JPH0638875U - ミシンのボビンケース - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 ミシン運転の急停止によるボビンの空転のた
め、ボビンに捲回されていた下糸がほぐれ下糸は糸道か
らボビンケースの外部に外れる。この状態から運転を再
開した場合に、頻繁に起こる糸切れ事故を解決する。 【構成】 従来形式の糸穴が単純円形であるのに対し
て、概略形状が長方形であり、糸道の出口１６において
はボビンケースの軸方向に平行な平面１９で、これに対
抗する面は従来の糸穴１４の中心位置とほぼ同一位置に
中心を有する円弧曲面２０で形成され、この円弧曲面２
０において糸調子バネ先端方向に向かって、下糸の流れ
を円滑にするため斜面２１を設けた糸穴１８を本体外周
６にプレス等で形成し、前記糸穴の幅Ｌ１に余裕をもっ
て挿入できる幅Ｌ２を持ち、且つ、緩やかな傾斜角で折
り曲げて前記糸穴の平面部１９の稜線２７を軽く押圧す
るような舌片２２を糸調子バネ５にプレス等により切り
曲げて形成し、前記糸道１０の出口１６を閉鎖した

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案はミシンのボビンケースに関するものであり、特に、ボビンケース内に 格納されたボビンに捲回された下糸をボビンケース外部へ導出するための糸穴に 関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

図５は従来形式のボビンケースの斜視図である。公知のごとくボビンケースは 概略椀状の形状で、底部２には釜（図示せず）から離脱しないように軸方向の規 制をするためのラッチ機構３を有し、底部の内部中心には管軸（図示せず）が立 設し、この管軸の内部には釜の内部中心に設けられた中心軸（図示せず）が嵌合 され、管軸外周には下糸４を捲回したボビン（図示せず）が回転自在に嵌合され ている。又、糸調子バネ５はボビンケース外周６に小ネジ７により螺着され先端 ８から前記下糸が引き出される。９は下糸張力調節ネジで、これの締め付け程度 により前記糸調子バネ５の張力調節域１５と前記ボビンケース外周６との間の押 圧力が変化するため、糸調子バネ先端から引き出される下糸が下糸張力調節ネジ ９の締め付け程度によって下糸の張力が調節され、適度の張力をもった下糸が縫 い位置に供給されることになる。

【０００３】 一方、ボビンに捲回された下糸を上記の経路に正しくセットするため、先ず下 糸を捲回したボビンを下糸の一端を指で摘み、ボビンをボビンケース内部に挿入 し回転しないように押さえながら、前記下糸の一端を糸道１０の開口部１１から 滑り込ませ、（以下図１も参照のこと）更に糸調子バネ５の先端下部１２の方向 に導き、次いで糸調子バネ５の先端部に設けてあるボビンケース内側方向に屈曲 した糸外れ防止爪１３（図１参照）を通過させれば下糸は正常の経路、即ち、ボ ビンに捲回された下糸は図１の如く糸穴１８（図５においては１４）、糸調子バ ネの張力調節域１５とボビンケース本体との間、糸調子バネの先端８の経路をた どり縫い位置に適度の張力をもって供給されることになる。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

近年、ミシンは高速化の傾向にあり、従って高速運転時からの急停止が頻繁に 行われる。急停止時には高速回転時に発生するボビンの慣性力によるボビンの空 転のため、ボビンに捲回されていた下糸がほぐれ、従来のボビンケースを使用し た場合には、このため下糸が糸穴１４から糸道１０に侵入し、更に糸道１０から ボビンケースの外部に外れ、この状態から運転を再開した場合下糸が正規の経路 をたどらないため糸切れを頻繁に起こすという欠点があった。これを解決するた め、糸道１０の幅を使用糸の太さギリギリの幅にしたり、糸道の角度を変えたり しているが効果は薄く、又、実公昭５７−１７８９７、実公昭５６−１３４３等 の考案が発表されているがいずれも加工困難に伴うコスト高や効果の程度が薄い 等の理由でで実用化されていない。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

従来の糸穴が単純な開放形の円形であるのに対して、本考案による糸穴は出口 を糸調子バネより切り曲げにより成形された舌片により閉鎖して弛んだ下糸が糸 道に侵入しないようにした。

