JP2901938B2 - ミシンのかま - Google Patents

ミシンのかま

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JP2901938B2
JP2901938B2 JP17856297A JP17856297A JP2901938B2 JP 2901938 B2 JP2901938 B2 JP 2901938B2 JP 17856297 A JP17856297 A JP 17856297A JP 17856297 A JP17856297 A JP 17856297A JP 2901938 B2 JP2901938 B2 JP 2901938B2
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bobbin
bobbin case
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flange
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徳三 広瀬
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、垂直全回転かまの
内かま内にボビン糸が巻回されるボビンを保持するため
の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】図10は典型的な従来技術の垂直全回転
かま22の全体の構成を示す分解斜視図であり、図11
はボビンケース1によってボビン2が内かま3内に保持
された状態を示す一部の水平断面図である。水平な回転
軸線L1まわりに回転駆動される外かま4には、内かま
3が回り止めされた状態で収納され、内かま3には、ボ
ビンケース1が着脱自在に装着され、ボビンケース1に
は、ボビン糸5が巻回されたボビン2が収納される。
【0003】ボビンケース1は、図10の上方に開口し
た略C字状の周壁6と、周壁6の軸線方向一端部を塞ぐ
端壁7と、端壁7に一直径線に沿った係合方向A1およ
びその係合方向とは逆向きの解除方向A2に摺動自在に
装着されるラッチ8と、ラッチ8を前記一直径線方向に
変位させるための操作片9とを有する。ラッチ8は、図
示しないばねによって、係合方向A1にばね力が与えら
れている。このボビンケース1の周壁6には、ボビン糸
調子ばね10が設けられ、ボビンケース1に収納された
ボビン2のボビン糸5は、仮想線5aで示すように、周
壁6とボビン糸調子ばね10との間を通って引き出さ
れ、ボビン糸5に張力を与えることができるように構成
されている。
【0004】上記のボビンケース1に収納されるボビン
2は、一対のフランジ11a,11bと、各フランジ1
1a,11bを連結する直円筒状の巻胴12とから成
る。また内かま3は、周壁13と、周壁13の軸線方向
一端部で一直径線方向に延びる底部14と、底部14に
開口端側に向けて立設されるスタッド15とを有する。
スタッド15の遊端部には、環状の嵌合凹所16が形成
される。
【0005】ボビンケース1の端壁7にはまた、周壁6
の開口端側に向けて、その周壁6の軸線に沿って直円筒
状の筒部17が形成され、この筒部17には、ボビンケ
ース1が内かま3に装着された状態で前記スタッド15
が挿通し、このスタッド15はさらに、端壁7に形成さ
れる中央孔18から外方に突出し、ラッチ8に形成され
る第1透孔19を挿通して、操作片9に形成される第2
透孔20に部分的に嵌まり込んで外部に露出している。
【0006】このようにボビンケース1を内かま3に装
着した状態では、ラッチ8の第1透孔19に臨む周縁部
21がスタッド15の嵌合凹所16に嵌まり込み、この
ようにして内かま3とボビンケース1とが係合されて、
ボビンケース1が内かま3に抜け止めされる。このボビ
ンケース1に収納されるボビン2は、ボビンケース1の
筒部17がボビン2の巻胴12に挿通された状態で、ボ
ビンケース1に収納されており、このボビン2のボビン
糸5は、前述したようにボビン糸調子ばね10と周壁6
との間を通って仮想線5aで示されように外部へ引出さ
れ、所定の張力で縫製することができるように構成され
ている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このような従来の技術
では、上述したようにボビン2がボビンケース1によっ
て内かま3内に保持された状態において、内かま3のス
タッド15はボビンケース1の筒部17内に挿入し、筒
部17はボビン2の巻胴12内に挿入して、前記ボビン
2が筒部17の軸線にほぼ同軸をなす回転軸線まわりに
回転自在に支持される。この状態では、縫製時にボビン
糸5の張力によって前記ボビン2が回転しながら、ボビ
ン糸5がボビンケース1から引出される。このようなボ
ビン2の回転によってボビン糸5の張力にばらつきが生
じ、その結果、糸締まりにむらが生じ、縫い質が低下し
てしまうという問題がある。また縫製時にミシンを急停
止したときには、ボビン2が空転して、ボビンケース1
内でボビン糸5がたるみを生じてしまう場合があり、こ
のような場合にもボビン糸5の張力にばらつきが生じ、
その結果、糸締まりにむらが生じ、縫い質が低下してし
まう。さらにこのようなボビン糸のたるみが生じると、
たるんだボビン糸5がボビン2の各フランジ11a,1
1bの最外周部とボビンケース1の周壁6との間からボ
ビンケース1からはみ出し、ボビン糸5が引っ掛かって
糸切れを生じてしまうおそれがある。
【0008】したがって本発明の目的は、ボビン糸が糸
切れを生じることなく、かつボビン糸の張力を安定させ
て糸締まりのむらを防ぎ、縫い質を向上することができ
るようにしたミシンのかまを提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の本発明
