JPS6112189Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 従来、扱室の受網の下方から排塵選別室にわた
る選別風路に、受網から漏下した被選別物を風路
の方向へ移送しながら選別する揺動選別体を架設
した脱穀機は既に知られており、該脱穀機の排塵
室の天板を低くすると、該天板上にカツター又は
結束装置を装着することができる。

しかしながら、扱室の後部に設けた送塵口から
排出される送塵物を移送選別する送塵物選別体は
上昇傾斜しており、かつ前述のように排塵室の天
板を低くすると、選別風路の方向が緩傾斜になつ
て選別風による二番選別体上での藁屑の吹き分け
排除性能が著しく低下する欠点を生ずる。

また、排塵選別室の排稈口側に四番口を設けた
脱穀機においては四番口から刺粒と共に藁屑が揺
動選別体上に落入し、この藁屑が二番物の選別の
障害になる欠点があつた。

本考案は前述の欠点を改善することを目的とす
るものであつて、扱室の受網の下方から排塵選別
室にわたる選別風路に、受網から漏下した被選別
物を風路の方向へ移送しながら一番受樋上で篩選
別する選別網及びそれに続くと共に二番受樋上に
臨む二番移送選別体と、前記選別網及び二番移送
選別体の上方に設けられていて扱口の後部の送塵
口から排出される送塵物を移送選別する送塵物選
別体とからなる揺動選別体を架設し、前記排塵選
別室の天板を扱胴の軸芯よりも低く、かつ受網よ
りも高い位置に設け、前記天板の排稈口寄りに四
番口を設けた脱穀機において、前記送塵物選別体
を送塵口の下方から前記四番口の下方を経て二番
受樋より下手側の二番移送選別体の中間部上方に
風路を隔てて臨むように延出させると共に、送塵
物を揺動移送しながら篩選別し得る程度の略水平
に近いゆるやかな下降傾斜となし、前記受網から
漏下した被選別物を篩選別する選別網及び二番移
送選別体と、前記送塵物選別体とを略平行にして
設けたことを特徴とするものである。

以下、図面に示す実施例について説明すると、
１は扱室２内に軸架した扱胴であつて、受網３の
下方から排塵口４にわたる選別室６は供給口５の
下方に設けた風車７によつて選別風路に形成され
ている。

そして、前記選別室６には偏芯輪８と支軸９′
を中心として前後揺動する揺動アーム９とにより
支架された揺動選別体１０が設けてあり、この揺
動選別体１０は受網３からの漏下物を後方へ移送
しながら比重選別する移送板１０ａと、その後端
連設されていて前記受網３と同じ目合（８〜
15m／ｍ）に形成され、かつ一番受樋１１上に臨
む選別網１０ｂと、一番流板１３の上端から後方
に向かうと共に多数の移送突条を備えかつやや上
り傾斜にあつている中継板１０ｃと、該中継板１
０ｃの下面から一番受樋１２上を経て排塵口４に
向かう多数のストローラツク又はスポークからな
る二番移送選別体１０ｄと、前記選別網１０ｂ上
を覆つた状態で送塵口１４から排出される送塵物
を受けて移送するゴム板１０e′付の受送板１０ｅ
及び該受送板１０ｅの後端から四番口２８の下方
を経て二番受樋１２上の中継板１０ｃの上方を通
り二番移送選別体１０ｄの中途部上方に風路を隔
てて臨むと共にやや下降傾斜している長杆ａと短
杆ｂとを交互になした多数のスポーク１０ｆから
なる送塵物選別体等で構成されており、前記移送
板１０ａ、選別網１０ｂ及び二番選別体１０ｄは
第１図及び第７図に示す如く後方が低くなるよう
にやや下降傾斜している。

而して前記偏芯輪８は駆動軸の軸芯から選別網
１０ｂの網目のピツチの略1/2乃至それよりやや
小さいか又はやや大きく偏心ｌしているので選別
網１０ｂは2lの幅で揺動し、偏心輪８の回転数は
毎分400〜500回転するように設定してある。

また、前記二番移送選別体１０ｄの下方には二
番受樋１２側が低くなるように傾斜した二番戻板
１５を前後方向の揺動アーム１６，１６により支
架し、その上面は二番受樋１２に向かう多数の突
条が設けてあり、後方の揺動アーム１６の枢着部
は連杆１７より前記揺動選別体１０の揺動アーム
９の下端部に連結されているので、二番戻板１５
は揺動選別体１０に連動して前後揺動し、その後
部の立ち上り部１５′は二番移送選別体１０ｄ前
端よりも低くなつている。

