JPH079274U - ミシンのボビンケース - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 ジグザグ縫いの時に、或いは、縫い速度の変
化による下糸の弛みの発生時に下糸が二つの糸外れ防止
爪から外れるため下糸張力が不定となること、及び、糸
切れ防止。 【構成】 糸穴２０と糸調子バネの下部糸外れ防止爪の
先端が挿入される爪穴２７との間において、軸心にたい
して垂直方向の距離をほぼ３等分する位置に糸穴とほぼ
同一直径の丸穴２１、２２を設け、これらの丸穴を、ボ
ビンケースの開放部２３の方向に糸調子バネから露出す
る底部を有するＵ字溝２４によって連絡し、下糸の経路
設定を容易にするため、Ｕ字溝の底部に形成される舌片
部２５を先端がボビンケースの外周から突出するような
構成にした。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案はミシンのボビンケースに関するものであり、特に、ボビンケース内に 格納されたボビンに捲回された下糸をボビンケース外部へ供給するための経路に 関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

図６は従来形式のボビンケースの斜視図である。公知のごとくボビンケース１ は概略椀状の形状で、底部２には内釜３（図４）から離脱しないように軸方向の 規制をするためのラッチ機構４を有し、底部の内部中心には管軸５（図４）が立 設し、この管軸の内部には内釜の内部中心に立設された中心軸６（図４）が嵌合 され、管軸外周には下糸７（図１、図３、図５）を捲回したボビン８（図２、図 ４）が回転自在に嵌合されている。又、糸調子バネ９はボビンケース外周１０に 小ネジ１１により螺着され、先端１２から前記下糸７が引き出される。１３は下 糸張力調節ネジで、これの締め付け程度により前記糸調子バネ９の張力調節域１ ４と前記ボビンケース外周１０との間の押圧力が変化するため、糸調子バネ先端 から引き出される下糸７の張力が調節され、適度の張力をもった下糸が引き出さ れて縫い位置に供給されることになる。

【０００３】 一方、ボビンに捲回された下糸７を上記の経路に正しくセットするため、先ず 下糸を捲回したボビンを、下糸の一端を指で摘み、ボビンケース内部に挿入し、 脱落しないように軽く押さえながら、前記下糸の一端を糸道１５の開口部１６か ら滑り込ませ、（以下図５も参照のこと）糸調子バネとボビンケース外周の間を くぐらせながら糸調子バネ９の先端下部１７の方向に導き、次いで糸調子バネ９ の先端部に設けてあるボビンケース内側方向に屈曲した下部糸外れ防止爪１８を 通過させれば下糸７は所定の経路、即ち、ボビンに捲回された下糸は図５の如く ボビン８、糸穴２０、下部糸外れ防止爪１８と上部糸外れ防止爪１９に挟まれた 糸調子バネの張力調節域１４とボビンケース本体外周との間、糸調子バネの先端 １２の経路をたどり縫い位置に適度の張力をもって供給されることになる。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

正常の縫製時には上記のごとく糸穴からボビンケースの外周に出て、下部糸外 れ防止爪と上部糸外れ防止爪に挟まれた糸調子バネ先端から適度の張力を持って 供給されるのであるが、ジグザグ縫いの時に、或いは、縫い速度の変化による下 糸の弛みの発生時には下糸は前記下部糸外れ防止爪１８と上部糸外れ防止爪１９ の間を移動するするようになり、時にはこれらの糸外れ防止爪から外れることが 時々発生する。上部糸外れ防止爪は糸外れを防止することと、糸調子バネの位置 決めの役目であるからほぼ直角に曲げることができるから、ここから下糸が外れ ることは殆どないが、下部糸外れ防止爪は上記の如く、下糸を正規のルートに設 定するときにここを通過させる必要性から４５度以下の角度で曲げてある。この ため、特に低張力の場合には、下部糸外れ防止爪の先端部がボビンケース内部に 完全に潜らないため、ここから下糸が糸調子バネ先端下部１７の方向に外れるこ とがしばしば発生する。このような場合には、下糸が前記糸道１５に侵入し、糸 道の開口部１６からはみ出し、しばしばこの下糸が内釜心軸６に絡み付き、糸切 れが発生することになる。 本考案はこのように下糸が糸外れ防止爪から外れることを防止し、糸切れを無 くし、ミシンの停止による時間ロスを皆無とするための考案である。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

図１で糸穴２０と糸調子バネの下部糸外れ防止爪の先端が挿入される爪穴２７ との間において、軸心にたいして垂直方向の距離をほぼ３等分する位置に糸穴と ほぼ同一直径の丸穴２１、２２を設け、これらの丸穴を、ボビンケースの開放部 ２３の方向に糸調子バネから露出する底部を有するＵ字溝２４（幅は前記糸道１ ５の幅と同一）によって連絡し、下糸の経路設定を容易にするため、Ｕ字溝の底 部に形成される舌片部２５を先端がボビンケースの外周から突出するような構成 にした。

【０００６】 このような構成により、下糸を糸穴２０からボビンケース外周に導き出し、こ れを前記丸穴２１から一旦ボビンケース内に導き入れ、更に前記丸穴２２からボ ビンケース外周に導き出し、糸調子バネ先端に導く。Ｕ字溝によって形成される 舌片部の先端部をボビンケースの外周から突出させた構成は、下糸を容易にこの 経路に導くためであり、糸穴２０から導き出された下糸を、この突出した舌片部 の先端の裏側に導き、更に糸調子バネ９の先端下部１７の方向に導き、次いで前 記下部糸外れ防止爪１８を通過させれば下糸を所定の経路に設定することが出来 る。