は、内かまの底部側に配置されるボビンのフランジを、
その内かまに着脱自在に装着されるボビンケースの周壁
に弾発的に嵌着させて、ボビンの軸線とボビンケースの
軸線とを一致させた状態で、かつボビンケースの軸線に
沿ってボビンケースの端壁に向かう方向、半径方向およ
び周方向のボビンケースに対する変位が阻止された状態
で、ボビンを内かま内に保持し、内かまの開口端側に配
置されるボビンのフランジの最外周部とボビンケースの
周壁の内周面との間には、第1空隙が形成され、前記内
かまの開口端側に配置されるボビンのフランジとボビン
ケースの端壁の内面との間には、第1空隙に連通する第
2空隙が形成され、ボビンケースの端壁には、端壁の内
面と同一平面上で開口して前記第2空隙に連通するボビ
ン糸取出孔が形成され、ボビンに巻回されるボビン糸
は、内かまの開口端側のフランジの最外周部に巻掛けら
れて第1空隙を遊通し、内かまの開口端側のフランジの
最外周部からボビンケースの端壁のボビン糸取出孔およ
び第2空隙に臨む周縁部にわたって張架されて第2空隙
を通過し、ボビン糸取出孔からボビンケースの外部に導
かれることを特徴とするミシンのかまである。
【0010】本発明に従えば、内かま内に収納されたボ
ビンは、内かまの底部側に配置されるボビンのフランジ
がボビンケースの周壁部に弾発的に嵌着されるので、こ
の弾発力によってボビンはボビンケースに保持され、ボ
ビンケースがその開口端を下方に向けて配置されても、
ボビンがボビンケースから不所望に脱落することが防が
れる。したがってボビンを収納したボビンケースの内か
まへの着脱時に、ボビンケースの取り扱いが容易にな
り、作業性が向上される。またボビンケースの内かまへ
の着脱時に、ボビンがボビンケースに対して変位してし
まうことがない。
【0011】このようにボビンは、内かまの底部側に配
置されるフランジがボビンケースの周壁に嵌着されて保
持され、この状態でボビンは、軸線に沿ってボビンケー
スの端壁に向かう方向、半径方向および周方向のボビン
ケースに対する変位が阻止されている。このボビンに巻
回されるボビン糸は、内かまの開口端側に配置されるボ
ビンのフランジの最外周部とボビンケースの周壁の内周
面との間の第1空隙を遊通し、前記内かまの開口端側に
配置されるボビンのフランジとボビンケースの端壁の内
面との間に形成される第2空隙を、内かまの開口端側の
フランジの最外周部からボビンケースの端壁のボビン糸
取出孔および第2空隙に臨む周縁部にわたって張架され
て、内かま開口端側のフランジの最外周部とボビンケー
スのボビン糸取出孔および第2空隙に臨む周縁部との間
では、ボビンケースおよびボビンに接触することなく通
過して、ボビンケースの端壁に形成されるボビン糸取出
孔から外部へ導かれる。縫製動作の開始によって前記ボ
ビン糸が引出されると、ボビン糸取出孔から前記内かま
の開口端側のフランジの外周部とにわたって張架された
状態で、前記内かまの開口端側のフランジの外周部を円
滑に回転して巻きほどかれる。このときボビンのボビン
糸の引出しによる回転が阻止されるので、縫製動作が停
止しているにも拘わらず、ボビンの慣性による回転によ
って、ボビンケース内でボビン糸がたるみを生じ、張力
にばらつきが生じたり、ボビン糸の絡みないしはもつれ
を生じることが防がれる。またたるんだボビン糸がボビ
ンとボビンケースとの間からはみ出して引っ掛かってし
まい、糸切れを生じていまうという不具合も防止され
る。
【0012】またボビンケースの軸線とボビンの軸線と
を一致させた状態で、かつボビンケースに対して軸線に
沿ってボビンケースの端壁に向かう方向、半径方向およ
び周方向の変位が阻止された状態で、ボビンが保持され
ているので、内かまの開口端側のボビンのフランジの最
外周部と、ボビンケースの周壁の内周面との間に周方向
全周にわたってボビン糸が遊通できる一定の隙間を有す
る第1空隙を確保することが可能であり、かつ内かま開
口端側のボビンのフランジとボビンケースの端壁との間
にボビン糸が前述の張架状態で通過することができる隙
間を有する第2空隙を確保することが可能である。これ
によってボビン糸が通過するために必要とされる間隔の
隙間を周方向全周にわたってボビンケースとボビンとの
間に確保し、ボビン糸が引っ掛かることを防止して、糸
切れなどの不具合を無くすとともに、ボビン糸の張力の
変化を防止して糸締まりのむらを無くすことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施の一形態の内
かま30およびボビンケース31を備えた垂直全回転か
ま32を下方から見た一部の断面図であり、図2は垂直
全回転かま32を示す斜視図である。水平な回転軸線L
10まわりに回転駆動される下軸200に固定され、同
一軸線L10まわりに回転される外かま34には、その
内周面34aに周方向に延びる軌溝35が形成され、こ
の軌溝35に内かま30の外周面37に形成された軌条
36が嵌まり込んだ状態で、内かま30が外かま34に
対して回転自在に収納されている。外かま34は、たと
えば鋼鉄製またはステンレス鋼製である。
【0014】内かま30は、回り止め凹所38に回り止
め部材39が嵌まり込んで回り止めされている。このよ
うな内かま30には、ボビンケース31が着脱自在に装
着され、ボビンケース31にはボビン糸62が巻回され
たボビン40が収納される。また外かま34の周壁には
剣先59が形成されており、この剣先59は、外かま3
4の回転と同期して回転軸線L10と垂直な上下方向に
往復駆動される図示しない針によって齎される針糸を補
足する。この剣先59によって補足された針糸は、外か
ま34の回転に伴ってループを形成しながら内かま30
まわりに一周し、すなわち内かま30を糸越しする。こ
のような動作によって、内かま30内に保持されたボビ
ン40に巻回されるボビン糸62と、針糸とが相互に巻
