JPS6040206Y2 - ミシンの全回転釜 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 技術分野及び目的 この考案はミシンの全回転釜に関するものであって、そ
の目的は、中釜内に装着されるボビンに多量の下糸を巻
回でき、そのボビンに制動力を付与してボビンの空転及
びそれにともない必要以上に下糸が繰り出されることに
よって生じる下糸のからみを確実に防止することができ
、しかもボビンが適度な制動力のもとて円滑に回動され
て、そのボビンから繰り出される下糸に適正な糸調子圧
力を付与することができ、さらに前記中釜からボビンが
脱落するおそれを確実に防止することができ、なおかつ
組付けが容易なミシンの全回転釜を提供することにある
。

実施例 以下、この考案の一実施例を第１図〜第５図に従って説
明すると、この実施例のミシンにおいては、ミシンベッ
ド（図示しない）に設けられた下軸１の先端に全回転釜
２が装着され、この全回転釜２がミシンアームに設けら
れた針（図示しない）の一往復動につき一方向に二回転
されて、加工商に本縫縫目が形成されるようになってい
る。

全回転釜２は固定ねじ３により下軸１に固定され、外周
の一部に糸輪捕捉嘴４ａを有する外釜４と、その外釜４
中に後述する中釜止めにより静止の状態に支承され、外
周の一部に糸輪制御用尾部５ａを有する取付板５により
抜は止め保持された中釜６とよりなっている。

そして、この中釜６は一側面を開放したほぼ有底円筒状
に形成され、その周壁の上部には針挿通孔７が形成され
ている。

その針挿通孔７に近接して中釜６の周壁土部には中釜止
用の凹所８が形成され、ミシンベッド内に固定された中
釜止め（図示しない）がこの凹所８に係合して中釜６の
回転が拘束されるようになっている。

第２図に示すように凹所８の一側には糸案内溝９が形成
され、この糸案内溝９を通って後述するボビン１９から
下糸Ｔ１が繰り出されて、ミシンベッド内に設けられた
自動糸切り装置（図示しない）の作動時に前記下糸ＴＩ
が凹所８内から脱出するのを防止するようになっている
。

第１図〜第４図に示すように中釜６の周壁先端にはほぼ
全周にわたってフランジ１０が形成され、その外周には
先細テーパ状の傾斜面１０ａが形成されていて、ミシン
の縫製運転時に上糸Ｔ２の糸輪が前記糸輪捕捉嘴４ａか
ら前記糸輪制御用尾部５ａに受は渡され、同尾部５ａに
引っ掛けられた状態でこのフランジ１０の傾斜面１０
ａに沿って中釜６を円滑にくぐり抜けるようになってい
る。

前記中釜６の底壁中央部には中空のボビン支持軸１１が
突出形成され、そのほぼ中央にて軸線を挾み互いに対向
する位置には一対の貫通孔１２が形成されている。

このボビン支持軸１１には合成樹脂材料よりなる軸状支
持体１３が挿通され、この軸状支持体１３には一本の線
ばね１４が装着されている。

すなわち、第５図に示すように軸状支持体１３の中央部
にはその軸状支持体１３の先端面側に開口し、軸方向に
延び、かつ線ばね１４の太さとほぼ等しい幅を有する切
割溝１５が形成され、同支持体１３の基端寄りには前記
切割溝１５に直交し、互いに対向する一対の透孔１６が
形成されている。

また、前記切割溝１５内に収容される線ばね１４はほぼ
ｖ字状に折曲形成され、その中央部１４ａ及び両端１４
ｂがそれぞれ円弧状に形成されており、前記透孔１６よ
り挿通されたピン１７が線ばね１４の円弧状中央部１４
ａ内に挿通されて、このピン１７とそのピン１７に対向
する切割溝１５の内壁面との間に前記中央部１４ａが挾
持されている。

そして、前記軸状支持体１３、線ばね１４及びピン１７
がユニット化された状態で接着剤等により前記ボビン支
持軸１１中に挿嵌固定され、軸状支持体１３の基端面が
中釜６の底壁外面と同一平面を形成するとともに、前記
切割溝１５より突出した線ばね１４の円弧状両端１４ｂ
がボビン支持軸１１の一対の貫通孔１２にそれぞれ対応
するようになっている。

そして、後述するボビン１９が中釜６内に装着されてい
ない時には前記両端１４ｂの一部が第３図に示すように
前記貫通孔１２を介してボビン支持軸１１外へ突出した
位置に保持されている。

また、ボビン支持軸１１の先端面には同軸１１の外径と
ばぼ同径のフランジ部を有するゴム製蓋体１８が挿嵌さ
れている。

下糸Ｔ１を巻回して前記中釜６内に着脱可能に装着され
るボビン１９には、中釜６のボビン支持軸１１に挿嵌さ
れる中空軸２０が形成され、その中空軸２０の両端には
一対のフランジ２１．２２が一体形成されている。

第１，４図に示すように外方のフランジ２１は内方のフ
ランジ２２よりも厚肉に形成され、その外方フランジ２
１の外面には円弧面２１ａが形成されていて、ミシンの
縫製運転時に上糸Ｔ２の糸輪がこの円弧面２１ａに沿っ
て中釜６を円滑にくぐり抜けるようになっている。

