JPS6040205Y2 - ミシンの全回転釜 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 技術分野及び目的 この考案はミシンの全回転釜に関するものであって、そ
の目的は中釜内に装着されるボビンに多量の下糸を巻回
することができ、そのボビンに制動力を付与してボビン
の空転及びそれにともない必要以上に下糸が繰り出され
ることによって生じる下糸のからみを確実に防止するこ
とができるばかりでなく、ボビンが適度な制動力のもと
て円滑に回転されて、そのボビンから繰り出される下糸
に適正な糸調子圧力を付与することができ、しかも前記
制動力を微調整して下糸の糸調子圧力を微調整すること
ができ、さらに前記中釜からボビンが脱落するおそれを
確実に防止することができる新規なミシンの全回転釜を
提供することにある。

実施例 以下、この考案の一実施例を第１図〜第４図に従って説
明すると、この実施例においては、ミシンベッド（図示
しない）に設けられた下軸１の先端に全回転釜２が装着
され、この全回転釜２がミシンアームに設けられた針（
図示しない）の−往復運動につき一方向に二回転されて
、加工布に本縫縫目が形成されるようになっている。

全回転釜２は固定ねじ３により下軸１に固定され、外周
の一部に糸輪捕捉嘴４ａを有する外釜４と、その外釜４
中に後述する中釜止めにより静止の状態に支承され、取
付板５により抜は止め保持された中釜６とよりなってい
る。

そして、この実施例の中釜６は一側面を開放したほぼ有
底円筒状に形成され、その周壁の上部には針挿通孔７が
形成されている。

その針挿通孔７に近接して中釜６の周壁上部には中釜止
め用の凹所８が形成され、ミシンベッド内に固定された
中釜止め（図示しない）がこの凹所８に係合して中釜６
の回転が拘束されるようになっている。

第２図に示すように凹所８の一側には糸案内溝９が形成
され、この糸案内溝９を通って後述するボビン１７から
下糸Ｔ１が繰り出されて、ミシンベッド内に設けられた
自動糸切り装置（図示しない）の作動時に前記下糸Ｔ１
が凹所８内から脱出するのを防止するようになっている
。

前記中釜６の周壁先端にはほぼ全周にわたってフランジ
１０が形成され、その外周には先細テーパ状の傾斜面１
０ａが形成されていて、ミシンの縫製運転時に上糸Ｔ２
の糸輪がこのフランジ１０の傾斜面１０ａにそって中釜
６を円滑にくぐり抜けるようになっている。

前記中釜６の底壁中央に突設された環状ボス部１１には
合成樹脂材料よりなるボビン支持軸１２が貫通支持され
、その基端が中釜６外へ突出した状態で中釜６に溶着固
定されている。

このボビン支持軸１２の先端には軸線方向に延びる中空
状部１３が形成され、その中空状部１３の周壁には軸線
方向に延びる４つの切割溝１４が切欠形成されている。

また、中空状部１３の周壁の基端内面には雌ねじ部１３
ａが形成され、先端内面には傾斜面１５が形成されてい
る。

前記ボビン支持軸１２の中空状部１３には一個の皿ねじ
１６が挿通され、その軸部１６ａが前記中空状部１３内
を通って雌ねじ部１３ａにねじ込まれるようになってい
るとともに、その軸部１６ａに続いて形成されたテーパ
状頭部１６ｂが前記中空状部１３の傾斜面１５に係合す
るようになっている。

そして、前記皿ねじ１６のねじ込み具合に応じてそのテ
ーパ状頭部１６ｂが前記傾斜面１５に摺接しながら中釜
６の底壁側へ移動することにより、中空状部１３の周壁
が自体の弾性に抗して放射状に若干押し拡げられるよう
になっている。

下糸Ｔ１を巻回して前記中釜６内に着脱可能に装着され
るボビン１７の中央には中空軸１８が設けられるととも
に、その中空軸１８の両端には一対のフランジ１９．２
０が設けられ、中空軸１８とフランジ１９．２０とが金
属等の磁性体にて一体に形成されている。

