JPS6038474Y2 - 水平釜の回止装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 技術分野 この考案は、縫製作業面にほぼ平行な面内で回転する剣
先を有する外釜と、その外釜内に位置しかつボビンを収
容する内釜とを備え、外釜の回転に調時して内釜と交互
に係合離脱する一対の係止片を有する規制部体によって
内釜の回転が規制されるミシンの水平釜の回生装置に関
するものである。

従来技術 従来、この種の回生装置としては、例えば、実開昭５４
−１０２３６３号公報に記載されているように、前記外
釜の剣先から離脱する上糸糸輪が規制部体の係止片に引
掛かって糸からみを起こすのを防止するために、前記係
止片に近接してミシン機枠に案内板を取着したものがあ
る。

ところが、この従来構成の回生装置においては、部品点
数が増加して組付けが面倒であるばかりでなく、製造コ
ストが高騰するという欠陥があった。

目的 この考案は上記の欠陥を解消するためになされたもので
あって、その目的は、前記係止片の少なくとも一方を縫
製作業面側に折曲された自由端を有する板状係止片から
構成し、その板状係止片には前記自由端において閉鎖さ
れかつ長手方向に延びる開口を形成し、内釜にはその開
口に嵌合し得る突条を設けることにより、上糸糸輪がそ
の係止片に引掛かって糸からみを起こすのを確実に防止
できるばかりでなく、構造が簡単で安価に製造できる水
平釜の回生装置を提供することにある。

実施例 以下、この考案を具体化した一実施例を図面に従って説
明すると、ミシン機枠１のベッド部１ａの上面にはその
ベッド部１ａ上面とともに縫製作業面を構成する針板２
が取着されている。

針板２の下方においてベッド部りａ内に固定されたブラ
ケット３の中央にはフランジ部を有する軸４とその軸４
に挿嵌された軸筒５とからなり、かつ上下方向に延びる
支軸６が設けられ、その支軸６には水平釜７が装着され
ている。

この水平釜７は前記支軸６の周りで回転される外釜９と
外釜９内においてその回転が規制される内釜１０とから
なっている。

そして、前記縫製作業面にほぼ平行な面内においてこの
水平釜７の外釜９が針８の一往復動につき第１図の反時
計方向へ二回転されて、加工布に本縫縫目が形成される
ようになっている。

前記外釜９は磁性材にて形成されるとともに、上面を開
放したほぼ有底円筒状に形成され、その下面には軸筒部
１１が突設されている。

この軸筒部１１の外周には歯車１２とカム面１３とが一
体形成され、その歯車１２がミシンの下軸（図示しない
）に連結されている。

外釜９の上部内周にはレース部１４が形成され、その一
部には前記針８に担持された上糸を捕捉するための剣先
１５が形成されている。

一方、前記内釜１０は上面を開放したほぼ有底円筒状に
形成され、下糸を巻回したポビン１６を収容できるよう
になっている。

内釜１０の外周にはフランジ１７が形成され、そのフラ
ンジ１７が前記外釜９のレース部１４に上方から係合し
た状態で内釜１０が外釜９内に収容されている。

前記剣先１５の回転軌跡上に位置するように、このフラ
ンジ１７には針落ち１１７ａが形成されている。

また、このフランジ１７の上面には傾斜面１７ｂが形成
され、ミシンの縫製運転時に前記剣先１５にて捕捉され
た上糸糸輪がこのフランジ１７の傾斜面１７ｂに沿って
内釜１０を容易いくぐり抜けるようになっている。

次に、ミシンの縫製運転中における内釜１０の浮上がり
を防止するための構成について説明すると、第１，３図
に示すように前記ブラケット３の上部には前記外釜９の
外形より若干大きな形状を有し、その後方にて開口する
切欠部１８ａを備えた支持板１８が固着されている。

この支持板１８上において切欠部１８ａの周辺には所定
の間隔をおいて３個の浮上がり防止片１９が螺着されて
いる。

そして、各浮上かり防止片１９の一部が前記内釜１０の
フランジ１７上に所定の間隔をおいて形成された３個の
切欠溝２０にそれぞれ遊嵌されている。

また、内釜１０の底部中央には永久磁石２１が埋設され
ている。

そして、この永久磁石２１と各浮上かり防止片１９との
協働により内釜１０の浮上がりを確実に防止できるよう
になっている。

また、前記上糸が内釜１０をくぐり抜ける際には、その
上糸が各浮上かり防止片１９と切欠溝２０との間を通過
するようになっている。

次に、外釜９内における内釜１０の回転を規制するため
の回生装置の構成について説明すると、第２，３図に示
すように、前記支軸６の後方においてブラケット３上に
は規制部体２２が支軸２３の周りに揺動可能に支持され
、その平坦部には前記外釜９のカム面１３に係合可能な
カムフォロア２４が固着されている。

この規制部体２２は図示しない引張ばねによりそのカム
フォロア２４にて前記外釜９のカム面に係合する方向へ
付勢されている。

前記外釜９と針板２との間に位置するように、規制部体
２２には一体の係止片２５ａ、２５ｂが一体に突出形成
され、その一方が剣先１５の移動軌跡から離れるように
前記縫製作業面側に折曲された自由端２６を有する板状
係止片２５ａから構成されている。

この板状係止片２５ａには長手方向に延びるとともにほ
ぼ円弧状をなす開口２７が形成され、その一端が前記自
由端２６にて閉鎖されるとともに、その他端が板状係止
片２５ａの基端近傍にて閉鎖されている。

板状係止片２５ａ及び係止片２５ｂの揺動軌跡上に位置
するよように、内釜１０のフランジ１７上において針落
ち溝１７ａの両側には平坦部２８及び係止溝２９がそれ
ぞれ形成されている。