き掛けられ、縫目が形成される。
【0015】内かま30には、その内周面42から半径
方向外方に凹んだ係合凹所43が形成され、ボビンケー
ス31には、その外周面44から半径方向外方に弾発的
に突出する係合突起45が設けられる。この係合突起4
5には、ボビンケース31が内かま30に装着された状
態で、係合凹所43に臨む内かま開口端側のフランジの
係合部分46に弾発的に当接し、ボビンケース31の開
口部寄り(図1の左方)になるにつれて、半径方向外方
に周壁60の内側から外側にわたって突出する係合面4
7が形成されている。また、係合突起45には、係合面
47の最外周部分、すなわち最も半径方向外方に突出し
た部分48からボビンケース31の開口部寄りになるに
つれてボビンケースの半径方向内方に向って、少なくと
も係合部分46の内方端49よりも半径方向内方に延び
る挿入案内面50が形成される。
【0016】図3は、内かま30を示す斜視図である。
図1をも併せて参照して、内かま30は、周壁52と、
この周壁52の軸線方向一端部を塞ぐ底部である底壁5
3とを有する。この内かま30は、たとえば鋼鉄製、ス
テンレス鋼製または合成樹脂製である。周壁52に、軸
線方向中間部で外周面37から突出し、周方向に延びる
前記軌条36が形成される。また周壁52の周方向1箇
所には、開口端付近で、厚み方向に貫通する針落ち穴5
4が形成され、図示しない針の往復運動の妨げとならな
いようにすることができる。さらに周壁52にはこの針
落ち穴54と周方向の同一位置で、軸線方向に底壁53
側に隣接して、内周面42から突出する位置決め突起5
5が形成されるとともに、針落ち穴54の開口端側に隣
接して、開口端側に開口した回り止め凹所38が形成さ
れている。
【0017】前記係合凹所43は、周壁52に、針落ち
穴54とは周方向に開口端側から見て時計回りに約90
度ずれた位置で、開口端付近に形成されている。係合凹
所43は、周壁52に厚み方向に貫通する透孔を形成す
ることによって実現されている。
【0018】図4は、ボビンケース31の斜視図であ
る。前記垂直全回転かま32の内かま30に着脱自在に
装着されるボビンケース31は、周方向に分断された略
C字状の周壁60と、この周壁60の軸線方向一端部を
塞ぐ端壁61とを有する。このようなボビンケース31
は、鋼鉄製またはステンレス鋼製である。前記周壁60
には、ボビン糸62が嵌まり込むボビン糸嵌合凹部64
が周壁60の厚み方向に挿通して形成されるとともに、
周壁60の外周面44に弾発的に当接して前記ボビン糸
嵌合凹部64を塞ぐボビン糸調子ばね65が設けられ
る。このボビン糸調子ばね65の基端部66は、固定ボ
ルト67によって周壁60に固定されるとともに、調整
ボルト68によって遊端部69側の周壁60への押圧力
を調整することができるように構成される。
【0019】端壁61には、ボビン糸62が挿通する円
形状のボビン糸取出孔70が、周壁60および端壁61
の中心軸線を含む中央部に形成され、端壁61の内面6
1を含む仮想平面上で開口している。このようなボビン
糸取出孔70からボビンケース31の外方へ引出された
ボビン糸62は、前記周壁60に形成されるボビン糸案
内溝71に嵌まり込み、ボビン糸嵌合凹部64に導かれ
る。このようなボビン糸案内溝71を設けることによっ
て、ボビン糸62に作用する張力または弛みなどによっ
て、ボビン糸62がボビン糸調子ばね65と周壁60の
外周面44との間から抜け出てしまうことが防がれる。
【0020】端壁61にはまた、前記ボビン糸取出孔7
0に連通する第1透孔75が形成されるラッチ76がそ
の長手方向一端部を前記ボビン糸案内溝71にボビンケ
ース31の一直径線上で近接/離反する方向B1,B2
に変位自在に設けられ、ラッチ76には、このラッチに
積重した状態で前記第1透孔75に連通する第2透孔7
7が形成される操作片78が前記ラッチ76の長手方向
一端部付近を角変位中心として矢符C1,C2方向に角
変位自在に連結される。前記周壁60と端壁61とによ
って、大略的に有底直円筒状のボビンケース本体79が
形成され、このボビンケース本体79と、前記ボビン糸
調子ばね65と、ラッチ76と、操作片78とを含ん
で、ボビンケース31を構成する。
【0021】図5は、ボビンケース31の分解斜視図で
ある。ボビン糸調子ばね65の遊端部81には、このボ
ビン糸調子ばね65を周壁60に取付けた状態で、外か
ま回転方向A上流側になるにつれて外周面44から離反
する方向に角度θ1を成して傾斜するボビン糸挿入部分
82が形成されるとともに、端壁61側には半径方向内
方にほぼ直角に屈曲したボビン糸抜止め部分83が形成
される。このボビン糸抜止め部分83の基端部66側に
は、ボビン糸調子ばね65を周壁60に取付けた状態
で、半径方向内方寄りになるにつれて基端部66から遊
端部81側に角度θ2を成して傾斜してボビン糸案内面
84が形成される。前記角度θ1は、その先端部分で
0.2〜0.5mm程度の直径を有するボビン糸62を
挿入し得る角度、たとえば3〜10度に選ばれる。また
前記ボビン糸案内面84の角度θ2は、5〜30度に選
ばれる。
【0022】周壁60にはまた、前記ボビン糸抜止め部
分83が嵌まり込む凹溝85が周方向に延びて形成され
る。このようにボビン糸調子ばね65の遊端部81に
は、ボビン糸案内面84を有するボビン糸抜止め部分8
3が形成されるので、ボビン糸62をボビン糸案内溝7
1から角部86に引掛けた状態で、遊端部81側へ導
き、外周面44とボビン糸挿入部分82との間に介在さ
せ、さらにボビン糸62を矢符E方向に回動させて基端
部66側に引張ったとき、ボビン糸62を図4の矢符D
で示されるように、ボビン糸案内面84に沿って移動さ
せ、ボビン糸抜止め部分83を容易に糸越しさせて、ボ
ビン糸抜止め部分83よりもボビン糸挿入部分82側へ