【０００７】

【作用】

従来形式のボビンケースは図５に示される如く、ボビンケース本体からの最終 出口は糸穴２０であり、ここを基準としての上下糸外れ防止爪１８、１９への角 度αはα≒２５゜であり、本考案によるボビンケースにおいては、最終出口が丸 穴２２であるから、従来形式のボビンケースのαに相当する角度βはαの約２倍 のβ≒５５゜である。このため、本考案によるボビンケースにおいては下糸が上 下糸外れ防止爪１８、１９に接触する機会が少なくなり糸外れの発生が少なくな ることになる。又、仮に下糸が下部糸外れ防止爪１８から外れても、外れた下糸 は丸穴２１、２２を外れることがないため、糸穴から糸道開放部に到達すること がなく前記のように下糸が内釜心軸６に絡み付くことがなくなり糸切れが発生す ることがなくなる。

【０００８】

【実施例】

以下図によって本考案の一つの実施例を説明する。 図１は本実施例のボビンケースに下糸を所定の経路に設定した拡大説明図であ る。 従来形式のボビンケースの外周に設けてある糸穴２０の内側の点２６と、同じ く外周に設けてある下部糸外れ防止爪が挿入される爪穴２７の内側の点２８との 間の軸心と垂直方向の距離を３等分する点に糸穴２０とほぼ同一直径の２個の丸 穴２１及び２２を設け、これらの丸穴をボビンケースの開放部２３の方向に糸調 子バネから露出する底部を有するＵ字溝２４（幅は前記糸道１５の幅と同一）に よって連絡し、Ｕ字溝の底部に形成される舌片部２５を先端がボビンケースの外 周から突出するような構成にした。舌片部２５の突出の程度は図２に示す如く舌 片部２５の先端が内釜３の内壁２９と干渉しない程度にした。

【０００９】

【考案の効果】

（１） ボビンから供給された下糸が上部糸外れ防止爪及び下部糸外れ防止爪 から外れることが皆無となり常に一定の張力を保持することが可能とな り常に均一の縫目を形成することが可能となった。 （２） 仮に条件が悪く下糸が下部糸外れ防止爪から外れたとしても、前述の 如く外れた下糸は丸穴２１、２２を外れることがないため、糸穴から糸 道開放部に到達することがなくなり、前記のような下糸の内釜心軸に絡 み付きによる糸切れが発生することがなくなった。 （３） 均一な下糸張力による均一な縫目、糸切れ事故によるミシンの停止等 が皆無となるからロスタイムが減少し、縫製作業の能率向上が期待でき る。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案によるボビンケースの正面図であり、
下糸の経路を明瞭に示すため、糸調子バネの一部を取り
外し２点鎖線で示してある。簡略にするためラッチ機構
は除外している。

【図２】 内釜に本考案によるボビンケースを嵌入した
状態の断面図であり、内釜の内壁とボビンケース本体に
設けられた舌片の先端と内釜の内壁との関係を示す。

【図３】 本考案によるボビンケース下糸の経路を示す
部分断面図である。

【図４】 釜装置にボビンケース、ボビンを組み付けた
組立断面図である。

【図５】 従来形式のボビンケースの正面図であり、図
１と同様に下糸の経路を明瞭に示すため、糸調子バネの
一部を取り外し２点鎖線で示してある。簡略にするため
ラッチ機構は除外している。

【図６】 従来形式のボビンケースの斜視図である。

【符号の説明】

１ ボビンケース ２ 底部（ボビンケース） ３ 内釜 ５ 管軸 ６ 中心軸 ７ 下糸 ８ ボビン ９ 糸調子バネ １０ ボビンケース外周 １１ 小ネジ １２ 糸調子バネ先端 １３ 下糸張力調節ネジ １４ 張力調節域 １５ 糸道 １６ 開口部（糸道） １８ 下部糸外れ防止爪 １９ 上部糸外れ防止爪 ２０ 糸穴 ２１ 丸穴 ２２ 丸穴 ２３ 開放部（ボビンケース） ２４ Ｕ字溝 ２５ 舌片部 ２７ 爪穴 ２９ 内壁（内釜） ３０ 外周壁（ボビンケース）

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 内部に下糸を捲回したボビンを収容し、
   下糸をボビンケース外周部に設けられた円形の糸穴（２
   ０）を貫通し、ボビンケース外周部と外周部に設けられ
   た糸調子バネ（９）の間を通して下糸を供給するボビン
   ケースにおいて、 糸穴（２０）と外周に設けてある下
   部糸外れ防止爪（１８）が挿入される爪穴（２７）との
   間において形成される外周壁（３０）において、ほぼ軸
   心に対して垂直方向の距離をほぼ３等分する位置に、糸
   穴（２０）とほぼ同一直径の丸穴（２１）、（２２）を
   設け、これらの丸穴を、ボビンケースの開放部（２３）
   の方向に糸調子バネから露出する底部を有するＵ字溝
   （２４）によって連絡し、Ｕ字溝の底部に形成される舌
   片部（２５）を先端がボビンケースの外周から突出する
   ような構成にしたことを特徴としたミシンのボビンケー
   ス。