挾持片を別部材から構成した
ものである。

即ち、支持部材２０は、上記実施例と同様、パ
イプ４の外径に応じた丸皿状に成形され、また、
支持部材２０の外周壁２０ａとによつて、パイプ
４の半円筒形先端部を挿入する間隙２２を形成す
るパイプ挾持片２１は、上記支持部材２０と別部
材によりパイプ４の内径に応じた半円形状に形成
されている。

このパイプ挾持片２１は、支持部材２０の内側
に於て同心に配置され、その一方の円弧端縁に設
けたフランジ部２３を支持部材２０の平板部２０
ｂにスポツト溶接等により接合して、支持部材２
０と一体化されている。また、当該パイプ挾持片
２１の周方向の両端縁には、パイプ４の位置決め
用ストツパ２４が設けられている。

そして、この実施例によるパイプ４の取付けに
際しても、支持部材２０を第６図の場合と同様、
タンク２の内壁面に固着し、タンク２の接合穴６
を挿通するパイプ４の半円筒形先端部を、その内
外周面から上記外周壁２０ａとパイプ挾持片２１
で挾持し半田付けする。

この実施例も、上記実施例と同様、所期の目的
を達成することができるが、更に、この実施例
は、ストツパ２４をパイプ挾持片２１と一体に形
成できるという利点を有する。

尚、上記各実施例では、支持部材の外周壁と挾
持片間に挿入されたパイプの先端部を半田付け等
によつて溶接するようにしたが、これに限定され
るものではなく、例えばパイプに加えられるエン
ジン振動等の外力が小さい場合は、上記接着工程
を省略してもよい。

〔考案の効果〕

このように本考案によれば、タンクに対するパ
イプの支持が強固となるから、応力集中がパイプ
接合部に生じてもその溶接が剥離されることがな
く、また、エンジン振動等の外力がラジエータホ
ースを介してパイプに伝達された場合も、パイプ
接合部に剥離，亀裂を生じることがない。

しかも、パイプの挿入時に、その先端部が支持
部材の外周壁とパイプ挾持片によつて案内される
ので、組付作業性も極めて良好である。

【図面の簡単な説明】

第１図は自動車用ラジエータの一例を示す正面
図、第２図乃至第５図は従来に於けるパイプ取付
構造を示す断面図、第６図は本考案に係る熱交換
器に於けるパイプ取付構造の第一実施例の断面
図、第７図は第６図に於ける支持部材の正面図、
第８図は第７図の−線断面図、第９図及び第
１０図はタンクへのパイプの接合工程を示す要部
の断面図、第１１図は本考案に係る熱交換器に於
けるパイプ支持部材の他の実施例の正面図、第１
２図は第１１図の−線断面図である。 １……コア、２……上部タンク、３……下部タ
ンク、４……パイプ、５……リブ、６……接合
穴、１０，２０……支持部材、１０ａ，２０ａ…
…外周壁、１１，２１……パイプ挾持片、１２，
２２……間隙。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. タンクに挿通した流体導管の先端をタンク内壁
   に取り付けた皿状の支持部材に固定し、流体導管
   の挿入先端部に流体通口が切り込み形成してなる
   熱交換器に於て、流体導管の挿入先端部を、上記
   支持部材外周面とこの内側に同心に設けた挾持片
   により挾持したことを特徴とする熱交換器。