挿通させることができ、その後、前述したようにボビン
糸挿入部分82と周壁60の外周面44との間を通っ
て、遊端部81と基端部66との間の当接部87と、周
壁60の外周面44との間に介在させることができる。
【0023】前記ボビン糸62は、ボビン糸案内溝71
およびボビン糸嵌合凹部64内に嵌まり込んだ状態で外
部からボビン糸調子ばね65によって覆われた状態に配
置し、再びボビン糸62をボビン糸調子ばね65の遊端
部81側に引戻すことによって、ボビン糸62をボビン
糸嵌合凹部64からボビン糸調子ばね65の遊端部81
にわたって周壁60の外周面44上に配置し、ボビン糸
調子ばね65によって弾発的に押圧することができる。
このときボビン糸62は、ボビン糸案内溝71およびボ
ビン糸嵌合凹部64内に嵌まり込んだ状態であるので、
周壁60の外周面44上でボビン糸62が当接部87に
よって押圧されず、したがってボビン糸62の張力が縫
製中に不所望に変化せず、質のよい縫目を形成すること
ができる。このようなボビンケース本体79には、従来
の図8に示されるボビンケース1のような筒部27(図
10参照)は形成されていない。
【0024】前述したように係合突起45を有するラッ
チ76には、第1透孔75が形成される。このラッチ7
6の前記操作片78に対向する外表面89には、第1透
孔75およびボビン糸案内溝71間に一直線状に延びる
第2のボビン糸案内溝90が形成される。この第2のボ
ビン糸案内溝90によって、ラッチ76と操作片78と
がほぼ平行に積重して配置された状態で、ラッチ76と
操作片78との間にボビン糸62が挟まれてしまうこと
が防がれ、したがって不所望な張力や弛みが発生せず、
円滑にボビン糸62を周壁60のボビン糸案内溝71に
導くことができる。
【0025】操作片78には、第2透孔77が形成され
る。この操作片78には、第2透孔77および操作片7
8の外側面91間にわたって連通するボビン糸挿入孔9
2が形成される。前記ボビン糸挿入孔92は、本実施の
形態では長手方向に対して角度θ3を成して前記第2の
ボビン糸案内溝90に平行であり、外面93から前記ラ
ッチ76に対向する内面94寄りになるにつれて積重状
態におけるラッチ76の第2のボビン糸案内溝90に近
接する方向に角度θ4(図2参照)を成して傾斜してい
る。前記角度θ3はたとえば30〜60度に選ばれ、前
記角度θ4はたとえば45〜60度に選ばれる。これに
よってボビンケース31内から前記ボビン糸取出孔7
0、第1透孔75および第2透孔77を介して外部へ引
出されたボビン糸62を、ボビン糸挿入孔92に嵌め込
んで押し込むことによって第2のボビン糸案内溝90に
容易に導くことができる。したがって操作片78をラッ
チ76から離反する方向C1(図4参照)に角変位させ
た状態で、操作片78とラッチ76との間にボビン糸6
2を挿通して第2のボビン糸案内溝90に嵌合させる必
要がなく、ボビン糸62の第2のボビン糸案内溝90へ
の装着作業を容易に行うことができる。
【0026】またボビンケース31のボビンケース本体
79には、周壁60の分断された分断部99からボビン
ケース31を端壁61側から見て時計まわりに約90度
ずれた位置に、周壁60から端壁61にわたって、周壁
60および端壁61を厚み方向に貫通する切欠き100
が形成されている。また端壁61には、周壁60の分断
部99から、周方向両側に約90度ずつそれぞれずれた
位置、すなわち切欠き100が形成される位置とその反
対側とを結ぶように、一直径線方向に延びる案内溝10
1が形成されている。案内溝101は、その長手方向と
交差する幅方向両側部102a,102bが、突出部1
03a,103bによってボビンケース31の開口部と
は反対側から覆われている。また端壁61には、案内溝
101の切欠き100とは反対側の長手方向一端部付近
において、案内溝100と周壁60内の空間とを連通す
るように、端壁61を貫通する係止孔104が形成さ
れ、この係止孔104は、案内溝101の長手方向一端
部寄りの幅狭部104aと案内溝101の長手方向他端
部寄りの幅広部104bとを有している。
【0027】ラッチ66は板状であり、長手方向一端部
105に係合突起45が一体的に形成され、この係合突
起45は、厚み方向一方側に湾曲している。この係合突
起45の係合面47および挿入案内面50を含む外周面
は、円弧状に形成される。ラッチ66は、係合突起45
がボビンケース31の開口部側に湾曲するようにした状
態で、案内溝106に嵌まり込んでいる。この状態で、
ラッチ76の長手方向と交差する幅方向両側部106
a,106bは、突出部103a,103bによって、
係止され、ラッチ76は、ボビンケース31の軸線方向
への変位が阻止されてた状態で、案内溝101に沿っ
て、係合突起45が半径方向外方に突出する突出方向B
1およびその逆で係合突起が半径方向内方に退避する退
避方向B2に移動自在に設けられている。
【0028】またラッチ76は、長手方向一端部105
寄り幅方向一側部106aには、幅方向外方に突出する
ばね受部107が形成されている。また端壁61には、
案内溝101の長手方向他端部寄りに、幅方向一側部1
02aに沿って、ばね収納凹所108が形成され、圧縮
コイルばね109が収納されている。ラッチ76は、案
内溝101に嵌まり込んだ状態で、圧縮コイルばね10
9による突出方向B1へのばね力を受けて、係合突起4
5を周壁60の外周面44から半径方向外方に弾発的に
突出させている。
【0029】またラッチ76には、長手方向他端部11
0付近に、厚み方向に貫通する係止片挿通孔111が形
成される。この係止片挿通111は、ラッチ76の長手
方向一端部105寄りの幅広部111aとラッチ76の
長手方向他端部110寄りの幅狭部111bとを有して
いる。
【0030】操作片78は、長手方向一端部112に係
止片113を有し、この係止片113は、厚み方向一方