【０００６】

【作用】

図４は従来形式のボビンケースの糸穴部分の拡大図であるが、糸穴１４が単純 な円形であるため、糸穴の出口１６付近が下糸が容易に糸道１０に侵入し易い方 向の曲面１７で形成されている。 これに対して、図２及び図３に示すごとく本考案による構成は糸穴１８は単純 な円形でなく、ほぼ長方形の形状で、出口１６側は直線でありここを糸調子バネ を切り曲げて成形した舌片が軽く接触しているため、出口１６が閉鎖されること になり下糸は糸道１０に侵入することがなくなる。又、下糸を前述の経路に設定 する場合には、前記舌片はボビンケース外周に対して緩い傾斜角で形成されてい るため、下糸を舌片の下を容易に通過させることができるため従来通り行うこと が出来る。

【０００７】

【実施例】

以下、図によって本考案の一つの実施例を説明する。 図１は本考案によるボビンケースの側面図であり、前記ラッチ機構は取り外し てあり、下糸の経路も示してある。図２は本考案による糸穴１８付近の拡大図で あり、図３は同じ場所の拡大断面図である。糸穴１８はプレス加工等により加工 し、概略形状は幅Ｌ１の長方形であり、糸道１０の出口１６においてはボビンケ ース軸方向に平行な平面１９で、これに対抗する面は従来の糸穴の中心位置とほ ぼ同一位置に中心を有する円弧曲面２０で形成されている。又、円弧曲面２０に おいては糸調子バネ先端方向に向かって、下糸４の流れを円滑にするため斜面２ １を設ける。

【０００８】 一方、糸調子バネ５は従来と同一の糸調子バネに次の構成を付加する。即ち、 前記糸穴１８の幅Ｌ１に余裕をもって挿入できる幅Ｌ２を持ち、緩やかな傾斜角 で折り曲げて前記糸穴１８の平面１９の稜線（２７）を軽く押圧するような舌片 ２２をプレス等により切り曲げて形成する。又、これの形成において、舌片２２ の切り込み２３は下糸設定時に下糸が容易に舌片の下面２４と糸穴１８の平面部 １９の接触を開放して通過できるように舌片に柔軟性を持たせるため、舌片の折 り曲げ線２５の位置よりも前記下糸張力調節ネジ９側に延長してある。又、舌片 の先端２６は図３に示す如く下糸４に接触しないような位置に止める。

【０００９】

【考案の効果】

本考案によるボビンケースを採用することにより、糸穴からの糸外れが皆無と なり、これに起因する糸切れによるミシン停止のタイムロスが減少し、又、従来 糸外れを防止するためボビンの糸巻量を８０％程度しか巻くことが出来なかった が本考案により１００％巻くことが可能となり、又、製作工数は従来品と殆ど変 わらない等の効果を持つ。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案によるボビンケースの側面図であり、
下糸の経路も示す。ラッチ機構が取り外した図である。

【図２】 本考案によるボビンケースの糸穴付近の拡大
図である。

【図３】 本考案によるボビンケースの糸穴付近の拡大
断面図である。

【図４】 従来形式のボビンケースの糸穴付近の糸調子
バネを取り除いた拡大図である。

【図５】 従来形式のボビンケースの組立完成品の斜視
図である。

【符号の説明】

１ ボビンケース ４ 下糸 ５ 糸調子バネ ６ ボビンケース外周 ９ 下糸張力調節ネジ １０ 糸道 １４ 糸穴（従来形式） １６ 糸穴出口 １８ 糸穴（本考案による） ２２ 舌片

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ボビンケース内に収容されたボビンから
   下糸をボビンケース内部からボビンケース外部に導出す
   るため糸道及び糸穴を有するボビンケースにおいて、概
   略形状が長方形であり、糸道（１０）の出口（１６）に
   おいてはボビンケースの軸方向に平行な平面（１９）
   で、これに対抗する面は従来の糸穴（１４）の中心位置
   とほぼ同一位置に中心を有する円弧曲面（２０）で形成
   され、この円弧曲面（２０）において糸調子バネ先端方
   向に向かって、下糸の流れを円滑にするため斜面（２
   １）を設けた糸穴（１８）を本体外周（６）にプレス等
   で形成し、前記糸穴（１８）の幅（Ｌ１）に余裕をもっ
   て挿入できる幅（Ｌ２）を持ち、且つ、緩やかな傾斜角
   で折り曲げて前記糸穴（１８）の平面（１９）の稜線
   （２７）を軽く押圧するような舌片（２２）を糸調子バ
   ネ（５）にプレス等により切り曲げて形成し、前記糸道
   （１０）の出口（１６）を閉鎖したことを特徴としたミ
   シンのボビンケース。