また、前記平坦部２８上には前記開口２７に嵌合し得る
突条３０が一体形成されている。

そして、外釜９のカム面１３に対するカムフォロア２４
の保合に基づき、外釜９の回転に調時して前記規制部体
２２が支軸２３の周りで揺動された時において、上糸を
捕捉した剣先１５が前記係止溝２９の近傍を通過する際
には、第１図に実線で示すようにその係止溝２９から係
止片２５ｂが離脱して両者２９．２５ｂ間における上糸
の通過が許容される。

それと同時に板状係止片２５ａの開口２７が前記突条３
０に嵌合されて、内釜１０の回転が規制される。

また、前記剣先１５が内釜１０上の平坦部２８の近傍を
通過する際には、第１図に鎖線で示すように平坦部２８
上の突条３０から板状係止片２５ａの開口２７が離脱し
て両者３０．２７間における上糸及びその上糸糸輪によ
りボビン１６から繰り出される下糸の自由端の通過が許
容され、それと同時に係止片２５ｂが係止溝２９に係合
して内釜１０の回転が規制される。

さらに、前記規制部体２２が＄１図の鎖線位置に配置さ
れた状態においては、剣先１５から離脱した上糸が板状
係止片２５ａの自由端２６の下面に沿って剣先１５の回
転方向側へ案内され、その上糸が板状係止片２５ａの自
由端に引掛かること及びその基端近傍まで回り込むのを
防止できるようになっている。

次に、上記のように構成された水平釜７の作用を説明す
る。

さて、ミシンの縫製運転中において針８が一往復動され
る間に外釜９が二回転され、その外釜９のカム面１３の
作用に基づき、外釜９の回転と調時して規制部体２２が
揺動されると、板状係止片２５ａの開口２７及び係止片
２５ｂが内釜１０上の突条３０及び係止溝２９に交互に
係合離脱して内釜１０の回転が規制される。

また、３個の浮上がり防止片１９と永久磁石２１との協
働により内釜１０の浮上がりが防止される。

そして、内釜１０の針落ち溝１７ａ内で上糸を捕捉した
剣先１５が第１図の反時計方向へ回転して内釜１０上の
係止溝２９の近傍を通過する際には一対の係止片２５ａ
、２５ｂが第１図の実線位置に配置されて、前記係止溝
２９と係止片２５ｂとの間における上糸の通過が許容さ
れると同時に、板状係止片２５ａの開口２７が突条３０
に嵌合して内釜１０の回転が規制される。

引き続く外釜９の回転に伴い、前記剣先１５が内釜１０
上の３個の切欠溝２０の下方を通過し、前記上糸が各切
欠溝２０と各浮上かり防止片１９との間を通過した後、
平坦部２８の近傍を通過する際には、一対の係止片２５
ａ、 ２５ ｂが第１図の鎖線位置に配置されて、
係止片２５ｂにより内釜１０の回転が規制されると同時
に、上糸及びその上糸糸輪により繰り出される下糸の自
由端のうち、特に上糸が板状係止片２５ａの自由端２６
の下面に沿って剣先１５の回転方向側へ案内され、板状
係止片２５ａに引掛かったり、その板状係止片２５ａの
基端近傍まで回り込んだりすることなく、板状係止片２
５ａと平坦部２８との間を確実に通過し、内釜１０を円
滑にくぐり抜けることができる。

なお、この実施例においては、一対の係止片２５ａ、２
５ｂの一方のみを縫製作業面側に折曲された自由端２６
を有する板状係止片から構成したが、その理由として、
第１図から明らかなように、係止片２５ｂに対しては剣
先１５がその後方から接近するとともに上糸糸輪が大き
く拡がることはなく、上糸がその係止片２５ｂに引掛か
ることはまれであるためである。

そして、必要ならば、一対の係止片２５ａ、２５ｂを前
記自由端２６を有する板状係止片から構成腰各係止片２
５ａ、２５ｂと内釜１０との間における上糸の通過をよ
り確実にすることができる。

効果 以上詳述したようにこの考案は、一対の係止片の少なく
とも一方を縫製作業面側に折曲された自由端を有する板
状係止片から構成し、その板状係止片には前記自由端に
おいて閉鎖されかつ長手方向に延びる開口を形成し、内
釜にはその開口に嵌合し得る突条を設けたことにより、
上糸糸輪がその係止片に引掛かって不安定化するのを確
実に防止できるばかりでなく、構造が簡単で安価に製造
できるという優れた効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案を具体化した一実施例を示す平面図、
第２図は第１図のＡ−Ａ線にむける部分断面図、第３図
は水平釜及びその関連機構の分解斜視図である。 水平釜７、外釜９、内釜１０、剣先１５、ホビン１６、
一対の係止片２５ ａ、 ２５ ｂ、自由端２６、開
口２７、突条３０゜

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 縫製作業面にほぼ平行な面内で回転する剣先１５を有す
   る外釜９と、その外釜９内に位置しかつポビン１６を収
   容する内釜１０とを備え、外釜９の回転に調時して内釜
   １０と交互に係合離脱する一対の係止片２５ ａ、
   ２５ ｂを有する規制部体２２によって内釜１０の回転
   が規制されるミシンの水平釜において、 前記係止片２５ ａ、 ２５ ｂの少なくとも一方が
   前記縫製作業面側に折曲された自由端２６を有する板状
   係止片から構成され、その板状係止片２５ａには前記自
   由端２６において閉鎖されかつ長手方向に延びる開口２
   ７が形成され、その開口２７に嵌合し得る突条３０が前
   記内釜１０に設けられていることを特徴とする水平釜の
   回生装置。