側に湾曲し、幅狭の延出部113aと、その先端の幅広
の係止部113bとを有する。この係止片113の延出
部113aの幅は、ラッチ76の係止片挿通孔111の
幅狭部111bの幅よりも小さく選ばれるとともに、係
止片113の係止部113bの幅は、ラッチ76の係止
片挿通孔111の幅狭部111bの幅よりも大きく、か
つ幅広部113aの幅よりも小さく選ばれている。また
係止片113の延止部113aの幅は、端壁61の係止
孔104の幅狭部104aの幅よりも小さく選ばれると
ともに、係止片113の係止部113bの幅は、端壁6
1の係止孔104の幅狭部104aの幅よりも大きく、
かつ幅広部104bの幅よりも小さく選ばれている。
【0031】このような係止片113は、その長手方向
一端部112の係止部113bが、ラッチ76の係止片
挿通孔111を挿通し、端壁61の係止孔104に挿入
されている。このように係止片113を挿通した状態
で、外力が作用していない場合には、係止片113は、
係止部113bが係止孔104の幅広部104bに嵌ま
り込み、延出部113aは係止片挿通孔111の幅狭部
111bを挿通した状態となっている。これによって、
ラッチ76は、係止部113bが係止孔104の周縁部
114に係止された状態にある操作片78の係止片11
3の延出部113aと当接して、圧縮コイルばね109
のばね力に抗して、突出方向B1への変位が阻止される
とともに、操作片78は、係止片113の係止部113
bがラッチ76の係止片挿通孔111の幅狭部111b
の両側周縁部に当接して、抜出てしまうことが阻止され
ている。このように、相互に抜止めされて、操作片78
は、ラッチ76に積重した状態で、係止片113の係止
部113bの長手方向一端部112側の端部を角変位中
心として、長手方向他端部115がラッチ76から離反
する引起こし方向C1およびその逆に長手方向他端部1
15がラッチ76に近接する伏倒方向C2に角変位自在
に、ラッチ76に連結される。
【0032】ボビンケース31に外力が作用していない
状態では、ラッチ76が突出方向B1にばね力を受けて
いるので、ラッチ76は、操作片78の係止片113の
延出部113aを押圧した状態で、係合突起45を周壁
60の外周面44から弾発的に突出させ、このとき操作
片78は、ラッチ76に沿って伏倒した状態にある。こ
の状態から、操作片78を引起こし方向C1に角変位操
作すると、操作片78は係止片113の係止部113b
の長手方向一端部112側の端部を角変位中心として、
引起こし方向C1に角変位するので、係止片113の延
出部113aが退避方向B2と同一方向へ変位し、これ
によってラッチ76を退避方向B2へ変位させることが
できる。このとき、周壁60から端壁61にわたって切
欠き100が形成されており、係合突起45が退避する
ことを許容することができる。また、係止片113は、
その延出部113aが、係止孔104の幅狭部104a
によって角変位できる。
【0033】このように、内かま30に、内周面42か
ら半径方向外方に凹んだ係合凹所43が形成され、ボビ
ンケース31に、外周面44から半径方向外方に弾発的
に突出する係合突起45が設けられ、この係合突起45
は、ボビンケース31が内かま30に装着された状態
で、係合凹所43に嵌まり込む。この係合突起45に
は、係合面47が形成されており、係合面47は、ボビ
ンケース31が内かま30に装着された状態で、係合凹
所43の開口周縁部の内かま開口端側の係合部分46に
弾発的に当接する。この弾発力によって、ボビンケース
31を、その一直径線方向および内かまの底壁53に近
接する方向に弾発的に付勢することができる。
【0034】再び図1を参照して、ボビンケース31内
には、ボビン40を収納することができる。ボビン40
は、2つのフランジ97a,97bと、各フランジ97
a,97bとを連結する筒状の巻胴98とを有する。ボ
ビン40は、合成樹脂または繊維強化合成樹脂から成
る。ボビン40の他の材料として、たとえば鋼鉄製、ス
テンレス鋼製、またはアルミニウム製であってもよい。
このボビン40には、各フランジ97a,97b間で、
巻胴98から各フランジ97a,97bの最外周部12
1a,121b付近までボビン糸62を巻回することが
できる。
【0035】内かま30の底壁53側に配置される一方
のフランジ97aの外径は、ボビンケース31の周壁6
0の外径よりもやや大きく、かつ内かま30の周壁52
の内径よりもやや小さく選ばれる。また内かま30の開
口端側に配置される他方のフランジ97bの外径は、ボ
ビンケース31の周壁60の内径よりも小さく選ばれ
る。この他方のフランジ97bは、一方のフランジ97
aに対して半径方向外方になるにつれて近接する方向
に、ボビン40の軸線に垂直な平面から角度αを成して
傾斜して形成される。この角度αは、たとえば3〜15
度に選ばれる。
【0036】また図6に拡大して示すように、一方のフ
ランジ97aの最外周部121aには、他方のフランジ
97b側に周方向全周にわたって延びる嵌合溝201が
形成されている。この嵌合溝201は、一方のフランジ
97aの半径方向外方および厚み方向一方、すなわち他
方のフランジ97bに近接する方向に開放している。こ
のような嵌合溝201を形成することによって必然的
に、一方のフランジ97aの最外周部121aには、嵌
合溝201の厚み方向他方側に半径方向外方に突出する
突出部分203が形成される。
【0037】このようなボビン40は、他方のフランジ
97b側からボビンケース31に収納され、ボビンケー
ス31の周壁60の開口端部127が、一方のフランジ
97aの嵌合溝201に弾発的に嵌まり込むことによっ
て、ボビンケース31に弾発的に嵌着される。さらに詳
しく述べると、一方のフランジ97aの嵌合溝201に
半径方向内方側から臨む部分202の外径は、ボビンケ
