JPS6112139Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、筆記具詳しくは筆先を繊維集束芯
又は連続気泡プラスチツク芯によつて構成した筆
記具に関するものであり、この筆記具は通常の筆
記の他アイラインやまゆげを描くときなどの化粧
用具として使用して好適なものである。

この種の筆記具は、インクを繊維集束芯又は連
続気泡プラスチツク芯の浸透作用によつて供給す
るものであるが、使用中に軸筒内の内圧あるいは
温度の変化等によつてインクが筆先に過剰に供給
され、インクのボタ落現象等が起ることがある。

従来、上記のようなインクのボタ落現象の防止
対策としては、インクを筆先に供給するインク誘
導芯の外部に、周側面に多数の環状溝を形成した
筒管を嵌装し、過剰のインクを上記筒管の環状溝
に貯溜せしめるようにすることが知られている。

しかしながら、上記のような周側面に過剰イン
クを含ませるための環状溝を形成した筒管は、そ
の構造が複雑であり、成形精度の均一化が図れ
ず、製品の歩溜りが悪く、製品コストが高いとい
う問題がある。

また、従来のものを倒立状態で使用した場合、
筆先にはインクが浸透していかないので、筆先に
含浸しているインク分しか使用することができ
ず、直ちにインク切れを生じるという問題があつ
た。

そこで、この考案は、温度、気圧の変化にもボ
タ落ちがなく、且つ倒立状態で使用することがで
きる全く新しい構造の筆記具、特に化粧用筆とし
て好適なものを提供することを目的とする。

以下、この考案を添付図面に示す実施例に基づ
いて説明する。

この考案の筆記具１は、軸筒２と、この軸筒２
の先端に設けられる筆先ホルダー３と、インクを
インク筒４から筆先５に供給する筆芯と、この筆
芯６の筆芯カバー７と、流量調整筒８とからな
る。

上記軸筒２には、先端部に筆先ホルダー３の嵌
挿孔部９が形成され、その後方には流量調整筒８
の嵌挿孔部１０が形成され、この嵌挿孔部１０の
後方にインク筒４の収容部１１が形成されてい
る。

上記筆先ホルダー３は、その内孔の先端部に筆
先５の嵌合孔１２が形成され、その後方に筆芯カ
バー７の嵌合孔１３が形成されている。また、筆
先ホルダー３の後部には、上記軸筒２の嵌挿孔部
９に嵌合固定される挿入部１４が形成され、この
挿入部１４にはスリツト状の空気孔１５が形成さ
れている。

上記筆先５は、繊維集束芯又は連続気泡プラス
チツク芯によつて構成され、上記筆先ホルダー３
の嵌合孔１２に嵌合固定される。

上記筆芯６は、繊維集束芯によつて構成されて
いる。この筆芯６は、筆芯カバー７の内孔１６に
嵌挿され、その先端部は筆先５内に嵌入され、後
端部はインク筒４内に挿入されている。

上記筆芯カバー７の先端部は、筆先ホルダー３
の嵌合孔１３に固定され、その先端面は筆先５の
後端面に密着させられている。また、筆芯カバー
７には、後部外周面に筆芯カバー７を軸筒２内面
に固定するための環状段部１７が形成され、後端
部にインク筒４に対する挿入部１８が形成されて
いる。上記筆芯カバー７の外面には、長さ方向に
外径部から内径部に貫通させた長孔状の通気溝１
９が形成され、また、筆芯カバー７の内孔１６は
後方部が筆芯６の径よりも少し大径に形成されて
おり、筆芯６の外周に通気路２０が形成されるよ
うになつている。この通気路２０は、通気だけで
なく、液の表面張力による溜りの役割もある。

上記流量調整筒８は、連続気泡を有する焼結樹
脂等によつて構成され、筆芯カバー７の通気溝１
９部分の外周に嵌められ、軸筒２の嵌挿孔部１０
に固定される。また、流量調整筒８の外面には、
長さ方向に通気溝２１が形成され、この通気溝２
１が筆先ホルダー３の空気孔１５と連通するよう
に流量調整筒８を軸筒２に固定する。