このボビン１７はその中空軸１Ｂにて前記ボビン支持軸
１２に挿嵌され、前記皿ねじ１６のねじ込み具合に応じ
てボビン支持軸１２の中空状部１３の周壁外面がこの中
空軸１８の内面に接触し、ボビン１７の回転時に摩擦抵
抗が生じるようになっている。

第１，４図に示すようにボビン１７の外方のフランジ１
９は内方のフランジ２０よりも厚肉に形成され、その外
方フランジ１９の外面には円弧面１９ａが形成されてい
て、ミシンの縫製運転時に上糸Ｔ２の糸輪がこの円弧面
１９ａに沿って中釜６を円滑にくぐり抜けるようになっ
ている。

第３．４図に示すように前記外方フランジ１９と対応し
て中釜６の周壁側部には爪掛用凹部２１が形成され、こ
の凹部２１から外方フランジ１９の内面に爪を掛止して
、ボビン１７を中釜６内から容易に取り出し得るように
なっている。

前記ボビン１７の内方フランジ２０と相対するように中
釜６の底壁には２個の取付孔２２が貫通形成され、その
取付孔２２内には銅製のリング２３を介して円板状の永
久磁石２４がそれぞれ嵌着固定されている。

そして、この実施例では、例えば一方の磁石２４の磁極
がボビン１７の内方フランジ２０側においてＮ極になる
とともにその反対側においてＳ極になり、他方の磁石２
４の磁極がボビン１７の内方フランジ２０側においてＳ
極になるとともにその反対側においてＮ極になるように
、両磁石２４がその磁極を互いに異にした状態で配置さ
れている。

従って、ボビン１７の両フランジ１９．２０間にて中空
軸１８上に下糸Ｔ１を巻回した状態で、そのボビン１７
を中釜６のボビン支持軸１２に挿嵌すると、第１図に示
すようにボビン１７の内方フランジ２０が磁石２４に吸
着される。

この状態で前記皿ねじ１６をねじ込み調整すると、その
ねじ込み具合に応じてボビン支持軸１２の中空状部１３
の外端が押し拡げられ、その外端周面がボビン１７の中
空軸１８の内周面に接触し、前記磁石２４の吸着作用と
の協働によりボビン１７が中釜６内に脱落することなく
確実に保持される。

そして、この状態でミシンが運転されると、第４図に示
すように上糸Ｔ２の糸輪が中釜６をくぐり抜けて引き上
げられる際、前記ボビン支持軸１２の周壁外面とボビン
１７の中空軸１８の内面との摩擦抵抗及び前記磁石２４
の吸着作用によりボビン１７が適度な制動力を受けなが
ら円滑に回転され、そのボビン１７からは適正な下糸調
子圧力のもとで下糸Ｔ１が繰り出される。

また、この下糸Ｔ１の繰り出し後において、ボビン１７
が前記摩擦抵抗及び磁石２４の吸着作用により空転する
ことなく直ちに静止されるため、下糸Ｔ１にからみが生
じるおそれも全くない。

さらに、この実施例において下糸調子圧力が強すぎたり
弱すぎたりする場合前記皿ねじ１６のねじ込み具合を微
調整して前記摩擦抵抗を加減することにより、下糸に適
正な下糸調子圧力を付与することができる。

別の実施例 次に、この考案の別の実施例を第５，６図に従って説明
すると、この実施例においては、中釜６の底壁中央にボ
ビン支持軸１２が一体的に突出形成され、その軸心上に
おいて先端には切割溝１４、傾斜面１５及び雌ねじ部１
３ａを有する中空状部１３が形成されるとともに、後端
には前記雌ねじ部１３ａに連通するばね収容部２６が形
成されている。

このばね収容部２６の段部には蓋体２７が嵌着され、そ
の外面が中釜６の底壁外面と同一平面を形成するように
なっている。

前記ボビン支持軸１２に装着される皿ねじ１６には前記
実施例に比して大径の軸部１６ａとその軸部１６ａに連
続するテーパ状頭部１６ｂとが形成され、前記軸部１６
ａが中空状部１３を介して雌ねじ部１３ａにねじ込まれ
るようになっているとともに、前記テーパ状頭部１６ｂ
が中空状部１３の傾斜面１５に係合するようになってい
る。