ース31の周壁60の内径よりもわずかに、たとえば
0.1〜0.2mm大きく選ばれており、ボビンケース
31の周壁60の開口端部127が嵌合溝201に嵌ま
り込むときに、ボビンケース31の周壁60が分断部9
9を利用して拡径しながら嵌まり込み、ボビンケース3
1の周壁60の復元力によって、ボビンケース31の周
壁60の内周面と一方のフランジ97aの嵌合溝201
に半径方向内方側から臨む部分202の外周面とが弾発
的に当接している。この状態で、ボビンケース31の周
壁60の開口端部127は、一方のフランジ97aの突
出部分202に当接している。このようにしてボビン4
0は、ボビン40の軸線とボビンケース31の軸線とを
一致させた状態で、ボビンケース31の軸線に沿ってボ
ビンケースの端壁に向かう方向、半径方向および周方向
のボビンケース31に対する変位が阻止されて、ボビン
ケース31に収納される。
【0038】このようにボビン40がボビンケース31
に収納された状態で、他方のフランジ97bの最外周部
121bと、周壁60の内周面との間には、ボビン糸6
2が遊通することができる間隔T1を有する第1空隙1
22が形成される。またボビン40の中央付近における
軸線方向長さは、内かま30の底壁53の開口端に臨む
内面53aと、ボビンケース31の端壁61の前記底壁
53に臨む内面61aとの間隔よりも短く選ばれ、これ
によってボビンケース31の端壁61とボビン40の他
方のフランジ97bとの間に、第1空隙122およびボ
ビン糸取出孔70に連通する第2空隙123が形成され
る。さらにボビン40の一方のフランジ97aには、図
7に示すように周方向1箇所に、半径方向内方に凹む凹
所205が形成されており、この凹所205とボビンケ
ース31の周壁60の分断部99とを対応させて、ボビ
ン40はボビンケース31に収納される。
【0039】このようにボビン40が収納されたボビン
ケース31は、ボビンケース31の周壁60の分断部9
9に内かま30に形成される位置決め突起55が嵌まり
込んで、内かま30に対する位置決めがなされるととも
に、内かま30に対する周方向の変位が阻止された状態
で、ラッチ76の係合突起45を内かまの係合凹所43
に係合させて内かま30に装着される。前述のようにボ
ビン40の一方のフランジ97aには凹所205が形成
されており、ボビンケース31の内かま30への装着時
に、位置決め突起55にボビン40の一方のフランジ9
7aが干渉することがない。
【0040】ボビンケース31の端壁61には、前述し
たようにボビン糸取出孔70が形成され、ラッチ76に
は第1透孔75が形成され、さらに操作片78には第2
透孔77が形成される。これらの第1空隙122、第2
空隙123、ボビン糸取出孔70および第1透孔75を
含んで、ボビン糸62が通過する空隙を形成する。ボビ
ン糸取出孔70は、端壁61の内面61aを含む仮想平
面上で開口しており、この端壁61のボビン糸取出孔7
0および第2空隙123に臨む周縁部126は、外表面
がボビン糸取出孔70の内周面から内面61aに滑らか
に連なるように丸く弯曲して形成されており、この周縁
部126と開口端側の他方のフランジ97bの最外周部
121bとにわたってボビン糸62が張架された状態
で、その引出しに応じて他方のフランジ97bの周囲を
回転する。このとき、前記周縁部126は丸く弯曲して
形成されるので、ボビン糸62が角部で損傷されるおそ
れはなく、ボビン糸62の軸線方向、したがって引出さ
れる方向に大きな摩擦力が作用せず、このボビン糸取出
孔70の内周面による摺動抵抗が少なくてすみ、ボビン
糸62の張力が不所望に変化してしまうことが防がれ
る。
【0041】内かま30内に収納されたボビン40は、
一方のフランジ97aの最外周部121bが、内かま3
0に装着されたボビンケース31の周壁60の開口端部
127に弾発的に嵌着されて半径方向の変位が阻止され
ている。このボビン40に巻回されるボビン糸62は、
ボビン40の他方のフランジ97bの最外周部121b
とボビンケース31の周壁60の内周面との間の第1空
隙122を遊通し、ボビン40の他方のフランジ97b
とボビンケース31の端壁61の内面61aとの間に形
成される第2空隙123を、フランジ97bの最外周部
121bとボビンケース31の端壁61のボビン糸取出
孔70に臨む周縁部126とにわたって張架されて、前
記最外周部121bと周縁部126との間においては、
ボビンケース31およびボビン40に接触することなく
通過して、ボビンケース31の端壁61に形成されるボ
ビン糸取出孔70から外部へ導かれる。
【0042】縫製動作が開始されてボビン糸62が引出
されると、ボビン糸62は、ボビン糸取出孔70から他
方のフランジ97bの外周部121bにわたって張架さ
れた状態で、他方のフランジ97bの最外周部121b
上を円滑に回転して巻きほどかれる。これによってボビ
ン40の慣性によってボビン糸62がボビンケース31
内で過剰にたるんでもつれるなどの不具合を生じるおそ
れがなく、円滑にボビン糸62を供給することができ
る。
【0043】またボビンケース31の軸線とボビン40
の軸線とを一致させた状態で、かつボビンケース31の
軸線に沿って端壁61に向かう方向、半径方向および周
方向のボビンケース31に対する変位が阻止された状態
でボビンを保持することによって、他方のフランジ97
bの最外周部121bと、ボビンケース31の周壁60
の内周面との間に周方向全周にわたってボビン糸62が
遊通できる一定の間隔T1を有する第1空隙122を確
保することが可能であり、かつ他方のフランジ97bと
ボビンケース31の端壁61との間にボビン糸62が前
述の張架状態で通過することができる間隔を有する第2
空隙123を確保することが可能である。これによって
ボビン糸62が円滑に通過するために必要とされる間隔