なお、前記選別網１０ｂの傾斜は偏芯輪８の偏
芯量を選別網１０ｂの目合よりやや小さくした場
合は、多少急傾斜とし、多少大きくした場案は更
に緩傾斜にする。

また、偏芯輪８と揺動アーム９は図示の例とは
前後を逆にしても良く、それらは両方とも偏芯輪
又は揺動アームとしてもよいがいずれの場合も揺
動選別体１０が前進する時上昇し、後退する時下
降するように駆動することが望ましい。

更に、選別網１０ｂを略水平にしても良く、そ
の際は揺動選別体１０を前進時に上昇させ、後退
時に下降させる。

１８は排塵選別室１９の天板であつて、二番移
送選別体１０ｄが下降傾斜しているので、排塵選
別室１９のスペースを充分とつた上で扱胴１の下
端部と略等しい高さとなる程度に低く構成されて
おり、その上部にはカツター２０（又は結束装
置）が設けてあり、排稈口２１から排出された排
稈は必要に応じて挟持レールを併設した排藁搬送
帯２２に受け継がれてカツター２０に供給され、
適当な長さに細断される。

なお、図面中２３は上部カバー、２４はゴム板
からなる吹出防止板、２５は揺動選別体１０のフ
イードチエン２６と反対側の側板の内側面に突設
した寄せ流板、２７は二番スロワーである。

前述の脱穀装置はコンバインの機台上に供給口
５を前位として搭載するものであつて、刈取装置
で刈取られた穀稈は搬送装置により脱穀装置に供
給されて脱穀処理される。

そして、偏芯輪８の回転により揺動選別体１０
及び二番戻板１５は前後揺動し、受網３から漏下
した脱穀物は移送板１０ａにより穀粒と藁屑とが
層状に分けられるように比重選別されながら選別
網１０ｂとに送り込まれる。

その際、揺動選別体１０の一方は偏芯輪８によ
り最も上昇した点で前進する方向に円運動し、他
方は大きな揺動半径で前後揺動するので、例え
ば、2l＝12m／ｍとした場合、第７図に示す如く
ピツチ10m／ｍ、高さ8m／ｍの突条を有する移
送板10aの前端部では上下径10m／ｍ、前後径
12m／ｍの楕円運動をなし、選別網１０ｂの前端
では上下径4m／ｍ、前後径12m／ｍの長細い楕
円運動を行なう。

なお、実験例では偏芯輪８を毎分450回転させ
た。

このような選別網１０ｂの穀粒は選別網１０ｂ
の扇動乃至は揺動運動と選別網１０ｂの傾斜にと
もなつて順次前方へ移動し、その間に長さ３〜
6m／ｍの穀粒は従来のように横線を一挙にかつ
高速で乗り越えるようなことはなく、丁度網目上
に止まるか通過せんとするとき確実に網目より落
下し、一端が横線上に停止せんとすると横線を支
点として他端部側に下降し網目から漏下すること
となり、結局穀粒は従来のように選別網１０ｂ上
を激しく前後移動したり飛び跳ねたりすることが
なく静かにかつ的確に漏下する。

また、穀粒と略等しい比重の切藁は揺動選別体
１０の振幅が小さいので、第７図に示す如く大き
く跳び上げることがなく略網目に沿う平な姿勢で
前方に送られることとなり、網目から漏下するこ
となく穂切れ等と共に中継板１０ｃ上に転送さ
れ、二番移送選別体１０ｄに受け渡される。

更に、前記転送された被選別物は跳び飛ばされ
ることなく軽く上下動しながら二番移送選別体１
０ｄが下降傾斜していることと前記揺動とが相俟
つて比較的安定した状態で順次移送され、その間
に混入する穀粒や穂切れ等が漏下し、藁屑は排稈
口４から後方へ排出される。

前記選別網１０ｂ及び二番移送選別体１０ｄに
よる篩選別時に風選されることは勿論であり、二
番移送選別体１０ｄから漏下した一番物は二番戻
板１５により二番受樋１２へ向けて逆向きに送り
戻され、それが二番螺旋により機側に移送される
と、二番スロワー２７はそれを移送板１０ａ上に
還元する。

而して二番移送選別体１０ｄは下降傾斜してい
て低くなつており、それにともなつて二番移送選
別体１０ｄ上に充分な高さの風路を構成しながら
排塵選別室１９の天板１８も低くし得るので風車
７による選別風は四番口２８の下方でそれ程上向
きとなることがなく、その結果四番口２８からの
吹く出しを防止することができる。