第３，４図に示すように前記外方フランジ２１と対応し
て中釜６の周壁側部には爪掛用凹部２３が形成され、こ
の凹部２３から外方フランジ２１の内面に爪を掛止して
、ボビン１９を中釜６内から容易に取り出し得るように
なっている。

従って、ボビン１９の両フランジ２１．２２間にて中空
軸２０上に下糸Ｔ１を巻回した状態で、そのボビン１９
を全回転釜２の中釜６内に装着すると、ボビン支持軸１
１の貫通孔１２から突出した線ばね１４の両端１４ｂが
そのばね力に基づいてボビン１９の中空軸２０の内面に
圧接係合するとともにボビン支持軸１１の軸心側へ変位
して、前記貫通孔１２内に収容され、ボビン１９は中釜
６内に脱落することなく確実に保持される。

そして、この状態でミシンが運転されると、第４図に示
すように上糸Ｔ２の糸輪が中釜６をくぐり抜けて引き上
げられる際、ボビン１９が前記線ばね１４のばね力に基
づいて適度な制動力を受けながら円滑に回転され、その
ボビン１９からは適正な下糸調子圧力のもとで下糸Ｔ１
が繰り出される。

また、前記線ばね１４がその太さとほぼ等しい幅を有す
る切割溝１５内に収容されていて、線ばね１４がボビン
１９の回転方向に移動しないようになっているため、ボ
ビン１９の回転に際し、線ばね１４による回転制動力が
変動することはなく下糸調子圧力の変動を極力小さくす
ることができる。

さらに、前記下糸Ｔ１の繰り出し後において、ボビン１
９が線ばね１４のばね力により空転することなく直ちに
静止されるため、下糸Ｔ１にからみが生じるおそれも全
くない。

別個 なお、この考案は前記実施例に限定されるものではな（
、例えば、第６図に示すようにほぼＶ字状の線ばね１４
の中央部１４ａを環状に形成し、その中央部１４ａに対
応して軸状支持体１３の切割溝１５の一部に収容空間Ｓ
を形成して、線ばね１４の中央部１４ａをその収容空間
Ｓ内に収容するとともに、軸状支持体１３の透孔１６を
介して前記中央部１４ａにピン１７を挿通ずることによ
り、前記軸状支持体１３、線ばね１４及びピン１７をユ
ニット化できるよう番と構成する等、この考案の趣旨を
逸脱しない範囲で各部の構成を任意に変更することも可
能である。

効果 以上詳述したようにこの考案は外釜中に静止の状態で支
承される中釜の中央部には一対の貫通孔を有する中空の
ボビン支持軸を設けてボビンを挿嵌し、そのボビン支持
軸中には軸線方向に延びる切割溝が形成された軸状支持
体を挿嵌固定し、その軸状支持体の切割溝中に収容され
たばねの両端が前記一対の貫通孔よりそれぞれ突出して
ボビンの中空軸内面に係合するように構成したことによ
り、ボビンに制動力を付与してボビンの空転及びそれに
ともない必要以上に下糸が繰り出されることによって生
じる下糸のからみを確実に防止することができ、しかも
ボビンが適度な制動力のもとて円滑に回動されて、その
ボビンから繰り出される下糸に適正な糸調子圧力を付与
することができ、さらに前記中釜からボビンが脱落する
おそれを確実に防止することができ、なおかつ容易に組
付けることができるという優れた効果がある。

また、この考案においては、ボビンケース内にボビンを
装着して、そのボビンケースを中釜内に装着するタイプ
の釜とは異なり、ボビンケースを必要としないため、ボ
ビンに多量の下糸を巻回できるばかりでなく、安価に製
造できるという優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例を示す全回転釜部分の縦断
面図、第２図はその全回転釜の正面図、第３図は中釜の
斜視図、第４図は中釜の縮小側面図、第５図は軸状支持
体等を示す分解斜視図、第６図は別個を示す分解斜視図
である。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 一方向に回転する外釜４と、 その外釜４中に静止の状態に支承され、かつ中央部に中
   空のボビン支持軸１１を有する中釜６と、 その中釜６のボビン支持軸１１にはその軸線を挾み対向
   した位置に一対の貫通孔１２が形成されていることと、 前記中釜６のボビン支持軸１１の周りに挿嵌される中空
   軸２０と一対のフランジ２１．２２とからなるボビン１
   ９と、 前記中釜６のボビン支持軸１１中に挿嵌固定され、かつ
   中央部に前記軸線方向に延びる切割溝１５が形成された
   軸状支持体１３と、 その軸状支持体１３の前記切割溝１５中に収容され、か
   つ中央部１４ａがその軸状支持体１３に取付けられると
   ともに、両端１４ｂが前記一対の貫通孔１２よりそれぞ
   れ突出し前記ボビン１９の中空軸２０の内面と係合して
   そのボビン１９に制動力を付与する一本のばね１４とよ
   りなるミシンの全回転釜。 ２ 前記ばねは線ばね１４からなる実用新案登録請求の
   範囲第１項記載のミシンの全回転釜。 ３ 前記切割溝１５の幅はほぼ前記線ばね１４の太さに
   等しく形成され、ボビン１９の回転に際しその線ばね１
   ４のボビン回転方向の移動が阻止されている実用新案登
   録請求の範囲第２項記載のミシンの全回転釜。 ４ 前記軸状支持体１３は合成樹脂材料からなる実用新
   案登録請求の範囲第１，２項または第３項のいずれかに
   記載のミシンの全回転釜。