を有する第1および第2空隙122,123を周方向全
周にわたって確保し、ボビン糸62が引っ掛かることを
防止して、糸切れなどの不具合を無くすとともに、ボビ
ン糸62の張力の変化を防止して糸締まりのむらを無く
すことができる。
【0044】さらにボビン40はボビンケース31に弾
発的に保持されるので、ボビンケース31がその開放端
を下方に向けて配置されても、ボビン40がボビンケー
ス31から不所望に脱落することが防がれる。したがっ
てボビン40を収納したボビンケース31の内かま30
への着脱時に、ボビンケース31の取り扱いが容易にな
り、作業性が向上される。またボビンケース31の内か
ま30への着脱時に、ボビン40がボビンケース31に
対して変位してしまうことがない。またボビン40の一
方のフランジ97aは、その外径がボビンケース31の
周壁60の外径よりも大きく選ばれており、すなわち一
方のフランジ97aの突出部分203はボビンケース3
1の周壁60よりも半径方向外方に突出した状態となっ
ており、ボビン40がボビンケース31に弾発的に嵌着
されていても、この突出部分203に指をかけるなどし
て、ボビン40をボビンケース31から容易に離脱させ
ることができる。
【0045】他の形態として、突出部分203の外周面
が周壁60の外周面と面一になるように構成してもよ
い。このような場合には、突出部分203を指で挟むな
どしてボビン40をボビンケース31から離脱させるこ
とができるとともに、突出部分203の引っ掛かりを少
なくして、ボビンケース31の内かま30への装着時な
どに、この突出部分203が、ミシンの他の構成部品な
どに引っ掛かって、ボビン40が不所望にボビンケース
31から脱落する不具合を防ぐことができる。
【0046】図8は、本発明の実施の他の形態のボビン
40の一方のフランジ250およびボビンケース31の
周壁60の開口端部251付近を拡大して示す断面図で
ある。上述の形態と同様の構成を有する部分には同一の
参照符号を付し、説明は省略する。上述の形態では、一
方のフランジ97aに嵌合溝201に、ボビンケース3
1の周壁60の開口端部127を嵌合させるように構成
されたけれども、本形態では、ボビンケース31の周壁
60の開口端部251に嵌合溝252が形成され、この
嵌合溝252に、ボビン40の一方のフランジ250の
最外周部を弾発的に嵌合させるようにしてもよい。この
状態で、フランジ250は全体がボビンケース31内に
嵌まり込んだ状態で、フランジ250の内かま30の底
壁53寄りの表面250aは、ボビンケース31の周壁
60の開放端面60aと面一である。このような構成で
あっても、ボビンケース31の周壁60を拡径させて、
その復元力によってボビン40をボビンケース31に弾
発的に嵌着させて上述の形態と同様に縫い質を向上する
効果を達成し、ボビンケース31の取り扱いを容易にす
る効果を達成することができる。このような場合におい
ても、ボビン40は、ボビンケース31の分断部99を
利用して、一方のフランジ97aに指を掛けてボビンケ
ース31から離脱させることができる。
【0047】さらに他の形態として、たとえば図9に示
すようにボビンケース31aは、周壁60の分断部99
から周方向に約180度ずれた反対側に、周壁60の開
口端部251付近に開口端から端壁61に向けて切欠き
130が形成されるように構成してもよい。これによっ
て分断部99と切欠き130とを利用して、ボビン40
の一方のフランジ97aの一直径線方向の2箇所の部位
に指にかけて、分断部99だけを利用する場合と比較し
て、ボビンケース31から離脱させやすくすることがで
きる。さらに一直線方向の2箇所に指をかけることがで
き、ボビン40をつかみやすく、ボビン40のボビンケ
ース31からの離脱作業が容易である。またこのような
切欠き130は2つ以上形成してもよく、またその形成
位置は、適宜選択することができる。
【0048】またさらに他の形態として、図6に示す突
出部分203、および図8に示すボビンケース31の突
出部分254は、周方向全周にわたって形成される必要
はなく、周方向に間隔をあけて複数形成される構成であ
っても、同様の効果を達成することができる。
【0049】さらに、ボビンケース31の復元力を利用
して弾発的に嵌着する構成に代えて、図6に仮想線25
6で示し、図8に仮想線257で示すように、フランジ
97a,250および周壁60にボビンケース31の開
口端寄りになるにつれて縮径する傾斜面を形成し、この
傾斜面を利用して、フランジ97a,250をボビンケ
ース31に弾発的に嵌着するようにしてもよい。
【0050】また他の形態として、ボビン40の他方の
フランジ97bの最外周部121bは、弯曲形成しても
よい。これによってエッジ効果を少なくして、ボビン糸
62が最外周部121bに対して大きな抵抗を受けるこ
となく、容易に引き出されるようにすることができる。
逆に図6および図9に示すように、角を有する形状にし
た場合には、エッジ効果を利用してボビン糸62に張力
を付与することができる。
【0051】
【発明の効果】請求項1記載の本発明によれば、内かま
内に収納されたボビンは、内かまの底部側に配置される
ボビンのフランジがボビンケースの周壁部に弾発的に嵌
着されるので、この弾発力によってボビンはボビンケー
スに保持され、ボビンケースがその開放端を下方に向け
て配置されても、ボビンがボビンケースから不所望に脱
落することが防がれる。したがってボビンを収納したボ
ビンケースの内かまへの着脱時に、ボビンケースの取り
扱いが容易になり、作業性が向上される。またボビンケ
ースの内かまへの着脱時に、ボビンがボビンケースに対
して変位してしまうことがない。したがってボビンの軸
線とボビンケースの軸線とを一致させた状態でボビンを
ボビンケースに収納し、このボビンケースを内かまに装
着することによって、ボビンの軸線とボビンケースの軸