また、天板１８は第２図に鎖線で示す如く従来
の実線で示すものより低くなつているので、カツ
ター２０（又は結束装置）を低い位置に装着する
ことができ機体の安定性を著しく向上せしめるこ
とができる。

本考案は前述のように扱室の受網の下方から排
塵選別室にわたる選別風路に、受網から漏下した
被選別物を風路の方向へ移送しながら一番受樋上
で篩選別する選別網及びそれに続くと共に二番受
樋上に臨む二番移送選別体と、前記選別網及び二
番移送選別体の上方に設けられていて扱口の後部
の送塵口から排出される送塵物を移送選別する送
塵物選別体とからなる揺動選別体を架設し、前記
排塵選別室の天板を扱室の軸芯よりも低く、かつ
受網よりも高い位置に設け、前記天板の排稈口寄
りに四番口を設けた脱穀機において、前記送塵物
選別体を送塵口の下方から前記四番口の下方を経
て二番受樋より下手側の二番移送選別体の中間部
上方に風路を隔てて臨むように延出させると共
に、送塵物を揺動移送しながら篩選別し得る程度
の略水平に近いゆるやかな下降傾斜となし、前記
受網から漏下した被選別物を篩選別する選別網及
び二番移送選別体と、前記送塵物選別体とを略平
行にして設けたので、排塵選別室上にカツター又
は結束機を装着しても機体の重心が高くなるのを
抑制した状態で機体の長さを短くすることができ
るものでありながら、送塵物選別体は送塵物及び
四番物を受けて天板及び二番移送選別体の中途部
と対応する部位まで移送選別することにより送塵
物等が二番選別体の始端に一挙に落下して厚い被
選別物が層が生ずるのを防止することができると
共に、この移送選別により送塵物中の穂切れや四
番物中の刺粒を漏下選別することにより濡れた穀
稈が高能率脱穀を行なつて多量に発生した送塵物
や四番物中の長藁等が二番移送選別体に落入する
のを該二番移送選別体の中途部まで阻止しながら
送塵物中の穂切れや四番物中の刺粒を二番移送選
別体上に漏下させて、送塵物中の切藁や四番物中
の藁屑が二番受樋中に混入するのを防止すると共
に穂切れや刺粒を確実に回収することができる。

しかも、前記送塵物選別体や四番物を二番移送
選別体の中途部上方まで移送することができる程
度の略水平に近い極めてゆるやかに下降傾斜して
いて二番移送選別体の中途部まで長藁や藁屑が落
下するのを阻止し、かつその下方に設けた選別網
は送塵物選別体と同程度に傾斜しているので、排
塵選別室の天板を低くすることにより該排塵選別
室の高さが低くなつても選別網と送塵物選別体と
の上下間隔を確保し得て二番移送選別体の上方を
吹き抜ける選別風を弱化させることがなく、前記
送塵物選別体上の藁屑を二番移送選別体上に堆積
しない状態で排塵口から吹き出して除去すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一例を示す脱穀機の縦断側面
図、第２図は試作例の縦断側面図、第３図は本考
案に係る脱穀機の横断面図、第４図は同上要部の
斜視図、第５図は同上側面図、第６図は従来例の
拡大断面図、第７図は本考案実施例の拡大断面図
である。 ３……受網、４……排塵口、７……風車、８…
…偏芯輪、９……揺動アーム、１０……揺動選別
体、１０ａ……移送板、１０ｂ……選別網、１０
ｄ……二番移送選別体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 扱室の受網の下方から排塵選別室にわたる選別
   風路に、受網から漏下した被選別物を風路の方向
   へ移送しながら一番受樋上で篩選別する選別網及
   びそれに続くと共に二番受樋上に臨む二番移送選
   別体と、前記選別網及び二番移送選別体の上方に
   設けられていて扱口の後部の送塵口から排出され
   る送塵物を移送選別する送塵物選別体とからなる
   揺動選別体を架設し、前記排塵選別室の天板を扱
   胴の軸芯よりも低く、かつ受網よりも高い位置に
   設け、前記天板の排稈口寄りに四番口を設けた脱
   穀機において、前記送塵物選別体を送塵口の下方
   から前記四番口の下方を経て二番受樋より下手側
   の二番移送選別体の中間部上方に風路を隔てて臨
   むように延出させると共に、送塵口を揺動移送し
   ながら篩選別し得る適度の略水平に近いゆるやか
   な下降傾斜となし、前記受網から漏下した被選別
   物を篩選別する選別網及び二番移送選別体と、、
   前記送塵物選別体とを略平行にして設けたことを
   特徴とする脱穀機。