上記インク筒４は、軸軸２の収容部１１に取外
し自在に嵌着されており、このインク筒４の開口
部はパツキン２２を介して上記筆芯カバー７の環
状段部１７後面に圧着されている。また、インク
筒４の開口部近くには、スポンジ等の連続気泡体
からなる含浸体２３が嵌着されており、上記筆芯
６の後端はこの含浸体２３に挿入されている。こ
の含浸体２３はインクの飛び出しを防止する役割
と、筆記具１の倒立状態で使用する際にインクを
保持して筆先にインクを供給する役割とを有す
る。

なお、上記インク筒４内のインクは、アイライ
ン等を描く化粧用筆として使用する場合にはまゆ
墨等が使用される。

この考案の筆記具は、以上のように、軸筒の先
端に筆先を設け、この筆先と軸筒内の後方に設け
られるインク筒とを繊維集束芯からなる筆芯によ
つて連結し、且つ上記インク筒内に連続気泡体に
よつて構成した含浸体を嵌着し、この含浸体と上
記筆芯の後端とを当接せしめ、上記筆芯の外側に
筆芯カバーを嵌合固定し、この筆芯カバーの外側
面に筆芯カバーの内孔に達する通気溝を形成し、
上記筆芯カバーの内孔の後方部を上記筆芯の径よ
りも少し大径に形成して筆芯と筆芯カバーの内孔
との間に通気路を設け、上記筆芯カバーの外側に
連続気泡体によつて構成した流量調整筒を嵌合固
定し、この流量調整筒の外側面通気溝を形成し、
この通気溝と連通する空気孔を軸筒に形成したも
のである。

従つて、インク筒内のインクは、筆芯を浸透し
て筆先に供給されて筆記に供され、また、このイ
ンクと入れ換えに外気が軸筒の空気孔から流量調
整筒の通気溝及び流量調整筒の連続気泡、筆芯カ
バーの通気溝、筆芯と筆芯カバーの内孔との間の
通気路を介してインク筒内に導入されるようにな
る。また、使用時においてインク筒内の内圧が温
度変化などにより高まり、インクが筆先に余剰に
供給されるようになると、余剰インクは筆芯と筆
芯カバーの内孔との間の通気路を通つて筆芯カバ
ーの通気溝を経て流量調整筒の連通気泡に吸着貯
蔵せられるため、筆先から余剰インクが溢流して
インクのボタ落ち現象が生じるということがな
い。

また、上記流量調整筒は、焼結樹脂等によつて
形成さるため、インクのボタ落現象の防止用に使
用されていた従来の筒管、即ち周側面に多数の環
状溝を形成したものに比し、構造及び製作が簡単
になり、製品コストの低減が図れるという効果が
ある。

さらに、この考案の筆記具は、倒立状態で使用
しても、インク筒内の含浸体に含浸しているイン
クの筆先に供給されるため、インク切れが生じな
いという効果もある。さらにまた、従来の筆記具
のようにインクの量が少なくなつた状態で長期間
横にしたまま放置しておくと、筆芯とインクとが
離れて筆先と筆芯が乾燥し、残量のインクを誘導
できなくなるという欠点をなくすことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の筆記具の一実施例を示す要
部縦断面図、第２図は第１図の−線に沿う横
断面図、第３図は組立部品の分解斜視図である。 ２……軸筒、４……インク筒、５……筆先、６
……筆芯、７……筆芯カバー、８……流量調整
筒、１９……通気溝、２０……通気路、２１……
通気溝、１５……空気孔、２３……含浸体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 軸筒の先端に筆先を設け、この筆先と軸筒内の
   後方に設けられるインク筒とを繊維集束芯からな
   る筆芯によつて連結し、且つ上記インク筒内には
   連続気泡体によつて構成した含浸体を嵌着し、こ
   の含浸体と上記筆芯の後端とを当接せしめ、上記
   筆芯カバーの外側面に筆芯カバーの内孔に達する
   通気溝を形成し、上記筆芯カバーの内孔の後方部
   を上記筆芯の径よりも少し大径に形成して筆芯と
   筆芯カバーの内孔との間に通気路を設け、上記筆
   芯カバーの外側に連通気泡体によつて構成した流
   量調整筒を嵌合固定し、この流量調整筒の外側面
   に通気溝を形成し、この通気溝と連通する空気孔
   を上記軸筒に形成した筆記具。