線とを一致させた状態でボビンを内かまに保持すること
ができる。
【0052】このようにボビンは、内かまの底部側に配
置されるフランジがボビンケースの周壁に嵌着されて保
持され、この状態でボビンは、軸線に沿ってボビンケー
スの端壁に向かう方向、半径方向および周方向のボビン
ケースに対する変位が阻止されている。このボビンに巻
回されるボビン糸は、内かまの開口端側に配置されるボ
ビンのフランジの最外周部とボビンケースの周壁の内周
面との間の第1空隙を遊通し、前記内かまの開口端側に
配置されるボビンのフランジとボビンケースの端壁の内
面との間に形成される第2空隙を、内かまの開口端側の
フランジの最外周部からボビンケースの端壁のボビン糸
取出孔および第2空隙に臨む周縁部にわたって張架され
て、内かま開口端側のフランジの最外周部とボビンケー
スのボビン糸取出孔および第2空隙に臨む周縁部との間
では、ボビンケースおよびボビンに接触することなく通
過して、ボビンケースの端壁に形成されるボビン糸取出
孔から外部へ導かれる。縫製動作の開始によって前記ボ
ビン糸が引出されると、ボビン糸取出孔から前記内かま
の開口端側のフランジの外周部とにわたって張架された
状態で、前記内かまの開口端側のフランジの外周部を円
滑に回転して巻きほどかれる。このときボビンのボビン
糸の引出しによる回転が阻止されるので、縫製動作が停
止しているにも拘わらず、ボビンの慣性による回転によ
って、ボビンケース内でボビン糸がたるみを生じ、張力
にばらつきが生じたり、ボビン糸の絡みないしはもつれ
を生じることが防がれる。またたるんだボビン糸がボビ
ンとボビンケースとの間からはみ出して引っ掛かってし
まい、糸切れを生じていまうという不具合も防止され
る。
【0053】またボビンケースの軸線とボビンの軸線と
を一致させた状態で、かつボビンケースに対して軸線に
沿ってボビンケースの端壁に向かう方向、半径方向およ
び周方向の変位が阻止された状態で、ボビンが保持され
ているので、内かまの開口端側のボビンのフランジの最
外周部と、ボビンケースの周壁の内周面との間に周方向
全周にわたってボビン糸が遊通できる一定の隙間を有す
る第1空隙を確保することが可能であり、かつ内かま開
口端側のボビンのフランジとボビンケースの端壁との間
にボビン糸が前述の張架状態で通過することができる隙
間を有する第2空隙を確保することが可能である。これ
によってボビン糸が通過するために必要とされる間隔の
隙間を周方向全周にわたってボビンケースとボビンとの
間に確保し、ボビン糸が引っ掛かることを防止して、糸
切れなどの不具合を無くすとともに、ボビン糸の張力の
変化を防止して糸締まりのむらを無くすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態の垂直全回転かま32の
一部を示す下方から見た水平断面図である。
【図2】図1に示す垂直全回転かま32の外観を示す斜
視図である。
【図3】内かま30の斜視図である。
【図4】ボビンケース31の斜視図である。
【図5】ボビンケース31の分解斜視図である。
【図6】ボビン40の一方のフランジ97aの最外周部
121aおよびボビンケース31の周壁60の開口端部
127付近を拡大して示す断面図である。
【図7】ボビン40の一方のフランジ97aの一部を示
す正面図である。
【図8】本発明の実施の他の形態のボビン40の一方の
フランジ250の最外周部253およびボビンケース3
1の周壁60の開口端部251付近を拡大して示す断面
図である。
【図9】本発明の実施のさらに他の形態のボビンケース
31aを簡略化して示す斜視図である。
【図10】典型的な従来技術の垂直全回転かま22の分
解斜視図である。
【図11】垂直全回転かま22のボビン2の保持状態を
示す一部の拡大断面図である。
【符号の説明】
30 内かま 31 ボビンケース 32,32a 垂直全回転かま 34 外かま 40 ボビン 60 周壁 61 端壁 62 ボビン糸 64 ボビン糸嵌合凹部 65 ボビン糸調子ばね 70 ボビン糸取出孔 71 ボビン糸案内溝 75 第1透孔 76 ラッチ 77 第2透孔 78 操作片 97a,97b;250 フランジ 98 巻胴 121a,121b 最外周部 122 第1空隙 123 第2空隙 124a,124b 交差部

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内かまの底部側に配置されるボビンのフ
    ランジを、その内かまに着脱自在に装着されるボビンケ
    ースの周壁に弾発的に嵌着させて、ボビンの軸線とボビ
    ンケースの軸線とを一致させた状態で、かつボビンケー
    スの軸線に沿ってボビンケースの端壁に向かう方向、半
    径方向および周方向のボビンケースに対する変位が阻止
    された状態で、ボビンを内かま内に保持し、 内かまの開口端側に配置されるボビンのフランジの最外
    周部とボビンケースの周壁の内周面との間には、第1空
    隙が形成され、前記内かまの開口端側に配置されるボビ
    ンのフランジとボビンケースの端壁の内面との間には、
    第1空隙に連通する第2空隙が形成され、ボビンケース
    の端壁には、端壁の内面と同一平面上で開口して前記第
    2空隙に連通するボビン糸取出孔が形成され、 ボビンに巻回されるボビン糸は、内かまの開口端側のフ
    ランジの最外周部に巻掛けられて第1空隙を遊通し、内
    かまの開口端側のフランジの最外周部からボビンケース
    の端壁のボビン糸取出孔および第2空隙に臨む周縁部に
    わたって張架されて第2空隙を通過し、ボビン糸取出孔
    からボビンケースの外部に導かれることを特徴とするミ
    シンのかま。
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