この皿ねじ１６の軸部１６ａの端面と前記蓋体２７との
間において前記ばね収容部２６には圧縮ばね２８が収容
され、そのばね力により皿ねじ１６の緩みを防止し、そ
の皿ねじ１６を適宜のねじ込み位置に保持するようにな
っている。

従って、この実施例においては、ボビン支持軸１２にボ
ビン１７を挿嵌した状態で、圧縮ばね２８のばね力に抗
して皿ねじ１６を適宜にねじ込むことにより、中空状部
１３の外端が押し拡げられてボビン１７が中釜６内に確
実に保持され、皿ねじ１６のねじ込み量を微調整するこ
とにより、ミシンの運転中にボビン１７が適度な制動力
を受けながら円滑に回転され、そのボビン１７からは適
正な下糸調子圧力のもとて下糸Ｔ１が繰り出される。

なお、この考案は前記各実施例に限定されるものではな
く、例えば、ボビン支持軸の中空状部の周壁に形成され
た切割溝の数を適宜に増減する等、この考案の趣旨を逸
脱しない範囲で各部の構成を任意に変更することも可能
である。

効果 以上詳述したようにこの考案は、外釜中に静止の状態で
支承される中釜の中央部には少なくともその先端部が中
空状に形成されたボビン支持軸を設け、そのボビン支持
軸の中空状部には軸線方向に切欠された切割溝を形成す
るとともに、ボビン支持軸にはボビンを挿嵌し、軸部と
テーパ状頭部とが形成された一個の皿ねじをその軸部に
てボビン支持軸の軸心上にねじ込むとともに、そのテー
パ状頭部にて前記中空状部を拡げ、その中空状部の周壁
がボビンの中空軸内面に接触するように構成したことに
より、ボビンに制動力を付与してボビンの空転及びそれ
にともなう下糸のからみを確実に防止することができる
ばかりでなく、ボビンが適度な制動力のもとて円滑に回
転されて、そのボビンから繰り出される下糸に適正な糸
調子圧力を付与することができ、しかも前記制動力を微
調整して下糸の糸調子圧力を微調整することができ、さ
らに前記中釜からボビンが脱落するおそれを確実に防止
することができる。

また、この考案においては、ボビンケース内にボビンを
装着して、そのボビンケースを中釜内に装着するタイプ
の釜とは異なり、ボビンケースを必要としないため、ボ
ビンに多量の下糸を巻回できるばかりでなく、安価に製
造できるという優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の一実施例を示す全回転釜部分の縦断
面図、第２図はその全回転釜の正面図、第３図は中釜の
一部分解斜視図、第４図は同じく中釜の縮小側面図、第
５図はこの考案の別の実施例を示す全回転釜部分の縦断
面図、第６図はその全回転釜の正面図である。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 一方向に回転する外釜４と、 その外釜４中に静止の状態に支承され、かつ中央部に少
   なくとも先端部が中空状に形成されたボビン支持軸１２
   を有する中釜６と、 その中釜６の前記ボビン支持軸１２に挿嵌されるボビン
   １７と、 前記ボビン支持軸１２の前記中空状部１３の周壁にはそ
   の軸線方向に切欠された切割溝１４が形成されているこ
   とと、 前記ボビン支持軸１２の中空状部１３内を通ってそのボ
   ビン支持軸１２の軸心上にねじ込まれる軸部１６ａと、
   その軸部１６ａに続いて形成され前記切割溝１４の形成
   された中空状部１３を拡げその中空状部１３の外端を前
   記ボビン１７の中空軸１８内面と接触させるためのテー
   パ状頭部１６ｂとからなる一個の皿ねじ１６とよりなり
   、 前記ボビン１７の回転制動力を調節可能にしたミシンの
   全回転釜。 ２ 前記切割溝１４の形成されたボビン支持軸１２は合
   成樹脂材料よりなり、中釜６の本体上に取付けられてい
   る実用新案登録請求の範囲第１項記載のミシンの全回転
   釜。